霧の中を運転し続けている
一刻も早く着かなければいけない場所があるのに
この濃い霧は 晴れてくれない 消えてくれない
間に合わなければ 俺はー 俺は!
ずっと灰色の世界だ
この道であっているのだろうか
もしや道を間違えたのだろうか
よく知っている場所のはずなのに 慣れた道であるはずなのに
そうだ 確かにこの道だ
信号はどうしただろう
信号があったはずなのに
ああ 景色が見えてきた
美容院は 潰れたのか
パン屋も無くなっている
なんでこう何処も廃屋のようなのだろう
あの用水路の切れ目から曲がるのだ
田んぼの間の道へと
突き当りを曲がればいい 曲がれば
しかし その手前の家が気になった
ここは こんなぼろい家では無かったはず いつから空き家になったのか
突き当りの家も・・・様子がおかしい
二階が崩れている
そういえば ここの二階はー ああ悪寒がする
なぜ こうもここの この家の二階が気になるのか
何か・・・いる! 誰だ 何だ あれは!
白っぽい ほとんど白い 顔も着ているものも 皆白い
窓に両手をついて 何かを言おうとしているのか
生きた者でないことは すぐにわかった
妙に気になる
だが 恐ろしくもある
その家の前を通り過ぎようとした
だが 突き当りの家も・・・様子がおかしい
気にせず 右へ曲がればいい
そうすれば いいんだ
曲がりかけて 車をバックさせて 引き返してしまった
あの白いモノを助けなければいけない気がする
出してやらねばいけない気がする
他の誰でもない この俺がやらなくてはー
車を停める
壊れかけた玄関の扉を開けて 家の中へ
じきに二階へ上がる階段が見える
白いモノは 中途のところまで階段を下りてきている
こちらへ腕を伸ばしてくる
その顔 ああ君は 君は!
俺は思い出した 俺がこの手で殺したのだ
殺しておいて逃げ出した
捨てたまま
その白いモノは言うー聞きたいことは一つだけ どうしてあたしを殺したの あたしを殺さないとと どうしてあなたは思ったのー
殺さなければ 俺というものが壊れると思った 俺は駄目になると
違ったのに
殺したあとで気が付いたんだ
ただ一人 自分を愛してくれた大切な女を殺してしまったことに
何があっても守らなくてはいけない女であったのに
もしかしたら死んでないかもしれない 早く戻れば息を吹き返してくれるかもしれないとー
急いで戻ろうとしたんだ
そう 戻ろうと
戻りたかった
なのに こんなに遅くなってしまった だから だから君はー
ーきっと戻ってきてくれると信じていたわ ごめんなさい あたしのせいだったのねー
もう それは白いモノではなくなっていた
俺を愛してくれた姿に 生きていた時の姿に戻っている
ー有難う ずっとこの家を出られないでいたの 迎えに来てくれてありがとう これで出ていけるわー
それは 嬉しそうに彼女は微笑む
ーだけど この家 空き家にしたらいたんでしまう それは悲しいわ だから留守番していてくださるー
彼女は楽しそうに家を出ていく
俺はー出られない
思い出した 急いで戻ろうとした俺は 事故を起こしたのだ
そうして死んだ
死んでからも長いこと霧を抜け出せず やっとここにたどり着いたのだ
まあいい これも何かの罪滅ぼしだ
彼女は 俺の大事な人の魂は自由になったようだから
代わりにここに囚われていよう
さようなら恋人よ
一刻も早く着かなければいけない場所があるのに
この濃い霧は 晴れてくれない 消えてくれない
間に合わなければ 俺はー 俺は!
ずっと灰色の世界だ
この道であっているのだろうか
もしや道を間違えたのだろうか
よく知っている場所のはずなのに 慣れた道であるはずなのに
そうだ 確かにこの道だ
信号はどうしただろう
信号があったはずなのに
ああ 景色が見えてきた
美容院は 潰れたのか
パン屋も無くなっている
なんでこう何処も廃屋のようなのだろう
あの用水路の切れ目から曲がるのだ
田んぼの間の道へと
突き当りを曲がればいい 曲がれば
しかし その手前の家が気になった
ここは こんなぼろい家では無かったはず いつから空き家になったのか
突き当りの家も・・・様子がおかしい
二階が崩れている
そういえば ここの二階はー ああ悪寒がする
なぜ こうもここの この家の二階が気になるのか
何か・・・いる! 誰だ 何だ あれは!
白っぽい ほとんど白い 顔も着ているものも 皆白い
窓に両手をついて 何かを言おうとしているのか
生きた者でないことは すぐにわかった
妙に気になる
だが 恐ろしくもある
その家の前を通り過ぎようとした
だが 突き当りの家も・・・様子がおかしい
気にせず 右へ曲がればいい
そうすれば いいんだ
曲がりかけて 車をバックさせて 引き返してしまった
あの白いモノを助けなければいけない気がする
出してやらねばいけない気がする
他の誰でもない この俺がやらなくてはー
車を停める
壊れかけた玄関の扉を開けて 家の中へ
じきに二階へ上がる階段が見える
白いモノは 中途のところまで階段を下りてきている
こちらへ腕を伸ばしてくる
その顔 ああ君は 君は!
俺は思い出した 俺がこの手で殺したのだ
殺しておいて逃げ出した
捨てたまま
その白いモノは言うー聞きたいことは一つだけ どうしてあたしを殺したの あたしを殺さないとと どうしてあなたは思ったのー
殺さなければ 俺というものが壊れると思った 俺は駄目になると
違ったのに
殺したあとで気が付いたんだ
ただ一人 自分を愛してくれた大切な女を殺してしまったことに
何があっても守らなくてはいけない女であったのに
もしかしたら死んでないかもしれない 早く戻れば息を吹き返してくれるかもしれないとー
急いで戻ろうとしたんだ
そう 戻ろうと
戻りたかった
なのに こんなに遅くなってしまった だから だから君はー
ーきっと戻ってきてくれると信じていたわ ごめんなさい あたしのせいだったのねー
もう それは白いモノではなくなっていた
俺を愛してくれた姿に 生きていた時の姿に戻っている
ー有難う ずっとこの家を出られないでいたの 迎えに来てくれてありがとう これで出ていけるわー
それは 嬉しそうに彼女は微笑む
ーだけど この家 空き家にしたらいたんでしまう それは悲しいわ だから留守番していてくださるー
彼女は楽しそうに家を出ていく
俺はー出られない
思い出した 急いで戻ろうとした俺は 事故を起こしたのだ
そうして死んだ
死んでからも長いこと霧を抜け出せず やっとここにたどり着いたのだ
まあいい これも何かの罪滅ぼしだ
彼女は 俺の大事な人の魂は自由になったようだから
代わりにここに囚われていよう
さようなら恋人よ