ビールのおいしい季節がやってきた。
ひと汗かいた後や、夕勤帰りの風呂上がり、プシュッ!喉を突き刺すあのうまさ。
特に最初の一杯は、単にうまいと言うより快感みたいな物さえ感じる。
えらそうなことを言っても、この味・この心地よさを体得したのは近頃のことである。
最初の一杯がおいしく呑めるようになったからといって、アルコールに強くなったわけではない。高いところに上がって、夜風に吹かれながら呑むあの屋上ビアガーデンのムードが、なんとも言えないほど好きなだけである。
デンと目の前に据えられた大ジョッキの、見るからに重そうな量感に圧倒されそうである。
時間がたって、みんなのジョッキが空になり始める、お代わりに立っていく。こちらはお代わりどころかまだ半分以上残っている。
なんとかペースを合わせようとしてはみるが、ここで無理をすると、楽しみな二次会三次会で、こめかみあたりがズキンズキンと音を立てるほど頭が痛くなる。
一次会を抑えめに。そして今はやりにはやっているカラオケバーへ。
思いっきりエコーを効かせてもらって、如何にもうまそうに聞こえるように、8トラテープに合わせて声を張り上げる。カウンターの向こうから「おじょうずね」などと社交辞令の決まり文句を受けながら、マイクを握りしめる手にジットリ汗をかいている。(後略)
1979年に、大真面目でこのようなことを書いている。
各段に進歩したのはカラオケ設備などであって、呑めないこと、その割りにカラオケマイク握ったら思いっきりはしゃぐことなど、30年以上前とほとんど変わっていないことに愕然。
というか、今のほうがあの頃よりもっと気楽に芯から楽しんでいる気がしないでもない。
まあいいか、人生短いのだ。進歩があろうとなかろうと、あの時はあの時、今は今。
ひとには分かるまいが、自分がほんの少しでも進歩していると思えばそれでいいか・・・。