夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

越谷オサム著「まれびとパレード」 (角川書店)

2018-11-07 19:06:22 | 本と雑誌
まれびとパレード
越谷 オサム
KADOKAWA



まずは 本の帯にある言葉から

{ゾンビ、座敷わらし、泥田坊、邪鬼ー。
彼ら(まれびと)に出会ったら、
何だか少し、
変わるかも!?

『陽だまりの彼女』の越谷オサム最新作

人生を変えてくれたのは、人間ではない何かでしたー。}


{「先輩、死んじゃうの?」
元恋人に再会した私。
でも、彼はゾンビになっていてー。
「なに言ってるんだよ。 もう1年も前に死んでるって」


引きこもりの弟が恋したのは、座敷わらしだった?!



怪しい男の声がする。
通報を受けて倉庫跡地に行った市職員が出会ったのはー。



興福寺東金堂の四隅を護る四天王立像。
彼らに踏まれ続けている邪鬼たちの冒険譚。}




ー「まれびと」とは

まれびととは何か。神である。時を定めて来り臨む大神である。
(大空から)或は海のあなたから、
ある村に限って富とその他若干の幸福とを してくるものと、
その村の人々が信じてゐた神の事なのである。
此神は空想に止まらなかった。

ー折口信夫
『「とこよ」と「まれびと」とよりー


と あります


「Surfin` Of The Dead(邦題「サーフィン・ゾンビ」)

本の表紙にもある この御方




鯖が獲れなくなり めっぽうさびれたロメロヶ浜
両親の経営する店を手伝う私には 年下の夫がいる

学生時代には幼馴染からボーイフレンドくらいには昇格した先輩もいたが 些細なことから自然消滅
その先輩は一年前に台風だから良い波がくるーと波乗りに出かけー帰らぬ人となった


この浜には伝説がある 
かつて死んだ男が腐って戻ってきたと

昔話の男のように先輩も腐った体で戻ってきた
死んでいるのに会話できる存在

死んだ体で動けるのをいいことに 波乗りを続けていたらーすっかり上達したそうな

だけど腐った体は肉がこぼれる
落ちていく
鳥にだってつつかれる

死んでいるのに動ける体

先輩は浜が繁栄を取り戻すことと やっぱりある人の幸福を願ってこそのー選択をその身の上ゆえにしたのかもしれない
昔話の男のように・・・・・・





「弟のデート」
学校が大好きだった弟はある事からひきこもりになり不登校に

その弟の様子が少し前向きに変わってきた

奔放な母親は家族を捨てて家を出た
その母親に似て来るのが嫌だった主人公
異性との交際にも臆病になってしまう
自分が母親と似てしまっていたなら
母のようにはなりたくない

弟を変えたのは淡い恋
本人もそれと気づかぬ想い

その相手は人間ではなかったけれど

優しい座敷わらしは 現在も誰かを待っているのだろうか







「泥侍」
聞えて来る異様な声

仕方なく行った職員の青空だがー
異様な声の持ち主は なんと青空と同じ苗字

どうやらご先祖様らしい


ころころ楽しく転がるお話は 実に夢のある終わり方をします
妖怪に優しいー妖怪が暮らしやすい街へと いらっしゃいませんか




「ジャッキーズの夜ふかし」


踏まれ続けている邪鬼たちだって たまには自由に過ごしたい
夜の僅かな時間でいいから
踏まれていたら その体勢だってしんどいもん

邪とよこしまの字がついてはいても 実は心優しい邪鬼たち

そこには「愛」があるのでした





ツイッターで情報が流れて越谷オサム氏の新作が出たと知り 書店へ行きましたが置いてなくー
その場で注文してのお取り寄せ♪



本のカバー画が ぱっと印象に残る深みのある水色
よく見ればイラストは愛らしいのですが
最初 手に取った時に美しい本だなーそう思いました

ちょっと飾っていたいような本であるなと



税別にて1600円
四つのお話が入っておりますから 一話あたり400円

そう考えるなら♪ とってもお得かと