【社説・11.14】:災害救助法適用困難 県は被災地支援に全力を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.14】:災害救助法適用困難 県は被災地支援に全力を
県民の安全・安心を守る行政として、県は自然災害や被災地支援の態勢を抜本的に見直す必要がある。
沖縄本島北部の豪雨被害について、災害救助に関する市町村の負担をゼロにする災害救助法の適用が困難な状況になっている。県の対応が遅れたことが原因だ。
被災した自治体や被災住民が過大な経済的不安を背負うことがないよう県は全力を尽くさなければならない。同時に、このような事態に至った経緯を検証する必要がある。組織上の不備があるならば、直ちに改めるべきだ。
災害救助法の適用に関して内閣府は9日午前、県担当である生活福祉部生活安全安心課に電話をかけたが、つながらなかったという。同課は「避難者が少なく、被害がこれほど拡大すると想定できなかった」と説明している。
しかし、9日未明以降、沖縄気象台が発した気象情報は人命に関わる豪雨災害が発生する危険性は高いと呼びかけていた。県はそのことを深刻に受け止めていただろうか。
沖縄気象台は9日午前0時7分に「顕著な大雨に関する沖縄本島地方気象情報」を発表した。線状降水帯による局地的な豪雨で、命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害の危険性が高まっていると伝えていた。本来ならこの段階で災害救助法の適用が検討されるべきであった。
与論町への災害救助法適用を決めた鹿児島県では、8日午後に大雨・洪水警報が出たことで情報連絡体制を機能させ、9日午前2時40分には大雨特別警報の発表により、災害対策本部体制に移行した。この時点で災害防止法の適用に向け、国と調整を進めた。
この対応の違いはなぜ生じたのか、沖縄県は反省とともに徹底的に検証する必要がある。重大な気象情報が発せられた時の全庁的な対応策を確立してほしい。被害状況の把握も不十分だった可能性がある。警察、消防、市町村との連絡網は機能していたか、再確認すべきだ。
災害発生前の法適用に関する議論も必要だ。
同法1条は「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合」において国が地方公共団体などと協力し、必要な救助を行うなどとしている。災害発生時だけでなく、災害発生のおそれがある場合の対応も定めているのだ。
台風が襲来する本県は過去にも災害救助法の適用事例はあるが、災害発生の「おそれ」に対応する事前の法適用の事例はどれほどあるだろうか。他県の事例を見ながら検討を重ねる必要がある。
浸水被害をもたらした国頭村比地川について、地元の比地区や村は以前からしゅんせつなどを求めていた。早期に対応していれば被害を抑えることができたはずだ。
今回の経験を踏まえ、県民の生命・財産を守る行政として何が課題なのか、洗い出しを急いでほしい。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月14日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます