味噌煮(その1)
何時頃から味噌を家庭で作る習慣が絶えたのだったか。
昭和30年代の半ばまでは我が家でも味噌を作り続けていたような記憶が有る。
味噌を煮るのは、春、雪が消えそれでも屋根から下ろした雪が日陰には残っているような季節だったようだ。
村には共用品の味噌煮セットが有り、共同作業所の土間の奥まった納戸に仕舞われていた。
50軒余りの家々がどんな風に日が重ならないように使ったのだろうか。
きっと専門の帳面か何かが有り、早めに予約の書き込みでもしていたのだろう。
その味噌作りセットは、大きな釜戸と、大釜、そして味噌を潰す機械で構成されていた。
そのセットをリヤカーに乗せて自宅まで運んでくる。
庭先にセットを下ろし、大釜に前日の内に洗って準備していた自家産の大豆を入れ、釜戸に掛けて火を入れる。
(続く)