《社説②・01.19》:中居氏問題でフジ会見 疑問に答える徹底調査
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.19》:中居氏問題でフジ会見 疑問に答える徹底調査
公共の電波を預かるメディアとして、フジテレビは徹底した調査を通じ、視聴者の疑問に答える責任がある。
タレントの中居正広さんの女性トラブルを巡る週刊誌報道を受け、フジの港浩一社長が初めて記者会見した。第三者を入れた調査委員会を設置すると発表した。
トラブルは2023年6月に起きた。中居さんは女性と示談したことを認めている。週刊文春は、当日は複数で会食する予定だったが、フジ社員らが現れず2人だけの状況になったと報じた。
フジは直後にトラブルを把握した。女性の様子の変化に気づいた社員が声をかけ、「センシティブな領域の問題」と認識した。
だが、その後の対応には疑問がある。まず、事実確認が不十分だったことだ。
港社長は「女性の心身の回復とプライバシーの保護を最優先にした」と述べたものの、結果的に調査の遅れを招いた。
昨年末には社員の関与を否定するコメントを出したが、根拠として挙げたのは当該社員への聞き取りや通信履歴の調査だけだった。
港社長が会見を開いたのも、親会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)の株主である米ファンドから企業統治の欠陥などを指摘され、第三者委員会による調査を求められた後だった。遅きに失したと言わざるを得ない。
会見では、女性の人権やプライバシーの保護を盾に説明を避け、今後の調査を理由に回答を拒む姿勢が目立った。調査委の具体的な体制や位置付けについても明らかにしなかった。
文春は、フジ社員からタレントの接待に呼ばれた別の女性の証言も報じている。焦点はフジ社員の関与の有無だ。独立した立場から、公正で厳格な調査がなされなければならない。
一連の経緯は港社長も報告を受けていたという。結果次第では、経営責任を問われることになる。
「人権が尊重される社会の実現に力を尽くす」との方針をフジ・メディアHDは掲げている。求められているのは、その理念を自らの行動で示すことだ。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月19日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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