路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・12.26】:市街地の危険鳥獣 安全最優先で抜本論議を

2024-12-27 07:00:40 | 【生物学・特定外来生物法・動物生態系・終生飼養・環境税・花粉症】

【社説・12.26】:市街地の危険鳥獣 安全最優先で抜本論議を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:市街地の危険鳥獣 安全最優先で抜本論議を 

 政府は市街地に現れたクマやイノシシに対し、猟銃の使用を条件付きで認めるよう鳥獣保護管理法の改正準備を進めている。

 近年、市街地の近くで暮らす「アーバンベア」による人的被害は深刻化している。人に危害を与えかねない大型動物を、速やかに駆除する仕組みづくりに異論はない。

 ただ、最終的に駆除を担うのは地域の猟友会などに所属する民間のハンターだ。高齢化が進む上に、住宅街での発砲を巡る司法判断も揺れている。住民の安全を誰が、どのようにして守るべきか。猟友会頼みの現状を見直す議論も深めてもらいたい。

 現行法では市街地にクマやイノシシなどが出没しても、銃猟を使えない。人に危険が迫り、警察官が職務執行法に基づいてハンターに発砲を命じた場合などに限られている。麻酔銃を使うにも都道府県知事の許可が必要で、迅速な対応は難しいのが現状だ。

 改正案では市町村長が一定の条件の下で「緊急銃猟」と判断すれば、ハンターの発砲を容認する。建物に損害があった場合は自治体が補償し、けが人が出てもハンターの責任が問われない仕組みも検討中という。駆除のリスクや負担を考えれば当然だろう。

 とはいえ銃が住民を傷つける事態は起きてはならない。万全の状況判断が求められる。住民への注意や避難を促すのに警察の協力は不可欠だ。しかし、その警察や司法と、政府方針との足並みはそろっているとは言い難い。

 北海道砂川市では、住宅地に現れたヒグマを市の要請で駆除した猟友会の男性が、道公安委員会に「弾丸が建物に届く可能性があった」として猟銃所持許可を取り消された。当初、男性は子グマなので撃つ必要はないと判断したが、市職員の依頼で発砲。警察官も発砲を前提に周辺住民の避難誘導をしていたという。

 男性の不服申し立てに対し、札幌地裁は「取り消しは著しく妥当性を欠く」と全面的に主張を認めた。今年10月に札幌高裁が一転して取り消しを「妥当」とし、男性が上告する事態になっている。

 責任の重さから駆除を拒むハンターが増えても仕方あるまい。現場にいない市町村長が発砲の是非をどう判断するのか。責任の所在と連携の在り方を明確にした法整備やマニュアルが求められよう。

 そもそもハンターは全国で減少が続き、6割は60歳以上と高齢化も進む。駆除には高度な技術と集中力が必要とされる。住民の安全を民間ハンターに委ねる態勢は、いずれ行き詰まるのは明らかだ。

 少しずつでも行政主体の駆除へとかじを切る時だろう。狩猟免許を持つ人を自治体の職員や警察官に採用したり、現職員の免許取得を支援したりして対策を強めてもらいたい。地域を巻き込んだ協力体制づくりも欠かせない。

 むろん市街地に発砲音などが響かないに越したことはない。クマやイノシシなどが人里に下りてこないよう、放置された柿や栗の木、耕作放棄地などをなくす取り組みを官民で粘り強く続けたい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【天風録・12.26】:M―1と方言

2024-12-27 07:00:35 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【天風録・12.26】:M―1と方言

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.26】:M―1と方言

 「なんでだよ」という共通語のツッコミは「なん」にアクセントがあるので、ボケを最後まで聞く必要がある。関西弁の「なんでやねん」は「なん」が聞こえずとも伝わる。その分素早くツッコめる。だから漫才のテンポがよく、笑いを取りやすい

 ▲漫才コンビ、令和ロマンの高比良(たかひら)くるまさんが自著「漫才過剰考察」で分析する。コンマ何秒という間で勝負する世界。関西弁が漫才向きであるわけだ。それでも関東出身の高比良さんは共通語の長所も冷静に捉える

 ▲関西は、ボケる前に次の展開をほのめかす「フリ」を大事にする。それに縛られない共通語は、意外性を出しやすく「ボケのパワーが大きい」と見る。今年の「M1グランプリ」決勝で披露した2本のネタは、その効果を最大限引き出した。大会初の連覇にも納得した

 ▲20回を重ねた大会はかつて関西勢の独壇場だった。だがここ5年のチャンピオンは、津山市出身のウエストランドやボケが北海道出身の錦鯉(にしきごい)など多彩に。各地の言葉が武器になっている

 ▲漫才が大阪で生まれ約90年。笑いの本場は悔しいかもしれぬが、漫才が全国に根付いた証しでもある。いつか広島弁のチャンピオン誕生を見届けたい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年12月26日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:臨時国会閉幕 数合わせ排し政策協議を

2024-12-27 07:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:臨時国会閉幕 数合わせ排し政策協議を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:臨時国会閉幕 数合わせ排し政策協議を 

 衆院選で少数与党になって迎えた初めての臨時国会がきのう閉幕した。閣僚の答弁は丁寧になり、野党も反対一辺倒ではなくなった。政治資金規正法の再改正などを審議した政治改革特別委員会は与野党提出の9法案の審議で答弁席に各党の実務者が並び、討論を繰り広げた。「自民1強」時代にはない光景だろう。

 閉幕を受けた記者会見で石破茂首相は「可能な限り幅広い合意形成を図るように一生懸命努力した」と語ったが、政策議論が深まったとはまだ言い難い。自民、公明両党が2024年度補正予算などの成立を最優先し、野党も目先の成果を欲しがったためだ。

 与党からの政策協議の誘いに乗って野党が安易に妥協を重ねる。そんな数合わせに終始するようでは、国民本位の政治とはいえまい。

 その象徴が補正予算を巡る攻防だろう。

 国会の場外では、国民民主党が「年収103万円の壁」の引き上げ、日本維新の会が教育無償化の協議を与党に求め、補正予算への賛成に回った。個別の要求が取り入れられれば、さまざまな問題をはらむ予算全体を承認する。そんな手法が適切なのか。

 自公は同時に、立憲民主党の要求に応じる戦略を見せる。能登半島地震の復旧・復興費を1千億円上積み、採決容認を取り付けた。同党は採決で反対したものの、「規模ありき」で編成された巨額補正をすんなり成立させてしまったことに変わりはない。緊急性や妥当性の吟味がしっかりできたか疑問である。

 その意味で野党第1党の立憲民主党が野党をまとめ切れず力量不足だった。自民党の「壁」を乗り越えるために、野党間で協力して予算の修正案や法案をまとめる仕組みを取り入れるべきではないか。

 例えば103万円の壁を引き上げるなら、目的や効果、負担の公平性を精査し、社会保障とセットで大局的な議論を進めたい。その場しのぎではなく、政策の深掘りこそ、今の国会に求められているはずだ。

 政治資金改革では、使途公開不要な政策活動費の全廃を野党が一致して求め、自民党にのませて実現させたのは評価したい。一方で企業・団体献金は自民党が存続を主張。立憲民主党や日本維新の会などが禁止を求めて対立した。与野党は立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、来年3月末までに結論を得ると先送りした。

 与野党協議では、政治資金の透明化はあくまで手段であり、目指すべきは「カネのかからない政治」と改めて確認したい。裏金事件の全容解明も不可欠である。精力的に議論を重ね、踏み込んだ改革を実現してもらいたい。

 与党は臨時国会こそ乗り切ったものの、来年の通常国会で25年度予算案などを成立させる見通しは立っていない。来夏の参院選をにらんだ政局の動きが出てくる可能性もあろう。それでも少数与党時代は、熟議を通じた政策実現の絶好の機会だ。各党が審議の充実に責任を持たなくてはならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【天風録・12.25】:画伯とその息子

2024-12-27 07:00:25 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【天風録・12.25】:画伯とその息子

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.25】:画伯とその息子

 呉市下蒲刈町の三之瀬御本陣芸術文化館にコレクションの常設展示がある。京都洋画界の大家、須田国太郎(18911961年)に親しみを感じるのは瀬戸内に縁が深いからだ。戦後、広島県にも何度か写生に訪れた

 ▲スケッチすら禁じられた戦時下の縛りが解け、須田画伯は尾道、竹原、呉などを熱心に回った。助手代わりに同行したのが少年時代の長男。彼が空き時間に駅や列車を見学し、鉄路に親しんだことが後の人生を決める

 ▲93歳で旅立ったJR東海初代社長、須田寛さんのことだ。国鉄に入る原点が父との旅だという逸話をじかに伺った。鉄道界の大御所の知己を得たのは画伯の作品がある下蒲刈に彼が通い、画材など遺品も託したからだ

 ▲JR呉線の話になった折、駅名をすらすら口にした。風早、安浦、安登…。全路線と駅は国鉄時代から暗唱していると聞いた。かつて「青春18きっぷ」などのアイデアを実現した手腕の源泉は鉄路への深い愛着だろう

 ▲国鉄の分割民営化から37年。軌道に乗ったJR東海がリニア建設に突き進む一方、各地の赤字線は危機に直面したまま越年する。何をどうするにしても、須田さんのような鉄道愛があってこそと思う。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年12月25日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【兵庫県】:斎藤元彦知事「一般論としてハラスメントは司法の場が判断すること」…疑惑への対応で見解

2024-12-27 06:35:30 | 【ハラスメント「セクハラ、パワハラ、モラハラ、アカハラ、ドクハラ、シルハラ...

【兵庫県】:斎藤元彦知事「一般論としてハラスメントは司法の場が判断すること」…疑惑への対応で見解

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県】:斎藤元彦知事「一般論としてハラスメントは司法の場が判断すること」…疑惑への対応で見解

 兵庫県の斎藤元彦知事は26日の定例記者会見で、自身が内部告発されたパワハラなどの疑惑や一連の対応が公益通報者保護法の趣旨に反しているかの判断について、「司法の場が判断することだ」との見解を述べた。

 ■「反斎藤的な職員で改革を進めさせないのはクーデター」…片山前副知事、公益通報ではないと主張

記者会見で見解を述べる斎藤知事(神戸市中央区で)
記者会見で見解を述べる斎藤知事(神戸市中央区で)

 問題を巡っては、男性職員(7月に死亡)が3月、一部報道機関などに疑惑を告発する文書を匿名で送付。4月には県の公益通報制度を利用し、ほぼ同じ内容を通報した。県は5月、公益通報の調査結果を待たず、「(文書は)核心的な部分が事実ではない」として男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社会 【話題・地方自治体・兵庫県・斎藤元彦知事が、自身が内部告発されたパワハラなどの疑惑や一連の対応が公益通報者保護法の趣旨に反していると指摘されている問題】  2024年12月27日  06:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.27】:雪への備え 除雪作業中の事故に注意

2024-12-27 06:10:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説・12.27】:雪への備え 除雪作業中の事故に注意

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.27】:雪への備え 除雪作業中の事故に注意

 今冬は大雪の可能性が指摘されている。雪への備えを万全にし、除雪作業中の事故に遭わないよう気を付けてほしい。

 新潟地方気象台によると、県内は27日から28日にかけて山沿いを中心に降雪量が多くなり、大雪となる所があるという。

 既に山間地を中心に平地でも雪が積もった所がある。気がかりなのは、1人で除雪作業をしている高齢者のことだ。

 24日には今冬初めて除雪中の死亡事故が起きた。上越市板倉区で76歳の男性が自宅近くで除雪機に下半身を巻き込まれて下敷きになった。1人で作業していた。

 除雪作業は無理をせず、複数人で行うことが肝要だ。

 除雪機の取り扱いにも十分注意を払ってもらいたい。

 屋根の雪下ろし中の事故も心配だ。高所からの落下や側溝への転落の恐れがある。事前に危険箇所を確認し、ヘルメットや命綱を身に付けることが大事だ。

 長岡市の中越防災安全推進機構は、除雪時に事故があった際に身近な人へメールで伝えるスマートフォン用のアプリを無料公開している。事故時の早期発見、救出に向けて活用してほしい。

 一気に大雪が降った場合は、除雪の担い手確保が難しくなる。

 長岡市山古志地域のNPO法人は地域有志でつくる除雪の共助組織と有償で雪かきに協力する人とのマッチングに取り組んでいる。

 こうした持続的な担い手確保を目指す仲介の仕組みが機能すれば、過疎地などの支えになる。他地域にも参考になるだろう。

 2022年に大雪のため中越エリアの平地で大渋滞が発生し、長時間ドライバーらが車に閉じ込められたことは記憶に新しい。

 今冬も万一に備え、車中に携帯トイレや毛布、飲料水、食料などを用意しておきたい。

 道路は緊急車両も走る生活に不可欠なインフラだ。大渋滞を引き起こさぬよう国や県、市町村、除雪に当たる建設会社などは連携を密にして臨んでもらいたい。

 交流サイト(SNS)に虚偽情報が流れたら大混乱を引き起こしかねない。雪や交通情報に絡む悪ふざけは厳に慎まねばならない。

 一方、雪は恵みでもある。暖冬少雪だった昨冬は県内スキー場の入り込み客は少なく、周辺の宿泊施設や飲食店なども打撃を受けた。その点では今冬は順調な滑り出しといえよう。安全で魅力的なスキー場運営を期待したい。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか

2024-12-27 06:10:40 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか 

 学問の自由と独立は絶対に守られなければならない。新たな組織でそれが担保できるのかどうか。なお残る疑問を解消し、誰もが納得できる組織、運営体制を構築する必要がある。

 日本学術会議の在り方を議論している内閣府の有識者懇談会が、新法人への移行に向けた報告書を大筋で取りまとめた。

 学術会議の会員の選考については、首相による任命をなくす。一方で客観性を高める重要性を指摘し、会長任命の外部有識者からなる「選考助言委員会」を新設して意見を聞くとした。投票制も組み合わせる。

 学術会議の組織見直し議論は、2020年に当時の菅義偉首相が会員候補6人の任命を拒否したことが発端だ。

 その後、政府は学術会議を現行の「国の特別機関」から、国とは切り離した新法人に移行させた上で、会員選考や運営などに外部有識者が関わる仕組みの導入を提案していた。

 今回の報告書は会員の選考に政府は関与しないとしたが、そもそも菅氏より前の歴代政権は学術会議側の推薦通りに受け入れていた。助言委の設置に学術会議側が「わざわざ設ける必要はない」と反発するのも理解できる。

 さらに疑問なのは、活動状況を確認する「評価委員会」の委員や監事を首相が任命することだ。

 報告書は学術会議に対する国の財政支援を保障する一方で、「目的に沿った活動・運営が行われていることを国民に説明する仕組みを担保する必要がある」と指摘しており、それに沿った対応だ。

 ただこれでは、政府の介入を許す余地が否定できない。学術会議側はかねてこの項目に懸念を示していたが、報告書にほぼそのまま残ったのは残念だ。

 戦後設立された学術会議は1950年、戦前の組織が政府と一体となって戦争に協力した反省を踏まえ、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」との声明を出し、中立的な立場で政府への政策提言などに取り組んできた。

 菅氏が任命を拒否した6人はかつて安全保障法制など政府の方針に異論を述べていた。政府は任命拒否の理由を明らかにせず、「学問の自由の侵害だ」との批判から論点をずらすように持ち出したのが組織見直し論だった。

 政治状況は当時と様変わりした。10月の衆院選で自民党は大敗し、少数与党に転落した。任命拒否問題でも見られた強権的な政治はできなくなっている。

 政府は法人化のための法案を来年の通常国会に提出する構えだ。与野党で熟議をしてほしい。

 学術会議は6人の任命を求め続けている。石破茂首相はしっかり対応してもらいたい。いまだ明らかにしていない任命拒否の理由の説明も求められる。 

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:臨時国会閉幕 政治改革の歩み止めるな

2024-12-27 06:10:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:臨時国会閉幕 政治改革の歩み止めるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:臨時国会閉幕 政治改革の歩み止めるな 

 少数与党が譲歩し、政治改革の取り組みは前進した。しかし課題は残っている。国会は歩みを止めず、改革を遂げてもらいたい。

 臨時国会が24日、閉幕した。焦点となった政治改革では、政治資金規正法の再改正を含む政治改革関連3法が成立した。

 使途公開不要な政策活動費を全面廃止する。政治資金を監視する第三者機関の「政治資金監視委員会」設置や、外国人による政治資金パーティー券の購入禁止などを定めた法も成立した。

 石破茂首相が年内に結論を示すとしていた政治改革に、一定の成果が示されたといえる。

 国会閉幕後の記者会見で、首相は「与野党で侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を行い、熟議の国会にふさわしいものとなった」と評価した。

 ただ、審議の過程で、政治改革に後ろ向きな自民党の姿勢が目立ったことは指摘しておきたい。

 政策活動費では、自民は支出先の相手を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を提案し、野党から「ブラックボックスだ」と批判されて撤回した。

 不透明性が問題になった政策活動費を温存するような案だった。「政治とカネ」を巡る問題の本質を理解しているとは到底いえず、撤回して当然だった。

 3法とは別に、国会議員に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)に、使途公開や残金返納を義務付ける内容の改正歳費法も、成立にこぎ着けた。

 旧文通費は2021年秋に問題提起されながら、自民1強下の国会では法改正が進まなかった。実現に3年もの時間を費やしたことにはあぜんとする。

 片や、政治改革関連3法は、自民が野党案を丸のみし、今国会での成立が実現した。働き控えにつながると指摘される所得税の「年収の壁」の引き上げが、与党税制改正大綱に盛り込まれたのも同様で、伯仲国会の効果といえる。

 だが企業・団体献金の扱いは、与野党が一致できなかった。公開による企業・団体献金の透明性向上を訴える自民と、禁止を求める立憲民主党などで開きがある。

 共同通信が今月行った世論調査では、企業・団体献金を「禁止するべきだ」とする回答は56・3%で、半数を超えた。

 国会は、立民などが共同提案した禁止法案について議論し、来年3月末までに結論を得るとしている。国民の声に耳を傾け、改革を進めてほしい。

 今国会では、自民派閥裏金事件を巡る政治倫理審査会が再度、開かれた。しかし一度中止された資金還流が復活した経緯などの解明には至らなかった。

 政治改革の関連法が成立したところで、裏金問題の幕引きは図れない。政治不信の払拭には、真相解明が不可欠だ。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.27】:JR高速船撤退 安全見直し信頼の回復を

2024-12-27 06:05:50 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説・12.27】:JR高速船撤退 安全見直し信頼の回復を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.27】:JR高速船撤退 安全見直し信頼の回復を 

 旅客事業者は何より安全を最優先すべきだ。不正で傷ついた信頼を回復するために、JR九州は安全意識と対策を徹底してもらいたい。

 JR九州グループが、博多と韓国・釜山を結ぶ船舶事業からの撤退を決めた。高速船「クイーンビートル」は格安航空会社(LCC)との競合で苦戦が続いていた。

 決定打となったのは運航を担う子会社、JR九州高速船が度重なる浸水を隠していた不祥事である。

 総事業費57億円を投じたクイーンビートルは、三胴船と呼ばれる特殊な船体を採用した。定員を旧高速船の2・6倍の502人に増やし、デザインにも工夫を凝らした。

 問題は、波が荒い対馬海峡を3時間40分程度で航行するには、アルミ合金製の船首の強度が不足していたことだ。

 就航から間もない2023年2月以降、船体への亀裂発生と浸水が続いた。

 浸水を報告せずに運航を続け、23年6月に国土交通省から安全確保命令を受けた。今年8月には国交省の抜き打ち監査で浸水隠しが発覚し、運休に追い込まれた。

 再発を防ぐどころか、不正を隠すとは信じ難い対応だ。船舶安全法違反などの疑いで福岡海上保安部が捜査を続けている。

 三胴船の導入には社内から反対意見があったという。もっと疑問なのは1隻体制で定期運航したことだ。

 故障などが起きた際は代替船がなく、不安定な運航が避けられない。船舶に詳しい人材も不足していた。

 当時の経営判断は誤っていたと批判されても仕方あるまい。運休を避けようと、浸水を隠して運航した可能性も指摘される。

 子会社に対する管理監督が甘く、重大な不正を許したJR九州の責任は重い。

 JR九州の古宮洋二社長は記者会見で、船体を修繕しても「亀裂発生のリスクを完全には払拭できない。安全を軽視して運航することはできない」と説明した。

 日韓航路撤退は残念だが、やむを得ない判断だろう。

 JR九州は1991年、経営多角化の一環として日韓航路に参入した。当時は日韓を結ぶ交通手段の大半を船舶が担っていた。

 速くて手軽な高速船は福岡と釜山の距離を縮め、両国の市民の交流に貢献した。ピーク時の04年度には35万人以上が利用した。

 30年以上親しまれた事業である。来年の日韓国交正常化60年を目前に控えた時期だけに、撤退を惜しむ人は少なくないはずだ。

 JR九州は本業の鉄道で多くの赤字路線を抱える。沿線人口が減る中で維持していくには、鉄道事業以外の収益力を高めるほかない。

 利益を追求するあまり、安全や利用者をおろそかにすることがあってはならない。今回の問題をJR九州グループ全体の教訓としてほしい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.26】:規正法の再改正 与野党は改革を止めるな

2024-12-27 06:05:40 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説・12.26】:規正法の再改正 与野党は改革を止めるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:規正法の再改正 与野党は改革を止めるな

 政治資金の透明化へ一歩前進した。まだ道半ばである。与野党の協力でさらなる改革を成し遂げてほしい。

 政治資金規正法の再改正など、政治改革関連の3法が臨時国会で成立した。

 再改正する経緯を振り返ると、やはり少数与党の国会になった影響が大きい。

 発端は自民党派閥の裏金事件だが、自民、公明の両与党による6月の規正法改正はあまりに甘い内容だった。

 10月の衆院選で国民の厳しい審判を受け、与党が過半数を割ってもなお、自民は抜け道を残そうとした。石破茂首相が「年内に結論を示す」と期限を明確にし、最後は野党案をのむ形となった。

 政党が政治家個人に支給する政策活動費の廃止は、野党7党の案に自公が賛成して決まった。かつて自民は幹事長らに年十数億円程度を渡しており、使途の公開義務がない不透明なカネの象徴だ。

 自民は外交上の秘密やプライバシー保護を理由に、支出先を非公開にできる「例外」の創設にこだわった。「新たなブラックボックスだ」と野党の批判を浴び、撤回したのは当然の帰結である。

 政治資金をチェックする第三者機関の設置も決まった。政策活動費の例外のみを監査対象とした自民案でなく、国会議員の政治団体に目を光らせる国民民主、公明両党の法案が成立した。

 第三者機関は国会に設置される。不正を防ぐ実効力のある体制が課題となる。

 政治資金収支報告書のデータベース化、外国人による政治資金パーティー券購入禁止を定めた自民案も成立した。

 国会議員に月額100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)は、ようやく使途公開と残金の国庫返納にこぎ着けた。

 2021年の衆院選後、初当選した議員が在職1日で満額支給されたことを問題提起し、日割り支給に改まった。使途公開などには自民が消極的で、棚上げされていた。

 今後の制度設計で支出を認める範囲、公開方法を厳格に規定しなくてはならない。

 先送りされたのは企業・団体献金の扱いだ。来年3月末までに結論を出すという。

 立憲民主党の野田佳彦代表らが「改革の本丸」と訴えるように、複数の野党が禁止を求める。多額の企業・団体献金を受けている自民は存続を主張して譲らない。

 企業・団体献金は政策をゆがめる恐れがあると、長らく指摘されてきた。来年1月からの通常国会では禁止の方向で決着すべきだ。

 政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるように、政治資金の流れを透明化するのが規正法の目的だ。その原点を何度も確かめたい。

 政治に対する国民の信頼を取り戻すため、政治とカネに関するルールを厳しくするのは当たり前のことだ。与野党で努力すべきことはまだたくさんある。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:ホンダと日産 変革期を乗り切る統合に

2024-12-27 06:05:30 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説・12.25】:ホンダと日産 変革期を乗り切る統合に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:ホンダと日産 変革期を乗り切る統合に 

 ホンダと日産自動車が、持ち株会社方式による2026年8月の経営統合に向けて本格的な協議に入った。実現すれば、販売台数で世界3位の自動車グループが誕生する。

 日産が筆頭株主の三菱自動車も参画を検討する。日本経済を支える自動車産業はトヨタ自動車などとの2陣営に集約される方向だ。競い合い、業界の地殻変動を乗り切る体制を築いてほしい。

 電気自動車(EV)シフトをはじめ、自動車業界は「100年に1度の大変革期」といわれる。

 米国のテスラや中国の比亜迪(BYD)といった新興勢力が台頭し、異業種から参入する動きも相次ぐ。

 競争の舞台は、自動運転や新たな価値を生むソフトウエア開発に移った。巨額の開発費が必要で、日本勢は出遅れが指摘される。巻き返せなければ、業界の勢力図が一変する可能性がある。

 共同記者会見で3社の社長が握手する場面はなかった。将来に対する強い危機意識の表れだろう。

 ホンダと日産は来年6月に経営統合の最終契約締結を目指す。主導権は時価総額で上回るホンダが握る。

 三部敏宏社長は「自立した2社として成り立たなければ経営統合の検討が成就することはない」と言い切った。日産の経営立て直しが経営統合の前提であるからだ。企業文化の違いも克服しなければならない。

 日産の業績悪化は著しい。24年9月中間連結決算は、純利益が前年同期比93・5%減だった。ハイブリッド車(HV)の展開が遅れた北米市場で営業赤字に転落した。EVやプラグインハイブリッド車(PHV)が人気の中国市場でも販売の減少が続く。

 中国市場ではホンダも苦戦している。

 日産は3月に公表した中期経営計画を見直し、世界で従業員を9千人削減し、生産能力を20%縮小する方針を打ち出した。再建を着実に進められるかは内田誠社長の手腕にかかっている。

 台湾の電子機器受託生産大手の鴻海(ホンハイ)精密工業が日産の株式取得に動いているとの情報も、経営統合への協議を加速させたとみられる。ホンダによる日産救済という側面は否定できない。

 経営統合で車台の共通化、研究開発機能の強化、生産体制・拠点の最適化などの効果が見込まれる。購買機能統合によるサプライチェーン(供給網)全体の競争力強化も期待される。

 ホンダと日産は車種のラインアップや事業地域が重なるため、重複を整理すればコスト削減が可能だ。新たな価値を創造するには異業種との協業が欠かせない。

 ホンダは熊本県に、日産は福岡県に生産拠点がある。多くの取引先があり、地域経済への影響力は大きい。両ブランドを守る「攻めの戦略」を描いてもらいたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.27】:ホンダ日産統合/弱点を補い収益力高めよ

2024-12-27 06:00:50 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説・12.27】:ホンダ日産統合/弱点を補い収益力高めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.27】:ホンダ日産統合/弱点を補い収益力高めよ 

 ホンダと日産自動車が経営統合に向け本格協議に入った。2025年6月に統合契約を結び、26年8月に両社を傘下に置く持ち株会社を発足させる計画だ。日産が出資する三菱自動車を含む3社連合が実現すれば、車の販売台数は計800万台超と世界第3位となる。規模や技術協力のメリットを生かして収益力を高め、電気自動車(EV)や自動運転で後れを取る日本の自動車産業を、復活させる好機にしてもらいたい。

 経営統合の構想は5年前にもあったが、立ち消えになっていた。ここへきて統合を急ぐ背景には「100年に1度の大変革期」とされる経営環境の厳しさがある。

 EVや自動運転化が本格化し、日本のメーカーが培ってきたエンジン技術の強みが揺らぐ。EVシフトに巨額の投資を迫られる一方で、自動運転や娯楽機能を支えるソフト開発は新興勢力に有利に働き、世界市場で米テスラや中国・比亜迪(BYD)の台頭を許している。

 統合で巨大グループとなっても、すぐにこうした課題が解決されるわけではない。企業文化の違いを乗り越え、自動車産業を取り巻く急速な環境変化に迅速に対応できる体質に変貌を遂げられるかが問われる。

 ホンダ、日産はともにトヨタ自動車を追い、国内の自動車産業をけん引してきた。ホンダは本田宗一郎氏が創業し、二輪車で急成長を遂げたが、後発で進出した四輪は苦戦し、米ゼネラル・モーターズ(GM)などとの協業にかじを切る。

 日産は1980年代半ばから円高や販売不振に苦しみ、経営危機に陥って99年にフランス大手ルノーの傘下に入った。カルロス・ゴーン社長の下でV字回復したが、最近は再び不振となった。電子機器受託生産大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が買収を模索中との情報も協議を急がせる要因となった。

 持ち株会社社長と取締役の過半数はホンダが指名するため、今後はホンダ主導で計画が進むことになる。今回の統合が「日産救済」の一面を持つ点は否定できない。会見で3社長の表情に高揚感が見られなかったのは、危機感の表れだろう。

 統合効果としてホンダから日産へのハイブリッド車供給や、日産が強い自動運転やEV関連の技術をホンダに提供することが考えられるが、世界で従業員を9千人削減し生産能力を20%落とすなど既存の日産の再建策を実行するのが大前提だ。

 ホンダ、日産両社の取引先は全国の工場周辺など延べ約3万5千社に上る。事業転換や統合を迫られる場合もあるだろう。急激な環境変化が地域経済に悪影響を及ぼさないよう求める。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・12.26】:県議会百条委/公正な調査尽くし結論を

2024-12-27 06:00:40 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【社説・12.26】:県議会百条委/公正な調査尽くし結論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:県議会百条委/公正な調査尽くし結論を 

 兵庫県の元西播磨県民局長が作成した告発文書問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は文書を公益通報として扱わなかった県の対応などを巡り、斎藤元彦知事や片山安孝元副知事への最後となる証人尋問を実施した。

 斎藤知事はすでに2回、証人尋問に応じたが、県議会は調査の途中で「知事の資質に欠ける」として全会一致で不信任を決議した。知事は9月末に失職、11月の出直し選で再選した。再選後初の尋問となったが新たな事実は出なかった。

 百条委は来年2月議会に報告書を提出する。一連の県政の混乱は全国的な注目を集めた。真相解明へ公正な調査を尽くし、県民の納得を得る見解を導き出せるかが問われる。

 元局長の男性は3月、知事のパワハラや贈答品受領などを告発する文書を匿名で作り県議らに配った。知事は県幹部に調査を指示。男性は4月に県の公益通報窓口にほぼ同じ内容を告発したが、県は調査結果を待たず男性を懲戒処分にした。

 公益通報者保護法は通報を理由とする降格などの不利益な取り扱いを禁じており、百条委は告発者の特定や、告発を公益通報と扱わず処分したことなどを問題視した。

 知事は告発文書を「誹謗(ひぼう)中傷性が高く、公益通報に当たらない」とし、処分も「適切」との見解を述べ、これまでの答弁の繰り返しに終始した。片山氏は告発文書の作成意図を「不正な目的と認識していた」と証言し、同法の保護対象にはならないと主張した。

 対照的なのは、知事の尋問に先立ち証言した参考人の結城大輔弁護士だ。調査結果が判明する前に通報者に不利益な扱いをするのは「許されない」と明言し、文書を保護法の対象外とした知事らの対応を批判した。これまで参考人に立った弁護士らも同じ趣旨の証言をしていることを、知事は直視する必要がある。

 今月、県が公表した内部調査の結果では、知事のパワハラなどの疑惑について「確証までは得られなかった」としつつ、知事ら幹部へのハラスメント研修の義務付けなど是正措置を示した。物品受領についてもルールの明確化を要請した。県政の信頼回復へ確実な実行が不可欠だ。

 尋問は今回が最後となるが、知事と県幹部らの証言や認識に違いが残ったままで、疑念が晴れたとは言い難い。当時の県幹部が男性の私的情報を県議らに漏らした疑惑も指摘される。百条委は関係者に再度証言を求めることなども検討するべきだ。

 文書問題は百条委とともに弁護士でつくる県の第三者委員会も調べており、結果は年度内に公表される。厳密な検証を求めたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・12.25】:臨時国会閉会/熟議を深めて新しい姿を

2024-12-27 06:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:臨時国会閉会/熟議を深めて新しい姿を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:臨時国会閉会/熟議を深めて新しい姿を 

 臨時国会が閉会した。衆院選で石破茂政権が少数与党に転じて初の本格論戦だった。

 物価高対策を柱とする総額13兆9千億円の補正予算や、自民党派閥裏金事件を踏まえた政治資金規正法の再改正を含む政治改革関連3法が成立した。使途公開不要な政策活動費を全廃する野党案を、自民が丸のみする形で一定の結論を得た。与野党伯仲で丁寧な審議が不可欠となる国会の一つの成果と受け止めたい。

 政治改革を巡っては与野党が計9法案を提出した。数の力に物を言わせた「自民1強」時代と違い、持論を押し通すだけで法案は通らない。首相も国会論戦に低姿勢で臨んだが、政策活動費廃止を掲げつつ「公開方法工夫支出」という例外を設ける自民案は野党から「新たな抜け穴」と批判され、撤回に追い込まれた。

 国会議員に月100万円を支給する調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開や残金の国庫返納を義務づける改正歳費法も成立した。自民の抵抗で先送りされてきた懸案がようやく決着したのも国会の緊張感が高まった効果だろう。

 ただし、旧文通費は使途が事実上制限されていない。来年8月の施行までに使途の範囲を厳密に定める必要がある。国民感覚を反映した改革の確実な実行が求められる。

 積み残された課題も多い。最大の焦点である企業・団体献金は結論を来年3月末まで先送りした。禁止を求める立憲民主党など野党に対し、首相は「禁止より公開だ」と拒み、議論はかみ合わなかった。

 立民の法案も政治団体を禁止対象から除いており、国民民主党や日本維新の会は「抜け道がある」と距離を置く。より多くの野党が結束し、自民に譲歩を迫るべきだ。

 裏金問題では、多くの関係議員が衆参両院の政治倫理審査会に出席した。「秘書に任せており、還流は知らなかった」との釈明が相次ぎ、裏金づくりの目的や経緯、還流再開を誰が主導したかなどの実態解明は進まなかった。首相は党による再調査の要求も退けた。このまま幕引きを図ることは許されない。

 補正予算には低所得世帯への給付金や光熱費の補助継続などが計上されたが、財源は国債頼みであり、緊急性の吟味は不十分だった。税制論議で国民民主が訴えた「年収の壁」ばかりが注目されたのも、補正予算成立を優先した与党の戦略に映り、政策効果の議論は深まらなかった。野党も政策実現を左右する責任の重さを自覚してもらいたい。

 年明けには来年度予算案などを審議する通常国会が始まる。与野党はさらに熟議を深め、新しい国会の姿を示さねばならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【兵庫知事選挙】:「パワハラ」「おねだり」報道とSNS選挙 教訓は 東大名誉教授に聞く

2024-12-27 05:15:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【兵庫知事選挙】:「パワハラ」「おねだり」報道とSNS選挙 教訓は 東大名誉教授に聞く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫知事選挙】:「パワハラ」「おねだり」報道とSNS選挙 教訓は 東大名誉教授に聞く

 SNS(ネット交流サービス)の台頭で、民主主義を支える選挙のありようが変化している。兵庫県知事選では、議会の不信任を受けて失職を選んだ斎藤元彦氏(47)が出直し選に臨み、SNSで大きな支持を集めて再選された。

 一方、ネット上にはデマや誹謗(ひぼう)中傷も飛び交った。教訓を生かし、SNS選挙にどう向き合うべきか。橋元良明・東京大名誉教授(情報社会心理学)に話を聞いた。

 
<picture>橋元良明・東京大名誉教授=小国綾子撮影</picture>
橋元良明・東京大名誉教授=小国綾子撮影

 ■【関連記事】
 ・何が人々を駆り立てたのか 「SNS選挙」で問われる規制と使い方
 ・斎藤知事を再選させた「素人集団」 SNS「チームさいとう」の内幕
 ・年収1000万円も 選挙ユーチューバー「政治信条より再生数」

 ◆「メディア不信」と「ヒーロー像」

 兵庫県知事選ほどSNSの影響力を見せつけられた選挙はなかった。

 「斎藤氏に非はなかった」「既得権を持つ者がはめた」などの発信は、それなりの説得力を持って有権者に伝わった。

 テレビや新聞が「パワハラ」や「おねだり」で斎藤氏を一斉に攻撃したのは「中立性に欠ける」との認識が広まり、「マスメディアが既得権に加担した」との意見が受け入れられやすかった。

 加えて、「陰の巨悪に一人で戦いを挑む」というSNSが作った斎藤氏のヒーロー像も、若者や女性を中心に共感を呼んだ。

 ◆SNSは「もろ刃の剣」

 SNSというツールは選挙と親和性が高い。その情報量と拡散力は候補者と有権者双方に大きなメリットをもたらす。

 候補者はテレビや新聞の時間的・量的公平性にとらわれず、政策などを自由に発信できる。イメージ作りがしやすく、有権者と双方向のやり取りが可能だ。有権者はテレビ番組の時間配分や構成に付き合わなくても、欲しい情報に効… 

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 政治 【選挙・兵庫県知事選挙・SNS(ネット交流サービス)】  2024年12月27日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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