雪風が心地いい雪見露天風呂 今にも屋根から落ちそうな、槍のようなつらら
見渡す限りの銀世界。昨夜来の粉雪が積み上げた、40cmを超える真っ白いバージンロードにタイヤを軋ませて駐車場へ着いた。
そこには、訪れる人もない、それでいて豪奢な建物が悠然と私たちを待っていてくれたような出迎えを。
一歩踏み入れると鼻に飛び込む温泉の香り。その名の通り、魅力的な雰囲気に惑わされそうな「吉和魅惑の里」。
二日前にも訪れたという、親しき友の「Oさん」に、暗に甘えて実現した今日の「雪見露天風呂」というプチ・贅沢。
岩国市街地から60km近く中国山地に向かう。ちょうど半分くらいのところでタイヤチェーン装着。
わざわざ電話を頂いた上に自らの運転。ただ乗せて行ってもらうだけでは能がない、とばかりにチェーン装着を手伝おうと思うのだが。
なんせ自分のクルマにはチェーンなどの準備もなく、自分一人で装着などしたことも無い。
それでも、リュックに忍ばせたゴム手袋のお蔭で、少しだけお手伝いできた。と、本人は思っている。
先ずは二人のためにあるような貸し切り状態の「雪見露天風呂」。
目の前に雪の山を見ながら、身体はぬくぬく。但し湯船から立ち上がるとそれだけで肌を刺すような冷たさ。
ゆうっくり堪能して、着替えた後はしばしスマホの機能自慢のやりとり。そして運ばれてきた山菜うどんに舌鼓。
係員の若い男性から、施設の色々や来客状況など、少し立ち入った話も聞かせてもらった。
その中でなんとも興味深かったのは「今日のような粉雪が降るときは『青い雪』が降るんです」というではないか。
この山奥では、空気中のチリやゴミが少なくて、澄んだ空気の中で雪の結晶ができるため「少し青みを帯びる」という。
なるほど、説得力はある。そういわれて今一度積もった雪野原を見渡すと、心なしか青白いように見える。
大寒のど真ん中、寒い寒いと震えるのも仕方ないが、それを逆手にとって一歩踏み出して雪の中へ飛び込んでみる。
言葉にならない充足感が身を包む。まさにリフレッシュとは、こういうことを言うのだ、と一人納得。
改めて、与謝野鉄幹の詩が浮かぶ。友を選ばば書を読みて・・・ そして持つべきものは・・・
最高の思いをさせていただいた心遣いに感謝!! なんだか枕を高く眠れそう。