夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「よたばなし」-1-

2018-11-23 20:04:19 | 自作の小説
-1-

あら いらっしゃいませ

ああ 先生ご紹介の 他人(ひと)の見た夢の話など聞いて集めている変わったーいえ奇特なご趣味の方でござんすね

ようこそ いらっしゃいませ

まあ でもこんな小さなお店でも お茶くらいは出せますからちょいとお待ち下さいませね

急に冷えてきて あったかいものが ようございましょ

ああ 薫りが良いですか

それは嬉しい

豆をね ひく前にちょっと煎っているんです
特別なお客さんには ネルの生地でね漉しますの


ふふふ 少し前に ちょっと気味悪い夢を見ちまったものだから 世間話のついでに先生に言ってしまってね

人に話すと験落としになるような気がしましてさ


あたし最近 寝る時には雨戸をきっちり閉めて寝ておりましてね
寝る部屋には二か所 窓があるんですけれど
雨戸を閉めていた方がぐっすり眠れる気がしましてさ

そのクセ 部屋の入り口の戸は開けたまま寝ているんです

廊下に明り取りの窓があるものだから
それで部屋は真っ暗でなくて 動くのにもそう困らないんです

目が覚めて トイレに行きましてね
トイレにも時計を置いているんですが まだ4時台で
もう少し寝ていようと布団に潜り込んだんでございます

ちょっと身体も冷えましてね

すると音もなく何かがお布団横に来てまして
黒い人の形して そう影が立体化したみたいなモノがね 
頭にかぶった布団をぱあっとめくりあげて ひどく冷たい風が吹き込んできました

あたし咄嗟に目を開けちゃ駄目だ そのモノを見ちゃ駄目だー
そう思ってただ目をつむったまま
布団に埋もれておりました

そのうち本当に眠ってしまったか

そのモノはいなくなりました
 

ええ 夢です
目を閉じているのに そのモノの形が見えるのがおかしいんですから


それで思い出したんです


あたし結婚する少し前にも それを見ているんですよ
やっぱし夢の中で

眠っているのに そのモノが階段を上がってくるのがわかって
その時のあたしは 真正面にそのモノを見ておりました

そのモノは部屋の入り口に立って あたしを見ておりました

ただ それだけでございます

覚えておりますのは

二度あることは三度ある

今度 そのモノに会ったら
あたしは どうなるんでしょうね


-2-

この町のことも知りたいんですか

ああ それも先生から

そうですねえ
あたしが子供の頃からしたら 随分と変わってしまいましたが

はい 生まれたのはこの町ではありません
昔の言葉でなら あたしは「よそ者」でございます

小学生くらいから暫く 大学に入るくらいまでは この町に住んでおりました

バス停が家の真ん前で とっても便利でしたよ
バスも終点まで20分でしたしね

家の前庭が道路を広くする時に取られたりしましてね
それで少し離れた場所に親が土地を買って家を建てました
それから結婚してー

両親が亡くなって 子供達も遠くの土地で暮らすようになってー

知り合いの不動産屋さんが あたしが暮らす家を売ってくれないか
このあたりの土地が欲しい人がいるーって持ちこんできましてね


でも あたしだって住むところが無くなると 売ったお金が入ったって困るじゃありませんか

それを言ったら
あたしが子供時分に暮らした近くにいい出物がありましてね

居抜きの いわゆる店舗付き住宅 それの丁度良いのが

で まあ損をしない程度でぼつぼつみいりがあればいいかなーなんて
おっかなびっくり始めた仕事でございます


すっかり町の景色も住む人も変わってしまいましたが 逆にそれがすっぱり気持ちいいのでございます

このあたりはごちゃごちゃしたところでありましたからね


ええ そうです 
遊郭だったー女郎を置いたその建物がまだ幾つか残っておりましたよ

こちらはまだ子供だし
そうしたことはね 随分あとになって知ったことでございます

女郎上がりの 今は使えなくなった言葉で言うなら売女だった人間がかなりね 暮らしておりました

あたしを可愛がってくれたおばあさんがおりましてね
そのまま遊郭だった建物に住んでおりました

あたしが知っているのは 殆どがそのおばあさんに聞いたことです


誰それのおかあさんが そのおばあさんの持つ遊郭で働いたんだと

人の奥さんにおさまっても 今でも客だった男と見境なく寝ているとかー

何処までが本当のことであったのか


角のうどん屋さんの あたしと同じ年の娘のおばあちゃんが やっぱり昔は女郎をしていて
うどん屋の息子をうまくたらしこんで後妻におさまった
そりゃあ やりての女郎であったとか

何の因果か その息子の嫁がまた女郎

女郎あがりが偉そうにしてからに
あれはとんでもない女やったんやとか

客をめぐって座敷が壊れるほどの大喧嘩をしたのだとかー

うどん屋のおばあちゃんは 子供には怖い人でした

今でも思い出せるのは


店にネズミが出るので ネズミ捕りを仕掛けているらしくって
ネズミが入ったネズミ捕りをね 店の前にある海に幾度も漬けるんです
大きなネズミが死ぬまで 幾度も幾度も

ええ あの辺りはねえ 
昔は小さな湾だったんです

今は埋め立てられておりますが

その小さな湾を囲むように遊郭が何軒かあって

湾には漁に出るさして大きくない舟がぎっしりありました

猥雑な漁師町であったそうな

道沿いには格子があって その隙間から女郎たちが並んで舟をおりる男達を手招きし誘う
酒の匂い
嬌声

抜けない磯と そう潮の香り
魚臭さ

野卑で下品で荒っぽく 好色で
そういう人間達が暮らしておりましたとか


それがお国の法が変わり 女たちは表向き おおっぴらに身を売れなくなった
肉体を売れる場所を失った

それで遊郭の主人たちは その女郎共が まあマトモに暮らしていけるように
そんな女でもいいと言う男達に世話したそうです


元女郎の女達は普通の身を売ったことがない家庭の女達にヒガミ心があってね
悪口とか嫌がらせなどするそうな

「性悪どもが!」などと遊郭の女主人だった人は言いました


別な遊廓跡は 間借り人を置いてました
多少家賃は安かったのでしょう

あたしは見たことがありませんが
心中があった部屋なんぞもあったとか

衝立か屏風とかに血のシミみたいなのが残っているそうです


もう住む人どころか廃墟のようになっている遊廓だった建物などは 夜になると鬼火が見られる

誰も居ないはずなのに 動く影があるとか

子供達は「お化け屋敷」などと呼んでおりました
入ったら祟られるとも

本当に何かが出る場所だったのでしょうか

全部 無くなってしまいました

そうしてみんな忘れられていくのでしょう
その方が良いような気がいたします

明るいごく普通の町になり


そうした遊廓跡にたむろしていたモノ達は何処へいったのでしょうねえ

全部 消えてしまったのかしらーなどとも思うのでありますが

作ったおかずから

2018-11-23 16:21:42 | 子供のこと身辺雑記




鯛を煮ただけ






水切りした豆腐を四等分に切り片栗粉をまぶして フライパンに油を少し入れて両面を焼く
鰹節でとったダシに醤油・酒・味醂で味付けし むき海老と豆腐を入れて少しだけ煮て 彩に葱を散らす





卵4個 小さく切ったはんぺん一枚 酒・味醂・砂糖をミキサーにかけて それを弱火でフライパンで焼く

焼き上がればラップを上に敷いたまきすで巻いて しばらく置いてから切る










皮をむいて切ったリンゴを電子レンジで5~8分加熱しただけ





柿をむいただけ

日替わりで姑に果物かお菓子など おやつとして届けています


ほかには茄子の白味噌煮と焼き餃子など