ツバメが5羽、飛んでいます
夕方6時を回るころになると、隣の空き地にツバメが群れてやってくる。
その数はおよそ14~17羽と思われるが、定かではない。
夜の眠りに入る前の、親鳥たちの腹ごしらえなのか、空き地の鬱蒼たる草や木の上をスレスレに飛び交いながら小さな虫をついばんでいるのだろう。
まるで大家族か、親類縁者の集まりか、はたまた職場の仲間内か、よくわからないが大人数で楽しい晩さん会さながらである。
それにしてもあんな小さな虫を何匹口に入れたら腹の足しになるのだろう。
それこそ大きなお世話かもしれないが、もっと大物を狙えばいいのにと思うが、彼らには彼らの好みもあるのだろう。
それも特に、雨上がりの夕方は晩さん会出席者も多いようで、静かながらものすごい数になっている。
狭い空き地の上を、10数羽が、猛スピードで飛び交い、急旋回し高く低くエサを求めている。
よくもまああれで衝突事故を起こさないものだと不思議にさえ思える。
お互い暗黙の了解で、衝突防止のセンサーが働いているのだろうか。見事なすれ違いである。
普通の人間の目では、その数など数えようがない。それほど縦横無尽、行ったり来たり、ここと思えばまたあちら。
それでも、このツバメの晩餐をカメラに収めうと、二階の窓から追いかける。高速でシャッターを押しまくる。
数枚撮った挙句、まずまず人様に見せられるのは1枚か2枚。そんな1枚がご覧の通り。
でもこの1枚の中には5羽のツバメが飛び交っているのをお分かりかな??苦労の末の貴重な1枚。
そんなことはともかく、写真に収めるのさえ容易ではないツバメの素早さ。
それなのに、「佐々木小次郎」という剣客は、錦帯橋下河原にある柳の木に戯れるツバメを切り落とす「ツバメ返しの術」を編み出したという。
作家吉川英治の「宮本武蔵」の一節ではあるが、もしそれが事実なら、剣豪といわれる人たちのなみなみならぬ努力には頭が下がるばかりである。
現に「佐々木巌流ゆかりの柳」が、今も現地に保存されている。
別に暇をもてあそんでいるわけではないが、隣の空き地で繰り広げられる毎夕のツバメの晩さん会にふとカメラを。