夢見るババアの雑談室

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宇佐美まこと著「入らずの森」 (祥伝社文庫)

2016-08-25 23:35:58 | 本と雑誌
入らずの森 (祥伝社文庫)
宇佐美 まこと
祥伝社


森の中 飢えた何かが目覚める

金髪の少女・杏奈は祖母に呼ばれて森を去る


金沢圭介は陸上選手だったが足を故障し夢を諦め教師となった
赴任した中学はしかし廃校となることが決まっている

早期退職で移住し農業に取り組む松岡 彼は職場での人間関係に疲れて田舎に来たのだがーここにも彼へ向けられる悪意はあり それは松岡の心をいつしか蝕んでいく

生徒たちと校歌について調べる圭介は 校歌ができた時の校長が人を殺したことを知る

校長に殺された人間は かつて家族を殺し破談となった相手を惨殺して山に逃げ込んだ犯人・大沢正を射殺した人間の血縁者

大沢は自分を殺した相手の子孫までも呪うと言って撃ち殺された

杏奈の家の天井から下を覗くと姿を現す少女ややこ

圭介や松岡をゾッとさせる何か


圭介は大叔母から聞いた土地にまつわる話を思い出す

惨殺された平家の落ち武者や女官たち

血に染まった石

失われた校歌の三番の歌詞


病室で何かを歌っているらしい女性

登場人物をつなぐ因果


森から出てくるモノを退けるもの


圭介と教え子たちは拉致された杏奈を救うことに成功する


もうソレが出てこないように圭介はある液体を森にまきにいく


しかしソレは 飢えている
飢えたソレは人を覆う


愛媛県生まれの作者が 四国を舞台に書き上げた物語


瀬戸大橋を渡って四国に入ると 四国の四つの県は山によってつながっている
そのように思えてきます

愛媛県と高知県の県境近くにあるとした山中の集落に起きる怪異

山には何がいても不思議ではないーそのようにも思えます