切羽詰まった師走の慌ただしさを象徴する「音」はいくつかある。
クリスマス用品をなんとか買わせようと、店内に流れるボリュームを上げた「ジングルベル」や「あわてん坊のサンタクロース」
通りへ出れば、大きく手を叩きながら「安いよ!さあ買って行っとくれ」というおじさんの掛け声。
そして、普段はおとなしいのであろうが、この師走も押し迫るころになると急に荒々しい運転に変わる、若いお母さんたちのクルマ。
中でもけたたましいのは、郵便屋さんのバイクの音であろう。
バタバタバタ キー ガチャガチャ バタバタバタ ・・・ ・・・3軒くらい向こうから、明らかにそれと分かるバイク音も高らかに郵便屋さんが走る。
わずか5・6mの距離でさえスピードを上げ、キーッというブレーキ音を立てて急停車。
走りながらわが家のポストめがけてまっしぐら。こちらも外にいるときは走って受け取りに出てしまう。
そんなけたたましいバイク音を聞くと、遠い昔の「月光仮面」を思い出す。
♪ ♪ ・・・ ・・・ 疾風のように現れて、疾風のように去っていく
月光仮面は誰でしょう 月光仮面は誰でしょう ・・・ ・・・♪
と、つい口ずさんでしまう。それほどの勢いで郵便屋さんは、走り来て走り去る。
郵政民営化が良かったのか悪かったのか、小生如き知識では判定を下しにくいが、以前は1日2回の配達だったのが1回しか来なくなったのは、民営化以降の紛れもないサービス低下であろう。
人員削減や合理化が推し進められたのであろう、配達員さんのノルマも厳しくなっているのが窺える。
その一つが、年賀状発売と同時に「今年も是非購入を」といって、馴染みの配達員さんが時間外に売り込みに来るようになって久しい。
実はこれは民営化と絡ませなくとも、我々にとっては有難い面もあるので、活用させて頂いている。
いま一つは、書き上げた180枚の賀状の束を、郵便局まで持って行こうかな、と思っているところへくだんの郵便屋さんがバタバタ キー。
もっけの幸い、「これ持って帰って頂くわけにはいきませんか」。ちょっと低姿勢に訊いてみると、「いいですよ、ありがとうございます」
といってまた例のバタバタと音を立てて走り去った。
あれほど忙しそうなのに、余計なこと頼んで悪いことしたかな、と少し後ろめたさも残ったが、あのハキハキした配達員さんの態度は心地よかったな~。普段そのような教育も受けているのだろうか。
兎に角、郵便局に出向く手間をはぶかせてもらった。そして、賀状投函終了、今年のノルマ完了。これは一昨日の話である。
月光仮面は、困っている人を助けるために自分の意思でやってきた。
郵便配達は自ら選んだ仕事ではあろうが、あれほど慌ただしく仕事をすることは事故につながりかねない。
まさに交通事故と隣り合わせの危険性がある。今度は一度、コーヒーでも進めて休憩させてみようか。蹴っ飛ばさるかな~。