愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

新しい人権を餌に大きな9条改悪と人権抑圧とチョー復古を釣ろうとする不道徳が見えてきた憲法論議!

2013-06-13 | 安倍式憲法改悪

参議院憲法調査会の各党の主張が一覧されていいるのを見て、ま、判っていたことですが、改めて記事を書いてみることにしました。 

結論は、新しい人権を明記するために憲法を変えていこうとする政党が、9条を変えていこうとしていることが、いっそう浮き彫りになりました。国会議員には、もう一度中学校に戻って、高校・大学と憲法を再学習していただきたいものだと、強く思いました。 

出されている環境権ですが、これは環境基本法 が制定されています。国権の最高機関・唯一の立法機関である国会でつくったものです。ということは、自分たちでつくったとうことです。このように言うと、おれが作ったのではないなどと、シャレにもならない屁理屈が飛んできそうです。そのくらい、幼稚なのです。 

具体的にみてみます。 

(目的)として、以下の日本語が書かれています!環境権を主張する政党と議員は、日本語理解能力に欠けるというものです。大笑いです。マスコミ記者は、よく勉強して、この環境基本法で間に合っていない理由を問いただすねきです。さもなければ、アンタも不勉強!出直せ!ってことになりますよ! 

ま、特に言えば、「日本国憲法にのっとり、この法律を制定する」と明記して置けばよかったと思うけれども、恐らく、公害を撒き散らしていた企業からたくさん献金を受けていた自民党が、公害反対運動の高まりのなかで、シブシブ作らされたもので、いわゆる押し付けられたものだから、「日本国憲法にのっとり」なんていえなかったのではないでしょうか?調べてみますけど。 

第一条  この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。(引用ここまで) 

次は、(国の責務)(地方公共団体の責務)として、以下のことが書かれています。憲法に何を書け!というのでしょうか?呆れます。国も地方自治体も、その「責務」違反を告発されるかもしれません。それが憲法に明記しなければならない理由でしょうか? 

第六条  国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。 

第七条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 

次は、(事業者の責務)です。 

第八条  事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。

 前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

 前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。 

最後には、いよいよ、(国民の責務)です。 

第九条  国民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない

 前項に定めるもののほか、国民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。 

面白いことは(環境の日)があるけれども、基本理念にのっとり、この環境の日を考えるために「祝日」にしていない、或いは、この日を「環境の日」としてPRしていないのです。まず、環境権を憲法に、という政党と議員は、6月5日を、祝日にして、この日に憲法を変えよう!って叫んだらいいんじゃないでしょうか?勿論、憲法と環境基本法を配るのですけれど、ね。「環境の日」にしてみれば、この日は「屈辱の日」ということで、怒っているとおもいますけれどね。 

第十条  事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるため、環境の日を設ける。

 環境の日は、六月五日とする。

 国及び地方公共団体は、環境の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。引用ここまで  

 

「プライバシー権」だって 『新しい人権』と憲法~ネット社会とプライバシー権 2013年5月2日(木)

http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2013/05/0502.html

…その中にいろいろな権利を盛り込んでいくと、それぞれの権利は明確になって保障はしやすくなります。その一方で、例えば、これまで見てきましたように、『プライバシー権』や『表現の自由』がぶつかり合うなど、それぞれの権利を抑制してしまうことにもなりかねないという指摘もあるんです。(引用ここまで

この発想は、形式論理の限界がよく出ていますね。サッカーを含めて、スポーツを見れば、この形式論血の限界は明瞭でしょう。原則性と柔軟性の統一です。フォーメーションを訓練していなければ、各選手が勝手気ままに動いてしまいます。ぶつかってしまうか、知らんぷりをしてしまいます。相手の選手との動きと係わって、ボールに向かって、誰がどのように動くか、個人を生かしていくためには、仲間を尊重しなければならないのです。 

人権とは、本来そのようなものとして考えられたのです。個人の尊厳は個人の権利を守るためにつくられた国家が、その権力を使って国民の権利を抑圧する時、或るいは、国民同士が、権利を抑圧する場合、それらの暴走を食い止めるために「ルール」「考え方」をつくったのです。それは他人の尊厳も同時に認めるということです。 

そこが日本の場合は訓練されてこなかったのです。何故か、「権利を言う前に義務を果たせ」論があるからです。戦前の大日本帝国憲法の「法律の範囲内於て」「日本臣民は安寧秩序を妨げず及臣民たるの義務に背かざる限に於て」論が源流です。これを受け継いだものが、自民党の改憲案です。 

そういう意味で、NHKの意図が、というか、不勉強ぶりか、判りませんが、透けて見えてきます。スポーツ報道は充実?しているんですけどね。以下の方が、まだ充実していますか? 

新しい人権http://sakura.canvas.ne.jp/spr/h-minami/note-atarasiijinken.htm

現代社会の急激な変化にともない、憲法制定当時には予想されなかったような問題が発生している。その結果、環境権プライバシーの権利知る権利平和的生存権など、「新しい人権」を確立すること が要請されるようになった。憲法に直接明記されていないこれらの権利をどのように確立するのか。新しい人権が自由権、社会権についで、第三の人権となるのか。形成過程にあるこれら新しい人権の現状について考えてみる。(引用ここまで) 

新しい人権を強調する政党と議員、それらを支持乃至共感する人たちは、ますもって「児童(子ども)の権利に関する条約」全文をよく読んでみてほしいものです。これを子どものに徹底させていく教育がないがしろにされていませんか?これ国際条約です!日本も批准しています!具体化していく責務があります。 

「子ども」とは、18歳未満の人間のことです。ということは、18歳以上は大人、成人ということです。これだけみても、日本は何と遅れているか、よく判ります。特に新しい人権をなどと言っている政党と議員が、一番遅れているのです。何故でしょうか?人権思想も感覚の欠落しているからです。人権なんて、きっと想定外でしょう!口で言ってますけど・・・ 

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html 

それでは、記事を掲載しておきます。この記事について、マスコミの見解は入っていないことが不思議です。何故か!新しい人権導入派の主張は大きく取り上げられているからです。世論誘導が透けて見えてきます。またマスコミの不勉強ぶり、応援団ぶりが透けて見えてきます。マスコミの報道の仕方に注目です! 

「新しい人権」に対する各党の見解 (2013/06/12-17:40)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2013061200720

民主党    環境権、プライバシー権、知る権利はまず法律を整備することが優先順
       位として高い
自民党    時代の変化に対応するため、新しい人権を憲法に明記する
公明党    環境権など時代の進展に伴い提起されている新たな理念を加える「加憲」
       が妥当
みんなの党  立法措置で十分なのか、憲法に明記するかは、今後さらに議論を深める
生活の党   プライバシー権や知る権利などを憲法に明記
共産党    環境やプライバシーを保護するなら立法で具体化することが可能
みどりの風  新しい人権を明記するためだけに憲法改正をする必要はない
社民党    憲法上の規定を設ける必要はない
日本維新の会 環境権やプライバシー権などを憲法に明記
新党改革   障害者への差別禁止や個人情報の保護などを憲法に明記
※党派は参院勢力順に並べた(引用ここまで


衆院憲法審:改正や国民投票法 各党が意見表明  毎日新聞 2013年06月13日 12時06分(最終更新 06月13日 13時08分)

http://mainichi.jp/select/news/m20130613k0000e010184000c.html

 衆院憲法審査会は13日、憲法改正や国民投票法などに関して各党が意見表明した。自民党日本維新の会は早期改憲に向け各党協議を急ぐ考えを表明。公明党は「加憲」に触れつつ慎重な対応を求め、民主党は基本的人権や2院制など憲法の基本構造を守る考えを強調した。今国会での審議はこれで終了する。

 自民党の中谷元氏は自衛隊の「国防軍」化などを盛り込んだ党憲法改正草案に触れ「憲法解釈では乗り越えられない限界点、矛盾を正すため、早期に国会発議に関する政党間協議に入るべきだ」と主張した。

 公明党の斉藤鉄夫氏は9条に関し「国際貢献の明確化」が議論の対象になるとの考えを表明。改憲の発議要件を緩和する96条改正は「(平和主義など)3原則以外は議論の余地がある」と語った。

 民主党の武正公一氏は「改正手続きは丁寧な議論を積み上げて合意を目指すべきだ」と自民、維新の突出をけん制。これに対し維新の馬場伸幸氏は「統治機構を作り直す大改革のためにも憲法の大幅改正が必要だ」と96条改正を主張。みんなの党の小池政就氏も96条改正を唱えた。

 一方、共産党の笠井亮氏は96条改正論に関し「立憲主義の否定だ。国民は今、改憲を望んでいない」と主張し、生活の鈴木克昌氏も反対論を展開した。【念佛明奈】(引用ここまで) 

参院憲法審、「新しい人権」議論 環境権で見解分かれるhttp://www.asahi.com/politics/update/0612/TKY201306120439.html

 参院憲法審査会は12日、環境権やプライバシー権などの「新しい人権」について議論した。自民、公明両党は環境権を憲法に明記する考えで一致。ただ、国民の「権利」と国による「責務」のどちらに力点を置くかで見解は分かれた。 「加憲」を掲げる公明党の西田実仁氏は「健康が維持できる良好な環境のもとで生活する権利と、その裏側として保全の責任を加える」と主張。これに対し、自民党中川雅治氏は「個人が法律上の権利として主張するところまでは内容が熟していない」と述べ、自民党憲法改正草案では、環境保全の責務を国に課していることを説明した。生活の党のはたともこ氏も「国による責務を明記する方が現実的だ」と同調した。 一方、民主党の藤本祐司氏は「人権のインフレが過ぎると、権利と権利のぶつかり合いが生じる可能性も大きくなる」として慎重な検討を求めた。共産党社民党は「立法措置で対応すべきだ」などとして、改憲自体に反対した。(引用ここまで) 

環境権、自公維など明記主張 参院憲法審が「新しい人権」議論  2013/6/12 22:25

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1202T_S3A610C1PP8000/

 参院憲法審査会は12日、「新しい人権」について議論した。自民、公明、生活の党、日本維新の会、新党改革の5党は、国民が良好な環境のなかで生活する「環境権」などを憲法に明記するよう求めた。民主党は新しい人権の確立は一般の法律で規定すべきだとして、憲法改正に慎重な姿勢を示した。共産、みどりの風、社民の3党は新しい人権を追加する改憲に反対した。 自民党の中川雅治氏は「憲法に新しい人権の規定を設けることで、国民の権利保障はより強固になる」と強調。党の憲法改正草案を踏まえ、環境権のほかプライバシー権、国民の知る権利、犯罪被害者の権利などを憲法に明記するよう訴えた。ただ「(新しい人権を)個人が法律上の権利として主張するところまで内容が熟していない」とし国が守るべき責務として規定すべきだと主張した。 公明党の西田実仁氏も「新しい人権を憲法に明記することで時代の変化に対応した積極的な立法措置ができる」と指摘。環境権、プライバシー権、知る権利などを提起した。生活、維新、改革の3党も環境権などの追加に同調した。 民主党は新しい人権を充実させる必要性は認めつつ「法律を整備することが優先順位として高い」(藤本祐司氏)と憲法改正には慎重な立場を表明。共産、みどりの風、社民の3党は「環境やプライバシーを本気で擁護するなら立法で具体化できる」(共産党の井上哲士氏)と新しい人権を明記する改憲に反対した。 みんなの党の松田公太氏は「立法措置で十分なのか、憲法に明記すべきなのかは今後、議論を深めなければならない」と述べるにとどめた。(引用ここまで)

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またまた幼児性を暴露したお坊ちゃま安倍シンゾー総理大臣!的外れ田中均批判で内幕暴露!これって大問題!

2013-06-13 | 日記

またまた安倍首相が、右翼バネを批判されたことに腹を立てて、とんでもないことを喋ってしまったようです。拉致問題の内幕です。こういう話は、ホントは当時すべきことでした。今頃になって、腹を立てて暴露する安倍首相の幼児性には呆れますが、権力者が、こういう性格をもっているということは、怖い反面、国家を運営する資格・資質に悖るということになります。 

こういう内幕を暴露することで、どんな利益があるか、検証してみる必要があります。特に被害者の立場からみて、どうなんでしょうか?複雑怪奇な内幕暴露だったように思います。 

マスコミや国会で追及しないのでしょうか?今後が楽しみです。 

では、NHK・読売・産経の記事と、毎日の記事を、そのまま掲示しておきます。安倍首相の反論というか、批判というか、避難というか、難癖が、的外れであることが、よく判ります。田中氏は苦笑しているでしょうね!きっと・・・・。反論が楽しみです。それにしても恥ずかしい限りです。国際的にみれば、笑いもんでしょう!安倍首相は!

 

首相 田中均氏に外交を語る資格なし 6月13日 4時17分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130613/t10015264001000.html

K10052640011_1306130625_1306130629.mp4

安倍総理大臣は、インターネットの交流サイト「フェイスブック」のみずからのページで、田中均元外務審議官について、平成14年に帰国した5人の拉致被害者を北朝鮮の要求に従って送り返すよう主張したなどと指摘し、「彼に外交を語る資格はない」と批判しました。この中で、安倍総理大臣は、北朝鮮から拉致被害者5人が帰国した際に、外務省のアジア大洋州局長を務めていた田中均元外務審議官について、「5人を北朝鮮の要求どおり、送り返すべきだと強く主張した。田中氏の判断が通っていたら、拉致被害者や子どもたちは、いまだに北朝鮮に閉じ込められていたことだろう」としています。そのうえで、「外交官として決定的判断ミスだと言える。そもそも彼は北朝鮮との交渉記録を一部残していない。彼に外交を語る資格はない」と批判しました。田中氏は、12日付けの毎日新聞のインタビューで、安倍政権の外交姿勢に関連して、「日本でいわゆる右傾化が進んでいると思われ出している」などと述べており、安倍総理大臣は、こうした指摘に反論したものとみられます。 

首相、日朝首脳会談整えた田中均氏をFBで批判 (2013年6月13日07時49分  読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130612-OYT1T01060.htm?from=main2

 安倍首相は12日、会員制交流サイト「フェイスブック」で、2002年の日朝首脳会談に際し、北朝鮮と独自交渉を重ねた田中均元外務審議官を「彼は交渉記録を一部残していない。外交を語る資格はない」と強く批判した。 首脳会談後に帰国した拉致被害者5人を北朝鮮に戻さないと決めた際、田中氏が北朝鮮との関係が切れると懸念したとして、「田中氏の判断が通っていたら5人の被害者や子供たちはいまだに北朝鮮に閉じ込められていた。外交官として決定的判断ミス」とも断じた。 これは、一部報道機関のインタビューで田中氏が、飯島勲内閣官房参与の訪朝を巡り「スタンドプレーとは言わないが、そう見られてはいけない」などと論評したことに反論したもの。 

「外交語る資格ない」 首相、田中均氏をバッサリ 2013.6.12 22:38 安倍首相 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130612/plc13061222390015-n1.htm

 安倍晋三首相は12日夜、自らの交流サイト「フェイスブック」で、かつて対北朝鮮外交を担っていた田中均元外務審議官を「外交を語る資格はない」と痛烈に批判した。 田中氏は12日付の毎日新聞のインタビューで、「国際会議などで、日本が極端な右傾化をしているという声が聞こえる」「中韓に日本を攻撃する口実を与えてしまっている」などと首相の外交姿勢に否定的なコメントを述べた。 これに対し首相は、官房副長官だった11年前、拉致被害者5人を北朝鮮に返すべきだとの田中氏の主張を覆した経緯を説明した上で「あの時、田中氏の判断が通っていたら5人の被害者や子供たちはいまだに北朝鮮に閉じ込められていた」「外交官として決定的判断ミス」などと批判した。 

 

保守主義と歴史認識:/1 右傾化、日本攻撃の口実に 田中均氏に聞く 毎日新聞 2013年06月12日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/news/20130612ddm005010116000c.html

 ◇田中均(ひとし)氏

 −−諸外国で日本の右傾化に懸念が強まっていると聞きます。

 ◆外国での国際会議などで、日本が極端な右傾化をしているという声が聞こえる。一方、安倍政権ができ、アベノミクス効果などで日本も政治の停滞を抜け出すのではないかという期待の声もある。しかし、安倍晋三首相の侵略の定義や河野談話、村山談話をそのまま承継するわけではないという発言や、麻生太郎副総理らの靖国参拝、日本維新の会の橋下徹共同代表の従軍慰安婦についての発言などで、いわゆる右傾化が進んでいると思われ出している。

 −−日本の右傾化を諸外国が利用している面もあるのでは。

 ◆中国との尖閣問題、韓国との竹島問題などで、日中、日韓関係が厳しい状況にある中、中韓に日本を攻撃する口実を与えてしまっているという面はあるのだろう。この機会に日本をたたけと。

 −−米国はどうですか?

 ◆米国は中東からアジアへの関心の「リバランス(再均衡)」政策を図っている。中国を大事にする、しないではなく、東アジアを安定的な地域にしないと、米国の経済的、政治的利益が担保できないから、中国と向き合うことが必要だと。しかし、日本が中韓との関係で孤立しているように映っている。それは米国の国益にもそぐわないという認識が強い。中国と建設的に向き合うためにも日本の協力が必要だが、日中が角を突き合わせている状況は具合が悪いとの認識がある。

 −−安倍首相は批判が出るとブレーキはかけますね。

 ◆侵略の定義とか、村山談話、河野談話、憲法96条の改正などで現実的な道をとろうとしていると思う。しかし、あまりそれを繰り返すと、根っこはそういう思いを持っている人だということが定着してしまう。参院選までは抑えるけど、それ以降はまた出てくるのではないかとの印象を生んでいる。それが日本の国益のためにいいかと。

 −−飯島勲内閣官房参与が訪朝しました。米韓への事前の説明が不十分だったと指摘されています。

私が北朝鮮と交渉した時もそうだが、日本の課題があるから、すべてを他の国に相談してやっていくということではない。拉致問題は極めて重要で、日本が自ら交渉し解決していかなければならない。だが、核、ミサイルの問題は日本だけでは解決できず、関係国との関係を損なわないようにうまくやっていかなければならない。小泉純一郎元首相が常に言っていたように、拉致と核、ミサイルを包括的に解決するのが日本の政策なのだと思う。飯島さんの訪朝がスタンドプレーだとは言わないが、そう見られてはいけない。

 −−最近の日本外交は二言目には、中国をけん制するというのが出てきます。

 ◆ロシアやインド、東南アジアとのパートナーシップを強化すること自体は正しい。だが、それを価値観外交と言えば、中国を疎外する概念になる。価値観外交と掛け声をかけることが正しいとは思わない。中国が将来覇権をとるようなことがないように共にけん制しようというのは、静かにやること。声を大にして「けん制しますよ」というのは外交じゃない。政治家は勇気を持って日中関係はいかに大事かを語らないといけない。

 −−課題山積です。

 ◆日本が自己中心的な、偏狭なナショナリズムによって動く国だというレッテルを貼られかねない状況が出てきている。日本の再生は可能だと思うし、政治の力でそれを実現してほしい。日本に国際社会からこれだけ注目が集まることは、1年前は良くも悪くもなかった。それを無にしないことが大切でしょう。【聞き手・高塚保】

     ◇

 安倍政権発足後、日本の保守化、右傾化に国内外で警戒感が強まっている。安倍政権はどこに向かおうとしているのか、そして、それは国益に合致しているのか。政治家、有識者に聞いた。=つづく

==============

 ■人物略歴

 1969年、外務省入省。アジア大洋州局長、外務審議官を歴任。2002年の小泉訪朝に尽力した。現在は日本総合研究所国際戦略研究所理事長。

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