夕方には、ツバメが晩さん会を繰り広げる隣の空き地。
青々と雑草が生い茂る一角に、濃い橙色の鮮やかな花を咲かせる、オニユリの一団がある。
草刈り機を使って、雑草や蔦を刈り取るときも、この一角だけは細心の注意を払って生き残らせたオニユリ集団。
どこから飛んできて、いつ根を生やしたのか定かではないが、年々その数を増やし、年々見応えを増していく。
この花が咲く頃は、気候的にはあまりいい印象がない。
一番に蒸し暑い。熱帯夜で寝苦しい。大雨や大風に見舞われる危険性がある。トマトやキューリがなぎ倒される・・・ ・・・。
そんな悪い印象ばかりを言い募っても、オニユリに罪があるわけでは決してない。
逆に考えれば、人間にとってそんな負の意識が強いこの時季に、人間の目を楽しませようと、精一杯花開くオニユリは健気な花ではある。
ちなみに花言葉を探してみた。「愉快」 「純潔」 「富と誇り」 「荘厳」 などと前向きで明るいものもある。
同じユリでも本命の白いテッポウユリには、「威厳」「純潔」「無垢」「純粋」 と少し硬い言葉が並んでいる。
いずれにしても、季節が来れば確実にその季節を教えてくれる植物は、人間などよりはるかに正確な体内時計を有しているのであろう。
間もなく梅雨明け、そして孫たちの夏休み。
見事に咲き誇るオニユリの周りで、我が意を得たように茂りまくる雑草を、草刈り機を駆使して刈り取らねばならない。
これが大変な作業なのだ。しかし、わずかでも畑を作らせてもらっているお返しに、黙って草刈り機を操ろう。
身体の芯から絞り出すような汗は、新陳代謝に大きな効果を発揮するのだろう。これもまた健康志向の一つである。