路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説②・11.19】:日中首脳会談 共通利益拡大の一歩に

2024-11-19 07:35:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②・11.19】:日中首脳会談 共通利益拡大の一歩に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.19】:日中首脳会談 共通利益拡大の一歩に 

 石破茂首相は15日(日本時間16日)、訪問先の南米ペルーの首都リマで中国の習近平国家主席と初の首脳会談に臨んだ。「戦略的互恵関係」の推進では一致したものの、尖閣諸島を含む東シナ海情勢や、アステラス製薬の社員ら日本人の拘束問題については習主席から前向きな発言はなかった。だが、首相は「非常にかみ合った意見交換ができた」と語っており、首脳同士を含む日中間の対話を積み重ね、課題と懸案を一つずつ減らしていく第一歩としてほしい。
 
 「戦略的互恵関係」は、大局的で未来志向の関係構築を目指すもので、冷え込んでいた日中関係の改善を模索する中、2006年に当時の両国首脳が確認した。以後の関係停滞で棚上げ状態となっていたが、岸田文雄前首相が昨年11月の習主席との会談で再び進めることで一致していた。
 
 今回、その推進を再確認したのを受け、日中は共通利益拡大の道を探り、着実に関係を安定させることが重要だ。

 日中両政府は既に9月、東京電力福島第1原発の処理水放出を受けた中国の水産物禁輸を緩和することで合意しているが、両首脳が合意の着実な実施を確認したのは一つの成果だ。再開時期は明言しなかったというが、主席自身が合意実施に言及した事実は重い。
 
 また、会談では、広東省深圳で起きた日本人学校の児童刺殺事件などについて、習氏が「日本人を含む在中国の外国人の安全を確保する」と述べた。治安悪化を防ぐのは当然だが、事件についての情報公開が不十分なのは問題だ。引き続き説明を求めたい。
 
 安保面では、不安解消の糸口は見えなかった。首相は尖閣諸島を含む東シナ海情勢や、中国軍の活動活発化について「極めて憂慮している」と伝え、台湾海峡の平和と安定の重要性を指摘したが、習主席から緊張緩和に向けた前向きな発言はなかった。
 
 1972年の日中国交正常化に尽力した当時の日本の首相は田中角栄氏。正常化と、それに伴う平和友好条約を貫く精神は「不戦の誓い」である。若手政治家時代に田中氏の薫陶を受けた首相には、日中最大の共通利益が「不戦」であることを胸に刻んでほしい。
 
 ただ、両国の国際社会における地位も当時とは様変わりしている。どう関係を紡いでいくか、手腕に注目したい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  07:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.18】:中国の治安悪化 社会の不満に目向けよ

2024-11-19 07:34:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説①・11.18】:中国の治安悪化 社会の不満に目向けよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.18】:中国の治安悪化 社会の不満に目向けよ

 日本人はじめ、多くの外国人が「中国には安心して行けない」と感じ始めているのではないか。特に、広東省深圳(しんせん)市で9月、日本人学校の男児が刺され死亡した事件の衝撃は大きかったが、以後も、中国各地で学校や子どもに絡む無差別刺傷事件が相次いでいる。

 中国メディアによると、10月上旬から下旬にかけ、広東省広州市で児童ら3人が学校前で切りつけられる▽浙江省寧波(ニンポー)市で登校中の母子が刃物を持った男に襲われ負傷▽北京市の小学校の校門付近で刃物を持った男が通行人を切りつけ5人が負傷-と似通った事件が続発している。
 
 さらに、16日には江蘇省無錫(むしゃく)市の高等専門学校で男が刃物で無差別に切りつけ、8人が死亡、20人近くが負傷する事件が起きた。
 
 深圳市での事件が起きる前の6月には、江蘇省蘇州(そしゅう)で日本人母子らが中国人の男に切りつけられる事件も起きている。
 
 深圳の事件に関して、中国当局は、前科のある者による「個別の事案」と説明したのみで、今も動機などの詳細を明らかにしていない。「日本人を狙った犯行」という不確かな見方が広がったのも、情報公開に消極的な当局の姿勢に原因がある。10月に起きた一連の事件では、それぞれ容疑者が拘束されているものの、捜査当局の発表内容はやはり限定的で、治安悪化の現状が社会で十分共有されているとは言い難い。
 
 一連の事件の背景として、格差の拡大に景気低迷が追い打ちをかけ、人々の不満が強まっている社会状況を指摘する声もある。日中関係筋によると、6月の蘇州での事件に関しても、容疑者の男の「社会に対する不満」が動機とみて捜査していると中国側が日本政府に伝えたという。
 
 習近平(しゅうきんぺい)政権には早急に治安悪化を収束させるよう求めたいが、根本の問題は、経済成長に取り残され、希望を持てない人たちの格差への不満の高まりだ。大都市の住宅価格は若年夫婦の平均的年収の数十倍に達し、格差の大きさを示すジニ係数は2000年以降、「騒乱が起きる警戒ライン」の0・4を超えているとされる。
 
 高所得者層へのさらなる課税など再分配の強化が急務だが、言論を統制し権力集中を図る習政権の強権体制がもたらす息苦しさが、庶民の社会への不満をいや増していることも指摘しておきたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月18日  07:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.18】:旧ソ連圏の選挙 ロシアの介入非難する

2024-11-19 07:34:40 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【社説②・11.18】:旧ソ連圏の選挙 ロシアの介入非難する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.18】:旧ソ連圏の選挙 ロシアの介入非難する

 ロシアの侵攻が続くウクライナに隣接する東欧モルドバとコーカサス地方のジョージアで重要な選挙や投票が行われた。ともに旧ソ連の構成国。領土内に親ロ派分離独立勢力が支配する地域を抱え、ロシアは偽情報拡散や選挙買収、水面下での介入をしたとされる。民主主義の根幹である選挙の公正性に対する攻撃であり、ロシアを厳しく非難する。
 
 モルドバ大統領選では早期の欧州連合(EU)加盟を掲げる親欧米のサンドゥ大統領が再選したが、親ロシア派が支持する元検事総長との決選投票になる予想外の苦戦。国民投票もEU加盟賛成が世論調査に反し、僅差の過半数だった。法的拘束力はないものの民意が明確に示されたことは重要だ。
 
 EU加盟阻止を狙うロシアは、交流サイト(SNS)などで偽情報やプロパガンダを拡散させ、親ロ派を通じた影響力工作などを活発化。約1億ユーロ(約162億円)の巨額資金を投入して有権者に対する選挙買収を行った。
 
 ジョージア議会選ではロシアと関係が深い大富豪イワニシビリ氏が創設したロシアに融和的な与党「ジョージアの夢」が勝利した。2012年の選挙で親欧米派から政権を奪取した後、イワニシビリ氏が実力者として君臨し、長期政権を維持する。外国の支援に頼る非政府組織(NGO)などを規制する「外国代理人法」を成立させるなど権威主義的傾向を強める。
 
 今回の選挙でも多数の不正投票や水面下でのロシアの介入が指摘され、親欧米派のズラビシビリ大統領は選挙結果を認めていない。
 
 ジョージアとモルドバは22年3月にEU加盟を申請したが、民主的選挙が行われなければ加盟は難しい。欧州はEUを中心に、巧妙化するロシアの工作活動にさまざまな対策を講じてきたが、不十分だったと言わざるを得ない。
 
 モルドバでは来年、議会選挙も予定される。国際社会はEUを中心に連携をさらに強化し、ロシアによる選挙介入を阻止しなければならない。日本も傍観せず、民主主義を目指す国家の歩みを強力に支援したい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月18日  07:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・僭越ながら「論」・11.15】:103万円と不倫|国民民主党の前に立ちはだかる「壁」

2024-11-19 07:01:10 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【HUNTER・僭越ながら「論」・11.15】:103万円と不倫|国民民主党の前に立ちはだかる「壁」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・僭越ながら「論」・11.15】:103万円と不倫|国民民主党の前に立ちはだかる「壁」 

 総選挙で議席を4倍増となる28まで伸ばした国民民主党の代表、玉木雄一郎氏の「公私」を巡る言動に注目が集まつている。

 「自公政権の延命に手を貸すつもりはない」として選挙で主張した政策の実現を最優先させる考えを強調する玉木氏。確かに彼は選挙中、「政権交代」を目標に掲げず、ひたすら「手取りを増やす」ための政策を訴えた。すっかりおなじみとなった「103万円の壁」を含め、「106万円」「130万円」「150万円」といった高いハードルがあることを誰もが知るところとなったのは、玉木氏率いる国民民主党の功績と言えるだろう。それまで低迷していた支持率も一気に二桁台になっているが、同党が歩むこれから先の道は険しい。

 ■「ゆ党」に批判も

 これまで圧倒的な議席数で政権を維持していた自民・公明が過半数を割り込んだため、衆議院で28議席を得た国民民主党がキャスティングボードを握ったのは周知の通り。与党と国民民主が政策ごとのパーシャル連合(部分連合)に合意したことによって、手取りが増えることに期待した有権者の思いが実現する可能性が出てきた。

 だが、政権交代を願って立憲民主党や日本維新の会、共産党といった野党に一票を投じた有権者からは、「ゆ党」(“よ党”でも“や党”でもない存在という意味)化した同党の姿勢は、裏切りにしか映らない。自民党と公明党が総選挙で惨敗したのは、裏金疑惑に対する有権者の厳しい審判が下ったからだ。比例区で国民民主に、小選挙区で同党の公認候補に投票した人のすべてが、「手取りを増やす」という同党の政策だけを評価したわけではあるまい。総選挙で最大の争点とされたのが「政治とカネ」であった以上、裏金議員を追加公認したり非公認候補にまで2,000万円の「活動費」を支給していた自民党政権の延命に手を貸すことは、政治不信というこの国最大の問題に背を向けることになりかねない。

 “政策実現のために政治や選挙がある”という玉木氏の考え方には一理ある。しかし、目的達成のために与党と手を結ばざるを得ないという主張は詭弁に過ぎない。なぜなら、無所属を含む野党各党の議席を合わせると245、対して自公は220。国民民主の掲げた政策は、野党連合で政権を握ったほうが、自公と組むより容易に実現できるからだ。「はじめに自公ありき」「与党にすり寄った」という見方は決して間違いではあるまい。

 ■「壁」は一つではない

 そもそも、手取りを増やすという政策は、103万円という収入制限を引き上げるだけで実現する話ではない。所得税が発生する現行103万円の年収制限を178万円に引き上げると、自営業者などを除く多くの国民が恩恵を受けることになるのは確かだ。しかし、今度は106万円、130万円、さらには150万円のと次々に立ちはだかる壁の問題を解決しなければならなくなり、議席不足が顕著な不安定政権が突破することには困難が伴う。財政規律を重んじる議員は少なからずいて、自民党の中をまとめるのも大変なはずだ。

 現行の収入制限は複雑化している税制と社会保障の両面に関係する。103万円の壁以上に問題があると思えるのは130万円の壁であり、立憲民主党は以前から収入制限130万円の撤廃と、それによって生じる保険料支払いという負担増を埋める改革案を提示している。同党の試算では、これに伴う財源は約7,800憶円。103万円と130万円をセットにする必要があるかどうかも含めて、議論すべきだろう。

 103万円の収入制限をなくすという政策で最も大きな『壁』となるのは“財源”だ。103万円の年収制限を178万円まで引き上げると、国と地方で7~8兆円程度の減収になることが分かっており、そのうち、地方自治体に入るはずの4兆円ほどの住民税が減収になる見込みだという。103万円の撤廃に一定の理解を示す地方自治体の首長からも、減収分の財源について懸念の声が上がり始めている。減収分の補填がなければ、住民サービスの低下という反作用が生じるからだ。

 2024年度の国家予算は約113兆円。23年度を参考にすれば、税収は約73兆円で、予算の約6割強に過ぎない。残りは国債発行という名の借金。7~8兆円の減収は、後世にも多大な影響をもたらす。また、高所得者ほど減税の恩恵を受けるという点も、国民から理解を得えられるかどうか分からない。課題山積。やはり拙速に事を運ぶのは無理だ。

 ■不倫報道

 「手取りを増やす」でキャスティングボードを握り、国政を動かすポジションを得た国民民主党だが、得意の絶頂にあった党首の玉木氏が、思わぬスキャンダルに見舞われた。グラドルとの「不倫」である。週刊誌「FLASH」の報道によれば、今年7月にホテルで密会、総選挙投開票から3日後の10月30日には東京都内のワインバーで飲食を楽しんだとされる。「脇が甘い」と非難されて済む話ではない。

 玉木氏が得ている議員報酬の原資は税金。さらに毎月100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文通費)も税金によって賄われている。当然ながら、玉木氏が使ったホテルの宿泊費や飲食代の原資も、すべて税金だった可能性が高い。公党の代表である前に、国会議員としての資質、資格が問われる事態だろう。

 “「手取りを増やす」という政策実現が最優先。不倫は大目に見てもいい”という主張もあるようだが、それは間違いだ。こそこそ不倫にいそしむ男が代表を務める政党を子供たちがどう見るか聞いてみれば分かる。国民民主党は11月11日に開かれた特別国会の首班指名で玉木氏に投票。無効票になるのを承知で、決選投票でも玉木氏の名前を書いた。敗れることが分かっていたとはいえ、色ボケして不倫に走った人物を総理大臣に推す神経は理解できない。

 党首に事ある時はナンバー2に期待するしかないのだが、永田町は、同党の幹事長を務める榛葉賀津也氏とその女性秘書の関係に関する噂で持ち切りだといい、週刊文春はすでに概略を報じている。窮地に陥った形の同党は、トリガー条項の凍結解除や一時的に消費税を5%に下げるという「選挙公約」を自公に迫ることで、不倫騒動の幕引きを急ぐ構えだが、立ちはだかる「壁」は厚く、高い。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【僭越ながら「論」・国民民主党・年収「103万円の壁」】  2024年11月15日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.18】:デブリ初取り出し 「廃炉」計画、抜本的見直しを

2024-11-19 07:00:40 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・処理水の海洋放出と環境汚染

【社説・11.18】:デブリ初取り出し 「廃炉」計画、抜本的見直しを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.18】:デブリ初取り出し 「廃炉」計画、抜本的見直しを 

 国内の原子力施設では史上最悪の事故を起こした東京電力福島第1原発の2号機から溶け落ちた核燃料(デブリ)が初めて取り出された。小石状の約5ミリ大で重さは約07グラム。廃炉に向けて一歩前進との評価も、東電などからは聞こえてくる。

 しかし、デブリは炉心溶融(メルトダウン)の起きた13号機に推計で約880トンもある。採取開始は当初計画より3年遅れ。国や東電が目標とする2051年までの廃炉完了は現実的に不可能ではないのか。計画をこのままにしておくのは無責任だ。抜本的な見直しが求められる。

 デブリは放射線量が非常に高いため人は近づけず、取り出しには遠隔操作の機械やロボットを使わざるを得ない。初歩的ミスやカメラの不具合などで作業着手は3回延期された。事故発生から13年半たって、今回初めて取り出せたものの、わずかな量。試験取り出しとの位置付けで、展望が開けたわけでもない。

 今回のデブリは、原発運転時の核分裂で生じる放射性物質が検出され、核燃料の一部だと分かった。今後1年程度かけて分析を進め、取り出し工法の検討などに生かすという。本格取り出しは1年以上も後になるのだろうか。

 しかも、13号機ごとにデブリの状態は異なり、今回の分析結果だけでは、デブリの全体像はつかめない。

 計画では、30年代初頭に最もデブリの多い3号機で大規模な取り出しを始める。ただどうやって取り出すか決まっておらず、先は見通せない。

 そもそも880トン全て取り出すのに何年かかるのか。取り出したデブリはどこに置くのか。作業に伴い生じる放射性廃棄物も膨大な量になる。福島県や住民は、どちらも県外搬出を望んでいるが、受け入れる所があるだろうか。

 深刻な事故を起こした米国のスリーマイルアイランド原発では、10年かけ、ほとんどのデブリを取り出した。しかし今もわずかに残っている。

 デブリの量は福島の2割弱しかなかった。制御棒などと均一に溶けて圧力容器内にとどまったが、福島は原子炉のタイプが違うため、デブリは均一ではない。圧力容器の外にある格納容器にまで達してしまった。そんなデブリの取り出しは世界に例がなく、極めて難しい。成功例が当てはまるとは到底思えない。

 加えて、スリーマイルでは仮とはいえ、搬出先が決まってから作業に入った。たとえ取り出せたとしても、置き場の決まっていない福島とは前提条件が全く異なっている。

 むしろ、旧ソ連のチェルノブイリ原発の事故対応の方が参考になるかもしれない。デブリは取り出さず原子炉建屋ごとコンクリートで覆う「石棺」で放射性物質の飛散を防いでいる。専門家の中には、この方法を勧める人もいる。

 51年までに廃炉を完了する方針は、事故発生から1年もたたないうちに決められた。国や東電は、その後の知見を踏まえつつ、デブリ取り出しが進まない現状に誠実に向き合うべきだ。計画を練り直さなければならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月18日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・11.18】:著名人の墓も…

2024-11-19 07:00:35 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【天風録・11.18】:著名人の墓も…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.18】:著名人の墓も…

 岡山県出身の画家・詩人、竹久夢二はことしが生誕140年、没後90年にあたる。記念展が多く開かれているが、来週から岡山市の吉備路文学館でも。チラシを見てこの夏、東京に墓を訪ねたことを思い出した

 ▲たくさんの花が手向けられていた。黒っぽい自然石に「竹久夢二を埋む」と彫られた墓は大正ロマンを代表する人らしいたたずまいに思えた。開設150年の雑司ケ谷(ぞうしがや)霊園は著名人が数多く眠る。寂しくはなさそうだ

 ▲約10ヘクタールの広い霊園で訪れる人が多いのはやはり夏目漱石の堂々とした墓だろう。作家ではほかに小泉八雲や永井荷風、サトウハチローなど。さらにジョン万次郎、江戸家猫八の墓も。ところが時代は変わってきたようだ。著名人でも姿を消す墓が少なくないという

 ▲「高野聖」など幻想文学で知られる泉鏡花も。管理してきた縁者が高齢となり、永代供養して墓を残してくれる寺に移した。浜田市出身の劇作家島村抱月も霊園に眠っていたが、今はない。分骨された墓が故郷に残る▲少子化など社会変化を背景に、増えている墓じまい。名を残した人でも例外でないらしい。ファンとしては墓が「健在」のうちに訪ね、手を合わせておかなくては。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年11月18日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.17】:日中首脳会談 対話重ね相互理解深めよ

2024-11-19 07:00:30 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説・11.17】:日中首脳会談 対話重ね相互理解深めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.17】:日中首脳会談 対話重ね相互理解深めよ 

 石破茂首相は日本時間のきのう、南米ペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初会談した。戦略的互恵関係の包括的な推進と、建設的かつ安定的な関係を構築する方向性を確認した。約35分間と短かったが、まずは両トップが対面し意見交換した意義を認めたい。

 米国の次期大統領に決まったトランプ氏は対中強硬姿勢を鮮明にし、関税を大幅に引き上げる考えを示している。国務長官には強硬派のマルコ・ルビオ上院議員を起用すると発表した。

 世界の大国である米中の関係が悪化すれば、各国に不安が広がる。双方と関係が深い日本は日中間の関係改善に加え、米中両国を取り持つ役割で国際社会の期待に応えるべきだ。今回の会談をその第一歩にしたい。習氏と今後も会談を重ねる方針で一致したことは、一定の成果だろう。

 戦略的互恵関係とは、日中両国がアジアと世界に対して厳粛な責任を負うとの認識の下、アジアと世界に共に貢献する中で、互いに共通の利益を拡大していくという考え方である。最大の共通利益の一つは無用な衝突、特に軍事衝突を避けることに違いない。

 そのためには、さまざまな形で相互に理解を深める努力が不可欠だろう。会談で申し合わせた通り、外相の相互往来や閣僚級の「日中ハイレベル人的・文化交流対話」「日中ハイレベル経済対話」を確実に実現してほしい。

 日中関係は冷え込みが続いていた。中国は日本の領海や領空への侵犯を繰り返し、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、日本産水産物の輸入を全面停止した。日本も南西諸島のミサイル配備など防衛力を強化してきた。両国間で不信が増幅し、悪循環に陥っている面があった。

 今回の会談で石破首相は、中国の活発な軍事活動に対する懸念を伝え、日本人学校の児童の刺殺事件などを受けて邦人の安全確保を求めた。互いに言うべきことを言える関係が重要である。

 中国は、日本との関係を悪化させたくない状況だろう。国内経済の不振は深刻で、デフレの懸念が強まっている。トランプ氏が米大統領に就任すれば、輸出の環境もさらに悪化すると思われる。

 習氏は「中日関係は改善と発展という重要な段階にある」と述べた。9月に合意した日本産水産物の輸入再開も「きちんと実施する」と確認した。関係改善の好機と受け止めたい。

 とはいえ、習氏は中国共産党総書記として3期目入りを決めた2年前の党大会で台湾統一を目標に掲げ「武力行使の放棄は約束しない」と明言。今年10月には台湾を包囲する海空域で軍事演習をした。危機が近くにある状況に変わりはない。

 石破首相は日中首脳会談に先立ち、米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領とも会談し、安全保障分野などでの協力を調整する事務局組織の新設で合意した。独自の対話チャンネルを重層的にしつつ、関係各国と連携するバランス感覚が求められる。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月17日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・11.17】:コアラ40年と温暖化

2024-11-19 07:00:25 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【天風録・11.17】:コアラ40年と温暖化

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.17】:コアラ40年と温暖化

 カープの鬼門とされる中日の本拠地に出没する球団マスコットがドアラだ。名物のバック転などファンサービスに感心してきたが、元祖の珍獣コアラは見たことがなかった。名古屋市の東山動植物園を先週訪れ、対面した

 ▲ふかふかの耳に丸い目。親善のためオーストラリアから初代の2頭が来園して40年、今は11頭がいる。日中の大半は寝るらしいがユーカリをもぐもぐ食べたり、木々を歩いたりと意外に活発だ。動くたび歓声が上がる

 ▲歴代飼育員の苦労のおかげだろう。ここで生まれた38頭が元気に育ち、各地の園にも旅立った。欠かせないユーカリの安定栽培も確立し、東山ファミリーは種の保存では優等生なのだが

 ▲母国ではコアラ絶滅の危機が深刻さを増す。今は30万頭以下と、40年のスパンならほぼ半減。地球温暖化による干ばつ、山火事ですみかの森が失われたのも大きな要因だ。愛らしい姿を生で見て、何とかせねばと思う

 ▲気候変動はでっち上げ、と言い張るトランプ氏の米大統領返り咲きはコアラにも心配の種だろう。開催中の温暖化対策の世界会議も気勢が上がらない。もう人間様にはサービスするものかと珍獣たちは思い始めるかもしれない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年11月17日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.16】:少数与党時代 熟議で政策の合意点探れ

2024-11-19 07:00:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.16】:少数与党時代 熟議で政策の合意点探れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.16】:少数与党時代 熟議で政策の合意点探れ

 与野党間の議論を通じて一致点を見いだす。そんな民主主義の原点ともいうべき政治の在り方を構築できるかどうかの分岐点にある。

 衆院選の結果を受け、国会は「自民1強体制」から様変わりした。衆院に17ある常任委員長のうち7が野党に配分され、野党第1党の立憲民主党が国会論戦をリードする予算委員長のポストを握った。

 少数与党となった自民、公明両党は国民民主党との政策協議を通じ、多数派を形成したい意向だ。だが、他の野党からも幅広く意見を聞き、政策の合意点を探る謙虚な姿勢が求められる。

 与野党の間では、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の見直しが主要テーマに浮上する。国民民主党が非課税枠の178万円への引き上げを求めているからだ。

 ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除とともに、臨時国会で政府の経済対策の裏付けとなる補正予算案に賛成する事実上の条件となっている。臨時国会は28日召集の予定で、「自公国」の枠組みによる政策責任者の協議が始まっている。

 「手取りを増やす」を掲げた国民民主党の議席伸長を見れば引き上げは必要だろう。主張通り改めれば税収は76千億円減る。地方分は半分超の4兆円と見込まれ、影響は大きい。勤務先企業の規模などに応じ社会保険料がかかる「106万円の壁」と「130万円の壁」もある。

 これらの課題をどう乗り越えるのか。仮に自公国の合意案で押し切るようであれば政権維持や人気取りのための密室協議に過ぎない。有権者の理解は得られず、石破政権は行き詰まるはずだ。

 野党の見識と力量も問われよう。立憲民主党は「130万円の壁」に焦点を絞り、保険料負担に伴う収入減を給付金で埋める制度を設ける法案を衆院に提出した。この対案には、国会改革を進める狙いもありそうだ。

 これまで法案や予算案は与党が事前審査し、国会に提出して審議日程さえこなせば、ほぼ原案通り可決、成立できた。野党の提出法案はたなざらしのままだった。国会を経ることなく内閣で使途を決める予備費の乱用も同様だ。第2次安倍政権以降は顕著で、国会審議の空洞化を招いた。

 今後は政府、野党双方の法案を審議し、合意形成に向けて議論を重ねる「熟議」と「プロセスの可視化」の国会運営が求められる。税制や社会保障制度などを巡っては委員会や本会議に舞台を限らないケースがあろう。その場合も議論の結果を逐次、説明する必要がある。

 実現可能性や持続可能性も重要な論点になる。合意形成の主役は実は野党なのかもしれない。法案や予算案に幅広い民意を反映させる立法府の使命を取り戻すべきだ。

 石破茂首相は、第2次石破内閣発足を受けた記者会見で、少数与党に関して「ある意味で、こういう状況は民主主義にとって望ましいことかもしれない」と述べた。その言葉を忘れてはならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月16日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・11.16】:警察は必ず捕まえます

2024-11-19 07:00:15 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【天風録・11.16】:警察は必ず捕まえます

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.16】:警察は必ず捕まえます

 情報を伝えるすべの乏しい江戸時代、重宝したのは高札(こうさつ)だった。街道筋や四つ辻(つじ)に立てた掲示板である。幕府の決まりやキリシタン禁令と並び、放火や人殺し、盗みなどの悪行を戒めるお触れもあった

 ▲SNS全盛の令和時代ならではの高札だろう。相次ぐ「闇バイト」事件にしびれを切らし、警察庁がX(旧ツイッター)に「警告文」を掲げた。〈警察は必ず捕まえます。逃げることはできません〉。宣戦布告らしい

 ▲令和の高札には併せて、人生を棒に振る手前で引き返し、警察を頼ってきたケースも並べている。相談電話「#9110」などを通じ、既に50件近い保護に成功しているという

 ▲啓発なのだろう。捨て駒として泥沼に引き込む黒幕の手口も紹介している。啓発という語の由来が「論語」にある。「子曰(しいわ)く、憤せずんば啓せず。悱(ひ)せずんば発せず」。知りたくてうずうずし、うまく言い表せずに心がむずむずしている相手でないと、言葉を発するものか―と。今や、遅いくらいかもしれない

 ▲むしろ捨て駒の予備軍が知りたいのは、人から感謝されながら働ける「光バイト」の情報ではないか。警察任せにせず、私たち社会の担い手にもできることはある。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年11月16日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:働く高齢者の年金減「緩和」へ ■人手不足対策で

2024-11-19 06:10:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:働く高齢者の年金減「緩和」へ ■人手不足対策で

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:働く高齢者の年金減「緩和」へ ■人手不足対策で 

 厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」を見直し、対象を縮小する方向で調整に入った。働きながら年金を満額受け取れる高齢者が増える。「働き損」を解消して就労を促し、人手不足の緩和につなげる。現在は賃金と年金の合計が月50万円(基準額)を上回った分の半額を減らす仕組み。この基準額を62万円や71万円に引き上げる案を軸とする。与党との協議も経て年末までに決める。関係者が18日、明らかにした。

 厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関
厚労省
 在職老齢年金の基準額(イメージ)
 在職老齢年金の基準額(イメージ)

 支給額が膨らみ年金財政に影響するため、現役世代に当たる高所得の会社員らの保険料負担を増やす案も検討する。減額を完全になくす案も協議するが、徴収する保険料を大幅に増やす必要がある。保険料を折半する会社員と企業の反発を考慮して見送る方向だ。来年の通常国会への関連法案提出を目指す。

 2022年度末時点で、働きながら年金を受給する65歳以上は約308万人。うち約50万人が当時の基準額(47万円)を超えていた。減らした総額は年間4千億円以上だった。就労意欲を阻害しているとの指摘があった。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」を見直し、対象を縮小する方向で調整に入った】  2024年11月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察】:「ヤバい政治家が生き残る」再選の斎藤元彦氏と“スキャンダル”政治家の共通点に「危険」の声

2024-11-19 06:10:00 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【考察】:【考察】:「ヤバい政治家が生き残る」再選の斎藤元彦氏と“スキャンダル”政治家の共通点に「危険」の声

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察】:【考察】:「ヤバい政治家が生き残る」再選の斎藤元彦氏と“スキャンダル”政治家の共通点に「危険」の声

 11月17日、前知事の失職に伴う兵庫県知事選の投開票が行われ、斎藤元彦前知事(47)が当選を果たした。

 ■ 【写真あり】斎藤氏と似ている?“スキャンダル”政治家

 斎藤元彦氏(47)に逆風吹き荒れる選挙戦。大方の予想は斎藤氏の対抗馬として出馬した元尼崎市長・稲村和美氏(52)の圧勝だったのだが、

 「まさかの逆転勝利でした。斎藤氏が110万票あまりを獲得して再選。稲村氏を含む新人6人を破って2回目の当選となったのです。知事選の投票率は55.65%、前回を14.55ポイント上回る注目を集めた選挙となりました。SNSを駆使して応援の輪を広げたことが勝因のひとつとされています」<button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">斎藤元彦氏のXより</button>

斎藤元彦氏のXより(WEB女性自身)

 この結果に、ネットでは斎藤氏と“とある政治家”の共通点を指摘する声が多数あがった。

《トランプと斎藤ってちょっと共通点あるみたいな感じだな…》

《斎藤元彦氏の熱烈な支持者と、トランプの支持者には深いところで共通点がある気がする》

《アメリカでもトランプ再選だし、ヤバい政治家が生き残るんだなぁ》

《アメリカファースト、兵庫ファースト。これが国民の選択なら選べる》

《まさにトランプ大統領のように、国民の意見が反映された民意が勝った選挙だろう》

《ハリスが良いのではない、稲村さんが良いのではない、トランプが危険で斎藤氏がそら恐ろしいのだ》

 全国紙社会部記者もこう話す。

 「確かに斎藤氏とアメリカ大統領になったドナルド・トランプ氏(78)の選挙戦の勝ち方が似ていると思います。まず、ともに事前予想では下馬評では負けが濃厚とみられていたこと。そして、SNS戦略が功を奏したのも共通点と言えるでしょう。さらに2人には“カゲ”の部分もあるわけで……」

 そもそも、斎藤氏の失職の原因は内部告発文書問題だった。

 今年3月、元県西播磨県民局長の男性(当時60)が斎藤氏のパワハラ行為などを告発。すると斎藤氏は公益通報の調査結果を待たずに男性を停職3か月の懲戒処分に。これが問題視された。

 「県議会は6月、調査特別委員会(百条委員会)を設置。真相を明らかにしようとしましたが、7月に元局長の男性が亡くなってしまいます。その後、9月に県議会が全会一致で不信任を決議され、斎藤氏は知事の職を失職しました。

 今回再選はしましたが、まだ内部告発文書問題の疑惑は晴れていません。百条委員会は兵庫県職員約9700人にアンケートを実施。斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した職員が4割を超えたという結果が出ています」(前出・社会部記者)

 一方、トランプ氏は元不倫相手への口止め料、機密持ち出しなど主に4つの事案で連邦捜査局(FBI)の捜査を受けているなど、スキャンダルまみれの政治家。数々の疑惑は未解決のままアメリカ大統領選に突入し当選した。

 疑惑の政治家がともに“民意を得た”ということになる。そんな中、百条委員会は25日に行われる証人喚問に斎藤氏を呼ぶとみられており……疑惑の究明は続く――。

 元稿:光文社 主要出版物 女性自身 社会 【話題・兵庫県知事選・ネットでは斎藤氏と“とある政治家”の共通点を指摘する声】  2024年11月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.18】:医師の偏在 是正へ実効性ある対策を

2024-11-19 06:03:20 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説・11.18】:医師の偏在 是正へ実効性ある対策を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.18】:医師の偏在 是正へ実効性ある対策を 

 医師が都市部に著しく偏在している。過疎化が進む地域との格差をできる限り小さくする必要がある。

 全国の医師数は毎年増え続けている。人口10万人当たりの数は1990年の171・3人に対し、2022年は274・7人となった。

 同じ都道府県内でも、病院や診療所が多い県庁所在地や大都市に偏る傾向がある。

 厚生労働省が1月に公表した都道府県別の偏在指標によると、福岡県は東京都、京都府に次いで医師が相対的に集中している。一般的な入院治療に対応する圏域(2次医療圏)でみると、福岡県東部の京築医療圏は全国330医療圏の下位に位置する。

 診療科にも偏りがある。産婦人科や脳神経外科のように時間外勤務が多くなりがちな専門科は、医師数の増加幅が小さい。地域によっては住民の受診や救急医療に支障を来している。

 こうした地域の医療現場は限られた医師の長時間労働によって支えられた面がある。4月から勤務医にも残業規制が適用されたため、いつまでも使命感に頼ることはできなくなった。偏在対策を急がなくてはならない。

 政府はいくつかの施策を講じてきた。08年度から大学医学部の定員増に合わせ「地域枠」を設けた。都道府県が学生に奨学金を貸与し、一定期間に医師不足の地域で働けば返還を免除する。

 医師が少ない地域で勤務した医師を厚労省が認定する制度も導入した。認定された医師には、地域医療支援病院の管理者になれるなどの特典を付けた。

 これらの施策だけでは現状打開に至っていない。政府は偏在を是正するための対策推進本部を設け、総合的な対策パッケージを年内にまとめる方針だ。

 最大の焦点は、診療科や勤務地、開業について規制を加えるかどうかである。従来のように医師が自由に選択していては、偏在が深刻になる恐れがあるからだ。

 厚労省は、外来診療を担う医師が多い地域で開業を許可制とし、開業の上限を定める案を示している。憲法が保障する職業選択の自由や、既存の開業医との公平性を考慮すると実現には課題が多い。

 財務省は医師の地方誘導策として、全国一律の診療報酬の見直しを提案している。医師が多い地域で単価を下げ、不足する地域で引き上げる内容だ。これには日本医師会が強く反発している。

 医師の偏在は国民の生命に関わる問題だ。それだけではない。地域の持続可能性にも影響する。

 九州には医師が常駐していない山間地、産科医がいない離島がいくつもある。病院の存廃問題もあり、過疎地の医療は危機的だ。

 どこに住んでいても、誰もが一定の医療を受けられるように、効果のある偏在対策を速やかに実行してほしい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月18日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.17】:地方創生再起動 まず集権的発想を改めよ

2024-11-19 06:03:10 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説・11.17】:地方創生再起動 まず集権的発想を改めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.17】:地方創生再起動 まず集権的発想を改めよ 

 この10年で地方創生のスローガンは色あせた。これまでと同じ手法で再起動しても、成果は期待できない。

 石破茂首相は、今後10年間に取り組む地方創生の基本構想を策定する「新しい地方経済・生活環境創生本部」を内閣官房に設置した。内閣の最重要課題とあって、全閣僚が名を連ねる。

 首相が初代担当相に就いた2014年以降、国は地方創生で思い描いた成果を上げられなかった。とりわけ人口の東京一極集中には歯止めがかからない状況が続く。

 再起動するなら、失敗の原因や教訓を整理した上で本部を発足させ、新しい戦略に着手するのが当然だろう。

 残念ながら、過去10年の総括は十分にできていないようだ。本部初会合で首相は「反省をきちんとしないと展望はない」と述べた程度で、具体的に語らなかった。

 今後は有識者を交えて、新たな地方創生の「基本的考え方」を年内にまとめる。

 初会合では5項目のポイントが示された。(1)安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生(2)東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散(3)付加価値創出型の新しい地方経済の創生-などだ。

 これでは過去の延長線の印象しか持てない。地方創生全体の目標も曖昧である。

 甚だ疑問なのは、新たな地方創生の目標や手段が決まらないうちに、地方に配る交付金を増やす方針が決まっていることだ。当初予算ベースで倍増するという。

 しかも年内にまとめる経済対策に絡め、前倒しで支出すると首相は明言している。その対象は地場産業から医療、介護、交通、デジタル化などあらゆる分野が想定されているようだ。

 10年前、地方創生の事業に数値目標を設定し、検証を強く求めたのは首相である。政策効果を検証できない支出が増えるなら「ばらまき」の批判は免れない。

 地方創生の手段も従来と変わらない。今回もまた「好事例の横展開」を始めようとしている。ある地域のうまくいった取り組みを他地域に展開すれば、日本中が良くなるという考えだ。

 ここに地方創生の限界を見る。国の価値観で地方を画一的に捉えるのは、まさに中央集権的な発想である。

 評価される取り組みは、その地域に暮らす人々と風土の上に成り立つ。試行錯誤の末に実を結んだ事例もあるだろう。どこにでも簡単に移植できるわけではない。

 地方の暮らしやなりわいの将来像は自治体や住民、事業者が主体的に考えることだ。地方自治を尊重する理念を地方創生に求めたい。

 国が好事例の収集よりも力を入れるべきは、規制の見直しや財政支援をはじめ、地方が創意工夫を発揮しやすい環境をつくることである。国は国にしかできないことに徹すべきだ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月17日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.19】:斎藤県政再始動/政策推進へ対話と協調を

2024-11-19 06:00:30 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説・11.19】:斎藤県政再始動/政策推進へ対話と協調を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.19】:斎藤県政再始動/政策推進へ対話と協調を 

 「知事の資質」が大きな争点となった兵庫県知事選で、県民は再び前職の斎藤元彦氏を選んだ。きょう2期目が始動するが、県政は半年以上にわたり停滞している。斎藤氏には全会一致で不信任を突きつけた県議会や県職員との関係再構築など、解決すべき課題が山積する。

 斎藤氏のパワハラ疑惑などを告発した文書問題に関する県議会の調査特別委員会(百条委員会)と、弁護士でつくる第三者委員会による調査は継続しており、疑惑の解明は途上にある。斎藤氏が検証を受ける立場に変わりはなく、安定した県政運営ができるかは不透明だ。

 斎藤氏は街頭演説で、議会や職員との関係について「多くの方々と対話を重ね、謙虚な気持ちで出直したい」と強調した。当選後も、報道各社の取材に「仕事を通じて人間関係や信頼関係をもう一度つくる」と最優先課題に挙げた。その言葉を実践し、大きく揺らいだ県政への信頼を取り戻す責任がある。

 斎藤氏が失職に至った問題は、告発文書への対応に端を発した。県は公益通報の結果を待たず、内部調査で告発者を懲戒処分にした。斎藤氏は百条委で職員からパワハラなどが疑われる行為を証言され、文書を公益通報と扱わなかった違法性を専門家から指摘された。斎藤氏は「真実相当性がなく、公益通報には当たらない」と正当性を主張してきた。

 文書問題で深刻な不信を招きながらも再選を果たせたのは、改革に取り組む姿勢や政策が県民から一定の評価を得たのも要因だろう。 

 神戸新聞社が投票した人に実施した出口調査では、重視した点は「政策や公約」が最も多く、「文書問題への対応」は4番目にとどまった。斎藤県政の3年間については「大いに」「ある程度」を含め「評価する」が計7割超に達した。年代別では、10~50代でそれぞれ5割以上が斎藤氏を支持した。

 県民の期待に応え、政策を着実に遂行していくには、県職員らとの対話と協調が欠かせない。 

 斎藤氏は3年前の知事就任時、県庁組織の意識改革へ「ボトムアップ型県政」を掲げた。しかし実態は、斎藤氏が宮城県庁在籍時に交流があった片山安孝元副知事ら「身内」を重用した側近政治の色合いが濃かった。斎藤氏は出直しの機会を得たからには、県庁内の異論や多様な意見にも耳を傾け、組織風土の改革を進める必要がある。

 来年度予算の編成が迫り、副知事をはじめとする人事にも注目が集まる。斎藤氏は、自身に厳しい目を向けた県議会や県内市町の首長らとの溝を埋める努力も重ね、混乱の早期収束に尽くさねばならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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