妙にさばけた医者登場 その正体は!?「美男の医者」
甘やかされて育った娘が辿る道筋・・・「恋娘」
助けて―この言葉に謎が隠されていた「絵馬の文字」
家を出て久しい父親を捜しに来た兄妹 しかし父親は・・・「水戸の梅」
その医者の妻は死ぬ 犯人は夫だろうか「持参嫁」
女と家を出ていた跡継ぎ息子が帰ってきたが 女の幽霊が出るという はたして?「幽霊亭の女」
京から父を訪ねてきた娘 ごたごた続きの果てに 人が殺された「藤屋の火事」
兄に頼まれ訪ねた相手は顔に火傷はあるものの美貌の未亡人であった そして東吾は―「白萩屋敷の月」
「御宿かわせみ読本」には この「白萩屋敷の月」を 光源氏と六条の御息所(みやすどころ)に例えた話として解説している
東吾の兄の初恋相手の女性 香月 彼女も嫁ぐ時 七歳下の少年を思っていた 何故 美貌でありながら父親ほども年上の男の妻となったか
さすれば夫は早く死に 未亡人に自由の身になれるかと―女の浅知恵で思ったのだとか
そして死期迫ったこの女性は 想う男の弟である東吾相手に ひと晩中 その腕の中で狂うのだ
るいがいながら東吾は 年の離れた兄よりも年上の おそらく母親ほどの年齢の女性を その情念にひきずられたとはいえ抱くのだ
この話は「御宿かわせみ」ファンには人気高くて評価も高いらしい
作者も書くべくして書いた話なのだと述べている
とすれば 私は「御宿かわせみ」ファンには なれない
自分が二十歳の頃を振り返っても 相手が幾ら美少年でも 13、4歳は そういう{抱かれたい}なぞとまで執着する欲望の対象とは なりえない
残念ながら 美しいとも 感動的とも思えなかった
ひっそりと そんな想いもあった―濡れ場なしに ― ただ暗示して終わったものであれば
ゆかしさぐらいは 感じられたが
この先 東吾は また別の女性との間に るいには内緒で 子供もできる
その子を東吾の兄夫婦が養子としてくれたことで るいと正式な夫婦となる事もできる強引な展開をみせるが
東吾のそういう部分は 本当にるいをいとしく思っているというなら るいに愛されてるそのじぶん
甘え驕り 背信
シリーズ物のヒーローとして見た時
好きになれない男である
事情があるとはいえ 何年間も この時代 手をつけた相手のところへ通った時だけ亭主きどり
私などは「いい加減になさいませ!」と 思ってしまうのだ