自宅の前で、犬たちと遊ぶ少年スベルべと妹です。
朝の登校前の光景ですね。中学校の制服制帽姿のきっと三年生最終学年の秋でしょう。
我が家は一部しか見えないけれども、大豆が家の前に吊り下げて乾燥中。
そして、タクシー運転手だった父の通勤用自転車の一部も見えます。
道路の左側には「はざ」と呼ぶ、刈り取った稲を掛けて乾燥する設備が並んでいる。
当たり前だけれども、コンバインも乾燥器も無く、天日干しが当たり前でした。
一番奥は木造の古い駅舎。スベルべは中学校まで列車通学でした。
もちろん、道路は砂利道で、舗装されたのはこのあと何年も経ってからです。
さて、スベルべ少年が触っている犬は通称「ロク」と言う気立ての良い犬です。
妹の前の犬の名前は忘れちゃったけれども、一軒置いた近所の飼い犬。
五十年前には犬なんて放し飼いが当然のこと。
犬たちも自由気ままに遊び回っていたし、人間も変な制約は少なく今よりは本当の自由が有った。
この大きくて優しい「ロク」は、野犬で宿無しだとばかり思って、餌を与えたりしていた。
実は少し離れた村で飼われている「ビル」が本名の犬だと聞いて来たのはかなり後のこと。
何時とは無く現れて、母の「ゼンマイ採り」にまで同行するほど馴れていたので、実家が有ると聞き驚いた。
有る時などね結構不細工な雌犬と一緒に現れて、みんなにからかわれていたものでした。
「ロク、お前は器量良しのカーちゃんが居るんだねー」なんてね(笑)。
さて、もう一匹、じゃなかったもう一羽自由な身分のカラスの「カッコ」も当時は飼っていた。
私が独活を採りに山に行き、杉の木の樹上に見つけた巣から、小学生たちが捕まえてきた一羽。
私が巣の在り処を教えたのだから、一羽貰いたいと譲り受けた子ガラスでした。
動物好きの我が家の全員に可愛がられて成長し、本当に面白いペットになっていました。
何時も家族の誰かに付いて回って遊び、猫のように家の中にも入り、食卓の食べ物を失敬したりしていたものです。
「カッコ」と私たち家族の、面白くも切なく、そして、悲しい別れの幕切れの話は「リログ」時代に発表しています。
興味がお有りでしたら、何時の日にかそのお話も紹介させて頂きましょう。
さて、我が家の自由気ままな犬、マックスです。
山の畑などに場所は限定しているけれど、リードは外して遊ばせている。
何年も前の事になるけれど、他の人の軽トラを追って山を下り、下の村で遊んでいて、
パトカーが出動する事件、騒動となった。
犬さえ見れば、危険なものとばかりに警察に通報してくれた親切な人が居たのでした。
スベルべはその後警察の「生活安全課」なる所に呼びだされ、二時間近くも油を絞られ調書を取られた。
最近のマックスは老いて、耳も遠くなりそんな元気も無くなりつつ有ります。
「マックスや、お前には亡くなった兄貴たちが大勢いたんだぞ」なんて時々話しかける。
「チョビ」に「チロ」に「チロ」そして、「チロ二世」みんな可愛い犬たちでした。
猫たちも何匹、何世代も飼い続けました。
犬も猫も、そして人間たちも今よりもずうっと自由だった時代が懐かしく思い出されます。