都議選前の社説を検証してみました。日経・産経は書いていませんでした。朝日・毎日・読売・東京に共通するのは、都議会の各党の論戦などに対して自ら公平な報道を放棄しておいて、政党色を、まさにクソとミソをごった煮にする報道ぶりには呆れるばかりか、怒りが湧いてきます。しかも、各政党の政策の違いすら明らかせず、石原都政のオール与党化を批判しているのです。これでは違いは見えてきません。政治不信と諦め、投票忌避しかありません。結果的にみれば、過半数を超える有権者が投票忌避・拒否をしたではありませんか。
これは政党にも責任がありますが、こうした無責任政党の蛮行を告発しないマスコミに大きな責任があることは明らかです。しかも前回の選挙後、各党の公約がどのように実践されたのか、全くチェックすらしていないのです。これではマスコミの社会的責任を果たしていないと言われても仕方ありません。
以下、掲載しておきます。それぞれの社説の次にコメントを書いておきます。今朝の社説と比べてみると、マスコミの無責任ぶりがいっそう明らかになります。告発しなければなりません。
朝日 都議選スタート/暮らしの不安どう拭う 2013/6/15 6:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1?
築地市場の移転や、新銀行東京の経営問題のあった前回とは違い、大きな争点がない。今回の東京都議選はそんなふうに語られがちだ。 でも、そうだろうか。 例えば、急速に進む少子高齢化である。 都の人口予測では、2030年には高齢者が10年より3割近く増え、都民の4人に1人におよぶ。逆に、子どもは2割も減る。「世界が経験したことのない超高齢社会」を迎える、と都の報告書は記している。 少子高齢化のスピードは都心より郊外のほうが速い。地方からニュータウンへ移り住んで経済成長を支えた世代は老い、その子どもは都心で暮らす。 都心で今も子どもが増えているのは職住接近の環境ゆえだ。オールドタウンとなった郊外の立て直しには、地元で働ける場の確保と、育児を支えるサービスの充実が欠かせない。 一方、区部ではこの春、保育所に入れない親たちの行政への異議申し立てが相次いだ。働きながら子育てしやすい街づくりは都内全域の課題である。 大地震への備えという難題もある。古い木造の住宅がひしめく街を火災からどう守るか。オフィス街の帰宅難民をどこに避難させるか。 いずれも、全国の大都市が直面する問題だ。課題先進都市である東京は、それにどう立ち向かうのか。候補者は大いに語ってほしい。 株価や円相場が乱高下する中、安倍政権が進めるアベノミクスも争点になる。 朝日新聞の世論調査では、政権の政策で経済成長が「期待できる」と答えた人が5割にのぼる一方、景気回復の実感が「ない」という人は8割に迫った。 輸出関連企業が潤う半面、日用品が値上がりし、住宅ローンの金利も上昇している。期待をつなぐのか、失望に転じるのか。有権者の判断は、今後の政権の経済運営にもかかわる。 都議選では、直後の国政選挙を先取りするような結果がしばしば出る。 民主党が初めて第1党となった4年前は、衆院選で政権交代がおきた。自民党が大勝した12年前は、参院選でも小泉旋風が吹き荒れた。 今回も、1カ月後に参院選を控える。 自民党の強さは本物か。総選挙で惨敗した民主党に復調の兆しは見えるのか。初めて都議選に挑む日本維新の会やみんなの党はどう戦うか。 各党の消長を占ううえでも目が離せない。(引用ここまで)
「築地市場の移転や、新銀行東京の経営問題のあった前回とは違い、大きな争点がない。今回の東京都議選はそんなふうに語られがちだ。 でも、そうだろうか」などと言いながら、朝日の紙面ではどのような報道をしてきたか!どうかです。このことは、すでに記事にしました。
また、「急速に進む少子高齢化」「大地震への備えという難題」「アベノミクス」に対して各党がどのような政策を出しているか、チェックしたのか?どうかです。「候補者は大いに語ってほしい」などと、上から目線にたった報道に朝日の姑息が見えます。呆れます!
そもそも、「民主党が初めて第1党となった4年前は、衆院選で政権交代がおきた。自民党が大勝した12年前は、参院選でも小泉旋風が吹き荒れた」などと、他人事です。
毎日 東京都議選告示 首都で「経済」が問われる 2013年06月15日 02時20分
http://mainichi.jp/opinion/news/20130615k0000m070112000c.html
東京都議選挙が14日告示された。参院選の先行指標と目されており、与野党は23日の投票に向けて国政選挙に準じる態勢で戦う。 過去の選挙結果の多くがその後の国政選挙の傾向と連動しているだけに、安倍内閣の一連の経済政策などへの評価が大都市圏で最初に試される。人口1300万人を擁し、予算規模で韓国に匹敵する首都、東京が抱えている課題は少なくない。議会活動についても厳しく点検する場としたい。 都議の定数は127で前回選挙で躍進した民主党が改選前の第1党だった。自民党は安倍晋三首相が都議選を「準国政選挙」と位置づけ、「経済政策の是非を問う」姿勢を明確にしている。安倍内閣の高支持率の一方で、自民党は最近の各種地方選挙で必ずしも波に乗り切れていない。第1党の奪還と、公明党と合わせての過半数獲得が事実上、最低限の目標となる。 衆院選惨敗から立ち直りの足がかりが得られていない民主党も「円安・株高」基調に変化がみられる中、海江田万里代表がいわゆる「アベノミクス」路線への批判を強めている。経済政策への評価が政党への審判に影響することは確実である。 日本維新の会、みんなの党は初の都議選への挑戦だ。維新の会の橋下徹共同代表の従軍慰安婦をめぐる一連の言動や両党の選挙協力関係の解消などが、どう受け止められるか。共産党など候補を擁立する他党とともに政党の勢いと地力が試される。 都政の課題も問われる。前任の石原慎太郎氏に代表されるように知事の言動が注目される一方で、都議会は存在感を発揮していない。1990年度以降、政策に関する議員提案条例の制定が2件のみで都道府県議会で最低レベルというのは問題だ。「首都の議会」の名が泣こう。 横浜市に後れを取った形の待機児童対策、急激に進む高齢者人口増加への対応、東日本大震災の教訓を踏まえた防災対策など住民生活に密着する課題は多い。大都市圏行政に先進的に取り組む担い手という自覚がこれまで都議会には足りなかったのではないか。各党が都議選向けに掲げる政策の多くも具体的で責任ある目標を示したとは言い難い。 今回の都議選はインターネットを使った選挙運動の解禁の適用外であり、告示後のネットの活用は自粛せざるを得ない。だが、ネット選挙を意識した政党や候補はすでに多くの情報を発信している。有権者の参考になるだろう。 参院選の前哨戦としての政党対決。同時に年間議員報酬約1700万円にふさわしい住民の代表たり得るかどうかの吟味も重要である。(引用ここまで)
「都政の課題も問われる。前任の石原慎太郎氏に代表されるように知事の言動が注目される一方で、都議会は存在感を発揮していない」などと言っていますが、言動を注目したのは誰でしょうか?また都議会の存在を浮き彫りにした報道をしたでしょうか?
「各党が都議選向けに掲げる政策の多くも具体的で責任ある目標を示したとは言い難い」などという言葉がウソであることは、各党の都議会における発言や石原・猪瀬都政に対する評価をきちんと伝えないことからも、明らかです。一般的に「都議会」の「存在」を強調することで、都民・有権者に政治不信を振りまく毎日の姑息さが浮き彫りになります。
読売 東京都議選告示 参院選を占う先行指標となる (2013年6月14日01時35分)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130613-OYT1T01583.htm
有権者約1000万人の首都決戦は来月の参院選の先行指標となる。 安倍政権の経済政策である「アベノミクス」をどう評価するかが大きな争点となろう。 東京都議選が、きょう告示される。各党の党首、幹部クラスがすでに都内を走り回るなど、事実上の選挙戦が過熱している。 都議選が注目されるのは、直後の国政選と連動することが多いからだ。前回2009年は、自民党が大敗し、民主党が躍進を遂げて都議会最大会派となった。翌月の衆院選での政権交代を告げるような結果だった。 今回、自民党は都議会第1党の座を奪還し、公明党とともに、安定した与党勢力の確保を目指している。参院選で過半数の議席を自公で獲得し、衆参「ねじれ国会」を解消できるかどうかを占うことにつながろう。 安倍首相は都内の遊説で、アベノミクスについて、「日本を覆っていた暗く厚い雲、空気が大きく変わった。この道を進めば、間違いなく経済成長させていくことができる」と訴えた。 ただ、大胆な金融緩和、機動的な財政政策に続く「第3の矢」の成長戦略は発表した直後で、成果が出るのはこれからだ。自民党は、経済再生への道筋をどう描くのか、丁寧な説明が必要だ。 民主党の海江田代表は街頭演説で、アベノミクスについて、「物価が上昇し、国民の負担が増え、生活を破壊する」と、そのリスクを強調した。
だが、マイナス面を強調するだけでは説得力のある批判とはいえまい。具体的な対案を示して深みのある論戦を展開してほしい。 日本維新の会は、橋下共同代表によるいわゆる従軍慰安婦問題の発言を巡り、失速気味だ。共闘体制を構築してきたみんなの党は、選挙協力を解消した。参院選も同じ構図だ。「第3極」に対する有権者の判断が注目される。 都議会で、自公両党は猪瀬直樹知事の都政を支える与党だ。最大会派の民主党も与党的な立場を強めている。それだけに、都政に関しては大きな争点がない。都市部に多い無党派層がどう動くか。投票率の低下も懸念される。 しかし、都の抱える課題は少なくない。帰宅困難者対策や木造住宅密集地の解消などの防災面をはじめ、待機児童対策、高齢者施設の整備などは急務だ。 都議選を、国政の関連だけではなく、そうした首都の現状を考える機会ともすべきである。(引用ここまで)
「都議会で、自公両党は猪瀬直樹知事の都政を支える与党だ。最大会派の民主党も与党的な立場を強めている。それだけに、都政に関しては大きな争点がない」などという構図こそ、争点ですが、読売の視点では、有権者は白けるばかりでしょう。しかも読売の出している「首都の現状」に対して、各党がどのような政策を出しているか、そのことをハッキリさせる責任があるということを読売は自覚すべきです。
そもそも読売など、マスコミが自覚していないからこそ、投票率の低下現状が起こったのです。自らの報道はどのような意識を形成したか、検証すべきです。これが民主主義です。
東京 東京都議選告示 首都の良識を示したい 2013年6月15日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013061502000119.html
東京都議選が十四日に告示された。七月の参院選の前哨戦として、各政党は一路邁進(まいしん)の様相だ。有権者は国政の動きをにらみつつ足元の課題を考えたい。首都決戦での一票は全国的な重みを持つ。 十三年半ぶりに知事が交代して初めての都議選だ。石原慎太郎前知事の陰に隠れ、見えにくい存在だった議会の仕事ぶりを厳しくチェックする好機と捉えたい。 議員としての資質を備えているか。この四年間に議員の提案で制定された政策条例はわずかに一件。議員報酬と政務活動費だけでおよそ二千四百万円が毎年支給されているのにだ。 先の知事選で、四百三十四万票近くを集めた猪瀬直樹知事の人気を前に、議会はほぼ“オール与党化”の傾向を強めている。 十二兆円を超す本年度予算案は、選挙戦で猪瀬知事を支えた自民、公明、日本維新の会の三党に加え、自主投票で臨んだ民主党さえ賛成して難なく成立した。 新銀行東京の経営や築地市場の移転、東京五輪の招致といったかつてのような明確な対立軸は見えてこない。政策論争が下火だけに投票率の低下が気がかりだ。 とはいえ、身の回りには喫緊の課題が山積している。待機児童の解消や高齢者施設の充実、首都直下地震への備えなどは急務だ。民主主義を鍛える道具として常設型の住民投票条例も必要だ。 知事の政策を追認するばかりの議会では、二元代表制を土台とする地方自治が機能不全に陥りかねない。より良い行政づくりに向けて知事と緊張関係を保ち、切磋琢磨(せっさたくま)できる議員を送り込みたい。 都議選での政党の浮沈は直後の国政選を占う指標となる。 前回は自民党が大敗し、民主党が第一党に躍り出た。翌月の衆院選での政権交代を先取りした形となった。今回は自民党が第一党に復帰し、公明党と共に与党として過半数を制するかが焦点だ。 安倍晋三政権が発足して初めての大型選挙でもある。都議選の結果は参院選に跳ね返り、衆参ねじれ国会の行方をも左右し得るのだ。 だからこそ、有権者は国政が抱える重要課題も併せてしっかり考えねばならない。 憲法九六条改正は必要か。脱原発・エネルギー政策をどう描くか。アベノミクスに生活を委ねて大丈夫か。安倍政権の信を問う役割をも担っていると自覚したい。 東京を変える。そして東京から国を変える。そんな実力を持った候補者を見抜いて投票しよう。(引用ここまで)
「石原慎太郎前知事の陰に隠れ、見えにくい存在だった議会の仕事ぶりを厳しくチェックする好機と捉えたい」などと、言っていますが、ここに石原身勝手政治、挑発的言動を許したマスコミの責任が浮き彫りになっていないでしょうか?石原氏の身勝手さは、維新の会における言動に象徴的でした。
「この四年間に議員の提案で制定された政策条例はわずかに一件」の責任は何党にあるのか、このことを4年間も放置してきたマスコミの責任はないのでしょうか?「議会はほぼ“オール与党化”の傾向を強めている」とありますが、全ての政党がこのオール与党化に参加しているのでしょうか?ウソでしょう!ここにマスコミの無責任、民主主義軽視があります。
「明確な対立軸」を示していないというのは、ウソでしょう!東京は都議会傍聴をしているのでしょうか?ウソでしょう!
「より良い行政づくりに向けて知事と緊張関係を保ち、切磋琢磨(せっさたくま)できる議員を送り込みたい」などと言っていますが、各党の政策の違いを、事実で明らかにしない東京、マスコミの立ち居地が、無用な風を吹かせ、時に小泉自民党へ、時には鳩山民主党へ、そして、今度は安倍自民党の政権樹立に手を貸しているのです。違いますか?
「有権者は国政が抱える重要課題も併せてしっかり考えねばならない…実力を持った候補者を見抜いて投票しよう」などと上から目線は捨てて、ハッキリと違いの判る報道をすべきでしょう。判断は有権者がするのです!マスコミは偏見を抜きにして、事実をきちんと報道すべきであり、これこそが憲法の人権と民主主義の理念の具体化なのです。