中国地方でもなかなか梅雨明け宣言が出されない、山口県。
このところ、連日の雨や曇りで、シャンとしたお天気が続かない。
そんな梅雨空を如才なく眺めていると、隣の空き地のオニユリに見事なクロアゲハが密を求めてやってきた。最初は紛れもなく単独行動の1頭だけ。
それも、大羽の裏側に鮮やかな真っ赤な斑点を見せ、中羽の後ろには目を引く真白い紋様がある。この人目を惹く装飾は雌に違いない。
まさしく咲き乱れるオニユリの密を、しばらくの間まるで独占したかのごとくむさぼっていた。
そこへ、黒一色のやや地味作りなクロアゲハがどこからともなく飛んできた。これは明らかに雄に見える。
あのカモにしても、オシドリにしても、雄の方が明らかにきらびやかで、派手な羽をまとっている。なのに、蝶の世界は雌雄さかさまなようだ。
案の定、地味づくりな雄が、雌を誘うように近づいたり離れたり、追いかける、逃げる、そんな繰り返し。
そこへまた1頭新たな雄が飛んできた。「おやおや三角関係か・・・」などと野次馬根性丸出し。
そうなると、雄2頭が1頭の雌を追いかける構図。その上、雄同士のせめぎ合いが加わる。こことおもえばまたあちら・・・飛び回る。
やはり雌は、この程度の雄は相手ではない、と言った風に知らぬ顔して勝手にヒ~ラヒラ。
そんな気まぐれクロアゲハの梅雨空ランデブーを、いつまでも追いかけているほど暇ではなかった。と言いながら、結構な時間みていたのかな。
そしていくつか新たな疑問が湧いてくる。
一つは蝶々の数え方である。いわゆる単位という問題である。ごく自然に考えると、一羽二羽かな。
ところが、蝶々はなんと、牛や馬と同じ1頭・2頭と、頭で数えるのだという。
一つには、あの蝶の頭から伸びているゼンマイ状の触覚というか、ツノが牛の角に似ていることから、頭と数えるようになった。
今一つは、アメリカでは蝶を1head・2head、つまりheadを和訳すると「頭」になることから、頭で数えるようになた。とか。
まあどっちでもいいが、この蒸し暑い梅雨の晴れ間に、気ままに宙を舞いながらランデブーできるクロアゲハはいいな~と。
それに今一つ。あの大きな優雅なクロアゲハ。その前身の毛虫は一体どれほどの大きな毛虫なのだろう。
想像しただけで、ゾクッと鳥肌が。それにしてもモゾモゾ地を這う毛虫があの可憐な蝶に返信するとは、世の中面白いね~。