ニュースはアフリカ・アフリカ・アフリカ、大流行です。北朝鮮の拉致、中国の尖閣と対中包囲網、橋下市長・共同代表の妄言暴言をよそに、アベノミクス邁進です。円安は輸出産業には大きな利益を保障したようです。それが偽りの「景気回復」論に基づくマスコミの振りまくムードづくりによって安倍自公政権の支持率低下防止には大きく貢献したようです。
しかし、円安による弊害もじわじわと国民生活を襲ってきています。輸入産業に係わる国民消費生活にとっては手痛い打撃が浸透しはじめ、悲鳴が映像となって流されてきました。それもこれも、60年代の池田内閣がすすめた高度経済成長政策による輸出産業偏重・国内産業つぶしの結果です。今日も豆腐業者の集会を放映していましたが、豆腐の原料である大豆生産を国内から国外に移した結果でした。TPPに参加したらどうなるか?!まさに生きた教科書が映像化されていました。
しかも賃金を上げなければ、円安も帳消しです。賃金が上がらないのに、物価だけが上がっていくのですから、国民は踏んだり蹴ったりです。しかし、賃金値上げはしないでしょう!内部留保でシコタマ貯めていくことは、この間の事実が示しています。しかも、憲法第25条・第13条違反の生活保護支給に制限に取り掛かるのです。その一方でアフリカには大盤振る舞いの支援金バラマキを約束。安倍首相は「約束は守る」と胸を張って大見得を切りました。
そこで、アベノミクス成長戦略のアフリカ支援策をどのように報道しているか、見てみました。キィーワードは「民間」です。ODAなどを活用するようですが、国民の税金です。安倍首相が約束したカネは民間のカネではありません。税金です。経団連会長が出張っていますが、税金を食い物にして、自らの内部留保は懐の入れたままなのです。この内部留保を国民のためには絶対に使ってきませんでした。アフリカのために使うのであれば、国民のために使えということになります。
かつて開発独裁者へのプレゼントとしての役割をもったODAの反省は、今回のアフリカに使われるのでしょうか?大いに疑問です。アフリカの民衆にしてみれば、日本の「開発援助」はどのように映るのでしょうか?「資源を強奪するようなことはしない」などと言っていますが、ウソです。慈善事業で大金をハタクことなどありえません。
しかも、対中包囲網政策が中心です。アメリカの対中アラブ政策の補完的意味もあります。一旦緩急あれば自衛隊を派兵する気もムンムンです。アフリカはアジアと違ってかつての侵略のイメージはありません。しかし、ヨーロッパの植民地政策が自国の利益のために、アフリカの農業をないがしろにしていた二の舞を克服できるかどうか、それは日本の企業の在り方そのものにかかっているように思います。そうすると、かなり難しいかも知れません。
60年代以降の企業活動の特徴を視ると判ります。60年代に農業を潰して太平洋ベルト地帯に大量の低賃金労働者を金の卵として民族大移動させました。70年代には低成長と低賃金を押し付け、安価な労働力を全国に拡散させました。80年代の円高攻勢に対して徹底した合理化で対応しながら、韓国や東南アジアに向かって低賃金労働者を求めていきました。北米に工場を移転して対応もしました。
90年代には国内の工場を大量に東南アジアに移転し、国内労働力の空洞化を作り出しました。第一次産業を捨て、第三次産業化です。そのために非正規労働の拡大、日本的雇用の廃止をしながら、内部留保の拡大を実現したのです。
2000年代は巨大市場であり、低賃金労働者の宝庫であった中国に移転していきます。しかし歴史問題等で行き詰まります。そのために、インドシナ半島のタイに移転を、インドにもネライを定めていたのです。
こうして低賃金を求めて求めて、今度は、とうとう、アフリカにまで、手と足を伸ばしていったというのが、今回の会議であったように思います。しかし、この50年間の発想は継続中です。しかも大東亜共栄圏づくりの延長戦上にあります。ビジネス・ビジネスの言葉が踊っています。ここに危険な賭けが透けて見えてきます。
アフリカの次はどこへ求めるのでしょうか?中南米?あそこは新自由主義に対して、反発勢力が強い!というように、日本の企業も国民も、これまでの企業活動のやり方から脱却していかない限り、パックジャパニーズは落日の一途を辿っていくことでしょう。
では、いくつかの記事を掲載して、愛国者の邪論の邪論を披露しておきます。
日経社説 官民連携でアフリカ開発進めよう 2013/6/2付
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55746690S3A600C1PE8000/
日本政府がアフリカ連合(AU)や国連と共催する第5回アフリカ開発会議が横浜市で始まった。アフリカ諸国の首脳が一堂に会し、3日までの期間中、アフリカ開発の課題や協力策を話し合う。 最大のテーマは、従来の援助中心の支援でなく、アフリカの自立を促す貿易や投資をどう増やしていくかだ。安倍晋三首相は演説で「今、アフリカに必要なものは民間の投資だ」と訴えた。政府と企業が連携し、アフリカの持続的な成長を支えなければならない。
成長軌道に乗る経済
貧困や紛争にあえいできたアフリカはこの10年、豊かな資源と人口の伸びをてこに成長の軌道に乗りつつある。世界経済に占める重みは急速に増している。 サハラ砂漠以南地域の経済成長率は2002年~11年の平均で年5.8%。世界平均の3.8%を上回る。アフリカ諸国の貿易額は11年までの10年で4.3倍に、直接投資残高は3.8倍に増えた。 アフリカの大地にはエネルギーや鉱物など豊かな資源が眠る。燃料電池車に欠かせないプラチナは世界の埋蔵量の9割超がアフリカに集中する。アフリカの資源に依存する工業製品は少なくない。 10億人の人口は50年に20億人を超え、中国やインドを上回る。中間層の拡大はアフリカを巨大な消費市場へと変え、市場獲得をめぐる競争も激しさを増している。 中国のアフリカへの投資残高は5年で6倍に増えた。11年の投資額は日本の7倍の水準だ。中国は今や最大の貿易相手国である。欧米や韓国に加え、インドやブラジルの企業の進出も加速している。 日本は08年に開いた前回のアフリカ開発会議で政府開発援助(ODA)を2倍に増やす目標を掲げ、これを達成した。だが、アフリカ市場の成長と中国などの貿易や投資の急拡大で、日本の位置付けは相対的に下がっている。 経団連のサブサハラ地域委員長を務める双日の加瀬豊会長は「10年、20年先にアフリカは日本に不可欠の存在になる」という。しかし、日本がODAの額で中国などと競うには限界がある。 違いを出すには、日本が強みを持つ技術を使って資源や農産物の付加価値を高めたり、雇用の機会を提供したりして、アフリカの自律的な成長を促す仕組み作りに協力することが必要だ。 そのためには官と民の連携が重要だ。民間企業には負担の重い道路や港湾などのインフラは円借款で整備し、企業が発電所や工場を建設するなど、役割を分担すれば効果的な支援が可能になる。 アフリカが工業化に踏み出すには、生産性の向上や環境保全の取り組みが欠かせない。こうした技術を持つ日本企業がもっと前に出るべきだ。企業が進出しやすくなるように、相手国の法制度やビジネス環境の整備に協力するのは官の役目だ。こうした連携がひいては日本の成長戦略につながる。 成長軌道に乗ったとはいえ、アフリカでは4億人近くが依然1日1.25ドル(125円)以下で暮らす。生活水準の底上げや保健・衛生環境の改善は急がねばならない課題だ。これも援助や寄付だけでなく、企業がビジネスを通してかかわっていく視点が重要だ。 せっけん製造のサラヤ(大阪市)はウガンダで近く、現地の原料を使って消毒液の生産を始める。味の素はナイジェリアやコートジボワールでうま味調味料を10グラム程度の小分けにして販売している。現地の人々が手の届く価格で売って生活環境の改善に貢献し、事業としても成り立たせる。
貧困層を事業の対象に
人口を所得水準で分けるとできる三角形の、すそ野部分を占める貧困層を「ベース・オブ・ピラミッド(BOP)」と呼ぶ。この層が成長すれば購買力を持つ中間層へ移行する。BOPの開拓は将来の巨大市場への備えになる。 治安の問題も忘れてはならない。アルジェリアの邦人人質事件の記憶は新しい。マリやニジェールなどサハラ砂漠地帯ではイスラム過激派の活動が拡大している。ソマリアのように破綻国家状態から抜け出せない国もある。 経済開発の前提は治安の安定である。日本は独立間もない南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加している。アフリカの安定を目指す国際社会の取り組みに積極的に加わる必要がある。 開発会議は1993年以来、5年に一度開いてきた。時々の課題を首脳級が直接話し合う場は、アフリカの成長に伴い重みを増している。今回の会議を新しい段階に入ったアフリカとの関係を再構築するきっかけにしていきたい。(引用ここまで)
【アフリカ開発会議】紙おむつ、調味料、5万円バイク… 日本企業、狙いは「中間層」 2013.6.2 01:03 (1/2ページ)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130602/biz13060201050004-n1.htm
アフリカ開発会議のイベント会場で、つけ毛のPRをする化学品メーカー「カネカ」のブース=1日午後、横浜市
日本企業がアフリカに注目するのは、石油や鉱物など天然資源だけではない。アフリカの人口は2030年には中国やインドを上回るとされ、資源価格高騰もあって経済成長が著しい。将来の巨大市場を見据え、日本企業は先行している欧州や中国、韓国との競争が激しくなっている。
武力紛争などを背景に長く停滞してきたアフリカだが、2000年代に入り世界的な資源価格高騰を受け、エネルギー、鉱物資源の豊富な国では中間所得層が拡大。野村総合研究所のまとめによると、アルジェリア、エジプト、モロッコでは、1人当たりの国内総生産(GDP)がインドネシアやインドよりも高い水準だ。アフリカの人口は2030年には15億6000万人、50年には21億9000万人まで増える見込みで、韓国のサムスン電子はアフリカ市場を「ラストエマージングマーケット(最後の新興国市場)」と呼ぶ。ドイツなど欧州や中国の企業も輸出を伸ばしており、日本企業は出遅れている。 ただ、ここにきて日本企業のアフリカへの進出が増えている。平成23年末の日本企業の拠点数はアフリカ54カ国中24カ国に約333社(562拠点)で、拠点数は過去5年間で約2倍に増えた。 アフリカ進出で先行しているヤマハ発動機の柳弘之社長は「中間所得層が増えており、市場として期待したい」と狙いを明かす。ヤマハ発は、ボートに搭載する船用エンジンを売るため、アフリカ各地で漁法の効率性向上を地元住民に指南し、ブランド浸透を図ってきた。味の素はエジプトなどでうま味調味料を小分けして低料金で販売して売り上げを伸ばし、今年度中にもケニア進出を狙う。ユニ・チャームも、エジプトで紙おむつを製造・販売する計画だ。パナソニックは今秋から、太陽電池付き照明「チャージ機能付ソーラーランタン」の販売を始める。無電化地域が多いにもかかわらず、携帯電話の普及率が高いことに着目。携帯電話の充電機能付きでケニアやタンザニアの低所得層向けに、1台5千円以下で販売する見通しだ。 自動車大手の日産自動車は、新興国向け専用車「ダットサン」を平成26年末までに南アフリカで販売。ホンダも23年にナイジェリアで「5万円バイク」を発売。同国市場の9割近くを占める中国、インド勢と競争しており、「巨額マネーがアフリカに入っている」(ホンダ)と、今後の市場拡大を見据えている。(引用ここまで)
毎日 TICAD5:経団連会長も出席 企業の役割議論 2013年06月02日 01時01分
http://mainichi.jp/select/news/20130602k0000m030127000c.html
第5回アフリカ開発会議(TICAD5)は初日の1日、横浜市で全体会合が開かれ、参加各国が開発における民間企業の役割などについて議論した。民間企業の役割が議題となるのは初めて。 出席した経団連の米倉弘昌会長は、自ら会長を務める住友化学がマラリア防止の蚊帳を現地生産している例を挙げ、「日本企業はアフリカで人材育成、雇用促進に取り組んでいる」とアピールした。 安倍晋三首相も「ただ資源を採掘して日本に持ち込むようなことはしない」と述べ、アフリカの持続的な成長に対する日本企業の貢献を強調。また、ケニアなど10カ国とインフラ整備計画「戦略的マスタープラン」を作成し、官民で長期的発展を支援する方針を明らかにした。 これに対して、アフリカ側からは「資源だけを持っていく略奪的な企業は歓迎しない」(モーリシャス代表)など、日本企業の投資に期待する声が出た。 米倉氏ら経団連加盟の約40社の幹部は、同日の昼食会にアフリカ約40カ国の首脳らを招き、直接日本企業の投資意欲をアピールした。【吉永康朗】(引用ここまで)
毎日 アフリカ開発会議:横浜で開幕 安倍首相、3兆円支援表明 2013年06月01日 09時27分(最終更新 06月01日 12時05分)
http://mainichi.jp/select/news/20130601k0000e010163000c.html
アフリカ開発会議の開会式前に、記念撮影に臨む安倍晋三首相(前列中央)とアフリカ諸国の首脳ら=横浜市西区で2013年6月1日午前8時20分、梅村直承撮影
第5回アフリカ開発会議(TICAD5)が1日午前、横浜市で始まった。安倍晋三首相は開会式の基調演説で「今アフリカに必要なものは民間の投資と、それを生かす官民の連携だ」と述べ、今後5年間に、政府開発援助(ODA)約1兆4000億円▽官民での投資計約160億ドル(約1兆6000億円)−−を柱とした最大約3兆2000億円の支援をアフリカ向けに行う考えを表明した。 ODA拠出は、前回2008年のTICAD4で打ち出した年間約2000億円規模の支援を総額で上回り過去最大となる見通し。 首相は演説で、「支援のカギは『人づくり』。これは日本が力を発揮したい分野だ」と述べ、5年で1000人を日本に留学させ、卒業後に日本企業で雇用する「安倍イニシアチブ」を含む3万人の産業人材育成策も表明した。 また首相は、20年夏季五輪について「かつてアフリカ勃興を世に知らしめる舞台となった東京五輪が再び開けるよう、皆様のご支持をお願いする」と訴えた。アフリカ訪問についても「できる限り早くアフリカの地を踏むつもりだ」と意欲を示した。 支援策の主な内訳は▽内陸と沿岸をつなぐ道路網や送電網などインフラ整備約6500億円▽環境に配慮した低炭素エネルギー支援約2000億円▽保健医療分野での支援500億円など。(引用ここまで)
アフリカに税金を投入して、「支援」を口実に、「利用」して、工事は日本企業が請け負うのですから、国民の税金が日本企業にキックバックされるのです。財界が後押しして安倍自公政権の人気向上に貢献。参議院選挙までのパフィーマンスとしては作戦どおりです。
ここで大儲けした税金は、政治家にキックバックされていくのです。この構造は戦後の自民党政権を支えた構造です。原発利益共同体がアフリカ利益共同体に変わった、と言うか、アフリカに移転しただけです。不発に終われば、と言うか、儲けがないなと見込まれれば即座に撤退です。国内の法則は海外でも同じでしょう!
つづく