路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《社説②・11.17》:米国の保護主義 分断と停滞を回避せねば

2024-11-19 09:31:15 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

《社説②・11.17》:米国の保護主義 分断と停滞を回避せねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.17》:米国の保護主義 分断と停滞を回避せねば 

 米大統領に返り咲くトランプ氏が大幅な関税引き上げを主張し、各国が保護主義の拡大に警戒を強めている。

 ペルーでアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が開かれ、自由貿易促進への賛同が相次いだ。

 行き過ぎた保護主義は、世界経済に深刻な分断をもたらし、景気減速を招く恐れがある。歯止めをかけなければならない。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏は、米国への全輸入品に10~20%、中国からは60%の関税を課す方針を示す。高いハードルを設けて他国製品の流入を防ぎ、自国産業を保護するという。

 1期目にも中国への制裁関税を発動し、報復関税の応酬となった。再び「貿易戦争」に発展する事態は避けられないだろう。

 中国が対抗措置を取れば、両国間の貿易が一時的に7割減るとの試算もある。行き場を失った中国製品が米国外の市場に押し寄せ、摩擦が連鎖しかねない。

 各国の対米貿易が縮小すれば、世界経済は停滞する。特に不動産不況が長引く中国の経済はさらに減速し、影響は世界に波及する。米国も無縁ではいられない。

 1930年代には大恐慌で主要国が保護主義に走り、経済のブロック化が進んだ。ナショナリズムが台頭し、第2次世界大戦の引き金となった。保護主義がたどった歴史を繰り返してはならない。

 戦後は欧米を中心に保護主義を否定し、自由貿易体制を築いてきた。それが、貿易ルールの策定や紛争の解決を担う世界貿易機関(WTO)設立につながった。

 だが、米国がトランプ政権1期目に、最終審に当たる上級委員会の委員補充に反対して以降、WTOは機能不全に陥った。現在のバイデン政権も中国製品への関税を強化し、保護主義に傾斜した。

 米国は自由貿易の恩恵を享受してきたからこそ、世界1位の経済大国になった。自国を優先し、国際協調を主導する責務を放棄するのは無責任だ。

 米国を含めて日本、中国など21カ国・地域でつくるAPECも、貿易や投資の自由化を進める立場を堅持してきた。議長国ペルーのボルアルテ大統領は首脳会議で、「分断ではなく協力と理解が必要だ」とくぎを刺した。

 トランプ氏は1期目の就任直後に環太平洋連携協定(TPP)から離脱した。次期政権でも多国間の枠組みに背を向けるだろう。日本を含む関係国は、保護主義が米国の利益を損なうことを説き、再考を迫らなければならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月17日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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