畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

友よ母上よ

2012-07-20 04:48:50 | 暮らし

 今は座る主が居ずに寂しそうな裏庭のテーブルセット。
ここは、同級生の家の裏庭で、裏庭に続く野菜畑が見えるところ。

 同級生とは昨年末から五十年ぶりに付き合いが復活した。
長男では有るけれど、仕事の関係から東北へ移り住み、四十年近く経つ。

 ところが、二人暮らしの御両親がお二人とも九十歳を越えられ、特に父上が体調を崩したと言うことで、
嫁に出た妹さんたちと交代で、ご両親の面倒をみるために、たびたび帰省することとなった。
久しぶりの再会に、「あの時は、スベルべともう一人の男の子と、そして一人の女の子と三人で、
共同作業所の二階で送別会をしてくれたっけ」なんて言われたが、とんと思い出せない。

 年明け早々に父上はご逝去。今度は母上だけの一人暮らしになってしまった。
そのため、友が十日ごとに東北の家から通ってきて、実家で十日、自宅で十日の暮らしを繰り返すこととなった。
東北の実家に帰る際は、近くの養護老人ホームに母上を託して帰るのです。

 先回の帰省時に、二人で近くの居酒屋で痛飲した。
「もう帰るぞ」と言うスベルべに友は「バーさんの顔を見て帰ってよ」と引きとめる。
「分かった、少しだけだぞ、酒はもう本当に要らないからな」と言ってお邪魔することに。

 聞くと妻の母、義母と同じく九十歳を二つ越えておられると言うが矍鑠としている。
痛飲し、酔ったスベルべは何を話したかは忘れたが、随分軽口、冗談を披露したようだった。
母上は、身体をゆすってお笑いになり「あーあ、久しぶりに腹の底から笑えた」と言われる。

 友も喜び、「またバーさんを喜ばせに立ち寄ってくれよな」と言葉を交わし帰宅した。
そして、今は彼が不在の十日間になっている。


 今回帰宅する際に相談を受けた「頼みが有るんだ、家の野菜の収穫をしてくれよ」と言う。
裏の畑には一通りの野菜が植えられているから、毎日収穫しないと大変なことになるのです。


 若くして、養豚業に就農し、その後大手養豚業者と有名なハム会社の合弁事業に誘われた彼は、
定年後はEM菌関連の商品を扱う仕事の東北地域での責任者になっていたようだ。


 その仕事の関係も有り、彼の畑も徹底した無農薬主義。
変なところで二人とも、同じような農業を目指していたのだった。

 明日帰省する予定になっているけれど、今日も野菜の収穫は休むわけにもいかない。
これから、梅雨明けで乾いている山の畑に散水に行き、帰りには彼の畑に立ち寄って来よう。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山を見ると思い出す「巻機山」

2012-07-19 05:16:02 | 登山

 霞みがかったような雲の多い日、山並みの彼方に「巻機山」が見える。
私の所属する山の会のホームグランドのような山で、私も十回を越える登山経験が有る。
新潟県独特とも思える、老齢期の山で、険しい沢筋からは想像できないようななだらかな山頂が特徴。


 その昔、十月十日は「町民登山」と称して、山の会以外の登山者を募集して集団登山をした。
今は、遭難者が続出する事が理由で入山禁止になった「米子沢(こめござわ)」もこうして登った。
危険な場所はザイルで誘導したとは言え、初心者を連れてよくぞ無事故で登れたものだったと思う。


 本格的にロッククライミングには取り組まずに私の登山は終わったが、
この沢は、フリークライミングとしては最高のフィールドだったと今も信じている。


 巻機山の特徴である、なだらかな山頂付近を望む二人。
左が私で、右は長身でバスケット部のポイントゲッターだった同級生。

 おや、誰かの気取った地下足袋スタイルの右足が片隅に入っているぞ。
こんな沢登りスタイルは、きっと、その後八海山で遭難転落死した友達に違いないぞ。 


 そんな、一見穏やかだけれども遭難も多い「巻機山」に家族と犬を連れて登ったのだから、
私も乱暴と言うか、無謀と言うか怖いもの知らずだったなー。

 顔がはっきりと見える写真ばかりで、登ったコース「ぬくび沢コース」の険しいコースは紹介しない。
でも、私たち家族が登った翌日には、東京からの登山者が同じコースで転落死亡。
ニュースでそのことを知り、わが身と重ね合わせ寒気を覚えたことも思い出す。

 当時飼っていた、犬のチロは今のマックスとは一味違う優しい性格の犬だった。
必死に岩場を登っていたが、ふと気付くと雪渓の雪の上にチロの足から滲む血の跡を見つけた。
岩場を登るうちに、足の爪が減り、つま先が剥き出しになってしまっていたのだった。

 私は荷物を家族に分散して背負ってもらい、チロを肩に担いで岩場を登った。
ようやく頂上部のなだらかな稜線に取り着くと、それまでしょんぼりと尾を垂らしていたチロが、
涼しい風と、風景に再び元気を取り戻し、尻尾をピンと上げ、元気よく歩き始めたのだった。

 尾根道の桜坂コースを下り、駐車場が見えるところまで来ると、チロはダッシュして車まで行った。
バンの後ろのドアを開けると、いち早く飛び乗りやっと安心した。と、言うような表情を見せたっけ。

 危険であろうが、家族でそれを共有する、力を合わせてそれを乗り切る。
そんなことも学ぶことが出来たと思っているのは、危険な体験を家族にさせ、得々としていた、
馬鹿な自己満足に浸る、父親だけだったのだろうか。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャガイモ掘りを本格的に開始

2012-07-18 04:37:36 | 

 朝刊で昨日の高校野球夏の甲子園予選を読み、再び沸き起こる興奮の余韻に浸る。
そして、その余韻も冷めやらぬうちから畑仕事開始。二日も手を抜く余裕など有りません。

 もっとも、一昨日も帰宅後、畑に「スズデリ」のマスターをお迎えして、
一緒に収穫などしていましたから、野球見物を入れただけで完全休養日でなどでは有りませんでしたが。

 さて、関東甲信までの梅雨明け宣言が有り、こちらももう宣言を待つのみの天候。
スベルべママと相談し、曇り気味の天候を幸いとばかりにジャガイモ掘りに本格的に着手。
これは真っ赤な「ノーザンルビー」で、隣は一端が見えるがスベルべママ秘密のスイカ畑。


 種イモのカットの仕方の違いか、畑のわずかな条件の違いか、株ごとの収穫に差が有る。
でも、この中までピンク色の「ノーザンルビー」はこんなに大きな物も有り、
一畝で、コンテナ一杯、そう20キロほどの収穫が出来ました。


 これは今年、品切れだった「インカの目覚め」の代替え品、期待の「インカの祈り」、
又の名をロマンチックな「インカルージュ」と言う品種。そこそこの収穫量です。


 これも今年初めて種イモを入手できた「インカのひとみ」です。
まだら模様は、評価の分かれるところでも有ろうが、シェフに味の評判は良いですよ。


 相変わらずまっ黒け、濃い紫色の「シャドウクイーン」です。
畑のグルメ犬マックスも、色彩の細別なんて分からないと思うんだけれど口を付けませんねー(笑)。


 これは先日もアップした一コマだけれども、今年のマックスはジャガイモ掘りにもう一つ乗らない。
畑に到着すると、食べたくてジャガイモの畝に走っていくのだけれど、自分では掘らない。
加齢により、労働意欲が薄れてきたのか知れませんね(笑)。 


 ところが畝の間に入り込み、一心不乱に掘り始めた。
「マックス!そこはまだだよー!」なんて声を掛けると、驚いたように顔を上げたが、
ご覧の通り、鼻の頭まで畑の土が付きまっ黒け。

 でも、芋掘りの手伝いでは無くて、あまりの暑さに涼を求め冷たい土を求めての仕業。
30度を越える夏日でも、畑に着いてくるだけでも健気では有りませんか(大笑)。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

駿くんの夏が終わった

2012-07-17 04:56:13 | 日記

 昨日は三連休の最終日だったけれども「農天市場」はお休み。
ゆっくりと、畑仕事と思ったけれど、何気なく妻に「小出高校の試合は今日だなー」と言うと、
「トーちゃん、今日は休養日にして、応援に行かない」と言う。

 ゆっくりと朝のドラマを見終わってからの話だから8時20分頃のことです。
それから、急いで仕事着を着替えて支度をし、越後川口インターから高速を使い、
九時開始の試合を三条機械スタジアムの有る、三条へと車を飛ばした。


 「急がないと小出がコールド勝ちでゲームが終わってしまうかも知れないぞ」
なんて言いながら球場に入ると、三回までが終わっていて、なんと小出は劣勢に立たされている。
それでも、五回の裏はスリーベースで上げた一点と、その走者がパスボールで帰り一点差に。


 これで、次の回をきっちりと押さえたらなんとかなるぞと思ったのだが・・・。
スベルべママの友人の息子で、エースで四番の「駿」君の調子が上がらない。


 今朝の新聞を見ても「外角投手は直球にこだわった」と論評が有り、
本人も「調子は悪くなかったけれどもストレートが高めに浮いてしまった」と話したと書いてある。
調子が悪くなかったというのは、エースの意地で素人の私から見てもなんだかコンディションが悪いように見えた。


 対する、糸魚川のエースは二年生の左腕ながら、内角、外角に変化球を交えて投げ分け、
小出高校打線も戸惑って、早いカウントから打って出て、凡打になるケースが多い。


 これは両投手共に同じ条件だけれども、アンパイアが内外を広くストライクゾーンにしていたことも有る。
どちらかと言うと、技巧派で左右のストライクゾーン一杯に投げ分ける左腕に味方したようだ。


 「駿」くんは打席でも、その四番の本領を発揮できない。


 その後七回にも一点を加えられ、駿君はマウンドを背番号10に譲る事に。
そして、いよいよ二点差のまま球界の裏を迎え、私たちは手に汗を握り反撃に期待した。


 打順も上位打線で期待したのだったが、二番、三番と倒れ、ライトの守備に付いた四番の駿君に打席が回る。
すると、なんと四番のメンツもかなぐり捨てたかのような意表を突くセーフティーバント。


 ファーストにヘッドスライディングを見せた四番の駿君はユニフォームの胸を泥だらけにして生きた。


 そして、キャッチャーのパスボールで二塁にまで進塁し反撃なるかと期待したのだったが。 


 そして、次の五番打者も四球で塁に出て反撃に益々期待を持たせる。 
ピンチにマウンドに集まる糸魚川ナイン。


 そして、踏ん張る左腕エースに期待の六番も内野ゴロに打ち取られゲームセット。
二点差で負けてしまい、小出の夏、「駿」くんの夏は終わってしまった。

 四番のメンツもかなぐり捨てて、出塁を試みた「駿」君の気持ちは痛いように分かった。
エースである自分の投球で、負けてしまうと言う、切なさ、責任感が私たちにも伝わってきた。

 でも、いくら頑張ってもそれに対して、結果が伴わない事も人生には有るのだよ「駿」くん。
敗戦はショックで切ない事だろうけれど、どうか、この貴重な体験を人生に活かしてもらいたい。
私たちは応援席に居たであろうご両親に会わず、そっと球場を後にした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お弁当

2012-07-16 05:19:00 | 食べ物

 昨日の昼食は弁当でした。
「農天市場」は開店二日目だと言うのに、スベルべトーちゃんは午後から共同作業で農道や、
水路周りの草刈り作業に従事しなければならない。

 そこで、午前中には出来うる限りの開店準備をして、後事はスベルべママに託す。
一人での開店準備中にスベルべママが農天市場に顔を出し「私は家には帰らないでここでご飯も食べる」と言う。

 そして、スベルべの昼食は「お弁当をテーブルに出して置いたからね」と言う。
帰宅して食堂に上がると、なるほど弁当と、みそ汁まで準備されている。
ふむふむと半ば感心しつつ、そして、農天市場を見ながら一人で昼食。

 夫婦は貧乏性と言うか、主義と言うか、安易に食べ物は買っては食べない。
そして、「食こそ生の原点なり」と言う考えが共通の二人の認識だから、食をおろそかにすることは無い。

 この弁当もほら、結構バランスの良い組み合わせでは有りませんか。
左上の白い大きなものは、ラップに包まれた大きな日の丸お握り、梅干入りですよ。
その上の焼き海苔に包んで、お握りを完成させて食べます。

 やはり、我が家の野菜が主体だけれども、豚肉やた茹で卵も配され、バランスが考えられている。
みそ汁の具も我が家のキャベツが主体の具ですよ。

 ご飯を食べながら、「農天市場」を見ていると、次々とお客さんの自動車が入ってきます。
営業開始二日目だけれど、杞憂していた大規模スーパーの開店もなんのその、大健闘の農天市場です。
安心して、さて、草刈りの準備をしようかと思っているとスベルべママから携帯に着信。
「トーちゃん!すぐ来てートーちゃんのファンだと言う方がいらっしゃっているよー!」

 駆け付けると川越ナンバーの乗用車が駐車していて、ご夫婦が笑顔でスベルべを迎えて下さった。
「はじめましてー、ガッカリしませんでしたか、こんなオジーさんで」と、帽子を脱いでご挨拶。
本当のところは分からないけれど「ブログにご本人は出ていらっしゃらないですからねー」とおっしゃる。

 うふふ、ロマンチックなブログに似合わない人物の登場に戸惑われたのかな(笑)。
共同作業の集合時間が迫り、しかも、長岡からの嬉しい常連さんの来店も重なり、挨拶もそこそこに去らざるを得なかった。

 昔、誰かさんの随筆を見て笑ったことが有ったけれども、有名作家のその息子の同級生が、
「お父さんに会わせて欲しい」と、その家を訪ねると、件の大作家は折りから、畑で農作業中。
肥桶を担いでいたばかりでは無くて野太いおならを「ぶー」とかまして、
大作家に憧れていた少年は、がっかりし、すっかり落ち込んでしまった。なんてのが有ったなー(笑)。

 ま、事情に多少の違いは有るかも知れないけれど、スベルべの存在もそんなものでしょう。
みなさん、初対面の際にはショックを受けないように、心の準備をしていて下さいね(大笑)。
変な禿げ頭のさえない初老の人物ですからね、実像は(笑)。

 草刈りの最中にも、道すがら立ち寄りましたがその際も友達が家族でお出でになっていました。
二日間の営業中に、懐かしい常連さんはほとんど顔をお見せ下さいましたから、嬉しく、そして有難いことでした。
梅雨空も今朝は晴れ上がり、さわやかな朝を迎えています。
三連休の最終日だけれども、今日の農天市場は休みとします。

 美味しくて安全な野菜を供給するための畑仕事も待っていますから。
おっと、そう言えば作業後の懇親会の最中に「越後の台所 すずきち」さんのマスターからも電話が有ったっけ。
「もう、スズデリの野菜が足りなくて、足りなくてー」なんて嬉しい悲鳴を聞かせて下さいましたよ。
午後、いらっしゃると言うから、二人とも、いやスベルべママも一緒に、
心の休養、エネルギー補充として山の畑にご一緒しましょう。
本当の休日なんて雪が降る年末まで、取れない多忙な日々のスベルべ夫婦です。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする