郵便配達員さん、ご苦労様です
仲間と共に昨年末までに念入りに仕上げた、所属する団体の広報誌が、印刷屋さんの手違いで印刷やり直しとなってしまった。
その影響で、当初1月1日までに各戸に配布する予定の新年号が、大幅に遅れて1月15日の市報と一緒に配布することと相なった。
となれば、各戸配布を直接担当する各自治会の会長あるいは配布担当者に、こちらが直接届けなくてはならない羽目になった。
原因となった印刷屋が主体となって、40自治会全てに配布することにしたのだが、そのうちの10数件の配布を手伝うことにした。
本来は、被害者の立場にある我々が配布まで手伝うことはないのかもしれない。しかしそこは人間同士の付き合いであり、設立から11年間ずっと付き合ってきた印刷屋であり、担当者は我々と同じ地区の賛助会員の仲間でもある。
そうはいってもペナルティとして、「不手際の原因究明と、今後の対処の方法を明確にさせる」ことは十分にさせた。
もちろん、金額的損失は先方が負担することで、こちらは一切預かり知らぬこと、という結論を得ている。
そんなわけで、お人好しと言われるかもしれないが、受け持った件数のに自治会担当者の家を探し歩いた。
昭和40年代前半から、雨後の筍ほどに次から次に出来た団地の険しい山道、狭い道路を練りながら…… ア~アとため息ひとつ。
そのうち、目星をつけた団地なのに、担当者の家がなかなか見つからない。ちょうどそこへバイクの音もけたたましく郵便配達がやってきた。
「すみません、誰それさんの家はどこでしょうか」。恐る恐る尋ねてみた。
ニコッと笑っ配達員は、「法律で教えられないんですよ」と言うではないか。「エッ、この近くでしょ?」「教えられないんです」
「なんで?」ちょっと気色ばむ。「個人情報ですから」と。その顔には「勝手にお探しなさい」と書いてある。
これじゃ喧嘩したらこちらの負けは明らかだ。「そうは言っても……」と詰め寄らずに歩いてみたら、3軒先にその家はあった。
なんとバカらしいこと。「3軒先です」と独り言でも言ってくれたら、さすがメイドインジャパンの郵便配達、親切だな~と思ったであろう。
いやちょっと待てよ。今日の場合、やはり「教えられません」の一点張りで、独り言も言わなかった彼の方が正しいのかも。
これぞ「コンプライアンス」に忠実な、メイドインジャパンの郵便配達の面目躍如というところか。
それにしても、腰の曲がったおばあさんが苦労して探しているのを見ても、同じことを答えるんじゃろうか??
ちなみにコンプライアンスとは『要求や命令に従うこと。特に、企業が法令や社会規範・企業倫理を守ること。法令順守』とある。