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【主張①・12.26】:基礎年金の底上げ 会社員も納得する提案を 石破首相は指導力を発揮せよ

2024-12-26 05:03:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【主張①・12.26】:基礎年金の底上げ 会社員も納得する提案を 石破首相は指導力を発揮せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.26】:基礎年金の底上げ 会社員も納得する提案を 石破首相は指導力を発揮せよ 

 厚生労働省の年金部会が、5年に1度の年金制度改革案を示した。だが、焦点である基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする改革を巡っては結論を出せなかった。最終的な決着は来年の政府与党と野党などとの調整に委ねられた。

 厚労省は部会に対し、全国民が受給する基礎年金を底上げする財源として、会社員らが拠出する厚生年金の積立金を重点的に充てることを提案していた。これに対し、経団連や連合などが反発しまとまらなかった。

 基礎年金の底上げは、若者らの将来不安への対応策だ。その財源を主に厚生年金の積立金から充てるには、会社員や事業者の理解が欠かせない。

開かれた社会保障審議会年金部会=24日、東京都千代田区

 ◆説明努力が欠けている

 年金は全国民の関心事である。年明けの調整では、石破茂首相が指導力を発揮しなければならない。首相や福岡資麿厚労相は分かりやすい発信にも努めるべきだ。

 政府は来年の通常国会への年金改革関連法案の提出を目指している。基礎年金の改革が必要なのは、このままでは給付水準が著しく低下するためだ。国民年金のみを受給する自営業者らや、現役時代の賃金が低く年金額の少ない人ほど影響が大きい。

 特に就職氷河期に社会人になった団塊ジュニア世代以降の年金水準を確実に引き上げられるかは喫緊の課題である。

 水準低下が予想されるのは、人口減や平均余命の延びなどに応じて水準を抑制する「マクロ経済スライド」の発動が長期デフレの影響で遅れたためだ。

 厚生年金の積立金をこれまでよりも多く基礎年金の財源に充てれば、過去30年の経済状況が今後も続く悲観的シナリオでも年金水準を3割程度底上げできるという。 

 だが会社員らが積み立てた財源を、より多く基礎年金に使うことで給付と負担の関係が分かりにくくなるとの批判がある。厚生年金加入者の所得捕捉は国民年金よりも厳格で保険料も高い。積立金には企業負担も含まれ、経団連や連合は慎重だ。

 厚労省が年金部会に示した案を実施すれば、約30年後には厚生年金受給者を含むほぼ全ての世帯で年金水準は上昇する。ただし、当面の間は全ての厚生年金受給者の年金水準は低下してしまう。

 この点についての厚労省の説明努力は不十分である。利点だけでなく、課題もきめ細かく示さなくては制度改正への理解は進まないだろう。

 もう一つ気がかりな点がある。部会では、「今後の経済が好調に推移しない場合に発動されうる備え」と位置づけることを巡っても議論された。

 確かに、経済成長が高めに推移すれば基礎年金の水準低下はさほど深刻にはならない。だが高成長に期待して発動のタイミングが遅れれば後々まで影響が残る。楽観的な経済見通しを排除できるかが問われる。

 ◆働き方に見合う制度に

 基礎年金の水準引き上げに関して残念だったのは、政府が議論の過程で、基礎年金の拠出期間を40年から45年に延ばす案を封印したことだ。高齢期にも働く時代に合った改革として部会でも賛成の声が多かった。

 それでも封印したのは保険料負担の長期化が一部で嫌気されたためだろうが、実際には会社員に新たな負担は生じない。収入の少ない自営業者には免除制度があり、納付すれば年金額が改善する。再検討すべきだ。

 基礎年金は2分の1が国費で賄われており、水準を引き上げるには、追加的な国庫負担も必要に なる。石破首相はこの財源確保も含めて方向性を明示しなければならない。

 一方、部会が示した改革案には、基礎年金以外の制度改正もある。進展したのは厚生年金の適用範囲を広げる案だ。

 飲食、理美容、宿泊業などの個人事業所では一般に厚生年金が適用されないが、従業員が5人以上いれば適用する方向となった。財政基盤の弱い個人事業所の負担に配慮しの水準引き上げにも寄与する。水準引き上げにも寄与する。

 年金を受給しつつ雇用されて働いた場合の措置として、年金と賃金の合計が一定額を超えると年金が減額調整される「在職老齢年金」でも進展がみられた。基準額を引き上げて手元に残る額を増やす方向だ。年金制度は、納付に見合う給付を行うのが原則だ。調整の廃止も含めて検討すべきである。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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