昨日夕方、突然の雨でサッカー練習が中止になったカー君が、駆けり込むようにやってきた。
「ジイちゃん、今日ねー、朝ねー、8時15分にサイレンが鳴ったんよー」
目を丸くしながらジイちゃんの手を取らんばかりに言う。
その勢いたるや、自分の胸につかえている思いを一気に吐き出したい・ジイちゃんに何かを答えてもらいたい、そんな熱気が伝わってくる。
「サイレンが鳴ったの…」「ウン。あれはね、大きな大きなバクダンが落ちてきてね、みんなが熱い熱いといって川に飛び込んだんよ。そしてねいっぱいの人が死んだんよ」必死にジイちゃんに説明してくれる。
読み始めて間がない「はだしのゲン」の影響かそれとも、どこかで誰かから聞いた耳学問か。いずれにしてもその目は真剣そのもの。東京タワーを見たくて甘えたのとは迫力が違う。
64年前の原爆投下という現実をどう説明するか、どのような注釈を加えて偏らない認識を植え付けるか、世界の中の日本をどのように意識させるか…難問である。言うまでもなく、ジイちゃんにはジイちゃんの信念にも似た思いは持っている。それを、そのままカー君に植え付けるのも如何なものか。
兄ちゃんは「アメリカが原爆の実験をしたかったんじゃろ、じゃけー飛行機に積んできて落としたんよ…」こちらはもっと具体的な話をどこからか仕入れている。「それもあるかも知れないね…」迂闊なことを言えば、アメリカが一方的に悪者になって、この子達の将来の国際観念を損なってはいけない。世の中の全てのことにおいて、片方だけが100%のワルで、片方が完全な善玉などという単純な色分けはあり得ないことも分からせなければ……苦慮するところである。
原爆投下という事実は避けて通ってはならない。これからの人間社会で核兵器などという愚かしい物は徹底排除しなければならない。その前に、「人間同士決して戦争を起こしちゃいけんのよ、みんなで仲良くしないとね」これだけは6歳児も3年生にも徹底して叩き込んでおきたい。
そして、もう少し時間をかけ、彼らの成長にあわせてジイちゃんの色んな思いを聞かせることにしよう。
多感な6歳児、想像をふくらませながらあれこれ思うようだ。
流れる汗を拭いてやり、冷やしたスイカをお皿に盛って、原爆投下64年目の夕方は静かに暮れていった。
( 写真: 夕闇迫る広島、原爆ドーム )
「ジイちゃん、今日ねー、朝ねー、8時15分にサイレンが鳴ったんよー」
目を丸くしながらジイちゃんの手を取らんばかりに言う。
その勢いたるや、自分の胸につかえている思いを一気に吐き出したい・ジイちゃんに何かを答えてもらいたい、そんな熱気が伝わってくる。
「サイレンが鳴ったの…」「ウン。あれはね、大きな大きなバクダンが落ちてきてね、みんなが熱い熱いといって川に飛び込んだんよ。そしてねいっぱいの人が死んだんよ」必死にジイちゃんに説明してくれる。
読み始めて間がない「はだしのゲン」の影響かそれとも、どこかで誰かから聞いた耳学問か。いずれにしてもその目は真剣そのもの。東京タワーを見たくて甘えたのとは迫力が違う。
64年前の原爆投下という現実をどう説明するか、どのような注釈を加えて偏らない認識を植え付けるか、世界の中の日本をどのように意識させるか…難問である。言うまでもなく、ジイちゃんにはジイちゃんの信念にも似た思いは持っている。それを、そのままカー君に植え付けるのも如何なものか。
兄ちゃんは「アメリカが原爆の実験をしたかったんじゃろ、じゃけー飛行機に積んできて落としたんよ…」こちらはもっと具体的な話をどこからか仕入れている。「それもあるかも知れないね…」迂闊なことを言えば、アメリカが一方的に悪者になって、この子達の将来の国際観念を損なってはいけない。世の中の全てのことにおいて、片方だけが100%のワルで、片方が完全な善玉などという単純な色分けはあり得ないことも分からせなければ……苦慮するところである。
原爆投下という事実は避けて通ってはならない。これからの人間社会で核兵器などという愚かしい物は徹底排除しなければならない。その前に、「人間同士決して戦争を起こしちゃいけんのよ、みんなで仲良くしないとね」これだけは6歳児も3年生にも徹底して叩き込んでおきたい。
そして、もう少し時間をかけ、彼らの成長にあわせてジイちゃんの色んな思いを聞かせることにしよう。
多感な6歳児、想像をふくらませながらあれこれ思うようだ。
流れる汗を拭いてやり、冷やしたスイカをお皿に盛って、原爆投下64年目の夕方は静かに暮れていった。
( 写真: 夕闇迫る広島、原爆ドーム )
疎開したこと、食べ物が少なかったこと、
空襲で空が真っ赤になったことくらいしか
覚えていないようです。
子供に戦争を語るとき、
できるだけ中立的な意見を語ろうとしてしまいます。
とても難しいです。
近隣国とは偏見なしで付き合っていってもらいたいので、
親が激しい意見を吹き込むのはよくないと思っています。
ロンドンで出会った韓国人の友人とは
ありがといことに両国の「不幸な過去」を超越した
よい関係で付き合えました。
ただ、彼女のお父さんがいらしたとき、
とてもきれいな日本語で話されたのですが
本当に申し訳なく思ったことを覚えています。
聞きかじったことに自らの想像もからめて、色んな感想を述べたりします。
それだけに、出来るだけ幅広く、豊かな思考を話して聞かせるようにしてはいるつもりですが……。じいちゃんの思考が世間に合致するかどうか…。勉強です。
それほどに、一方の立場だけを教えては、間違いなくこれからの国際人としての発育を妨げるかな…と。
単に日本が悪いとか、アメリカが悪いという、視野の狭い議論にしたくないですね。兎に角、幅広く考えてくれるよう、説明にに苦労します。
特に小学校低学年で、世の中に対して興味津々のときですから。
結論は、兎に角戦争は愚かなこと。だから絶対にしてはいけないこと。これだけは叩き込んでいます。