路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説②・12.20】:渡辺恒雄氏死去 権力と新聞問われた距離

2024-12-21 04:05:30 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【社説②・12.20】:渡辺恒雄氏死去 権力と新聞問われた距離

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.20】:渡辺恒雄氏死去 権力と新聞問われた距離 

 読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄氏が死去した。発行部数最大の全国紙トップとして経営、社論をリードした。新聞業界での存在感は極めて大きかったが、98歳の生涯への評価はそこにとどまらない。
 
 戦後間もない時期から政治記者として頭角を現し、大野伴睦氏、中曽根康弘氏ら多くの保守政治家たちと親交を結んだ。
 
 戦後政治の最後の生き証人であるとともに、政界に隠然たる影響力を及ぼし続け、新聞人としてのあり方に批判があった。
 新聞の役割とは何か、権力との距離をどう取るべきか。民主主義社会を支えるジャーナリズムのあるべき姿について改めて考えさせられる訃報である。
 読売新聞は渡辺氏が代表取締役社長・主筆だった1994年に自衛力保持などを明記した「憲法改正試案」を発表した。新聞社の改憲提言に賛否双方の立場から反響は大きかった。
 紙面を通じた世論形成に加えて、政局の舞台裏で言論人としての「のり」を越えたといわれても仕方のない逸話の数々を本人自ら語っている。
 2007年に浮上した自民、民主両党の大連立構想で仕掛け人となったのは記憶に新しい。
 86年に中曽根内閣が行った衆参同日選、いわゆる「死んだふり解散」の前、同日選を合憲・合法的に実施する方法を確認し建白書を中曽根氏に提出したと回顧録で明かしている。「同日選挙でなければ、自民党は勝てないからね」と理由を述べた。
 政治の動きを国民に正しく伝えるために、権力中枢の情報をつかむ取材力は記者に求められる要素だ。だがその大目的は国が誤った方向に進み、国民を不幸に陥れないよう権力を監視することにある。
 権力者に間近で接しつつ緊張関係を保つ。裏金問題が政治への信頼を根底から揺るがしている今、報道に携わる者が忘れてはならない鉄則だろう。
 改憲など読売の保守的な社論をけん引した渡辺氏だが、過去の戦争を肯定するような主張とは明確に一線を画した。
 終戦間近の19歳の時に召集を受け、「理不尽な暴力が支配する」軍隊生活に反感を抱いた。
 
 軍国主義を忌み嫌った原体験からだろう。日本の戦争責任を検証する長期連載を主導し、首相の靖国神社参拝や靖国の歴史観には批判的だった。
 
 「若い人たちに、戦争を知らなかった人たちに、戦争を知らせないといかん」と晩年のインタビューで語った。戦争体験者がほぼ姿を消した政界全体でかみしめてもらいたい言葉だ。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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