以下は、大西氏が紹介していた千葉の高校生が起草した平和友好条約案です。これは夏の原水禁大会で高校生が配っていたパンフに掲載されていたものです。大西氏も、この条約を沖縄に重ね、広げていました。
沖縄の負担軽減論の視点にない視点、それは日米軍事同盟廃棄という思考回路です。これは戦前戦後の天皇タブーに匹敵するほどの思考停止回路と言えます。だからこそ、軍事同盟の廃棄と新たな友好条約案の具体的な提起が必要ではないかということです。大西氏が、現地沖縄の視点から発していたことの意味を深く考えていくことの必要性を強調しておきます。
そういう意味で、6.23は、日米軍事同盟の不当性・従属性を考え、告発し、廃棄に向けて、新たな条約案を提起する日としなければならないと思います。全国民的議論が巻き起こり、とりわけ米軍基地の被害のある地域において、率先して条約案が起草されることを願ってやみません。千葉の高校生のように・・・・。
日米平和友好条約(案)
1996年1月15日 千葉県高校生平和ゼミナール実行委員会起草
日本国はかつてアジア諸国に対して、差別・抑圧をし、その結果侵略戦争を起こし、アジア諸国民に耐え難い苦しみを与えた。我ら高校生は韓国訪問を機に、侵略戦争の実態を学んだ。
広島・長崎への原爆投下から50年、唯一の被爆国であり、また加害国でもある日本国民として過去から学んだことを活かし、同じ過ちを二度と繰り返さないことをここに誓い、我ら高校生は、日本国憲法前文により、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間祖互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。我らは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めたいと思う。われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等の関係に立とうとする各国の責務であると信ずる」とされていることに留意し、更に日本国憲法第9条により、
「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇、又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とされていることに留意し、
自衛隊や日米安保条約などが、これらの種々の文書に反していることを憂慮し、われら高校生は、日本国憲法の前文・第9条、国連憲章および平和5原則に基づいて、友好条約をつくることをここに宣言する。
第1条〈目的〉この条約は、締約国間での過去の過ちを反省し、安保条約にみられる不平等性をなくし、双方の理解のもとに、永久に平和を求めるための条約である。
第2条〈戦争の放棄〉この締結国は、武力による威嚇と武力の行使、又は侵略戦争はもちろんのこと、自衛のための戦争も全て永久に、これを放棄する。
第3条〈戦力不保持〉この締約国は、陸海空軍又は自衛隊、その他の戦力は、これを保持しない。
第4条〈交戦権の否認〉この締約国は、各国の交戦権は、これを認めない。
第5条〈軍事基地の廃止〉この締約国は、各国の領土間に自国の軍事基地、及びいかなる外国の軍事基地の設置をも許さない。よって現在ある軍事基地も認めない。
第6条〈自衛隊の廃止〉この締約国は、第1条、第2条の自衛のための戦争を放棄、または自衛隊の不保持により、自衛隊を廃止する。但し、自衛隊は今後、災害その他各種の事態の救援活動を行うレスキュー隊として起用し、又難民問題を抱えている国などに海外派遣する。
第7条〈核兵器保有、核実験の禁止〉この締約国は、非核3原則を遵守し、又すべての核実験を禁止する。
第8条〈締約国の対等・平等〉この締約国は、ともに対等・平等である。
第9条〈内政不干渉〉この締約国は、いかなる場合でも相互の内政に干渉り王迫してはならない。
第10条〈平和教育の相互推進〉この締約国は、双方の過去の過ちを認識するために、平和教育に取り組み、青少年の交流を深めるものとする。
第11条〈文化・スポーツの交流〉この締約国は、お互いの国民の相互理解のために、文化・スポーツ面で積極的に交流するものとする。
第12条〈災害救援活動〉この締約国に災害が発生した場合は、相互にすみやかに協力・支援しあう。
第13条〈対等平等・公正・互恵の経済関係の確立〉この締約国は、対等平等・公正・互恵の経済関係を保つために協力しあう。
第14条〈国連憲章に反する条約の無効〉この締約国に係る条約で、国連憲章に反する条約は無効とする。
第15条〈締約国間の問題の解決〉この締約国間で、問題が発生した場合は、必ず話し合いにより解決する。
平和言言(案)
1997年1月15日 千葉県高校生平和ゼミナール実行委員会起草
日本国は、かつてアジア・太平洋諸国に対して、差別・抑圧をし、その結果、侵略戦争を起こし、アジア・太平洋諸国の人々に耐え難い苦しみを与えた。
われら高校生は、戦後50年の夏、韓国訪問を機に、侵略戦争の実態を学んだ。
われら高校生は、昨年『オキナワ平和の旅』で、広大な米軍基地を目の当たりにして日米安保条約と日米地位協定の屈辱的な実態や本土防衛の「捨て石」として戦争に巻き込まれた悲惨な戦跡を見学し、その歴史を学んだ。
ヒロシマ・ナガサキヘの原爆投下から半世紀が経過した今、われら高校生は唯一の被爆国であり、また加害国でもある日本国民として、過去から学んだことを活かし、同じ過ちを二度と繰り返さないことをここに誓い、
日本国憲法前文により、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。我らは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努め」たいと思う。
また「われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認する。
そして「この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等の関係に立とうとする各国の責務であると信ずる」とされていることに留意し、
更に日本国憲法第9条により、「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇、又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とされていることに留意し、
自衛隊や日米安保条約などが、日本国憲法に反していることを憂慮し、国連憲章および平和5原則などに基づいて、ここに平和宣言案を起草して21世紀の世界と日本の未来像を提案し、その討議を呼びかける。
第1項〈目的〉この宣言は、日本国の過去の過ちを反省し、日米安保条約にみられる不平等性をなくし、真の独立を確立し、永久に平和を求めるための宣言である。
第2項〈核兵器廃絶〉日本国は、唯一の被爆国として、地球環境を破壊し、人類を絶滅させる核兵器の廃絶のために努力する。
第3項〈非核3原則の遵守〉日本国は、非核3原則を遵守し、これを国際社会に拡大し、世界に非核地域を設定するように努める。又すべての核実験に反対する。
第4項〈戦争の放棄〉日本国は、武力による威嚇と武力の行使、又は侵略戦争はもちろんのこと、自衛のための戦争も全て永久に、これを放棄する。
第5項〈戦力不保持〉日本国は、陸海空軍又は自衛隊、およそ戦争をするためのものはいっさい保持しない。
第6項〈交戦権の否認〉日本国の交戦権は、これを認めない。
第7項〈軍事基地の廃止〉日本国は、他国の領土に軍事基地を置かず、また日本にいかなる外国の軍事基地の設置も許さない。よって以後軍事同盟は締結しない。
第8項〈自衛隊の廃止〉日本国は、第4項、第5項、第6項により、自衛隊を廃止する。但し、自衛隊は、今後災害など、あらゆる救援活動を行う災害救助隊として改組する。又難民問題を抱えている国や地域などに十分に安全性を協議、確認したうえで派遣する。
第9項〈国際問題・紛争の解決〉国際紛争を解決する手段としては、国際法などで確認されてきた非暴力に徹し、国際世論に訴えて問題・紛争を話し合いで解決する。
第10項〈外交政策〉日本国は、世界のいかなる国とも対等・平等の原則で交流する。
第11項〈内政不干渉〉日本国は、いかなる場合でも他国の内政に干渉・圧迫しない。
第12項〈対等・平等・公正・互恵の経済関係の確立〉日本国は、対等・平等・公正・互恵の経済関係を保っために他国と協力しあう。
第13項〈食糧自給〉日本国は、世界の食糧危機を解決するために食糧自給率の向上に努める。
第14項〈平和教育の相互推進〉日本国は、過去の戦争の過ちを認識するために、平和教育に取り組み、青少年の交流を深める。
第15項〈文化・スポーツの交流〉日本国は、お互いの国民の相互理解のために、文化・スポーツ面で積極的に交流する。
第16項〈戦後補償〉日本国はヽ過去の侵略戦争を深く反省し、国内外の被害者および遺族の人々に国家として深く謝罪し、その名誉回復をはかり、賠償問題を解決する。
第17項〈子どもの権利条約〉日本国は、日本国憲法の原則にもとづき、国民が人権を自覚できるようにするために、子どもの権利条約を普及徹底する。
第18項〈国旗・国歌〉日本国憲法の理念にもとづく国旗・国歌の制定を検討する。
第19項〈宣言の未来〉日本国はこの平和宣言案にもとづき、アジア・太平洋地域から世界の国々と平和友好条約案を提案して締結のために努力する。
平和友好条約(案)
われら高校生は、先に『平和宣言(案)』を起草して、21世紀の世界と日本の未来像を提案した。
そして侵略戦争の責任や核兵器廃絶の責務を明らかにして、戦後補償の方針を示し、各国との友好関係を発展させ、平和な社会を実現する決意を表明した。
この平和と友好の関係を確立、発展させるために非暴力による相互理解にもとづく交流をいっそう促進することをめざして、以下の条文案を起草した。
この条文案を各国の指導者や国民が議論し、この内容をより発展させ、実現することを呼びかける。
第1条〈目的〉この平和友好条約案は、侵略戦争を反省して二度と戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意して、平和と友好の関係を確立することを目的とする。
第2条〈対等・平等〉締約国は、ともに対等・平等である。
第3条〈内政不干渉〉締約国は、いかなる場合でも、相互の内政及び主権に干渉・圧迫してはならない。
第4条〈紛争の解決〉締約国間で、問題が発生した場合は、非暴力・話し合いにより解決する。
第5条〈教育・文化・スポーツの交流〉締約国は、相互理解のために、教育・文化・スポーツなど、あらゆる面で積極的に交流する。
第6条〈災害救援活動〉締約国は、災害が発生した場合は、相互にすみやかに協力・支援しあう。
第7条〈経済交流〉締約国は、対等・平等・互恵の経済関係の確立のために協力しあう。
第8条〈核兵器の廃絶〉締約国は、核兵器の使用や威嚇は一般的に国際法違反しているとの認識にたって、核兵器の製造やいかなる核実験も禁止する。そして21世紀に向けて核兵器の廃絶に努力する。
第9条〈非核地帯〉締約国は、非核3原則にもとづいて、各国の領域に非核地帯を設置する。
第10条〈非人道的兵器の廃絶〉締約国は、国際法に違反する生物・化学兵器など非人道的兵器の廃絶に努める。
第11条〈非人道的行為に対する補償〉締約国は、国際法に違反する非人道的行為に対しては、加害国・被外国を問わず、これを補償する。
この『平和宣言案』と『平和友好条約案』は第10回千葉県高校生平和交流集会の場で発表され、その場の討論を経て、さらに練り上げられて起草された。今回の案の原案は昨年に起草された『日米平和友好条約案』である。この『日米平和友好条約案』は一方的な宣言的な条約案であるとの指摘を受けて、宣言と条約の二つに分割することにした。
また日米との友好条約案から日米安保共同宣言発表と日本の侵略戦争の経験や捕虜虐待、戦後の核実験などの人道上の問題などを踏まえ、全世界の国々と民族、国民、民衆に呼びかける内容にした。
具体的な内容面では、高校生の問題関心に沿って条文化した。特に田中正造やガンジー、キング牧師、阿波根昌鴻などの非暴力主義の見解や行動を参考にした。また非核地帯構想など、国際条約集など、人類が築き上げてきた平和的・民主的諸原則を参考にして起草した。(引用ここまで)