石原裕次郎の為に 彼の映画の為に 司馬遼太郎氏が書いた話なのだと 松前洋一氏の解説にある
最初は痛快な部分もないではない物語は最後 非情になる
一人で一城を取ろうとした男の顛末
はなから成る話ではない
されど―と試みた男が見たものは 何であったのか
行く手にある数多の死を思ったか
痛快時代小説―とある
「痛快」だろうか この物語は
されど徒労であったさ
生き延びた藤左が 何処かで そう呟いてこそ 痛快な物語となりはしなかったかとも思う
されど そこまでの絵空事には したくなかったのだろう