大山雄大は ついムキになって消防士になってしまった
でもー
「鎮火報」
「埋み火」
少しずつ成長していく雄大
そんな彼はいきつけの食堂で掏摸に財布を抜かれた男に財布を返してやる
財布を取り戻してもらった男は それを恩義に感じた
孤独な男はその親切に 雄大へ親しみを覚えたか
何故か仕事を邪魔された掏摸も大山に興味を抱く
孤独な男は あるモノを作っており
それがために火事も起こされ人も死んだ
孤独な男は 大山の言葉に胸をつかれ 今迄してきたことを止めようとする
そしてー
大山は友人達の力も借りて 不審な火事と自分に近づいてきた男との関連に気付く
そしてその男を守る為に 闘うことになる
大山の父に恩義を感じ 彼を見守る仁藤
シリーズに新たな人物も登場
今後関わってくるのか それとも一作きりの登場となるか
変化も気になります
以前 読んだ日明恩作品など
日明 恩 (たちもり めぐみ)著 「やがて、警官は微睡(ねむ)る」 双葉社
「それでも、警官は微笑(わら)う」 「そして、警官は奔(はし)る」などに続く 変わり者エリート潮崎と 武骨寡黙な大男の武本が困難な事件に遭遇するシリーズ
互いの共通点は正義感
非番の武本は見合いをしていた
全く柄にもなく
そして見合い相手の女性は僅か半時間で 切り上げようとしていた
見かけ いかつい 無口 話し下手
武本は見合い向きの人間ではなかった
父親を警官に持つ 磯谷はるかは 武本が悪い人間ではないことは分かった
だがー
この だがーが 女性にとっては問題なのだ
ホテルの異変に気付いた武本は はるかをホテルから出すが 忘れ物を取りに戻った彼女は人質の一人になってしまう
若いホテルマン西島は 武本に引きずられるようにトラブル起きた20階に行き 人間として試されることとなる
ある老人の思い出の品を手に入れる為に ホテルの従業員や非合法な利用客として潜り込んだ一味は
ホテル内部の人間達が携帯電話を使用出来ない仕掛けや 爆弾で人々が出られないように準備をしていた
赤毛で緑の瞳の双子の少年達は 手近な道具を武器にして簡単に人を殺すことを楽しく思う性質
殺人が得意な一味相手に単身立ち向かうざるを得ない武本
孤軍奮闘する人間が武本と知った潮崎は 彼らにだけ通じる表現で 事件について連絡しあう
上司にも部下からも疎まれ嫌われていた潮崎は 武本がかつて部下だったこと
事件解決に向けての動きとで 上司からも部下からも認められるという武本効果を得る
重傷を負いながら 人質の脱出に成功する武本
だが 武本が犯人の一人と疑っていた男は 武本が意識を失っている間に姿を消す
武本に救われた見合い相手の女性は 結婚に逃げずに人間として成長することを決心した
武本の闘う姿 警官としての使命感 姿勢に感銘を受けたのだ
著者は寡作な作家です
久しぶりの新作ですが 帯の「間の悪い刑事がひとりだけいた」
高層ホテルが武装グループに占拠されて
この設定が ブルース・ウィリス主演の「ダイ・ハード」を連想させ 最初は物語の流れに中々乗れませんでした
ストーリーや登場人物は異なりながら
物語も半ば過ぎあたりから 読む速度をあげることができました
のんきに潮崎が登場したあたりから
武本だけでも成立する小説かもしれない
だけど やっぱり潮崎に出てきて欲しかったのでした
このシリーズを読み続けてきた人間には
次作を読めるのは 何年後だろうかと いささか不安を覚えつつー
日明恩(たちもり めぐみ)著「ロード&ゴー」双葉社
著者には 刑事を主人公にするシリーズと 新米消防士の大山雄大を主人公とするシリーズがある
その大山の先輩にあたる生田が運転する救急車が病気を装った人間に乗っ取られた
救急車ジャックした男も家族が人質にとられており 彼はいつ爆発させられるかわからない爆弾を持たされているーと言う
かくして他の場所から指示する犯人の言うまま 生田は救急車を走らせるが
同乗している隊長が刺されたり ガス欠の危機には襲われ 取材攻勢をかけるマスコミには追いかけられ それを救急や消防の仲間から応援され助けられ切り抜けていく
最後には犯人側とも心通わせ
仕事に誇り持つ男達は 事件を見ていた人々の心にも影響を与える
生田は元ゾクであり その頃自分を逮捕しようと追いかけた警察官と結婚している
その妻が押しかけたマスコミ相手に実に凛々しく男前な言動をとる
二度三度 読み返し ああそうなんだと 過去の作品と 登場人物の名前を拾い 各人の動きや経歴も確認したくなります
日明恩(たちもり めぐみ)著 「埋み火」講談社
父は仕事中に死亡
なのに「馬鹿になれるか!」 と言われ ノセられ 「なってやらぁ!」とばっかりに消防士に なってしまった雄大の「鎮火報」に続く物語
今回は 老人の{うっかり}による失火死が続く事に気付き 関連性を見出だし・・・・ 孤独な少年に出会い
友人が勤務する工務店への 嫌がらせ放火犯人を捕まえることも手伝い―
非番の日も多忙です
そして親孝行も忘れない
頼りになる友人・・・だと思える男
いい奴 雄大クン
そんな彼の成長を見たいのですが 著者は寡作
つい幾度も読み返すことになります(笑)
「それでも、警官は微笑う」「そして、警官は奔走る」の刑事シリーズも違うタイプの青年が主人公で良いです
この夏くらいは 新作出ないかと 胴まで長くして待っているのですけれど
この作品は2005年夏に発刊されました
丁度前後してドラマにもなった漫画「め組の大悟」読んでいて
だからこの本読み返すと 次は漫画「め組の大悟」も読み返したくなるのでした
消防士様 ご苦労様
そう思いつつ
火の用心 気をつけましょう