畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

車上狙いを捕えたけれど

2012-10-14 05:08:20 | 暮らし

 先日の午後のことです。
居間に居た私に妻が「トーちゃん!大変!今若い男がうちの軽トラの鍵を持ってったー!」
なんて大声で叫んだ。


 なんでもマックスの吠える声に、ふと、表をみると若い男がウインドウに手を入れて鍵をひょいと持ち去ったのだと言う。
軽トラであれ、鍵を自動車の室内に置くことは行けない事なのだけれど、そこは治安の良い駅前。

 家との出入り、そして、言い訳になるけれど、軽トラを動かす頻度も多く、
鍵は抜くだけで、軽トラの運転室内に置くことが多かったのです。


 妻の声を聞き、すぐさまスニーカーを履いて、玄関を飛び出し若い男が自転車で去ったとの話に、駅前に走った。
すると、なんと若い男は駐車場が行き止まりだから引き返してくる。

 「止まれ!ちょっと待て!」と大きな声で若い男の前に立ちふさがり停止させる。
そして、前部に取り付けられた買い物かごの中に見慣れた、軽トラの鍵を発見。

 「それって家の軽トラの鍵だろー?どうするのよ、他人の車の鍵何か盗ってー!」
「スミマセン、申し訳ありません」なんて唇を震わせながら詫びるばかり。

 どうしてこんな事をの問いにも「自分も同じことをやられて面白く無かったから」なんて言う。
「自分がやられて面白く無かったからって、同じ事を他人にするってことも無いだろう」と叱る。

 「仕方ないな、今警察に連絡するからちょっと待て」と言うと、自転車を止めて降りた若者は、
「それだけは勘弁して下さい」と言いながら、私の前に土下座をするではないか。

 「そんな事を言ったってだめだよ、謝って済む事じゃ無いだろ」と言うと、立ちあがった若者は「私を殴って下さい」なんて言う。
「殴ったって、俺の手が痛いだけだよ」と言ったけれども、さてどうしたものかと思案にくれる。

 名前までは聞かなかったけれども、住所を聞くとかなり離れた町の名前を言う。
「ヨシッ、分かった、今回は許すから、暗くなって寒くならないうちに早く帰れ!」と解放した。

 でも、自転車で去った若者は一旦、住所と反対方向に国道を走ったけれども、なんと又帰ってくるではないか。
何かまだ悪さを企んでいるのかと、再度、駅前で捕まえて「なんだ、どうして帰らないの?」と問い詰める。

 「俺、親と喧嘩して家を出てきたから、家には帰りたく無いんす」なんて言う。
そして、「帰る所が無いからホームレスになろうかなー!」なんて、大きな声で呟く。
「バカヤロー、ホームレスになんかなってどうするって言うのよ、つまらんことを言うな」と叱る。

 「だって、俺、仕事も無いし行く所もあてが無い」と言う。
重ねて「今は不景気でどこも使ってくれないし、もう三年も仕事はしていないんです」なんて言う。
「ハローワークとかは行ってみているの?」と聞いたり「特技は持ってるの?」と聞くけれどもはっきりした返事も無い。

 「派遣は駄目ですねー」なんて言うから「そりゃ、あんな事業は俺も職安法違反だと思うよ」なんて思わず同情。
そして、「リーマンショック以来世の中どんどんとダメになりました」なんて言う。
続けて「小泉が総理大臣になって規制緩和なんて言い出してからですよ、世の中が変になったのは」などとも。

 「うーん、それも確かだなー、俺もハローワークにも行ってみたけれども、魚沼地区は仕事、求人が無いからなー」
なんて、思わぬ方向に話は続きます。
「もう、こんなことが続いたら俺なんてこうですよ」なんて、首をくくる手真似さえするのです。

 「分かった、分かった。とにかく人生はな、悪いことばかりではないから、しっかりと前を見て、
明るい考え方も持って頑張れよ、そのうちきっと良い事も有るぞ」なんて慰め始めてしまった私でした。
「泥棒に説教」「盗人に追い銭」のような感じに最後はなってしまいましたね。

 体格も良いし、若いから何か仕事を見つけてあげたいとは思うし、今の社会の厳しさも感じました。
本当に、今の政治のためか、どんどんと暮らしにくい社会になって来ているのも事実ですね。

 頑張りさえすれば、何とかなってきた私たち団塊の世代は結果的には幸せだったと思います。
さて、昨日から妻は一泊で同級会に出かけ「農天市場」はスベルべ一人で奮戦中。
しかも、今朝は自分で計画した事だけれども、「地域の秋季一斉清掃」の陣頭指揮もしなければならない。

 軽トラに満載の、昨日の「農天市場」の陳列品を再び店に並べ、マックスと少し散歩したら出かけましょう。
今日も忙しい一日のスタートです。どりゃ、腰を上げることにしましょうか。

コメント (8)
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