夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「夢綺譚」より その1

2016-08-18 22:18:50 | 自作の小説
ーあげはの夢ー

「・・・だ」覚えているのはその声
泣いている小さなわたし 慰めるその声が最初の記憶

「大丈夫」

その声の主がずうっとわたしを守ってくれた
その声の主とずうっと一緒にいると安心だった

その声の主・・・雪丸

雪丸はわたしの親であり兄であり ただ一人の家族


雪丸も親が死んで一人で生きてて そうしてわたしを拾ったのだった
ただ泣いている小さな童を

やがて誰もいなくなった村を見つけて 雪丸とわたしはその村にあった家に住むことにした

見捨てられた田畑

それでも耕し手を入れると実りをくれた

雨を風を防いでくれる家の中で横になれる

わたしは幸せだった

雪丸は少し離れた所のお寺へと出来た少しの野菜やお米も届けるようになり お坊様は雪丸に字を教えてくれる

飢饉で 村の人々はいなくなったのだ
そう雪丸が教えてくれた


南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏

そう唱えるだけで良い
お坊様が教えてくれる

「お前達は感心じゃ しかし気を付けよ 世の中には悪い者がたんとおるゆえな」


雪丸が唇をかみしめる

昔 武士であったというお坊様は雪丸に戦い方の手ほどきもしてくれるようになった

「自分の身は自分で守らねばならぬ こういう世の中であるゆえに」

だがー逃げることは卑怯ではないぞーとも お坊様は言われるのだった

「あげは お前は美しい娘に育った この世はな美しい娘には生きにくくもある」


悪い者 悪い者達

食べる物を自分では作らぬ流れ者たち

とうとうそれらが流れてきた

「おお!美しい娘がおるぞ これは」

逃げても逃げても追いかけてくる汚らしい男達
追うのをやめてはくれない

雪丸が走ってきてくれた

「なんじゃ お前はこの女の亭主か 邪魔じゃ どけ」


「あげは逃げよ! お坊様のところへ」

雪丸が棒を構える
だけど男達が持っているのはギラギラした刀
男達の数は多い 多すぎる


雪丸はよく戦ったけれど
血まみれになって 斬り刻まれてー
倒れた

「雪丸 雪丸!」

どうして一人逃げられようか

雪丸に救われたこの命 育ててもらったわたしが
一人生きのびられようか
雪丸の血に染まった刀が落ちている

ならば ならば わたしも!

雪丸 あなたがいないこの世など わたしは生きていかれないー


雪丸の身体に重なるようにわたしの身体は落ちた

朱(あけ)に染まりながらー

雪丸の命を追うように その魂を追いかけるように
わたしはこの世に別れを告げた



雪丸 雪丸 

夢を見るわ「大丈夫だ」
そう言う声 その声の響きを捜すわ

あなたがいないこの世など わたしは生きていかれない

だから 


「珍客」

2016-08-18 21:24:07 | 自作の小説
車を運転していると時に妙なものに出くわす
気のせいと思い込むことにしている

ややこしいことには巻きこまれたくないし
そういう余分な体力も元気も無い

少し行くと上り坂の向こうに小さな川がある
その坂にかかったあたりで白っぽものがしゃがんでいるのを見た
丸い背中には緑の甲羅・・・・

ー気のせいだ ただの水やりの老女だ 夕方だし

見間違えたのだと信じることにした

ところがソレは多芸だった

≪つれなくしなさんな≫
声が聞こえたかと思うと後部座席に姿を現した

「水辺を離れたら頭の皿が乾いてまずいんじゃない?」

≪もうちょっと驚いてくれても≫
と それはしょ気た

案外 繊細らしい
「運転中は余計なことに注意を払わないことにしている」

≪水の匂いがする 懐かしい そう思った≫


「私の亡くなった父は河童の伝説がある地方の出身だった」

≪・・・・・≫


「家の近くには川が三本ほどあるけれど 海が近いから海水が混じる その皿は淡水でなくても大丈夫なのか」

≪・・・・・≫

河童は困っているようだった


「実体じゃないみたいだし 意識が実体化してるのか よその世界から飛んできたのかもしれないけど 
ヌートリアとかってネズミのでかいのみたいなも出るらしい
食われないよう気を付けるように」


≪あんまり平然とされて どうこたえればいいのか≫


「実体だったら困るけど 食べるものとか色々ね あ でもどっかの大学の研究室かテレビ局などに売ることができるな実体なら
それとも私の尻子玉を抜くのか? あんなものマズイ気がするがーほら そろそろ川だ 行くといい
頭の皿の水を乾かさないように気を付けて」


≪・・・≫

困った顔のまま 河童はぺこりと頭を下げて姿を消した
驚かしたかったのか 驚いてやったほうが親切だったろうか


盆の頃には色々なものが出るのだが 迷子の河童の幽霊に出会ったのは初めてだった
迷わず帰れるといいのだが



切ってから 気付く自分の うっかりに

2016-08-18 15:55:53 | 子供のこと身辺雑記
大体 神戸の従弟Sからの連絡はメールか夜の8時までに電話でってことが多い
昨夜はいつもよりかなり遅い時間にかけてきて 電話の声の調子がいつもよりかなり低かったので ドキリとしてしまった
ーえ もしや叔父さん倒れたの?!って

中々本題を言いださないしー余程言いにくい用件なのーって^^;

終わってみれば他愛ない事だったのだけど
いつもはもっと明るい声でかけてくるものだから

まあ盆休みだったからかもしれない

だけど 少し遅い時間の電話って あんまり心臓によくありません

主人からだと姑に何かあったのかしらと思うしね


電話が終わってから 前にスイカを貰ったお礼を言い忘れていたことに気付きました^^;
「有難う 美味しかった」って言えば良かった

そのうち相手が忘れた頃に言おうかな・笑