「権平五千石」豊臣秀吉の下 加藤清正らと並ぶ位置にありながら 一人出遅れた権平
だが 徳川の世 取り潰しになる藩が多く出た中 彼の子孫は無事に明治の世を迎えた
「豪傑と小壺」馬も担ぐほど怪力の持ち主
期待されながら合戦で手柄が立てられず 失意のうちに死んだ男
「狐斬り」深尾角馬 別名 牡丹の角馬と呼ばれた男の不器用にして意固地な生き様
宇江佐真理に同じ人物を題材にした「深尾くれない」という作品がある
「忍者四貫目の死」織田信長を狙う忍びがいるという
その忍びを切れ―と信長に命じられた者は いいように翻弄され逆に殺された
刺客の忍びが逃げのびた と 思った瞬間 彼を斬り捨てたのは―
結末の意外性が ちょっと嬉しい作品です
「みょうが斎の武術」大坂を舞台に犬猫の動きを真似ることをも武術の修行とした男を いささかユーモラスに描いた作品
「庄兵衛稲荷」何故か安産の神様と祠をたてられた男の話
やっと男の好き心がかなうかという終盤 落語のようなやりとりがある
「侍はこわい」のどかな新婚模様から 妻の悋気 夫の不審な行動
謎がとけ どんと時代は移り
しかし作品タイトルに反するけれど 生活の平安守る為 手をうった女房殿 その身内のほうが―「こわい」かもしれない
「ただいま十六歳」近藤勇の青き日々
その少年時代
それをさらりと描いている
だったかもしれぬ
また でなかったかもしれぬ
そんな世界である
三好徹氏の司馬氏への思い出 思いが綴られた解説も興味深いです
ああ そんなことがあったのか
そうであったのか
そうなのかと