味噌煮(その3終わり)
もう少し前の囲炉裏が何処の家にも有った時は、縄で縛った味噌玉をずらりとその上にぶら下げて乾燥していた。
煙で燻された味噌玉は薫煙の香りも微妙に味噌の味に反映されたのだろう。
乾燥具合を見て、外された味噌玉は大臼に入れられ、
塩、麹と合わせてお月さまのウサギが使うような両杵で搗いて潰され、出来上がると大きな味噌樽に移される。
何回かこの作業を繰り返し、味噌樽は新しい味噌で満たされる。
これをある程度の長期間寝せて、材料がそれぞれ慣れ合って来ると味噌の完成となる。
裕福で、樽の収納場所や、樽が幾つも有る家は味噌樽を並べ、何年味噌などと呼んで、
風味の違いさえ楽しんだようだ。
味噌豆を木綿針に付けた木綿糸で縫って数珠のように繋ぎ、
ぶら下げて半乾燥の物をおやつとしてその味を楽しんだ事も思い出される。
(終わり)