路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《社説①・12.19》:エネルギー計画 原発提言を堅持すべきだ

2024-12-19 09:31:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

《社説①・12.19》:エネルギー計画 原発提言を堅持すべきだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.19》:エネルギー計画 原発提言を堅持すべきだ 

 経済産業省が「エネルギー基本計画」の原案を明らかにした。

 2011年の福島第1原発事故以降の計画で明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との文言を削除し、原発回帰の姿勢を鮮明にした。

 計画は国のエネルギー政策の中長期的な方向を示す。3年ごとに改定を重ねている。来年2月ごろの閣議決定を目指すという。

 原発依存度の低減は、その危険性があらわとなった福島事故の教訓を踏まえた大方針である。国民的な議論もなく転換に踏み切ることは認められない。堅持するよう改めて政府に求める。

 原案は40年度の電力需要について、データセンターや半導体工場の建設に伴い23年度と比べ約1・2倍に増えると推計。これを賄うため「特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成を目指す」とした。

 40年度の電源構成の想定は、原発を2割程度としたほか、再生可能エネルギーを4~5割、火力を3~4割程度としている。

 うかがえるのは、デジタル化によって増える需要を脱炭素と両立しながらカバーするには再エネを増やすだけでは不十分で、原発が必要だとする論理だ。

 だが、デジタル化にはエネルギー効率が向上して省エネになる面もある。電力需要にどう影響してくるかは不透明とも指摘されている。電気をどんどん使う将来を描くだけでなく、省エネに力を入れる発想が重要ではないか。

 23年度の原発の割合は8・5%。2割とするには30基弱の稼働が必要となるが、福島事故後、再稼働したのは14基にとどまる。周辺住民の不安はなお大きい。

 原案には建て替えの推進も盛り込んだ。同じ原発の敷地内に限定していたのを、同じ電力会社なら別の原発敷地にも建設できるよう要件を緩和するという。

 原発の建設には20年はかかる。地域住民の理解を得ていく過程なども考えると、さらに要するだろう。緊急性の高い脱炭素に役立つとはとても思えない。

 再エネは23年度の22・9%から倍増方針だが、現行計画にある「最優先で取り組む」との文言が消えた。無理筋の原発に力が割かれ、大胆に拡大すべき再エネの取り組みが停滞する恐れもある。

 計画を議論した経産省の調査会は経済界や原発関連の有識者が多く、原発に批判的な人や再エネ重視の人の意見は十分に反映されなかった。もっと幅広い見解を蓄えて、議論をやり直すべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・12.19》:NHK議事録公表 自ら検証する責任果たせ

2024-12-19 09:31:40 | 【新聞社・報道・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌・世論調査】

《社説②・12.19》:NHK議事録公表 自ら検証する責任果たせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.19》:NHK議事録公表 自ら検証する責任果たせ 

 6年を経てようやくNHKが経営委員会の議事録を公表した。公共放送の根幹を揺るがす番組制作への介入について、NHKは自ら徹底して検証する責任を果たさなければならない。

 かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組をめぐり、2018年に経営委が会長を厳重注意した問題だ。元職員らが議事録の開示を求めた裁判で和解が成立し、ホームページで一般に公開した。

 日本郵政グループ側から抗議を受けた経営委が、その意を体するように番組の制作に介入した。会長は事実上の謝罪文を郵政側に届け、続編の放送は延期された。

 経営委はNHKの最高意思決定機関として、会長をはじめ執行部を監督する権限を持つ。ただし、個別の番組に干渉することを放送法は明確に禁じている。

 放送による言論・表現の自由を確保するため、番組制作を担う現場の自主自律は何よりも重んじられなければならない。権限を逸脱し、現場を威圧した経営委は重大な責任を免れない。

 放送法はまた、経営委の議事録を遅滞なく公表することを義務づけている。にもかかわらず、公表しない前提だったとする内輪の申し合わせを盾に、断片的な議事概要を示すにとどめた。

 強い権限を持つ経営委の議論と判断には透明性が欠かせない。第三者委員会は繰り返し、全面開示の答申を出していた。それでもなお議事録の公開を拒んだ経営委の姿勢は、放送法をないがしろにしたと言うほかない。

 NHKは情報開示の請求に応じる形で、発言の「粗起こし」とする文書を21年に開示したものの、手続きを踏んだ議事録ではないとして、一般には公表してこなかった。裁判は、録音データの開示を命じた東京地裁の判決に対し、NHK側が控訴していた。

 会長への厳重注意を主導したのは、当時の石原進委員長と森下俊三委員長代行だ。とりわけ森下氏は、「取材が極めて稚拙」「作り方に問題がある」といった番組批判の発言を重ねている。

 制作現場への不当な介入によって公共放送の自主自律が揺らぐことは、知る権利を脅かし、民主主義の基盤を危うくする。森下氏らが既に退任したからといって、終わったことにはできない。

 経営委の誤りを検証し、視聴者に明らかにすることは、NHKの責務だ。この上、頬かむりを続けるなら、放送界が設けた「放送倫理・番組向上機構(BPO)」が役割を果たす必要がある。 

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《斜面・12.19》:雑談力

2024-12-19 09:31:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

《斜面・12.19》:雑談力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《斜面・12.19》:雑談力

 〈不器用ですから〉。高倉健さんがあの声で言う。

 新米記者だった1980年代にはやったCMのセリフだ。

 軽薄な時流から離れ、言葉少なで実直な健さんは格好良かった。

 「不器用ですから」。そう唱えると失敗も開き直れたものだ

 ◆無口で社交的でない個性が軽んじられる世情になっていないか。

 「雑談力」という言葉を聞くとそう思う。交渉や営業に役立ちます、対人関係がよくなります―。雑談技術を授ける指南書も数多い。図書館で調べると、今世紀に入って蔵書が増えている

 ◆ここで「斜面」の筆者は斜めから「ちょっと待って」と言いたくなる。「~力」というからには、

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 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【斜面】  2024年12月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.19】:エネ基本計画 「原発依存」は続かない

2024-12-19 07:41:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①・12.19】:エネ基本計画 「原発依存」は続かない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.19】:エネ基本計画 「原発依存」は続かない

 第7次エネルギー基本計画の原案から、福島第1原発事故以来の「原発依存度を可能な限り低減する」との表現が消えた。岸田文雄前内閣が「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」で示した「原発の最大限活用」を踏襲した形だが、「脱原発依存」の看板を下ろすのは、福島の教訓を忘れ去るということだ。
 
 国のエネルギー政策の指針となる基本計画は、おおむね3年ごとに改定される。2040年度の電源構成比をどうするかを中心に、議論が進められてきた。
 
 福島の事故後、14年の第4次計画では「福島の復興・再生をエネルギー政策を再構築するための出発点」と位置付け「原発依存度は可能な限り低減させる」と明記した。21年の第6次に至るまで、この方針は守られてきた。ところが前政権は、脱炭素などを名目に原発の「最大限活用」に大転換。新増設の推進にまで踏み込んだ。
 そして今回、人工知能(AI)の急拡大に伴って電力需要の急増が見込まれるとする経済界の提言なども入れ、「脱原発依存」の表現を削除し、脱炭素電源として「最大限活用する」と明記。40年度の発電量に占める割合を2割程度(23年度実績は8・5%)に保つとしている。
 だが、原発回帰は現実的な解決策とは言い難い。まず、安全対策の必要性から新型原発の建設コストは高騰している。経済産業省は新増設の費用を確保するため、電気料金に上乗せできる制度を検討中のようだが、安易に消費者に負担を強いてはなるまい。
 能登半島地震では、避難計画の危うさが露呈したし、何より、核のごみの行き場が見つかる見通しがまるでない。脱炭素の名目も説得力が薄い。原発1基が稼働するには20年かかるため、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が求める「50年に二酸化炭素(CO2)実質ゼロ」には間に合わない可能性が高いからだ。こうした問題を残したまま、原発依存を続けていくのは無責任というほかない。
 
 一方、40年度の電源構成比の目標を4~5割程度に引き上げるとする再生可能エネルギーは、さらに「のびしろ」が見込める。洋上風力や地熱など日本の開発余地は大きい。AIを含め、省エネ化もさらに進展させられるはずだ。
 
 「脱原発依存」こそ原点だ。その方向性を変えるべきではない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  07:41:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.19】:対日感情の悪化 日中が相互理解深めて

2024-12-19 07:41:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②・12.19】:対日感情の悪化 日中が相互理解深めて

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.19】:対日感情の悪化 日中が相互理解深めて

 日中両国で実施された共同世論調査で、日本に「良くない印象を持っている」と答えた中国国民が昨年比24・8ポイント増の87・7%に上った=グラフ。中国での日本の存在感も急激に低下している。

 国際情勢の先行きに不透明感が増す中、隣国との関係改善は一層重要だ。両国間の往来と対話を重ね、相互理解を深めたい。
 
 
 世論調査は2005年、日本の民間非営利団体「言論NPO」と中国国際伝播(でんぱ)集団が始め、今年で20回目。両団体は日中の政財界人や有識者が一堂に会する「東京-北京フォーラム」を毎年主催するなど交流を深めており、厳しい世論に危機感を募らせている。
 日本政府が尖閣諸島を国有化した翌13年の調査で、中国の日本に対する「良くない印象」が92・8%とピークに達した後、観光で訪日する中国人が増え、対日感情は改善に向かっていた。
 日本側では中国に「良くない印象」との回答は13年以降90%前後で推移し、今年は89%だった。
 日中間では昨年8月以降だけでも東京電力福島第1原発の処理水放出、中国軍機による領空侵犯、中国内の日本人学校周辺での殺傷事件など双方の国民感情を逆なでする事案が相次いだ。
 中国政府が原発処理水を「核汚染水」と主張し続けた結果、中国内で主要な情報源となっているSNSやネット上には日本を中傷する投稿があふれ、反日意識をかき立てた可能性は否定できない。
 日中関係を「重要」と考える人は日本では67・1%に上るが、中国では今年、33・8ポイント減の26・3%にまで急落した。
 
 石破茂首相と習近平(しゅうきんぺい)国家主席は11月中旬に会談し、建設的かつ安定的な関係を構築することを確認した。今月4日のフォーラム開会式で岩屋毅外相は、中国政府が日本人の短期滞在ビザ免除を再開したことを評価。「日中関係は再び力強く進み始めた」と強調し、早期訪中にも意欲を示した。
 
 米中対立をあおるトランプ氏の米大統領返り咲きは、日中関係が改善に向かう転機となり得る。両国政府は国民感情の悪化に歯止めをかける契機とせねばならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  07:40:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗・12.19】:ホンダをつくる前、本田宗一郎さんが営んだ会社はトヨタの下請…

2024-12-19 07:41:30 | 【経済・産業・企業・関税・地球資源・IT・ベンチャー・起業・インバウンド】

【筆洗・12.19】:ホンダをつくる前、本田宗一郎さんが営んだ会社はトヨタの下請…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・12.19】:ホンダをつくる前、本田宗一郎さんが営んだ会社はトヨタの下請…

 ホンダをつくる前、本田宗一郎さんが営んだ会社はトヨタの下請けだった。浜松の東海精機重工業。エンジンのピストンリングを生産した
 
 ▼後にトヨタ中興の祖とも呼ばれる石田退三さんを取締役に迎え経営を学んだが、やがて全株式を売却して会社を手放した
 
 ▼トヨタ側とは意見の相違もあり「もうトヨタの指令を受けるのはいやだし、私は生ける屍(しかばね)になりたくない」と思ったそうだ。
 
 ホンダ設立は数年後。小さくとも自らの個性で引っ張れる会社がこの起業家には必要だったのだろう。伊丹敬之著『本田宗一郎 やってみもせんで、何がわかる』に教わった
 
 ▼思いを継いで自主独立の気風を誇った会社も大...、

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 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年12月19日  07:02:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.19】:エネルギー計画原案 原発回帰は現実的なのか

2024-12-19 07:00:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説・12.19】:エネルギー計画原案 原発回帰は現実的なのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.19】:エネルギー計画原案 原発回帰は現実的なのか 

 2011年の東京電力福島第1原発事故で得た教訓を放り出すつもりなのか。

 経済産業省がおととい、3年ぶりに改定するエネルギー基本計画の原案を有識者会議で示した。事故後、明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との表現を削除した。安易に原発回帰にかじを切らないよう国自ら戒めてきた文言だ。地震多発国のリスクをまたも軽視している。

 原発の建て替えを巡り、廃炉が決まった原発の敷地外でも建設できる方針を示したのも看過できない。事実上、新設容認に踏み込んだ。

 2年前に原発政策を大転換させた際、GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針で容認した「廃炉の敷地内」の制限を緩和することになる。九州電力が玄海原発12号機(佐賀県)の廃炉後、川内原発(鹿児島県)の敷地内に建設すると想定した動きである。

 原発の方向性は本来、国民的な議論を十分に踏まえて決めるものだ。原発推進派の委員が大半の有識者会議では、再生可能エネルギーの現状を的確に理解し、原発の負の側面を直視した議論ができるとは思えない。

 この原案の延長上では、将来に禍根を残しかねない。政府は来年2月の閣議決定を目指すというが、議論の在り方を含めて再考すべきだ。

 電力の安定供給を掲げて原発回帰を鮮明にした基本計画原案は、そもそも現実的なのだろうか。40年度の発電量に占める割合は原発が2割程度、再生可能エネルギーは45割程度、火力は34割程度とした。2割程度にするには、既にある36基をほぼ動かす必要があるが、福島の事故後に再稼働できたのは14基に過ぎない。23年度の原発の割合は85%にとどまる。

 再稼働は原子力規制委員会の審査や安全対策を徹底し、地元の同意がなければ進められないのは当然である。時間がかかり、加速は無理だろう。国民の懸念を解消できていないからだ。

 これまで原発はコストが低く、経済性に優れるとしてきたが、冷静に見極めねばならない。経産省による40年の発電コストの試算で、原発は安全対策費が膨らみ、太陽光など再生エネとそう変わらない。しかも近年、建設費は高騰し、始まったばかりの福島第1原発の廃炉費用も見通せない。試算が楽観的過ぎる。

 安全対策を徹底した上での再稼働や、まして建て替えや新設の巨額投資に大手電力会社が耐えられないのが現実だ。政府は建設費を電気料金に上乗せできる制度を視野に入れる。国民負担を増やす政策であり、熟議が要る。

 説明が不十分なまま、原案は再生エネと原子力をともに「最大限活用」すべきだとし、二つの選択肢を同等に追う姿勢を示した。理解し難い。

 今回、最も議論すべきは、気候変動対策の国際的な責任として石炭火力の削減と、脱炭素の王道である再生エネをどう増やすかのビジョンと具体策である。原発に固執するあまり、危機感のない基本計画であってはならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【天風録・12.19】:ホンダと日産

2024-12-19 07:00:40 | 【経済・産業・企業・関税・地球資源・IT・ベンチャー・起業・インバウンド】

【天風録・12.19】:ホンダと日産

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.19】:ホンダと日産

 「田舎のベンツ」とも呼ばれる、日本生まれの軽トラが欧米で人気を集めている。円安でお値頃の上、小回りが利き、燃費のよさも好評らしい。海外のクルマ市場には、まだまだニーズが眠っているのだろう

 ▲ただ、売れ筋の潮目はおいそれと読めない。14年前、世界初の量産型電気自動車を発売したのは日産である。当時、カルロス・ゴーン社長は「盟主」気取りだった。その売れ行きも今や減速し、日産は従業員9千人削減を余儀なくされる苦境にある

 ▲背水の陣から活路を見いだす一策だろうか。ホンダとの経営統合について、日産が検討していることが明らかになった。きのう日産の株価は値幅制限いっぱいまで上がった。重荷になると受け止められたのか、逆にホンダ株は下げた

 ▲成案を得て、相乗効果を生むまで壁は高かろう。何より企業風土が違う。ホンダは、夢を原動力にした創業者本田宗一郎譲りの独創性にこだわる。その「らしさ」を愛好者も買うのでは

 ▲ゴーン氏の報酬隠しと国外逃亡で、日産ブランドは深く傷ついた。「技術の日産」と褒めそやされた栄光の日々も今は昔のようだ。「らしさ」は何なのか。原点を見つめ直す好機でもあるのだろう。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年12月19日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【社説・12.19】:高額療養費制度 負担増でも趣旨損なうな

2024-12-19 06:05:30 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説・12.19】:高額療養費制度 負担増でも趣旨損なうな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.19】:高額療養費制度 負担増でも趣旨損なうな 

 医療費の自己負担を抑える高額療養費制度について、厚生労働省は見直しを検討している。負担額の上限を引き上げる見通しだ。

 高額療養費制度は、誰もがためらわずに必要な医療を受けるためのセーフティーネットである。その趣旨を損なってはならない。

 1973年の制度創設から何度も見直されているが、今回は大きな改正となる。

 現行は世帯年収に応じ、70歳未満で5通り、70歳以上で6通りの上限額が設定されている。医療機関や薬局への1カ月の支払いが上限額を超えた場合、申請すれば超過額が払い戻される。

 70歳未満の平均的な年収区分(370万~770万円)では、月100万円の医療費に対する上限額は8万7430円となっている。

 厚労省案は平均的な年収区分の上限額を10%、8千円程度引き上げる方向で、与党と調整して決定する。

 住民税非課税の低所得世帯の引き上げは2・7%にとどめ、年収が多い世帯の上げ幅を最大15%とする。

 70歳以上で年収370万円を下回る人の外来受診は、自己負担額をさらに低くする特例がある。厚労省はこの見直しも進めている。

 実施するのは2025年夏以降で、26年度に年収区分を細分化する方針のようだ。

 高齢化が進み、医療費の総額は膨らんでいる。患者の支払いを増やして公的医療保険からの給付を抑え、現役世代の保険料負担を軽減するのが見直しの目的だ。

 政府が昨年12月に閣議決定した「こども未来戦略」で、少子化対策の財源の一つとして高額療養費制度の上限額見直しを挙げた経緯もある。

 世帯収入に応じて負担を分かち合う措置はやむを得ないだろう。

 ただし自己負担の増額を心配する患者が受診を控え、命に関わるようなことになってはならない。特に低所得世帯には配慮が必要だ。

 医療の発達とともに、高額な医薬品の普及が制度の重しになっていることも議論を呼んでいる。

 高額療養費1件当たりの平均額は、16年度の4万1767円から21年度は4万5923円に増え、支給総額の規模は2兆5600億円から2兆8500億円に伸びた。

 14年にがん免疫治療薬「オプジーボ」が、最近ではアルツハイマー病の症状の進行を遅らせる新薬「レカネマブ」や「ドナネマブ」が保険適用された。

 こうした薬は患者に恩恵をもたらす。一方で医療保険財政を圧迫しているという意見もある。

 患者や家族は、効果がある新しい治療法を待ち望んでいる。所得にかかわらず、適切な医療を選択できることが大前提だ。医療保険の持続性を高めるためにも、負担のバランスが取れた制度設計に工夫を凝らしたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  06:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.19】:続く金融不祥事/職場のモラル回復を急げ

2024-12-19 06:00:50 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説・12.19】:続く金融不祥事/職場のモラル回復を急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.19】:続く金融不祥事/職場のモラル回復を急げ 

 名だたる企業の社員が顧客の資産を盗み、命まで奪おうとする-。

 信じ難い不祥事が金融機関で相次いでいる。三菱UFJ銀行では、顧客の貸金庫から行員が金品を繰り返し盗んだ。野村証券では、社員が顧客の自宅で現金を奪い放火した。

 多数の顧客の金銭を扱う金融機関で働く人には、高い水準のモラルやコンプライアンス(法令順守)が求められる。その大前提を踏みにじる悪質な行為だ。情報開示も後手に回り、利用者の不安と不信に真摯(しんし)に向き合う姿勢が見られない。

 再発防止には研修・教育も重要だが、社員は不祥事に手を染めないとする性善説では防げない。抜け穴があれば犯罪を誘発するとの前提に立ち、管理体制や営業手法を全面的に見直してもらいたい。

 三菱UFJ銀の事案は、11月22日に同行が公表した。店頭業務責任者の行員は東京都内の2支店で約4年半も窃盗を続け懲戒解雇となった。被害額は時価十数億円に上るとされるがさらに膨らむ可能性がある。

 貸金庫の管理業務はこの行員に集中し、支店内に予備の合鍵もあったという。悪意があれば不正は容易な環境と言える。多くの金融機関が貸金庫を設けており、警察と連携して不正の詳細を調べるとともに、管理者を複数置くなど実効的な再発防止策を講じる必要がある。

 野村証券では広島支店の社員が7月、顧客の高齢夫婦宅を訪ね、睡眠作用のある薬物を飲ませて約1800万円を奪った上、放火し殺害しようとしたとして逮捕、起訴された。

 同社は社員を懲戒解雇し、営業社員が顧客宅を訪問する際に上司が同席したり、訪問前後に電話を入れたりする対応策を発表した。高齢者宅を狙う強盗が多発する現状を鑑みれば、顧客宅の訪問は控えるべきだ。

 同社経営陣は8月初めに事件を把握しながら、奥田健太郎社長が会見して謝罪し役員報酬の返上や再発防止策を発表したのは12月に入ってからだ。三菱UFJ銀の半沢淳一頭取は事件の公表から3週間以上たった今月16日に会見し「銀行ビジネスの根幹を揺るがした」と謝罪した。いずれも社内対応を優先して説明責任を果たすのが遅れ、信用をさらに低下させた点は猛省してほしい。

 これまでの金融行政は、金融機関に主として収益面の健全性を求めてきた。しかし各社が規模拡大や効率化を重視した結果、顧客の大切な資産を預かる職場のモラルや規律が緩んでいるのではないか。

 政府は「貯蓄から投資へ」を唱える。その担い手である金融機関は個人資産の囲い込みに躍起だが、業務の根幹である信用の回復に業界全体で取り組まねばならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県】:斎藤元彦知事「今年の漢字」に「結」 出直し1カ月、混乱の県政振り返り

2024-12-19 05:10:50 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【兵庫県】:年の漢字」に「結」 出直し1カ月、混乱の県政振り返り

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県】:年の漢字」に「結」 出直し1カ月、混乱の県政振り返り

 兵庫県の斎藤元彦知事は18日の定例記者会見で「今年の漢字」として「結」を挙げた。県議会の不信任決議を受けた出直し選で再選され、2期目をスタートさせてから、19日で1カ月。「県政を前に進めるには県議会や市町、県職員、県民の皆さんと信頼関係を結ぶことが何よりも大事だ」と語った。

「今年の漢字」を掲げる斎藤元彦兵庫県知事=神戸市中央区の同県庁で2024年12月18日午後3時17分、中尾卓英撮影

 斎藤氏は「あっという間の1カ月だった。12月議会での補正予算成立が新県政スタートの大きな一歩だ。良い施策を届けて県民に応援してもらえるオール兵庫となる雰囲気と実績を作ることが大事だ」と強調した。

 一方、斎藤氏を文書で告発した元県西播磨県民局長(7月に死亡)が公用パソコンに保存していた私的情報とされるデータがネット上で拡散していることについては、準備中の第三者委員会での調査結果を待つ考えを改めて示し、現時点で削除依頼をする考えのないことを明らかにした。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/18/20241218k0000m010337000p/9.webp?1" type="image/webp" />「今年の漢字」で自筆の「結」を掲げる斎藤元彦知事=神戸市で2024年12月18日午後3時4分、山田麻未撮影</picture>
「今年の漢字」で自筆の「結」を掲げる斎藤元彦知事=神戸市で2024年12月18日午後3時4分、山田麻未撮影

 複数の県議が前総務部長から元局長の私的情報とされる内容を伝えられたと証言していることについても、別の弁護士が進める調査結果を待つと説明。組織ガバナンスや相次ぐ調査に公費が投入されることについて、斎藤氏は「県民のみなさんには大変申し訳ない」と述べた。

 また、1期目に建設を凍結した県庁舎建て替えについて、斎藤氏は「コンパクトで機能性のある庁舎を作る必要があると判断した」と新庁舎整備にかじを切った理由を説明。実証実験した「県職員の4割出勤」についても、「希望する職員が庁舎で勤務できることが大事だ」と軌道修正を認めた。建設費用については従来計画の1000億円から大幅なコストダウンを図る考えを示した。【中尾卓英、山田麻未、栗田亨】

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社会 【話題・地方自治体・兵庫県・兵庫県知事選・公選法に抵触疑義】  2024年12月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県】:「わからないこと多すぎる」 混乱と分断続く 斎藤県政の1カ月

2024-12-19 05:10:40 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【兵庫県】:「わからないこと多すぎる」 混乱と分断続く 斎藤県政の1カ月

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県】:「わからないこと多すぎる」 混乱と分断続く 斎藤県政の1カ月

 兵庫県の斎藤元彦知事(47)は19日、2期目の就任から1カ月を迎えた。県議会の不信任決議を受けて臨んだ出直し知事選では熱狂的勝利を飾ったが、選挙戦でのSNS(ネット交流サービス)運用に絡んで公職選挙法違反容疑で告発されるなど、足元では混乱が続く。約6000人の一般県職員や県議会との間に生じた分断の修復も始まったばかりだ。

 

兵庫県知事選で再選を果たし、兵庫県庁に登庁した斎藤元彦氏(右)=神戸市中央区で2024年11月19日午前10時6分、大西岳彦撮影

兵庫県知事選で再選を果たし、兵庫県庁に登庁した斎藤元彦氏(右)=神戸市中央区で2024年11月19日午前10時6分、大西岳彦撮影

 ◆「今年の漢字」に「結」 その心は

 18日、定例記者会見に臨んだ斎藤氏は今年一年を表す漢字に「結」を挙げた。「県政を前に進めるには、議会や職員、市町の皆さんと信頼関係を結ぶことが何よりも大事だ」と語り、「良い施策を届けることで県民の理解を得たい」との考えを示した。来年は安定した県政を築けるのか。…

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社会 【話題・地方自治体・兵庫県・兵庫県知事選・公選法に抵触疑義】  2024年12月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大阪府警】:派遣中の警察官が部下を殴るなどパワハラか 処分検討

2024-12-19 05:10:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【大阪府警】:派遣中の警察官が部下を殴るなどパワハラか 処分検討

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大阪府警】:派遣中の警察官が部下を殴るなどパワハラか 処分検討

 大分県で11月に開かれた「全国豊かな海づくり大会」に警備業務で派遣された大阪府警の警察官らが、出張中に部下を殴ったり服を脱がせたりしていたことが、警察関係者への取材で判明した。府警は指導の範囲を超えたパワーハラスメントにあたるとみて処分を検討している。

 海づくり大会は11月10日に開かれ、大規模警備が必要なことから大阪府警の警察官も派遣された。パワハラが疑われたり、被害に遭ったりしたとされる警察官は署で上司と部下の関係だった。

大阪府警本部

 関係者によると、府警旭署の30代巡査部長は大会開催の数日前、大分県内の宿泊先で部下の男性巡査を複数回殴ったという。巡査は上半身を打撲する軽いけがをした。

 この2人は応援派遣中、同じ部屋で寝泊まりしていた。巡査部長は、寝ようとしている時に巡査が同僚らと騒いだため、腹を立てて暴行に及んだという趣旨の説明をしているという。以前にも飲み会などで同じ巡査を殴った疑いもあるといい、府警は詳しい経緯を調べている。

 また、府警東淀川署の男性巡査が、宿泊施設で署の上司らから服を脱ぐよう指示されたり、蹴られたりしたとして府警が当時の状況を確認している。上司らが夜に部屋で飲酒している時に、巡査が呼び出されたという。

 海づくり大会は水産資源の保護などを呼びかける目的で開催され、今回で43回目。大分市と別府市を舞台に式典などが開かれ、天皇皇后両陛下も出席された。【二村祐士朗、林みづき】

 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社会 【話題・大阪府警・大分県で11月に開かれた「全国豊かな海づくり大会」に警備業務で派遣された大阪府警の警察官らが、部下に、パワーハラスメント行為疑惑】  2024年12月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【タイ】:カリスマ的人気のピター氏 「政治の犠牲者、私で最後に」

2024-12-19 05:10:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【タイ】:カリスマ的人気のピター氏 「政治の犠牲者、私で最後に」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【タイ】:カリスマ的人気のピター氏 「政治の犠牲者、私で最後に」

 軍の影響力が強いタイで若者を中心にカリスマ的な人気を誇りながら、政治活動を禁止された最大野党のピター前党首(44)が17日、東京都内で毎日新聞などのインタビューに応じ、「私がタイ政治の犠牲になる最後の人物になることを願っている」と語った。

インタビューに応じるタイ最大野党のピター前党首=東京都目黒区で2024年12月17日午後5時16分、国本愛撮影

 昨年5月の総選挙でピター氏率いる前進党は躍進して第1党となったが、保守勢力の反発を招いてピター氏は首相就任を阻まれた。憲法裁判所は今年8月、王室への不敬罪見直しを掲げた党の公約は違憲と判断して解党を命じ、ピター氏ら党幹部も10年間の公民権停止を言い渡された。

 当時の心境について、ピター氏は「もしこれを個人的な出来事だと捉えていたら、おそらく私は壊れていただろう。ただ、制度的な問題だと捉えられたので、今は前向きな時間を過ごしている」と振り返った。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/18/20241218k0000m030326000p/9.webp?1" type="image/webp" />首相指名選挙を前に前進党のピター党首(当時)の演説会に集まった支持者ら。「ピター氏がタイの第30代首相」と書かれたプラカードも見える=タイの首都バンコクで2023年7月9日、武内彩撮影</picture>
首相指名選挙を前に前進党のピター党首(当時)の演説会に集まった支持者ら。「ピター氏がタイの第30代首相」と書かれたプラカードも見える=タイの首都バンコクで2023年7月9日、武内彩撮影

 タイでは憲法裁の政治介入が目立ち、権力を握る軍などに有利な判断を示してきた。過去20年で34の政党が解党を命じられ、約250人の政治家が政治への関与を禁じられたという。

 ピター氏の所属する政党が解散命令を受けたのは2度目で、「もし政党や政治家が終わるとしたら、外部の特別な権力ではなく、人々が彼らに投票しないことによってなされるべきだ」と訴えた。

 現在は米ハーバード大の研究員を務め、ボストンとバンコクを行き来しながら、次世代のリーダー育成にも取り組んでいるという。「政治活動は禁じられても、一市民として選挙活動を手伝うことはできる。特定の政党に限らず、縁故主義などと闘う未来のリーダーを支援したい」と語った。

 一方、政治家としては「国民が望むのであれば、復帰したい」と語り、10年後に再始動を見据えていることも明らかにした。

タイ憲法裁判所による解党命令に涙する前進党の支持者ら=バンコクの党本部で2024年8月7日午後3時34分、石山絵歩撮影

 前進党の議員らは後継政党の国民党を設立し、2027年の次期選挙で単独政権を目指している。ピター氏は「外野からの意見」とした上で、「投票率が非常に重要で、私の時は史上最高だった。政治的圧力を乗り越えた上で、多くの国民が時間を費やして投票に行くほどの熱を持てるか次第だ」と述べた。 

 また、王室批判を禁じる不敬罪について問われると「日本で名誉毀損(きそん)は被害者本人が訴える必要があるが、タイの不敬罪は誰でも可能だ。だから、政敵を排除する武器として使われている」と説明。「政治の上に立つべき王を政治家が政治に引きずり込んでいる点が問題だ」と選挙で見直しを訴えた背景を語った。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/18/20241218k0000m030328000p/9.webp?1" type="image/webp" />インタビューに応じるタイ最大野党のピター前党首=東京都目黒区で2024年12月17日午後5時14分、国本愛撮影</picture>拡大
インタビューに応じるタイ最大野党のピター前党首=東京都目黒区で2024年12月17日午後5時14分、国本愛撮影

 ピター氏は、世界各国で右傾化が進み、民主主義の後退が広がっているとも指摘。「特に若い人々が心配すべき事象だ。自分の声が重視されず、多くの権力を少数の専制政治に委ねることになる」と懸念を示した上で、「歴史が何度も証明したように、民主主義こそが前進するための最善策だ」と強調した。

 ピター氏は17日、東京大で開かれたセミナーでも講演し、タイの民主主義について「私はまだ希望を抱いている。若者が絶望せずに投票してくれれば、きっと変わる」と語った。【国本愛】

 ◆ピター・リムジャラーンラット氏

 タイの民主系野党・前進党(現在は解党)の前党首。2023年の総選挙で前進党が第1党に躍進し首相指名を目指すも、保守派の影響下にある上院の反対で阻まれた。今年8月に憲法裁から10年間の公民権停止を命じられ、現在は米ハーバード大研究員。タイ国内で絶大な人気を誇り、23年には米誌タイムの「次世代の100人」にも選ばれた。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 国際 【アジア・オセアニア・タイ】  2024年12月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.19】:【次期エネ計画】難題先送りの原発回帰だ

2024-12-19 05:05:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説・12.19】:【次期エネ計画】難題先送りの原発回帰だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.19】:【次期エネ計画】難題先送りの原発回帰だ

 過酷な原発事故の教訓はどこへ行ったのか。

 経済産業省が中長期的なエネルギー政策の指針「エネルギー基本計画」の原案を示した。2011年の東京電力福島第1原発事故以降に明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との文言を削除した。原発の建て替えの要件も緩和する。

 事故の被害は今なお続いている。原発回帰に当たって本格的な国会論戦や国民を巻き込んだ議論もなかった。方針転換は容認できない。
 基本計画はおおむね3年ごとに見直されている。今回の改定の焦点は、40年度の電源構成と原発の位置付けだった。
 現行計画は21年に策定された。原発を「重要なベースロード電源」と位置付けつつ「可能な限り依存度を低減する」として、再生可能エネルギーの主力電源化を強調。30年度の原発の電源構成目標を20~22%と設定した。
 一方、次期計画は「優れた安定供給性と技術自給率を有する脱炭素電源」とし、再エネとともに「最大限活用する」との方針を明記。原発の40年度目標は2割程度とした。
 原発の目標割合は現行計画とほぼ変わらない。ただ、23年度の実際の割合は1割に満たない。目標の実現には既存原発の大半を再稼働させる必要があるが、中には老朽化した原発もある。
 そこで、原発の一定規模の維持につながる建て替え方針も盛り込まれた。これまで廃炉が決まった同じ原発の敷地内に限定していたが、同じ電力会社なら別の原発内でも建設できるようにする。
 原発事故以来、原発の依存度低減を掲げていた政府の方針転換となったのは、岸田政権下の22年に決めた「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」だ。エネルギー安全保障の問題や地球温暖化対策を背景に、60年超の原発の運転を可能にする法改正を実現し、次世代型建設も打ち出した。
 石破茂首相は先の自民党総裁選では「原発をゼロに近づけていく努力は最大限する」と主張していたが、首相就任後はトーンダウン。岸田政権が掲げた最大限の活用を踏襲し、原発の利活用を明言している。連立与党の公明党も「将来的に原発に依存しない社会」と訴えるが、容認に転じた。
 経済界などの要請を受け原発推進の流れが強まる一方、新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の再稼働が政府の期待通りに進まないように、地元住民の不信感は根強い。事故から14年近くたつ今も福島原発の廃炉は見通せず、避難生活を余儀なくされている人々がいる。

 さらに使用済み核燃料の問題も抱える。各地の原発で再稼働が進んだ結果、増え続けて保管場所が不足している。高レベル放射性廃棄物の最終処分先の確保も道筋が見えない。

 山積する難題を先送りしたままの原発回帰だ。課題に正面から向き合わなければ、国民の理解を得るのは難しいだろう。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  05:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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