路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説②】:長期収容で提訴 入管の強圧性が争点だ

2022-02-01 07:47:50 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説②】:長期収容で提訴 入管の強圧性が争点だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:長期収容で提訴 入管の強圧性が争点だ 

 司法審査もなく、長期収容されたのは国際人権規約に反するとして、外国人二人が国に計三千万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。日本の入管行政は国際基準から逸脱していると指摘される。司法判断に注目したい。
 
 原告は母国での迫害を逃れて来日したイラン国籍とトルコ国籍の男性二人。ともに難民申請が認められず、仮放免と再収容が十年以上、繰り返されてきた。トルコ国籍の男性には日本人の妻がいる。
 
 この訴えには経緯がある。二人は二〇一九年、日本も理事国を務める国連人権理事会の恣意(しい)的拘禁作業部会に「収容は人権侵害」と通報した。同作業部会は二〇年、再収容に必要性は認められず、収容期間の上限や収容判断に司法の関与がない日本の入管難民法は国際人権規約に反すると、政府に同法の見直しや二人への賠償を求める意見書を送付した。
 
 国際人権規約は世界人権宣言に基づく条約で、日本も批准している。意見書に法的な拘束力はないが、国際常識に照らした批判だ。
 
 だが、政府は昨年三月、作業部会に「(意見書は)事実誤認に基づく」と異議を申し立てた。具体的には入管の収容判断に不服がある者は行政訴訟を起こすことが可能で、司法審査や救済は保障されているなどと反論。提訴により、論戦が法廷に持ち込まれた形だ。
 
 警察や検察でも身体拘束するためには裁判所の令状が必要だが、入管は独自判断で拘束できる。その特殊性を意見書は問題視しているのであって、政府の反論は当を得ているとは言い難い。
 
 さらに昨年九月に入管の対応を違憲と断じた東京高裁判決は決定的だ。難民不認定に異議を申し立てた外国人に棄却を告げた翌日、強制送還したことが「裁判を受ける権利への侵害」と判断された。判決は司法による救済が看板倒れだったことを示したといえる。
 
 政府は難民申請を二回に制限することなどを盛り込んだ入管難民法改正案の再提出を準備している。入管の審査回数すら制限することが、東京高裁判決の趣旨に逆行していることは明らかだ。
 
 岸田文雄首相は国際人権担当の首相補佐官を新設したが、まずは足元の人権感覚が問われよう。
 
 行政に強圧性を自覚する能力が欠けていれば、司法の力に頼らざるを得ない。裁判所には国際世論にも配慮した判断を期待したい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月26日  07:53:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:名護市長再選 「辺野古容認」は早計だ

2022-02-01 07:47:35 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】
【社説①】:名護市長再選 「辺野古容認」は早計だ
 
 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:名護市長再選 「辺野古容認」は早計だ
 
 沖縄県名護市長選は、自民、公明両党が推薦する現職、渡具知武豊氏が再選を果たした。同市辺野古での米軍新基地建設中止を求める玉城デニー知事は野党系新人の岸本洋平氏を推したが、渡具知氏は一貫して賛否を明らかにせず、民意が「辺野古容認」を示したと受け止めるのは早計だ。
 
 渡具知氏は選挙戦で、政府から交付された米軍再編交付金を財源に子育て支援策を充実させたことなどの四年間の実績を訴えた。
 
 交付金は自治体首長が米軍再編事業に「一定の理解」を示したと防衛相が判断すれば交付される。渡具知氏は初当選後に始まった辺野古沿岸部への土砂投入に異を唱えておらず、国は一定の理解を得たと判断しているのだろう。
 
 しかし、渡具知氏は初当選時から米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設に向けた辺野古での新基地建設について「国と県の係争の推移を見守る」とし、今回の市長選でも賛否を明らかにしなかった。
 
 岸本氏は玉城知事と足並みをそろえ、移設阻止が最大の争点だと訴えたが、辺野古の是非が主要争点だったとは言い難い。
 
 むしろ、市民は新型コロナウイルスの感染拡大で傷ついた経済の立て直しや、教育・福祉政策の継続を望んだのだろう。関心を基地よりも暮らしに向けざるを得ない苦しい状況がうかがえる。
 
 名護市は一九九六年、日米両政府が普天間返還に合意して以降、代替施設の建設候補地とされ、市長選などの選挙で新基地建設の是非が問われ続けた。そのたびに市民は分断され、「選挙疲れ」の状態にあるのかもしれない。
 
 二〇一九年の県民投票では、名護市の投票者の73%が辺野古埋め立てに反対票を投じた。政府がそうした民意を顧みず、巨額の財政措置をてこに、安全保障の根幹に関わる重要施設の受け入れを迫る手法はとても妥当とは言えない。
 
 今年、沖縄は本土復帰から五十年の節目に当たる。今秋の知事選をはじめ、県内の自治体選挙では復帰後も長らく「基地か経済か」が問われ続けてきた。そうした状況に追い込んだ責任は、安全保障の負担の多くを沖縄県民に強いてきた本土に住む私たちにもある。
 
 政府には、市長選結果を辺野古容認と受け止めず、計画をいったん白紙に戻して、代替施設建設とは切り離した普天間返還を米側に提起するよう重ねて求めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月25日  06:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:核禁条約1年 日本への期待裏切るな

2022-02-01 07:47:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説②】:核禁条約1年 日本への期待裏切るな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:核禁条約1年 日本への期待裏切るな 

 核兵器を全面的に禁じる核兵器禁止条約の発効から二十二日で一年がたち、国内各地で記念行事が行われた。唯一の戦争被爆国である日本には条約に参加し、核廃絶に寄与するよう求める声が相次ぐ。国際社会の期待を裏切ってはならない。
 
 核兵器の非人道性に焦点を当てて、製造や保有、使用などを幅広く禁止して違法化する核禁条約は核兵器の存在を前提とする核拡散防止条約(NPT)や、包括的核実験禁止条約(CTBT)など既存の枠組みとは全く異なる。
 
 核保有国や核の傘に入っている国々は、核禁条約を「非現実的で役に立たない」として、冷ややかな姿勢を変えていない。
 
 ただ発効後の一年間で、世界のうねりはさらに大きくなった。条約批准国・地域は五十九に増加。日本では六百以上の自治体が、日本政府に対して核禁条約への参加を求める意見書を決議した。
 
 オランダの非政府組織(NGO)の調査によると、条約発効をきっかけに、世界の金融機関が核兵器関連企業への投融資を大幅に制限しているという。
 
 注目すべきは、日本同様、米国の「核の傘」の下にあるドイツが昨年暮れ、圧力を受けながらも、核禁条約の締約国会議へのオブザーバー参加を表明したことだ。
 
 核保有国も参加するNPT再検討会議は、コロナ禍で再三延期されており、三月に予定される締約国会議は重要性を増している。
 
 日本はなぜオブザーバー参加もできないのか、説得力ある理由は見当たらない。むしろ被爆国として得た知見を会議の場で世界に伝える責務があるのではないか。
 
 岸田文雄首相は被爆地・広島県選出でありながら、オブザーバー参加にすら消極的だ。その代わり「国際賢人会議」を組織して広島で開催するという。世界の政治指導者に広島、長崎への訪問も呼びかけているが、それだけで停滞する核廃絶が前進するか疑問だ。
 
 日本政府は「核なき世界」実現に向け、あらゆる機会を生かす必要がある。首相は条約参加を求める声に耳を傾け、せめてオブザーバー参加を決断すべきである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月25日  06:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:北京で市中感染 「武漢の隠蔽」を教訓に

2022-02-01 07:47:16 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説①】:北京で市中感染 「武漢の隠蔽」を教訓に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:北京で市中感染 「武漢の隠蔽」を教訓に 

 中国で新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の確認が相次いでいる。中国は北京五輪成功を最優先に感染の連鎖を完全に止めようとする「ゼロコロナ政策」を進めるだけに、もしも深刻な感染拡大があった場合に、その政策が正確な情報公開の足かせになることも懸念される。「武漢の隠蔽(いんぺい)」を教訓に、適切な情報開示を徹底してほしい。
 
 北京では今月中旬、初めてオミクロン株の市中感染が確認された。当局は二月四日に開幕が迫っている北京五輪の一般向けチケットの販売を断念。各地の空港や駅ではPCR検査の陰性証明と二週間以内の行動履歴を提示するよう求めるなど、警戒を強めている。
 
 北京に先立ち、天津市、上海市、広東省などでオミクロン株の市中感染が確認されていた。二月一日の春節(旧正月)を前に、休暇を利用した帰省で十二億人余が国内移動すると見込まれるだけに、全土への感染拡大も懸念される。
 
 習近平国家主席はテレビでの新年あいさつで「世界のために盛り上がる五輪にする」と述べ、五輪成功に強い決意を示した。むろん、ロックダウン(都市封鎖)などの強権的手法を伴う「ゼロコロナ政策」が効果を上げてきたのは事実だ。世界の感染者数は最多の米国が約六千八百五十七万人なのに対し、中国は十一万八千三百七十人(二十日現在)にとどまる。
 
 だが、習氏が「共産党支配の優位性」と胸を張ってきた感染抑え込みの厳命が、過去には実際に感染が拡大した際に地方幹部らを情報隠蔽に走らせる負の圧力になったとの指摘もある。
 
 中国指導部は二〇二〇年二月、新型コロナ感染に対する初動対応で、武漢市などの地方幹部による情報公開の遅れや不備があったことを認めている。
 
 北京でオミクロン株の市中感染が確認されただけに、想像したくはないが、五輪の舞台での感染拡大の可能性はゼロとは言い切れない。もしも深刻な感染が確認された場合、中国は正確な情報の提供を優先し、国民はもちろん、五輪選手や関係者らの生命を守るため適切な対策を講じてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月24日  07:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:年金額の改定 高齢期の安心支えたい

2022-02-01 07:47:12 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②】:年金額の改定 高齢期の安心支えたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:年金額の改定 高齢期の安心支えたい 

 二〇二二年度の公的年金支給額が決まった。0・4%の引き下げで、二年連続のマイナス改定。指標となる物価・賃金が下がったためだが、長引くコロナ禍で生活への不安は募るばかりだ。
 
 高齢期の暮らしの安心を底上げするためには、年金額の引き上げはもちろん、高齢者が働きやすい就労環境の整備や、安価な住宅供給なども合わせて考えたい。
 
 年金支給額の引き下げは受給者には痛手となる。コロナ禍で仕事が減り、収入減となった働く高齢者もいるだろう。政府はまず、改定に不満や疑問を抱く国民への説明を尽くさねばならない。
 
 物価や賃金の変動に合わせて厚生年金や国民年金の支給額を増減させる仕組みとは別に、高齢者に支給する年金額を目減りさせ、将来世代の年金財源に回す「マクロ経済スライド」は今回実施しない。
 
 マイナス改定の場合は適用しないのがルールのためで、マクロ経済スライドの実施は〇四年の導入以来、三回にとどまる。
 
 この仕組みを適用するか否かにかかわらず、将来世代の年金財源をどう確保するか課題は残る。
 
 厚生労働省は将来世代の年金確保のため、職場の厚生年金に加入できない非正規雇用者が加入できるよう適用拡大を進めている。厚生年金に加入できれば将来、無年金・低年金者を減らせるためだ。
 
 ただ対象者は増えてはいるが、その歩みは遅い。対象拡大には、保険料負担に難色を示す事業者の理解が不可欠だ。コロナ禍による経営環境の悪化で保険料負担が重荷になるのなら、納付を猶予する制度の拡充も考えたい。
 
 既に年金を受給しているものの低年金の高齢者への目配りも欠かせない。年金とは別に、消費税を財源に最大月五千円の給付制度があるが十分とはいえない。増額のために財源の検討を始めたい。
 
 年金財源を将来にわたって確保するため、年金支給額の目減りは今後も進む見通しだ。
 
 特に、国民年金は財政に余裕がなく、目減り幅が厚生年金よりも大きくなるため、厚労省は、厚生年金の資金を国民年金(厚生年金では基礎年金)に振り向ける打開策の検討を始めている。
 
 ただ、財源の振り替えには徹底的な議論が不可欠だ。確保しやすいところから財源を得ようという安直な姿勢なら、厚生年金加入者の理解はとても得られまい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月24日  07:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える 「過去」を支配させるな

2022-02-01 07:46:55 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】
【社説①】:週のはじめに考える 「過去」を支配させるな
 
 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 「過去」を支配させるな
 
 ナチス・ドイツによるユダヤ人らの大虐殺は、人類史に刻まれる悲惨な事件です。
 
 七十七年前の一月二十七日は「アウシュビッツ(ポーランド)解放の日」として、欧米人らに記憶されています。ガス室送りを免れた生存者は戦後、恐怖の体験を証言してきました。

 ◆社会から「のけ者」に

 イタリアのリリアナ・セグレさん(91)もその一人です。二〇二〇年には三十年間の活動を締めくくる「最後の証言」をしました。イタリア国営放送は生中継で放送し、ある全国紙は証言の概要を冊子にし、付録としたそうです。
 
 日本でも「アウシュヴィッツ生還者からあなたへ」(中村秀明訳、岩波ブックレット)として出版されました。そこから、リリアナさんの体験を紹介します。
 
 ユダヤ人ゆえ社会から「のけ者」にされた最初の記憶は一九三八年です。「人種法」ができ、小学校に通えなくなったのです。「誰からも電話がかかってこなくなり、パーティーやお祝いの席に招かれることもなくなりました」
 
 戦争が始まると、父とスイスへ亡命しようとしますが、失敗。父と引き離され、貨車で「行き先のわからない旅」に…。わずか十三歳の少女でした。
 
 四四年二月。雪に覆われた平原が見え、聞いたこともない言語が飛び交っていたそうです。アウシュビッツの入り口でした。
 
 「若いイタリア人女性たちと一緒にされました。(中略)この三十人以外の女性たちは、年寄りも若い人も子どもも、みんなガス室に送られました」
 
 腕には「75190」の入れ墨を彫られます。ドイツ語で呼ばれる番号に返事ができるかどうかが生と死の境目だったそうです。
 
 「軍需品の工場での強制労働を割り当てられたのは幸運でした。(中略)収容所を包む恐怖とおびえの空気からも、少しの間は背を向けることができたから」
 
 でも、解放の日が来る前にリリアナさんたちは数百キロの距離を何カ月間も歩かされました。「死の行進」と呼ばれています。収容所での残虐行為を隠蔽(いんぺい)するため、ナチス・ドイツは「囚人」をドイツ国内に移動させたわけです。
 
 栄養失調で骨と皮だけ。力尽きれば、拳銃で撃たれます。生還できたのが不思議なほどです。

 ◆相次ぐ虐殺否定論

 疑いようのないリリアナさんの体験です。しかし、恐ろしいのは人類史に刻まれる大虐殺でも、過去に何度も「ホロコーストはなかった」という言説が飛び交ったことです。歴史を書き換えようとする人々が存在するのです。
 
 「歴史修正主義」(武井彩佳著、中公新書)によれば、七〇年代に米国の大学教授や英国のネオナチ、ドイツの元親衛隊員らが次々にホロコースト否定のパンフレットや本を出版します。犠牲者数の下方修正や毒ガスによる殺害自体を否定したのです。
 
 極右の人々には消し去りたい歴史なのでしょう。八〇年には米国で裁判がありましたが、裁判所は「ホロコーストは『公知の事実』」と認定しました。二〇〇〇年にも米国の歴史家を否定論者の英国人が訴えた裁判がありました。むろん否定論者の負けです。
 
 要するに、どんな否定論も夜空に三日月が浮かんでいれば、「円くない」と理屈をつけ「月は球体ではない」と結論を出すような論法なのです。でも、繰り返される歴史改ざんの狙いは何でしょう。
 
 「否定論の目的は絶対的な信者を獲得することではない。むしろ、史実に対して認識の揺らぎを呼び覚ますことである。(中略)事実ではないかもしれないと人が疑念を抱いた時点で、目的は達成される」(前掲書)
 
 つまりは人々の歴史認識も不安定化します。日本でも思い当たることが数々あります。為政者らが戦後日本を「自虐史観」と笑い飛ばすのも一例でしょう。
 
 教育勅語の再評価の動きも同様でしょう。南京大虐殺や従軍慰安婦の歴史にも「認識の揺らぎ」が起きているかもしれません。
 
 極めて危険です。作家ジョージ・オーウェルの「1984」に有名警句があります。
 
 <過去を支配する者は、未来を支配する

 ◆差別とヘイトが社会に

 冒頭のリリアナさんには近年、ネットでの脅迫や中傷が相次いだそうです。今は一九三〇年代と似た状況なのでしょう。社会に差別やヘイトが満ちているのです。
 
 オーウェルの言葉は「現在を支配する者は、過去を支配する」と続きます。歴史改ざんなどで、戦後の平和主義が壊れる恐れさえ覚えます。セピア色だった軍国主義の「過去」に生々しい原色を取り戻させてはなりません。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月23日  07:29:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:統計不正で処分 幕引きは到底許されぬ

2022-02-01 07:46:40 | 【中央省庁・内閣府・1府11省2庁・公取委・主任の大臣・事務次官・官房・

【社説①】:統計不正で処分 幕引きは到底許されぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:統計不正で処分 幕引きは到底許されぬ 

 国土交通省の統計不正で同省次官のほか当時の担当幹部らの処分が決まった。基幹統計の書き換えであり処分は当然だ。ただ不正の動機など未解明な部分も多く問題の幕引きは到底許されない。
 
 処分は十四日に公表された第三者検証委員会による報告書の内容を受けた措置である。処分とは別に斉藤鉄夫国交相も給与などを自主返納する。
 
 不正があったのは国交省が毎月公表する「建設工事受注動態統計調査」だ。全国の建設業者の受注実態を詳細に把握するための調査で、政府は五十三ある基幹統計に指定して国内総生産(GDP)の算出にも活用している。
 
 報告書は不正が始まった時期について「二〇〇〇年以前から継続していた」などとし、一部職員がデータをめぐる不正に気づいて報告した後も上司が対応しなかったことを指摘した。これらが事実なら同省がデータに向き合う姿勢は長期間にわたり根元から腐敗していたことになり、同省が所管するすべての統計について徹底的に調査し直す必要がある。
 
 さらに不正は会計検査院が指摘した後の二一年三月まで継続していた。一八年には厚生労働省の毎月勤労統計をめぐる不正が発覚し、政府は国の統計全体を再調査したはずだ。
 
 報告書は国交省が内外の指摘を無視した上、国の調査をくぐり抜け不正を続けた理由や、誰がどのような動機で始めたのかについて明確な結論を出していない。
 
 GDPに関しても「統計的に大きな数字を公表する作為的な意図はなかった」としたが、これも納得できない。報告書は三週間の資料分析と聴取でまとめられたが、短い調査で複雑な計算式によりはじき出されるGDPへの影響を正確に把握するには無理がある。
 
 GDPへの疑義は金融市場を中心とした国際社会における日本の信用を失墜させかねない。今回の調査は明らかに不十分だ。第三者委は調査を継続し、より詳細な報告書をつくるべきだ。
 
 今回の問題は統計法などに抵触する可能性があり関係者の刑事告発を視野に入れるレベルの不正。基幹統計に虚偽があれば多くの政策が立案根拠を失う恐れもある。
 
 調査継続と並行して、通常国会でも予算委員会などで集中してこの問題を取り上げ、真相究明を図るべきである。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月22日  07:52:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【事故】:F15乗員2人の捜索続行 石川・小松基地、機体の一部発見

2022-02-01 06:25:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【事故】:F15乗員2人の捜索続行 石川・小松基地、機体の一部発見

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【事故】:F15乗員2人の捜索続行 石川・小松基地、機体の一部発見

 航空自衛隊のF15戦闘機1機が石川県の小松基地を訓練に向かうため離陸した直後、不明になった事故で、空自は1日、安否が分からない乗員2人の捜索を続けた。救難用のヘリコプターや航空機を投入し、1月31日から夜通しで継続。基地の西北西約5キロ付近の洋上で、レーダーから機影が消え、機体の一部が見つかっており、この付近で墜落したとみられる。

 空自によると、捜索には、海上自衛隊の艦艇やヘリ、海上保安庁の巡視船も加わっている。洋上では、外板や救命装備品の一部が浮いているのが見つかった。機体の特徴的なデザインなどから不明機のものと断定した。

航空自衛隊飛行教導群所属機(2014年

 事故は1月31日午後5時半ごろ発生。F15は小松基地に拠点がある戦闘機の操縦技術の指導を担う「飛行教導群」に所属している。部隊は、アグレッサーの異名があり、訓練で敵の役をするため、通常の空自機とは異なる塗装をしている。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・防衛省・航空自衛隊・F15戦闘機1機が石川県の小松基地を訓練に向かうため離陸した直後、不明になった事故】  2022年02月01日  06:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【政局】:岸田内閣の支持率低下、菅政権へのコロナ対応「痛烈批判」が大ブーメラン

2022-02-01 06:00:00 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【政局】:岸田内閣の支持率低下、菅政権へのコロナ対応「痛烈批判」が大ブーメラン

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:岸田内閣の支持率低下、菅政権へのコロナ対応「痛烈批判」が大ブーメラン 

 高い支持率を維持してきた岸田文雄政権だが、世論調査の内閣支持率に陰りが見え始めている。新型コロナウイルス感染拡大「第6波」が猛威を振るう中、岸田政権と専門家との間に吹くすきま風も目立ってきた。菅義偉前首相の情報発信力と説明力のなさを痛烈に批判して宰相の座に上り詰めた岸田首相。しかしその時の言葉は今、自らに対する「大ブーメラン」となってしまっている。(イトモス研究所所長 小倉健一)

Photo:JIJI

 © ダイヤモンド・オンライン 提供 Photo:JIJI

 ◆「政治判断重視」の岸田政権と専門家の間にすきま風

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が爆発的な拡大を見せる中、岸田文雄首相とコロナ対策を助言する政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長との間にすきま風が吹いている。

 これまでの政権は尾身氏ら専門家と十分に意思疎通を図りながら対策を発信してきた。一方、社会経済活動との両立を目指す岸田政権は「政治判断」に重心を置く方針に転換したからだ。

 両者間の乏しいコミュニケーション故に、政府の「公式見解」と尾身氏らの提言が異なる事態も生じ、現場の混乱に拍車をかけている。

 年始から猛威を振るうオミクロン株の感染急拡大で、1月27日には北海道や大阪府、福岡県など18道府県に新たに「まん延防止等重点措置(まん防)」が適用され、同措置の対象地域は計34都道府県となった。全国で1日の感染者は8万人を超え、これまでに国内で新型コロナの感染が確認された人は250万人超、死者は2万人近くに上る。

 感染者の急増とそれに伴う濃厚接触者の爆発的増加によって企業は人手不足の危機に陥り、臨時休校や学級閉鎖などの措置に踏み切る学校も後を絶たない。しかし、国から発信されるのは「基本的対処方針」という対策の中身のみで、国民に今後の見通しと安心感を与えるようなメッセージは見られない。その理由について厚生労働省を取材する全国紙記者が語る。

 「昨年秋の経済対策で社会経済活動との両立を打ち出した岸田政権と、尾身氏ら専門家とのコミュニケーションがうまくいっていないからですよ。専門家もやりづらいとボヤいています。岸田首相のコロナ対策は『自治体の判断に任せる』が多く、国民とのコミュニケーションもすっかり減りました。これでは司令塔機能を果たせていないと言っても過言ではないでしょう」

 ◆菅前首相の発信力と説明力を批判した 岸田首相に大ブーメラン

 岸田首相は昨年9月の自民党総裁選への出馬に際し、新型コロナの感染拡大などで内閣支持率が急落した当時の菅義偉政権について痛烈に批判。「政権全体としてしっかりとした発信が大事だった」「コロナ対策は国民の協力なくして結果を出せない。協力いただくならば納得感のある説明が必要だ」などと語り、菅前首相の発信力と説明力をやり玉に挙げた。

 だが、宰相の座に就いた岸田氏は1月9日に沖縄、広島、山口の3県に「まん防」が適用された際も、13都県や18道府県への適用を決めた日も記者会見を行うことはなかった。首相官邸で記者を前に対策を説明する「ぶら下がり」取材に応じたことで十分と考えたようだ。「会見とぶら下がりはどちらも国民にしっかり説明しようという意味では同じ目的」(磯崎仁彦官房副長官)なのだという。

 だが、十分に質疑応答などの取材に応じることなく、国民から納得感を得ようとする姿勢には疑問が残る。

 さらに、内閣支持率の低下も見え始めた。

 共同通信社が1月22、23日に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は55.9%。21年12月の前回調査から4.1ポイント下落した。

 また、日本経済新聞社とテレビ東京が1月28〜30日に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は59%という結果が出た。21年12月の前回調査から6ポイント低下し、政権発足から初めて下がった。一方、「支持しない」と答えた割合は40%で、4ポイント上昇している。

 ◆安倍元首相、菅前首相と違って尾身会長と共に情報発信しない岸田首相

 前述の岸田首相と新型コロナ対策分科会との距離の遠さは、会見対応でも明らかだ。

 安倍晋三元首相や菅前首相は在任時、記者会見でコロナ対策を発表する際、尾身氏を同席させてきた。緊急事態宣言などの決定理由をトップリーダーが説明し、国民に協力を要請。感染拡大の分析や今後の見通しなどは尾身氏が専門的見地から質疑応答に応じた。

 しかし、岸田首相は記者会見を開かないばかりか、尾身氏と共に発信する場を設けていない。その結果、尾身氏が専門家による分科会の後に取材に応じ、その「見解」を独自に記者団へ披露しているのである。

 1月19日には「オミクロン株の特徴に合ったメリハリのついた効果的な対策が重要だ」と言及。その上で、これまで人流抑制を呼びかけてきた方針から転換し、「ステイホームなんて必要ない」と言い切った。

 だが、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部がこの日決定した基本的対処方針は「不要不急の都道府県間の移動」「混雑した場所や感染リスクが高い場所への外出・移動」を極力控えるよう都道府県が促すと明記していた。政府の「公式見解」とは食い違う事態を招いた。

 ◆岸田政権と専門家の距離感を危惧する 関係者が吐露した言葉とは

 尾身氏の発言は「国と専門家で整合性をとってもらいたい」などと自治体の混乱を招き、尾身氏ら専門家有志が公表した提言では「知事の判断により、“人流抑制”を加味することもあり得る」と軌道修正を余儀なくされた。提言に名を連ねたメンバーの一人は岸田政権と専門家の距離感をこう危惧する。

「感染対策としては、人流抑制をやった方が良いに決まっています。ただ、岸田政権は『菅政権の轍を踏まない』と専門家を遠ざけて首相官邸とのパイプが詰まっているため、事前にすり合わせができなかった。政府の分科会もろくに開かせてもらえず、仕方なく厚労省のアドバイザリーボードで『有志』として提言しましたが、本当にこうした距離のままで良いのでしょうか…」

 これまでの政権はコロナ対策を担う西村康稔前経済再生相と尾身氏らが連日のように現状分析と効果的な対策を議論し、積極的な発信に努めてきた。ところが、それが岸田政権で失われたと専門家は口をそろえる。

 現在の山際大志郎経済再生相は「岸田首相が唱える『新しい資本主義』の具体化で忙殺されている」(全国紙記者)といわれ、堀内詔子ワクチン担当相は自民党内からも国会答弁や情報発信力で不安視されている。毎日会見している松野博一官房長官も「官僚が作成した想定問答を読み上げているだけ」(同)で、その役割は期待できない状態だという。

 岸田首相は「オミクロン株」対策の鍵を握るワクチンの3回目接種を前倒しする考えを表明した。しかし、1月末の接種目標である1470万人に対して1月27日時点の接種完了者は約342万人と、2割強にしか届かない。国民全体の接種率はわずか2.7%にとどまる。

 自治体の接種体制が整っていないことを遅れの原因にしているが、どうやら後手に回る岸田政権のコロナ対応の理由は別にありそうだ。 

 元稿:週刊東洋経済新報社 ONLINE 主要ニュース 政治 【岸田政権・新型コロナウイルスの感染拡大に伴う施策・担当:小倉健一】 2022年02月01日 06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【立憲民主党】:辻元清美氏、涙の参院選出馬表明「『もう黙ってられへん』の声届けたい」

2022-02-01 05:10:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【立憲民主党】:辻元清美氏、涙の参院選出馬表明「『もう黙ってられへん』の声届けたい」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【立憲民主党】:辻元清美氏、涙の参院選出馬表明「『もう黙ってられへん』の声届けたい」 

 立憲民主党の辻元清美元衆院議員(61)が1月31日、地元の大阪府高槻市で支援者集会を開き、今夏の参院選に比例代表として出馬する意向を表明した。「全国のみなさんのご用聞きになり、日本中の『もう黙ってられへん』の声を集め、国政に届けたい」と決意を語った。出馬を後押しした地元からの激励の言葉を思い出し、涙をこぼす場面もあった。

支援者の報告会で涙を見せる辻元清美氏(撮影・松浦隆司)支援者の報告会で涙を見せる辻元清美氏(撮影・松浦隆司)

 議席を失ってからちょうど3カ月。歴代の首相11人と論戦を繰り広げてきた“辻元節”は健在だった。衆院から参院に鞍替えして立候補する理由として「自民党や公明党、日本維新の会が多数を取れば、小さな声、異論を切り捨てる政治になってしまうのではないか」と強調し、「参院選が日本の分かれ道になる。私はそれを阻止するめに戦っていきたい」と国政復帰へ意欲をたぎらせた。

支援者の報告会で参院選の出馬を表明した辻元清美氏(撮影・松浦隆司)支援者の報告会で参院選の出馬を表明した辻元清美氏(撮影・松浦隆司)

立憲民主党の辻元清美前衆院議員が参院選出馬を表明し、党本部前で会見した(撮影・大上悟)立憲民主党の辻元清美前衆院議員が参院選出馬を表明し、党本部前で会見した(撮影・大上悟)

 

 

 辻元氏は昨年10月の衆院選に大阪10区から出馬したが、日本維新の会新人に敗れ、比例復活もできなかった。衆院議員を7期務め、党副代表などを歴任する中で、おごりと過信はなかったか。原点を見つめ直すため、地元の街を歩き、多くの人と対話を重ねてきたという。「あんた、負けてもへこたれてたらアカンで」。「早く国会に戻ってほしい」。決意表明では、支援者からのエールを思い出し「本当にありがたい…」と何度も涙をぬぐった。

 「1回落ちたやないかと、厚かましいんちゃうかとも思ったんです、でも、やっぱり黙ってられへん」。集会後には、東京の党本部で泉健太代表と面会し、公認申請書を提出した。【松浦隆司】

 ◆辻元清美(つじもと・きよみ)

 1960年(昭35)4月28日、奈良県生まれ。早大在学中に国際的な市民交流を目的としたNGO「ピースボート」を設立。96年、社民党から衆院初当選。当選7回。党内有数のリベラル系論客。国会論戦で小泉純一郎元首相に迫った「ソーリ、ソーリ」のフレーズは代名詞。立憲民主党が結党した17年から2年間、女性初となる野党第1党の国対委員長を務め、党副代表などを歴任した。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・立憲民主党・今夏の参院選に比例代表として出馬する意向を表明】  2022年02月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【東洋経済オンライン】:ふるさと納税「強欲ポータルサイト」に高まる鬱憤 過熱するPR合戦に関係者は困惑

2022-02-01 00:10:20 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【東洋経済オンライン】:ふるさと納税「強欲ポータルサイト」に高まる鬱憤 過熱するPR合戦に関係者は困惑

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東洋経済オンライン】:ふるさと納税「強欲ポータルサイト」に高まる鬱憤 過熱するPR合戦に関係者は困惑 

 「今年は8000億円市場だ」――。11月下旬、ふるさと納税の仲介を手がけるポータルサイト事業者らが一堂に会した業界団体の初会合。祝辞のため、都内の会場に姿を現した菅義偉前首相はそう切り出した。

ふるさと納税のポータルサイト。独自のポイント還元などでの訴求が目立つ(写真:各社ホームページより)
ふるさと納税のポータルサイト。独自のポイント還元などでの訴求が目立つ(写真:各社ホームページより)

 ふるさと納税の拡大が止まらない。2008年の制度創設以来、各自治体の受け入れ寄付額の総額は右肩上がりを続け、コロナ禍でのステイホームも追い風にその勢いを増している。2021年は、過去最高を記録した2020年の6725億円を大幅に上回る見通しだ。

 かつては高所得者の利用が中心だったふるさと納税は、利用者の裾野を年々広げ、今やその存在を知らない人はほとんどいない。だがその一方で、制度は多くの矛盾を抱えたまま肥大化している。

 ◆サイト間の争奪合戦が白熱

 「今の制度のままなら、なくなったほうがマシ」。あるポータルサイトの運営会社の社員は、そう漏らす。この社員が心を痛めているのは、過熱するサイト間での寄付者の奪い合いだ。

 ポータルサイトは、複数の自治体と契約を結び、各自治体のふるさと納税の返礼品や寄付の使い道などを掲載している。掲載自治体数やポイント還元策の内容などはサイトによって異なり、寄付金額の5~10数%を手数料収入として自治体から受け取る。要するに、寄付の一部によってポータルサイトの収益は成り立つ仕組みだ。

ポータルサイトの「ふるなび」は、米作農家とひとり親家庭を支援する取り組みを開始。「自ら襟を正す」(運営会社アイモバイルの文田康博取締役)と、社会貢献の姿勢をアピールするが・・・・・・(写真:アイモバイル)
ポータルサイトの「ふるなび」は、米作農家とひとり親家庭を支援する取り組みを開始。「自ら襟を正す」(運営会社アイモバイルの文田康博取締役)と、社会貢献の姿勢をアピールするが・・・・・・(写真:アイモバイル)

 ふるさと納税を受け付けているほとんどの自治体は、何らかのポータルサイトと契約をしている。自治体の公式ホームページで直接募集する場合と比べ、さまざまな自治体とその返礼品を一覧比較できるポータルサイトのほうが集客効果も高いためだ。

 市場拡大に伴いポータルサイトの数は約20にまで増え、利用者の争奪戦は年々白熱。各サイトは、寄付額に対し自社グループの電子マネーやポイントで10%近い還元をしたり、サイト名だけを連呼するようなテレビCMを繰り返したりしている。

 これが一般的な商品の販売ならば大きな問題はないだろう。しかし、ふるさと納税に関しては見過ごせない事情がある。ポイント還元やCMにかかるコストの実質的なツケは、サイトの運営会社だけでなく、自治体や寄付者本人以外の第三者に回ってくるからだ。

 ふるさと納税では自己負担の2000円を除き、一定の上限額(住民税の20%)までは、寄付した金額の全額が翌年の住民税から控除される。たとえば住民税を年間50万円納めている場合、10万円までの寄付額は、翌年の住民税からほぼすべて減額される。寄付者は2000円の自己負担のみで豪華な返礼品を受け取れるというわけだ。

 他方で寄付者が居住する自治体では、本来入るはずの住民税が失われることになる。税収が流出した自治体に住み、ふるさと納税を利用しない人たちは、行政サービスの悪化という形で不利益を被ることにつながりかねない。

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 税収を失うのは、人口が多く所得水準の高い都市部の自治体が中心だ。こうした自治体からは、「真剣に流出対策を議論しているのに、あのテレビCMを見ると腹が立つ」「制度の趣旨にのっとって運営するべきポータルサイトが、キャッシュバックなどでお得をあおるのはいかがなものか」(首都圏にある複数の自治体職員)などと怨嗟の声が聞こえてくる。

 ふるさと納税の制度の趣旨は「お世話になった自治体への恩返し」。本来の目的からかけ離れ、目先の集客のため"お得感"をうたった販促を打ち続ける状況に、ポータルサイトの社内ですら、前出の社員のように罪悪感にさいなまれている人は存在する。

 ◆規制の必要性にはサイトで温度差

 税収が流出する自治体やふるさと納税を利用しない人の不満が一段と高まれば、2019年に返礼品競争が法改正で制限されたように、ポータルサイト側への規制措置が講じられることも考えられる。しかし規制をめぐっては、ポータルサイトの間で温度差がある。

 「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクは、ふるさと納税の創設間もない頃から、総務省と連携して制度の普及を推進してきた。ふるさと納税経由の手数料収入が収益柱でもあり、制度そのものの存続や健全化に対する意識はひときわ高い。そのため過剰な還元策や広告に対し、業界内で規制を設けることには賛成のスタンスだ。

 一方、ソフトバンクグループ傘下の「さとふる」は、「課題があれば検討する。手段の1つとして自主規制という考え方もある」(青木大介副社長)とのコメントにとどめた。「ふるなび」は、「今は制度が広く認知されることが大事。最適な制度設計とも思わないが、規制を設ける理由はない」(運営するアイモバイルの文田康博取締役)と消極的だ。

 ポータルサイトが過度なPR合戦から抜け出せない背景には、利用者のコスパ重視の傾向が年々強まっていることもある。「以前は高所得者の利用が多く、制度の趣旨に賛同する使われ方も多かった。今は中所得者層の利用が増え、とにかく"お得なもの"を求める傾向が強い」。あるポータルサイトの関係者はそう指摘する。

 ポータルサイト各社は表面上、「返礼品をきっかけに、その地域の魅力に気づくことができる」とふるさと納税を利用する意義を強調する。しかし一般のECサイトのように、商品ジャンル別の人気ランキングなどで返礼品を並べ、欲しいものを選ばせる仕掛けのサイトからは、そうした意図はあまり伝わらない。

 実際にポータルサイトからふるさと納税を利用した寄付者は「どこの自治体かわからないが、家電や肉をもらった」(20代の男性)と話す。寄付を受け入れる自治体でも、「あくまでお礼の品として送っているのに、商品を買った客のような態度でクレームの電話をかけてくる寄付者がいる」と困惑気味に打ち明ける職員がいた。

 ◆「お得感」から脱するための見直しが急務

 「お得感」ばかりが先行する、今のふるさと納税。都市部の自治体も、税収の一部を地方に還流することに異を唱えているわけではない。不満の矛先は、自分たちの利益ばかりを追求するポータルサイトやその利用者の姿勢と、それを誘引する制度設計にある。

 民間企業である以上、ポータルサイト事業者が自社の集客を最大化しようとするのは当然だろう。とはいえポイント還元やテレビCMなどを「やったもん勝ち」状態の現状は、利用者のコスパ重視の志向を増幅させる負のスパイラルに陥っている。サイトの収益が何によって成り立っているかを振り返り、制度本来の趣旨に沿った最適な訴求方法を問い直すことは必要だ。

ふるさと納税によって多額の住民税が流出した世田谷区では、区の広報誌で特集号を作り、流出が与える影響や区自らが寄付を集める施策を周知した(記者撮影)
ふるさと納税によって多額の住民税が流出した世田谷区では、区の広報誌で特集号を作り、流出が与える影響や区自らが寄付を集める施策を周知した(記者撮影)

 現状を打開するには、サイト側への規制だけでなく、税金の控除額自体の見直しを迫られる可能性もある。

 全国20の政令指定都市の市長で構成する指定都市市長会は10月、ふるさと納税制度の見直しなどを訴えた税制改正要望事項を国に提出した。現在は所得にかかわらず住民税の20%まで控除されるため、所得が増えるほどふるさと納税を利用できる金額は青天井に伸びていく仕組みだが、「最大10万円まで」といった上限を設けることを要求している。

 東京23区の特別区長会も総務相に対し、20%となっている住民税の控除割合を10%に引き下げることなどを再三求めている。

 地方の自治体からすれば、ふるさと納税は工夫次第で税収を増やせる貴重な仕組みでもある。制度を存続させるためには、「得をする人」「損をする人」の断絶を生まない制度のあり方を検討すべき局面にさしかかっている。【佐々木 亮祐 : 東洋経済 記者】

 ◆東洋経済オンライン セレクション

 ■経済ニュースサイト『東洋経済オンライン』とニッカンスポーツ・コムの連携企画です。東洋経済オンラインのセレクト記事を毎週掲載します。

  元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東洋経済オンライン セレクション】  2022年01月07日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2022年01月30日 今日は?】:マハトマ・ガンジーが銃撃され死亡

2022-02-01 00:00:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2022年01月30日 今日は?】:マハトマ・ガンジーが銃撃され死亡

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2022年01月30日 今日は?】:マハトマ・ガンジーが銃撃され死亡

 ◆1月30日=今日はどんな日

  ビートルズがアップル本社ビル屋上で最後のゲリラライブ「ルーフトップ・コンサート」(1969)

ルーフトップ・コンサートが行われた旧アップル・コア本社

ルーフトップ・コンサートが行われた旧アップル・コア本社

 ◆出来事

  ▼マハトマ・ガンジーが銃撃され死亡(1948)▼米マイクロソフトが「ウィンドウズ・ビスタ」発売(2007)

MKGandhi.jpg

インド独立の象徴であるマハトマ・ガンディー

 ◆誕生日

  ▼石川さゆり(58年=歌手)▼吉村由美(75年=PUFFY)▼板倉俊之(78年=インパルス)▼尾上松也(85年=歌舞伎俳優)▼森下悠里(85年=タレント)▼たかし(86年=トレンディエンジェル)▼清原果耶(02年=女優)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2022年01月30日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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