またしても公務員賃金削減で失敗のしわ寄せをして切り抜けようとする安倍自公政権とアベノミクス信者たちの妄信ぶりに呆れたので、記事を書くことにしました。
まず、マスコミは全く判っていないなということが判りました。公務員賃金が下がれば、民間も下がることは、歴然としている。その民間の賃金に右倣えして公務員が下がる、わゆる悪魔のサイクルを回転させてきたからこそ、低賃金社会になったのは明らかですが、この事実にきちんと向き合っていない社説が書かれているのです。
富山 地方公務員給与削減/やむを得ないが違和感も 2013/5/25 4:06
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm?
富山、石川県の場合は、それ(今年度の地方交付税や義務教育費国庫負担金をカット)によって歳入に約60億円の穴があいた。歳出面では、既に「乾いた雑巾」を絞るような努力を重ねているし、いざというときの備えである財政調整基金などをこんな理由で使うのも、県民の理解を得にくい。それでも、行政サービスを低下させるのは避けたいとなれば、給与削減に踏み切るのはやむを得ない。…安倍政権はデフレ経済からの脱却を最重要課題に掲げており、先ごろは首相が自ら経済界に対して賃上げを要請したことが話題になった。サラリーマンの懐を温め、個人消費を喚起する狙いだが、地方公務員の給与削減は、それと矛盾するように思われる。 多くの民間企業が集積している大都市圏なら、地方公務員の消費が少し落ち込んだとしても、地域経済への影響をそれほど心配する必要はないかもしれない。…ただ、ここまでの国のやり方(国から国家公務員並みの削減を求められ、受け入れを前提として、今年度の地方交付税や義務教育費国庫負担金をカットされたこと)には、違和感も覚える。…交付税への依存度が高ければ高いほど「効く」手法で、自治体に給与削減を迫った点にも首をかしげたくなる。地方公務員の給与削減のきっかけとなった国家公務員の給与削減は、東日本大震災の復興財源を確保することを目的とした時限的措置であり、今年度いっぱいとされている。国には、来年度には交付税などを復元することを強く求めたいし、富山、石川県なども、そうなるようしっかりと働き掛けてもらいたい。(引用ここまで)
富山 財政健全化目標/アベノミクスとの両立を 2013/5/29 4:06
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm?
基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を10年度比で半減させ、20年度に黒字化させる財政健全化目標は、「アベノミクス」に対する主要国の理解と、国債の信認を得るためにも必要だ。成長戦略と両立させ、景気回復に伴う税収の増加で財政を健全化していく姿勢を貫いてほしい。…消費税を地方消費税込みで14年4月に8%、15年10月に10%と段階的に引き上げる増税により、社会保障改革と財政健全化に一応の道筋が付いた。この1年余りで、増税に耐えうる「体力」を付ける必要があり、是が非でもアベノミクスを成功させたい。…優先すべきは景気の回復であり、場合によっては消費税の引き上げを先送りする決断が必要になるかもしれない。アベノミクスによる景気回復のシナリオは、(1)インフレ目標設定によるアナウンスメント効果(2)円安(円高修正)・株高(3)輸出企業の収益増(4)消費拡大・インフレ期待の高まり(5)内需産業の利益増加(6)雇用拡大・所得増加(7)物価上昇(8)本格的景気回復の8段階あり、現在は(3)から(4)に移る過程と見てよいのではないか。 財政健全化目標はあくまで中長期の目標であって、アベノミクスは本格的景気回復につなげる短期目標といって良い。消費税増税による景気の減速・税収減がどの程度のマイナス要因となるか、見極めが必要である。 円安・株高はアベノミクスの根幹であり、一時的な上げ下げはあったとしても円安・株 高のトレンドを維持していくことが重要だ。(引用ここまで)
富山新聞は、要するに何を言いたいのか、アベノミクスの応援か、批判か、安倍首相のネライを語っているのか、代弁しているのか、富山新聞の願望を言っているのか、よく判らない。判るのは、公務員賃金を下げるのはやむを得ない。地方交付税の復元は主張している。しかし、公務員賃金削減とアベノミクスの「過程」との「矛盾」については、よく判っていないのではないか?
「財政健全化」という触れ込みで公務員賃金を削ってきたが、、健全化するどころか、ますます悪化してきたからこそ、またしても交付金カットで地方を疲弊させ、さらに公務員賃金に「禁じ手」を使ったのである。マスコミ自身が自縄自縛に陥っているのです。そもそも「財政健全化」というスローガンを掲げなければならなくなった原因は何なのか!?そこを曖昧にしているのです。
佐賀 地方公務員給与削減/国の強制 分権に逆行 2013/5/19 8:06
http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2458729.article.html
復興財源確保のため国家公務員給与が削減されたことを受け、佐賀県をはじめ県内の各自治体も公務員給与の削減方針を打ち出し、6月議会での提案に向け、職員組合との協議を始めている。ただ、今回の地方公務員の給与削減は、国が地方交付税を“人質”にとった形で地方に一方的に押しつけたもので、地方分権、地方自治の観点から問題が多い。 国家公務員の給与は、復興財源として2012年4月から2年間限定で平均7・8%削減された。その結果、国家公務員の平均月給を100とした場合の地方公務員の給与水準を示す2012年度の「ラスパイレス指数」は、全国の自治体平均で107・0となり、9年ぶりに地方が国を逆転した形になった。佐賀県でも初めて20市町すべてで100を上回り、県職員も108・3と、9年ぶりに国の水準を超えた。…政府は1月の国と地方の協議の場で、地方に対して公務員給与を国並みに引き下げるよう要請。その手段として、2013年度に地方に配分する地方交付税の「人件費削減見合い分」を減額するという、地方からすれば“禁じ手”を使った。 公務員給与については、地方の民間給与と比較し「高すぎるのでは」と批判があるのは事実だ。しかし、公務員給与の多寡の論議は別として、今回の国の対応は「無理筋」と言わざるを得ない…地方分権の視点での手続きの問題。…2点目の問題は地方固有の財源とされる交付税に手を付けたこと…さらに大きな問題は憲法にも明記される「地方自治の本旨」に反する懸念がある点だ。地方自治は団体自治と住民自治という考え方で成り立つ。地方公共団体が自主的に運営し、住民代表の議会が議決し、物事を決める。給与の問題も同じで、本来なら国に要請されるのではなく、自治体が自ら条例などで定めるのが筋だ。…確かに自治体の立場では、現実問題として削減せざるを得ないのは理解できる。ただ、懸念するのは今回のケースが、給与以外の国と地方の関係に影響を及ぼさないかという点…しかし、本来、やるべきことは、既に法制化されている「協議の場」を形骸化させず、真摯でしっかりとした議論ができる場にする努力だ。(引用ここまで)
公務員賃金削減は憲法違反!そのとおり!よくぞ、ここまで言い切った!エライ!アッパレ!しかし、その自治を守り発展させるためにやるべきことは何か!「協議の場」を「形骸化させず、真摯でしかりと議論ができる場にする努力」ですか?違うでしょう!政府の財政・金融・税制のシステムを国民目線に変えることでしょう。カネの流れを変えていくことでしょう!取るべきところから、しっかり溜め込んでいるところから、応分に取ることではないでしょうか?
そもそも、財政が悪化したのは、企業誘致のための大型開発に税金を湯水のように使ったこと、建設国債から赤字国債を発行して、工事を請け負うゼネコンに血税を払ってきたことを全く触れていません。このゼネコンに回ったカネはどこへ消えたのでしょうか?これが全く不思議です。赤字財政は、消費税導入による「景気の冷え込み」による税収入の減少、非正規労働者の増大と低賃金労働者の増加によって、所得税が減ったこと、更に言えば、法人減税による収入源があることです。これは政府の資料でもハッキリしていることです。
ここにメスをいれないで、公務員賃金を減らそうということそのものが邪道と言えます。
公務員給与削減 国の一方的強制は問題だ 2013年6月15日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-208025-storytopic-11.html
…さまざまな観点から疑問がわく。国による一方的な強制は、やはり問題だと言わざるを得ない。 問題の第一は、地方交付税を取引材料に使っている点…今回、給与削減をさせるために国は地方交付税を減額した。国の政策目的達成の手段として地方交付税を使ったことになる。「恣意的配分」そのものではないか。 手法も問題だ。今回は国による一方的措置で、全国知事会など地方の言い分に一切、耳を貸さなかった。「国と地方は対等」といううたい文句は、どこへ行ったのか。 地方はこれまで国に先んじて人件費削減努力を重ねてきた。全都道府県で独自の給与削減を実施し、その額は1999年以降で約2兆2千億円に及ぶ。職員数も過去10年で19%削減した。国の非現業職員は3%削減だから6倍以上だ。こうした経緯も無視した措置に地方が反発するのは当然だ…百歩譲って復興財源に充てるために必要だというなら、給与引き下げ分を被災自治体への交付金とする仕組みをつくるべきだ。今のような国の「恣意的配分」を許したままでは、またぞろ被災地に関係ない政権党によるばらまきが復活する…「アベノミクス」に逆行するとの批判もある。景気回復には家計の引き上げ、それによる消費拡大が何より必要だ。それなのに全就業者人口の6・5%の家計を圧縮するのでは、ベクトルが逆…参院選前に「公務員たたき」を演出し、人気取りをしようという政治的思惑があるのなら、不純だ。消費税引き上げに向けた地ならしであれば、それはそれで不適切だ。正々堂々と議論すべき話ではないか。 行政の無駄は排除すべきで、国にも地方にも求められる。ただそれは、天下り先の独立行政法人や特別会計への切り込み、無駄な公共事業の仕分けなど、本質的な行政改革で達成すべき(引用ここまで)
さて本当のムダにどうやって切り込んでいくか?本質的な行政改革とは何か?議論する場がないではありませんか?このムダ論については、「聖域」を設けるべきではないでしょう。大儲けしている輩を探しだすことです。官制ワーキングプア、官制非正規労働など、解決しなければならない問題をマスコミはきちんと踏まえ、対策を講じていくべきでしょう。
以下、悲惨な事例を紹介しておきます。
5時間ごとに1人、1日に5人近くが餓死する日本-生活保護改悪は国家による殺人を増幅させる 2013-05-30 19:47:00
大分市職員、飲食店で夜のバイト [2013年06月12日 10:43]
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2013_137100192538.html
女性職員が都町の飲食店でアルバイトしていたことが発覚した大分市役所=11日午後8時
大分市役所に勤務する女性職員(19)が、同市都町の飲食店で接客のアルバイトをしていたことが11日、分かった。地方公務員法では公務員のアルバイトは原則禁止されている。取材に対し、職員は「やってはいけないとは分かっていたが、実家に生活費を入れていたためお金のやりくりが苦しかった。反省している」と話している。
職員によると、昨年4月、同市に正規職員として採用された。仕事帰りに飲食店関係者からスカウトを受けたことをきっかけに、昨年9月から飲食店で働き始めた。週1回程度、午後8時から翌午前2時ごろまで勤務、今年2月に1度働いたのを最後に辞めた。 その間、毎月6万円程度の収入を得ていた。「全額貯金し、3月から住み始めたアパートの敷金や礼金などに充てた」と説明した。 市によると、地方公務員法では、本来の業務に支障を与えたり、公務員の信用失墜につながる場合は職員の副業を禁止している。市は「本人から事情を確認している」とする。
実家に生活費「やりくり苦しく」
11日夜、大分市内で大分合同新聞社の取材に応じた女性職員は、事実関係を認めると深々と頭を下げた。 公務員の副業禁止は知っていた。だが、職員によると、毎月の手取りは10万円を切り、6万円を実家に入れていたという。自分の携帯電話料金などを払うと「ほとんど何もできない」状態に不自由を感じていた。街中で複数の店からスカウトを半年近く受け、断り続けていたが、アルバイトを始めた。 仕事内容は客の隣に座ってお酒をつぐこと。未成年のため、飲酒は控えていたが、客から勧められて口にしたこともあったという。憧れていた市内中心部での一人暮らしに必要なお金がたまった時点で、店を辞めた。 取材後、職員は自分の携帯電話で直属の上司に電話を入れ、「本当にすいませんでした」と泣きながら、告白。上司は「遅刻、欠勤はなく勤務態度は真面目だった。アルバイトの話は全く知らなかった」と話した。(引用ここまで)
公務員の争議権は剥奪されたのでした。これこそアメリカに押し付けられたものです。その代償措置として人事院・人事委員会制度があるのですが、全く機能していません。この責任は大きいと言わなければなりません。公務員叩きの結果どうなったか、検証すべきです。悪魔のサイクル是認と実行装置の野放しの責任を、しっかりとるべきです。
こうした悪魔のサイクルを放置し、早回しをしてきたのは、マスコミに他なりません。この大分のような事例(不祥事)は、まだまだ全国にたくさんあるでしょう。賃金だけではなく、雇用形態、国民騙しの装置を何としても変えていかねばなりません。その基本は国民生活の、人間安全保障論です。