「おお~~~っ ハッピーエンドやがな めでたいなぁ
これは酒盛りやわ」 とセンセンちゃんの声が響いた
涙声になっている
まりいは怒った
「もう!せっかくいいとこなのに ちょっとは遠慮しなさいよ」
「遠慮なんかな~ そんなもんしてみぃ してたらなぁ」
「してたらなんなんだ センセンちゃん?」と尋ねたら センセンちゃんは笑顔で言った
「酒盛りのチャンス逃すやないかいな」
「こ・・・こいつ! いっぺん殺す」と低い声で唸るまりい
「ま いいじゃないか 仏像に祝って貰えるカップルなんて そうそういないぞ」
「ツマコは優しすぎるのよ」
が まりいも酒盛りは大好きだったので すぐさま大騒ぎになった
センセンちゃんはミロちゃん ナナちゃん センちゃんも呼びに行き
俺は不安な食糧と酒を仕入れに商店街へ走った
「ほうかほうか よかったな~ ねぇちゃん 幸せになるんやで」
「ええ男つかまえたなぁ」
「あ そうだわ ツマコ お願いがあるの これサインしてくれない?」
まりいが引き出しから紙を取り出してきた
それは婚姻届だった
「思い立ったが吉日って言うじゃない」と まりいがにっこりする
ペンを持ってサインしながら 何だろう この手回しの良さはと何か寒気を覚える
書き終えると まりいは ひったくるように紙を引き出しにしまい「遂にやったわ これで一生飼い殺し♪」と小さくガッツポーズをとった
唖然とする俺に 「あらあら やあ~ね 言葉のあやよ」と 両頬に人差し指を当てぶりっ子ポーズを取る
もしかして俺はなんかはやまったのだろうか
そんな不安を残しつつ楽しく酒盛りは進み
ーにいちゃん ほんまよかったなぁ 二人でいられる幸せを忘れるんやないでー
ーまた遊びに来たるさかいになぁー
ーいつだって見守ってるわよ わたし達はー
ーええな 人の世で一番大事なんは愛なんやでー
そんな言葉をそれぞれに残し 部屋は静かになり
不思議な仏像達はいなくなった
まりいと俺はしばらく旅行をした
まりいの好きなマリー・アントワネットのいたベルサイユ宮殿 セーヌ河を眺め
イタリアでは「ローマの休日」を真似し広場でアイスクリームを食べた
バッキンガム宮殿前では昔のキットカットのコマーシャルを真似したり
そうして帰国した俺とまりいは K大学とR甲駅近くの潰れた旅館に手を入れて学生下宿を始めた
旅館だったので個室にはバス・トイレ完備
食事は希望者には食堂で食べて貰う
つましく そこそこ張り合いある生活を まりいに怒られながら送っている
「じいさんになっても好きよ ツマコ」
こう まりいが言うから 俺は何があっても彼女についていこうと思うんだ
(しめが甘い気もしますが これで終わりです 有難うございました)