畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

小雪考から大雪考(その1)

2021-01-15 04:21:28 | 暮らし

   小雪考(昨年書きそして新聞掲載されたもの)

 雪が無いと商売にならないスキー場や、除雪作業に当たる人たちの苦渋、苦労も想像に難くない。そして、直接除雪に当たらなくても、除雪用品や暖房器具、衣料品の販売にも少なからぬ影響がみられているようだ。

 しかし、一般家庭では雪が少ないのは有難いこと。これ幸いとばかりに家の中の片付けに精を出すことになる。

 特に溜まりに溜まった本や雑誌の類に手を付け始めて骨を折ることになった。要不要の判断も難しく、なかなかエイヤーっとばかりには片付けられない。その古い書物の中で18年前に亡くなった父が残した堀之内老人会の会報誌「年輪」に目を奪われてしまった。先人の知恵や経験談が宝の山のように埋もれていたのだ。

 雪に関する文章も多いのだが、小雪に関しての興味深いものもあった。一つは昭和七年が経験したことのない小雪で三月に野球大会が出来たというもの。偶然と言おうかその前年、昭和六年に上越線の清水トンネルが開通していて、人々は三国山脈に穴を掘った事がその小雪の原因ではないかとさえ噂をしていたとか。

 その年は経験したことの無い小雪であり、夏の農作物への影響が心配されたが、その心配が杞憂が終わる豊作となり、米価が下がり豊作貧乏状態になったとも書かれている。

 ところが翌年の昭和八年は前年の分を取り返すかと思われるほどの大雪。大量に降った雪は五月末まで消え残ったという驚くべき内容。

この大雪、豪雪の話になるが、一説によると豪雪は18年周期で来ると言われている。昭和2年が豪雪で次は、後に「負け雪」とさえ言われたという昭和20年の豪雪で、「38豪雪は」ちょうどその18年後となる。そして、その18年後が私たちにも印象の深いあの「56豪雪」と続く。

これで行くと平成11年、平成29年となるはずだが、その後は温暖化の影響か、雪ではなくて雨になったりで記録的な大雪にはなっていない。

 でも、あの中越地震の翌年の平成15年も雪が多くて、地震の後には大雪になるものだという話さえ聞いたものだった。

 天候は一口では語られない微妙なもののようだ。地球全体が温暖化の方向に向かってはいても、暖冬小雪が続くとばかりは言えない気候変動のように思える。大雪も小雪も明治生まれの物理学者、防災学者の故寺田寅彦氏の「天災は忘れた頃にやってくる」なのかも知れない。

    (昨年の異例とも言える暖冬小雪に書きました。再掲になります。)

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