男には夢があった
新しい世界 それを担う二人の若者
国は 理想的に変わって行くはずだった
その構想は彼の中にはあったのだ
けれど両輪の一人 坂本竜馬は暗殺されてしまった
竜馬が生きていては来たるべき世界で権力を持てない
そう判断した野心溢れる男が動いたのだ
そうして両輪の今一人 小松帯刀は病床にあり
新選組は 時代の流れに切り捨てられた
彼らへ遺恨持つ野心家のあの男の為に―
江戸も随分遠くなった明治の中で勝海舟はため息を吐く
物事は願ったようには 思ったようには動いてくれぬ
駒がどんどん盗られる(殺される) 欠ける(死ぬ)なかで 頑張ってはみたけどよ
仕方ないねぇ
まっすぐな人間は いつの世も生きにくいか
先に死んだ者達の面影を数える
短気 癇症 身勝手 我儘
悪口は星の数ほども書かれた勝海舟ではあるが
彼は坂本竜馬他の優れた若者達が「師」と仰いだ人物だ
百年先を見据えていたという
坂本竜馬 小松帯刀が死に 西郷隆盛が無駄な戦争に追い込まれた先の 日本の姿 陥る未来が見えていたのかもしれない