ー彼ー
賑やかな声に呼び止められた
「おお~~いい お~い 待ってくれ親友 待てと言うのに!深空野(みそらの)」
冗談じゃない アイツと親友になった覚えはないぞ
同じ学校にいるから名前くらいは知ってはいるが
何を勘違いしての親友扱いだ
僕は某研究室に属する 一応 身分は研究者
「ハァ ハァ やっと追いついた すぐ止まってくれてもええやんか ホンマ親友に対して薄情やなあ」と
その男・・・
上品(かみしな)寿(ひさし)は言った
理学部の研究室に残るくらいだから頭はいいのだろう 頭は
人間性は伴っていないようだが
「僕に何か用でも」と尋ねると
「用があるから捜してたんやないかいな ボクはそれほど暇やないで」
と随分な答えが返ってきた
「いやボクなあ 妙な親戚から遺産もうたねん それが格安物件でなあ 売りに出しても とうとう売れんかったいう曰く付き物件で
まあ不動産なんやけど
家賃無しで住めるんは有難いなあ 思たわけ
そしたらなあ なんとホンマに出たんや
どう思う?
まあ出るもんはしゃあない
何しろ タダやったし
そやけどタダより高いものはないーてホンマやなあ
ボク反省してん
寝てたら首しめにこられるんや
たまらんわあ
ボク ほら繊細やし
それで これはどないかせないかんと思てなあ
あちこち声かけて捜したねん
でも相手は怨霊
怨霊と話せるもんがなかなか見つからんて
困ってたんや
そしたら そしたら
あの 真夜(しんや)君の先輩はん
ほら眼鏡がぞくっとくるような えらい別嬪はんの
そうそう木面(きづら)衣都子(いとこ)はんからちらっと聞いたんやけど
あんた親友のボクに何隠してたんや
そんな偉い力を
真夜君 キミ ちょっと変わったことができるそうやないかいな
人に視(み)えんもんと話す力を持っているんやて
そこでや お願いや
ボクの家の同居人の怨霊はんの恨みを晴らしてやって成仏できるようにしてやってくれへんか
気持ち良うに出ていってほしいねん
ボク 自分の部屋でぐっすり眠りたいねん」
上品の話を聞くうちに段々頭痛がしてきた
どうして僕がそんなやばそうな怨霊さんとお話しないといけない
まかり間違えばとっ憑かれるかも とり殺されるかもしれないのにー
木面先輩も口は固いほうだと思っていたのに
以前 木面先輩が暮らす家のことでちょっと手伝った厄介ごとがあった
それはだけど いきがかり上のことだったし
「君が受け取った遺産には その怨霊さんも含まれているんだと思うけどね
なんとか仲良くやっていけばいいじゃないか」
「ンな薄情な 親友やないかいな
どうか助けておくれやす」
「そのいい加減な関西弁 止めたら?」
「これはなボクの個性や 捨てられるかいな」
振り切っても振り切っても 断っても断ってもー上品はしつこい 諦めない
とうとう根負けしてしまった
「家に行くくらいならー」
なんて言っちまったのが僕の運の尽き
賑やかな声に呼び止められた
「おお~~いい お~い 待ってくれ親友 待てと言うのに!深空野(みそらの)」
冗談じゃない アイツと親友になった覚えはないぞ
同じ学校にいるから名前くらいは知ってはいるが
何を勘違いしての親友扱いだ
僕は某研究室に属する 一応 身分は研究者
「ハァ ハァ やっと追いついた すぐ止まってくれてもええやんか ホンマ親友に対して薄情やなあ」と
その男・・・
上品(かみしな)寿(ひさし)は言った
理学部の研究室に残るくらいだから頭はいいのだろう 頭は
人間性は伴っていないようだが
「僕に何か用でも」と尋ねると
「用があるから捜してたんやないかいな ボクはそれほど暇やないで」
と随分な答えが返ってきた
「いやボクなあ 妙な親戚から遺産もうたねん それが格安物件でなあ 売りに出しても とうとう売れんかったいう曰く付き物件で
まあ不動産なんやけど
家賃無しで住めるんは有難いなあ 思たわけ
そしたらなあ なんとホンマに出たんや
どう思う?
まあ出るもんはしゃあない
何しろ タダやったし
そやけどタダより高いものはないーてホンマやなあ
ボク反省してん
寝てたら首しめにこられるんや
たまらんわあ
ボク ほら繊細やし
それで これはどないかせないかんと思てなあ
あちこち声かけて捜したねん
でも相手は怨霊
怨霊と話せるもんがなかなか見つからんて
困ってたんや
そしたら そしたら
あの 真夜(しんや)君の先輩はん
ほら眼鏡がぞくっとくるような えらい別嬪はんの
そうそう木面(きづら)衣都子(いとこ)はんからちらっと聞いたんやけど
あんた親友のボクに何隠してたんや
そんな偉い力を
真夜君 キミ ちょっと変わったことができるそうやないかいな
人に視(み)えんもんと話す力を持っているんやて
そこでや お願いや
ボクの家の同居人の怨霊はんの恨みを晴らしてやって成仏できるようにしてやってくれへんか
気持ち良うに出ていってほしいねん
ボク 自分の部屋でぐっすり眠りたいねん」
上品の話を聞くうちに段々頭痛がしてきた
どうして僕がそんなやばそうな怨霊さんとお話しないといけない
まかり間違えばとっ憑かれるかも とり殺されるかもしれないのにー
木面先輩も口は固いほうだと思っていたのに
以前 木面先輩が暮らす家のことでちょっと手伝った厄介ごとがあった
それはだけど いきがかり上のことだったし
「君が受け取った遺産には その怨霊さんも含まれているんだと思うけどね
なんとか仲良くやっていけばいいじゃないか」
「ンな薄情な 親友やないかいな
どうか助けておくれやす」
「そのいい加減な関西弁 止めたら?」
「これはなボクの個性や 捨てられるかいな」
振り切っても振り切っても 断っても断ってもー上品はしつこい 諦めない
とうとう根負けしてしまった
「家に行くくらいならー」
なんて言っちまったのが僕の運の尽き