愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

朝日は松井市長の平和宣言と安倍首相のあいさつをどう伝えたか!試金石は憲法と廃絶と抑止力と戦争認識!

2013-08-07 | 日記

昨日の記事で、安倍首相のあいさつを批判しました。「抑止力」論としての日米軍事同盟を容認する立場にたつ朝日の姑息さは、安倍首相の憲法尊重擁護の義務違反を追及しなかったことです。憲法の平和主義こそが、安倍首相の祖父岸信介の弟である佐藤栄作をして非核三原則を国是たらしめたのですが、安倍首相には、そうした視点と関連は、いっさい無視でした。 

以下の部分、思想と論理に象徴的です。現状追認思想とゴマカシです。あのスイスの「共同声明」が起草されてきた経過を踏まえれば、朝日のような第三者的思想が、如何に有害なものか、検証する必要があると思います。「日本人」に説教する前に、戦争被爆国としての日本のジャーナリズムとして、憲法の平和主義を戴く日本のマスコミとして何を伝えていかなければならないのか、自覚すべきです。 

…ただ、市長がめざす「信頼と対話にもとづく安全保障体制」への道筋は容易ではない。日本は核の傘だけでなく、原発事故を経てもなお、原子力への依存を続けている。今回の平和宣言も核兵器を「絶対悪」と断じつつ、「平和利用」の是非には触れなかった「核に頼る被爆国」の矛盾と向き合い、被爆地の祈りを世界にどう伝えるか。日本人はいま、核廃絶への長い道のりを歩む覚悟を改めて問われている。(引用ここまで) 

そういう意味で、一見すると安倍政権を批判しているかのような書き方をしながら、実は、朝日は安倍政権の応援団となっているのです。ここでも検証できました。以下、その部分を掲載しておきますので、ご検討ください。 

朝日6日付夕刊 「絶対悪」廃絶へ連携を 広島被爆68

 広島への原爆投下から68年を迎えた6日、広島市中区の平和記念公園で平和記念式典が開かれた。松井一実市長は平和宣言で、核兵器を「非人道兵器の極みであり『絶対悪』」とし、廃絶を訴え、国際社会との連携を求めた。▼2面=平和宣言全文、9面=継ぐバトン

松井市長は広島を「日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現する地」と位置づけた。核保有国を念頭に「威嚇によって国の安全を守り続けることができると思っているのですか」と語りかけ、対話による安全保障体制への転換を訴えた。4月にスイスージュネーブであった核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会で、核兵器の非人道性を訴える共同声明に80力国が賛同したことを踏まえ、「核廃絶を訴える国が着実に増加している」と指摘。賛同しなかった日本政府に連携を求めた。

 オバマ米大統領が6月にベルリンで、核兵器のさらなる削減に言及したことを「核軍縮の決意を表明した」と評価。一方で、日本と、NPT非加盟のインドとの原子力協定交渉は「核兵器を廃絶する障害になりかねない」と批判した。

 式典に参列した安倍晋三首相はあいさつで「我々には、確実に、核兵器のない世界を実現していく責務があります」と表明した。

 6日時点の被爆者の平均年齢は79歳に迫る。遺族代表と松井市長は、この1年で死亡した5859人の名簿を原爆死没者慰霊碑に納めた。式典には約5万人(市発表)が参列。外国代表は70カ国と欧州連合、国連総会議長が集い、初参加は2カ国だった。2010年と昨年に続き、米国のジョン・ルース駐日大使が参列・福島県浪江町の馬東部町長も昨年に続いて出席した。(後藤洋平) 

朝日6日付夕刊 踏み込んだ平和宣言  <解説>

松井一実・広島市長は6日の平和宣言で、参列した安倍晋三首相を前に、核不拡散条約(NPT)体制の外で核開発を進めるインドに対し、原子力技術の移転をめざす日本政府の姿勢に懸念を表明した。市長は2年前の就任以来、「核兵器廃絶は国の役割」として政府への批判を避けていたが、今回は一歩踏み込んだ。▼1面参照

 きっかけは今年4月。NPT再検討会議の準備委員会が開かれたスイスで、被爆2世の松井市長は、核兵器の非人道性を訴える共同声明に署名するよう政府に迫つた。だが、期待は裏切られた。市長は帰国後、「広島からより強いメッセージを打ち出すべきだ」と周囲に語ったという。

 政府が共同声明に同調しなかったのは、米国の核の傘に依存する安全保障政策を優先したためだ。市長は平和宣言で、核保有国や核・抑止を支えとする国々に「威嚇によって国の安全を守り続けられると思っているのか」と訴えた。

 ただ、市長がめざす「信頼と対話にもとづく安全保障体制」への道筋は容易ではない。日本は核の傘だけでなく、原発事故を経てもなお、原子力への依存を続けている。今回の平和宣言も核兵器を「絶対悪」と断じつつ、「平和利用」の是非には触れなかった

 「核に頼る被爆国」の矛盾と向き合い、被爆地の祈りを世界にどう伝えるか。日本人はいま、核廃絶への長い道のりを歩む覚悟を改めて問われている。(後藤洋平)

 

朝日7日付・37面  首相あいさつ被爆者らはどう聞いた 改憲の動きと矛盾感じる 核廃絶の取組不十分

原爆投下から68年を迎えた広島。安倍晋三首相は6日、6年ぶりとなる平和記念式典でのいさつに臨んだ。核兵器廃絶や平和実現への意欲を強調したが、集団的自衛権の憲法解釈の変更や改憲に傾く政権の姿勢を懸念する声もある。被爆者らは「広島演説」をどう聞いたのか。

 「改憲の動きとの矛盾を感じるが、全世界の前で訴えた言葉は信じたい」 埼玉県所沢市の坂下紀子さん(70)は県遺族代表として、6日の平和記念式典に出席した。安倍首相があいさつで、歴代首相と同様に「核廃絶」や「非核三原則の堅持」を語ったことに安心した。

 4月の核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会で、核兵器の非人道性を訴える共同声明に政府が署名しなかったことに疑問が募った。今年は「首相が非核三原則に触れないかも」と耳を傾けた。「首相の言葉は重く感じた。その通り実行してほしい

 広島市で母や兄とともに被爆。母は「あの地獄絵は絶対に繰り返してはいけない」と言い続けた。子どもの頃、式典への参加は家族行事だった。 結婚後に広島を離れ、今年、四十数年ぶりに式典に臨んだ。「いくら核廃絶を訴えても、憲法9条を変えたら世界から疑われてしまう。改憲の動きがある中で平和の大切さを確認したい」と思ったからだ。

 「戦後の日本を築いた先人たちが平和と繁栄の祖国を作り、与えてくれた」 首相のこの言葉に広島市の田坂キヨカさん(85)は憤りを感じた。「先人がした最も大きなことは戦争をしないと誓った憲法を守り続けたことではないか」 17歳の時、働いていた陸軍被服支廠の倉庫で被爆した。腕にガラス片が突き刺さった。急激な視力の低下にも悩まされ続けた。

 「いまの憲法は『皆殺し爆弾』で死んでいった人たちの犠牲の上にある」。改憲をめざす首相は、戦争の恐ろしさを知らないのではないかと心配している。

 岡山県倉敷市から式典に参列した佐藤徹夫さん(73)は5歳の時、広島市の自宅前で被爆した。首相のあいさつを聞き、「選挙に大勝しても、出しゃぱらずに控えめの発言に終始した」と受け止めた。 改憲に賛成の立場だ。核武装を進める北朝鮮、緊張が続く中国への対応として一定の軍備が必要だと思う。だが、安倍政権の核兵器廃絶への取り組みには不満を感じている。「外交力を使って、もっと積極的に核軍縮を世界に働きかけるべきなのに、全然やっていない」(引用ここまで)

 

朝日と比べて、赤旗の書き方はどうでしょうか?検討してみてください。朝日の伝えていない「もう一つの事実」をどのように伝えているか!です。 

赤旗7日付2面 安倍政権の核容認・原発推進姿勢  ヒロシマと相いれず

 安倍音三首相の平和記念式典でのあいさつは、核兵器廃絶という点でも、原発ゼロという点でも、この間の日本政府の後退を明りょうに印象付けるものでした。

 「被爆国を名乗る資格はない。断じて許せない」(広島被爆者団体連絡会議)「ただちに署名し『核兵器禁止条約』締結に向け努力を」(広島県原爆被害者団体協議会)―。式典後の懇談の場で首相や関係閣僚を前に、被爆者代表からは政府の核兵器廃絶に対する取り組みに対して、怒りと失望の言葉や厳しい指摘が相次ぎました。

 怒りの背景にあるのは、安倍政権の核兵器容認姿勢です。安倍政権は4月のNPT再検討会議準備委員会で、核兵器の非人道性を告発する共同声明(80力国賛同)への署名を拒否。声明の「いかなる状況下でも」核兵器を使用しないとした記述が「日本の安全保障の状況を考えた時にふさわしい表現か検討した結果、賛同を見送った」(4月25日、菅官房長官会見)ためです。

 これは、米国の「核の傘」の下、一定の状況下では核兵器使用を容認する態度であり、核兵器を「非人道兵器の極みであり『絶対悪』」(広島市長「平和宣言」)とする姿勢とは相いれないものです。

 原発政策でも安倍政権は「二度と核被災者を生みたくない」とするヒロシマ・被爆者の願いに逆行しようとしています。松井一実市長はNPT未加盟のインドとの原子力協定交渉について「核兵器を廃絶する上では障害となりかねない」と原発推進に懸念を表明。被爆者代表からも[命という視点から原発を廃止する国としての方針を](広島県労働組合会議被爆者団体連絡協議会)との声が出されました。

 9条改憲を狙う安倍首相に求められているのは「日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現する地」(「平和宣言」)、ヒロシマの今なお続く被爆者の苦しみと、怒りの声を聞くことです。(池田晋) 

赤旗7日付2面 平和式典、首相、憲法順守言わず 広島市長 原子力協定に疑問

 安倍音三首相は6日、広島市で開かれた平和記念式典で、「非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、恒久平和の実現に力を惜しまぬことをお誓い」するとあいさつしました。

「憲法の順守」と「非核三原則の堅持」については、同式典で毎年首相により言及され、安倍首相自身も第1次政権時の2007年には、「憲法の規定を順守」するとしていましたが、今年の式典では言及しませんでした。

 核兵器の非人道性を告発する共同声明(4月、NPT再検討会議第2回準備委員会)に政府として署名を拒否したことにはふれず、「(核兵器の)非道を後の世に、また世界に、伝え続ける務めがある」と強弁。福島第1原発事故以後、民主党政権下で例年言及してきた脱原発方針についてもふれませんでした。

 一方、松井一実広島市長は「平和宣言」で核兵器の非人道性に対する国際世論の高まりを踏まえ、「核兵器廃絶をめざす国々との連携を強化することを求める」と国に要望。NPT未加盟のインドとの原子力協定交渉について「核兵器を廃絶する上では障害となりかねない」と原発推進に懸念を示しました。(引用ここまで 

安倍首相は、大東亜戦争の戦争責任、戦争認識問題については、後世の史家に判断を委ねると逃げています、自らの正当化論を正当化しています。ところが、この大東亜戦争の最後の場面で引き起こされた原爆投下=核兵器使用については、「私たち日本人は、唯一の、戦争被爆国民であります。そのような者として、我々には、確実に、核兵器のない世界を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります」と「評価」しました。 

「私たち日本人」が「唯一の、戦争被爆国民」となったのは何故でしょうか?自然現象の結果として「戦争被曝国民」となったのではりません。柳条湖事件、いわゆる満州事変以来の日中「戦争」とその行き詰まりを打開するためにとして引き起こされたマレー・真珠湾奇襲攻撃の結末として投下されたのではなかったのでしょうか? 

その口実は、「満蒙は生命線」「ABCD包囲網」論の正当化でした。その裏には大東亜共栄圏構想がありました。この思想によって引き起こされた悲劇・惨禍をどのように評価するか、です。すでに日本国憲法に、その評価は明確に書かれているのです。安倍首相は、この憲法を尊重擁護する義務を負っているのです。この憲法に明記された戦争認識こそ、あの大東亜戦争正当化を完全に論破するものです。 

そうした認識に立つ時、今回の安倍首相のあいさつの犯罪的役割、それを解明し、追及しない朝日の立ち居地は、非常に危険なものと言わざるを得ません。

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原爆忌全国紙は何を主張したか!非人道兵器である核兵器廃絶と政治の矛盾をどのように克服するか!

2013-08-07 | 日記

昨年の原爆忌には、以下の記事を書きました。今年は、ヒロシマの平和宣言と安倍首相の「あいさつ」と歴代首相の「あいさつ」を掲載し、参議院選挙後の衣の下に忍ばせていた武器を露わにしてきた傲慢政治の実態の一端を検証してみました。 

全国紙は原爆忌を国際人道法にもとづいて非核三原則の立法化と憲法9条の具体化を掲げたか!2012-08-15 00:01:19 

 

さて、昨年と同様、国際人道法と非核三原則、核兵器廃絶、日米軍図同盟廃棄、憲法第9条の活用はどのように明記されているか、さらには汚染水が止まらず垂れ流されているフクシマがどのように描かれているか、注目してみました。以下テーマを一覧しておきます。

 

朝日 広島・長崎と福島/凶暴な原子の力、直視を 2013/8/6 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1?

毎日 原爆の日 人類の教訓語り継ごう 2013年08月06日 02時30分

http://mainichi.jp/opinion/news/20130806k0000m070123000c.html

読売 原爆忌/一段と高まる核兵器の脅威 2013/8/6 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130805-OYT1T01509.htm

日経 原爆の記憶を風化させるな 2013/8/6 4:00
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58163290W3A800C1EA1000/

産経 原発汚染水 政府が前面に出て説明を 2013.8.6 03:06 [主張

中日/東京 原爆忌に考える/風立ちぬ、いざ文学よ 2013/8/6 10:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013080602000153.html

 

地元紙はどのような主張を掲載したでしょうか?これについては、別項で記事にしたいと思います。ここでは参考まで。

中國 ヒロシマ68年/核「絶対悪」認識してこそ 2013/8/6 10:00
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh201308060136.html

産経は、直接原爆忌に関係のない社説=主張を掲載していましたので、この主張に関係する「主張」を以下掲載しておきます。同時に、「産経抄」が原爆忌に関係する主張を掲載していましたので、掲載しておきます。

 

【主張】電気料金値上げ 原発再稼働やはり必要だ2013.8.5 03:53  [原発・エネルギー政策

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130805/plc13080503540002-n1.htm

【主張】エネルギー計画 「原発利用」を明確に示せ 2013.7.26 03:25  原発・エネルギー政策

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130726/plc13072603260004-n1.htm

【主張】再稼働申請 「柏崎刈羽」こそ急がれる2013.7.6 03:17 主張

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130706/plc13070603170005-n1.htm

【産経抄】8月6日2013.8.6 03:04産経抄

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130806/trd13080603040000-n1.htm

 

何がポイントか、以下検証してみます。

1.今年は、4月、ジュネーブで開かれた核不拡散条約(NPT)準備委員会に提出され、80カ国が賛同した「核兵器がいかなる状況下でも二度と使われないことが人類生存のためになる」とした「核兵器の人道的影響に関する共同声明」について書かれています。これは「核兵器は非人道的兵器」との国際的合意が多数派となってきたことを反映していると思います。 

2.また、「ノーモア・ヒバクシャ」というメッセージを世界に訴えた長崎の被爆者、山口仙二さんや「はだしのゲン」は英語をはじめ約20カ国語に訳されて読み継がれてきていることなどを反映して、冷戦時代のピーク時に世界で計約7万発もあった核兵器」が「1万7000発以上も残っているとされる」ところまで削減されてきたこと、更には「今年6月、オバマ米大統領はベルリンで演説し、米露が配備している戦略核弾頭数を現在の3分の2程度にまで、それぞれ削減する」との「提案」や核兵器は「極めてむごい兵器で、軍事的には無用」(パウエル元米国務長官)などの声が紹介されています。これぞ、核兵器廃絶運動の成果と言えます。 

3.しかし、同時に、「米ロ英仏中に加え、インドとパキスタン、北朝鮮が核実験。イスラエルも核保有が確実視され、イランの開発疑惑も続いている」(朝日)「北朝鮮やイランなど核開発を進める国もあり、核の脅威はむしろ強まっている」(毎日)「特に懸念されるのは、核保有の既成事実化を図る北朝鮮の動向」(読売)とする認識、「脅威」論が書かれています。 

4.この「脅威」論の原因・背景について、以下のような指摘があります。

朝日

…60年前、アイゼンハワー米大統領が国連総会で「平和のための原子力」演説をしたことが原発利用拡大のきっかけとなった。大統領は核物質と核技術の国際管理を提案し、軍事から民生利用への転換を促した。 演説のあと、国際原子力機関(IAEA)とNPTが生まれた。しかし、国際管理は実現せず、拡散が進んだ。(引用ここまで

毎日

…具体的な指摘はありませんが、以下のことを実践していないこと、弱いことがあるのではないかというメッセージがあるようです。

…だからこそヒロシマとナガサキの訴えはより重要性を増している…核兵器禁止条約の早期実現に向けた取り組みを強める…政府が共同声明に賛同しなかったことは被爆国として矛盾する行為

政府が核兵器廃絶を目指す国々と連携を強化する…安倍政権はこうした声を受け止め、被爆国としての明瞭なメッセージを世界に発信してほしい…広島と長崎の被爆体験は人類全体への教訓であり、日本は世界に伝えていく責任…脅威をなくすためには核廃絶しかないという原点を見失わず(引用ここまで

読売

2020年までの核廃絶に全力を尽くすことを誓う。しかし、世界の現状は厳しく、廃絶へのハードルは高い…核軍縮は米露だけの問題ではない。中国など他の核保有国も積極的に取り組むべきだ。 米露英仏中の5か国以外の核保有を禁止した核拡散防止条約(NPT)体制に、ほころびが目立つようになって久しい…米韓や中露と連携し、北朝鮮に対しても核放棄をねばり強く求め続けねばならない。(引用ここまで 

5.しかし、「脅威」論について、どのように対応するか、各紙の対応は違っています。以下ご覧ください。 

朝日

…原発経由の核拡散リスクをどう考えるべきか…破滅リスクを避ける脱原発政策…核の非人道性を確認するだけでなく、核リスク脱却と逆行する原子力政策の転換にもっと力をこめる必要…安倍政権は明確な削減計画を示さないまま、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す事業の継続を表明している。倒錯した政策は一刻も早く放棄すべき(引用ここまで

毎日

…ヒロシマとナガサキの訴えはより重要性を増している。広島、長崎両市が20年までの核兵器廃絶を目指して呼びかけた世界平和市長会議…核兵器禁止条約の早期実現に向けた取り組みを強めること…政府が共同声明に賛同しなかったことは被爆国として矛盾する行為…政府が核兵器廃絶を目指す国々と連携を強化するよう求める…安倍政権はこうした声を受け止め、被爆国としての明瞭なメッセージを世界に発信してほしい(引用ここまで

読売

…米韓や中露と連携し、北朝鮮に対しても核放棄をねばり強く求め続けねばならない。日本の安全保障政策の根幹にある米国の『核の傘』の重要性も高まっている…核抑止をめぐる日米協議の進展は、日米同盟を機能させる上で必須である。抑止力政策の強化にもつながる。広島、長崎の惨状を訴える一方で、周囲の核脅威には米国の核で安全を担保する。それが、被爆国であり、非核保有国としての日本が取り得る現実的選択である(引用ここまで 

6.ヒロシマ・ナガサキの原爆とフクシマの原発を結びつける論調があります。

(1)代表的な社説は、テーマ「広島・長崎と福島/凶暴な原子の力、直視を」にみるように朝日です。

テーマ設定の理由は

核兵器と原発は長年、切り離して扱われることが多かった。それは正しかったのだろうか。68年前の広島、長崎の原爆被害に続き、福島でも核エネルギーによる途方もない被害を生じさせてしまった。核が抱える想像を絶するリスクに正面から向き合うことが、もはや待ったなしの時代だ。(引用ここまで

核拡散の60年の実態は

「原子力にはそもそも核兵器への悪用、つまり核拡散のリスク」があるが、それを具体化したのは、「軍事から民生利用への転換を促した」「アイゼンハワー米大統領が国連総会で「平和のための原子力」演説をしたことが原発利用拡大のきっかけ」となり、その後国際原子力機関(IAEA)とNPTが生まれた。しかし、国際管理は実現せず、拡散が進んだ」ことがリスクの具体化であった。(引用ここまで

そして今後は

「途上国での原発急増が予想されるが、核兵器用の高濃縮ウランやプルトニウムを入手する隠れみのになりかねない。原発経由の核拡散リスクをどう考えるべきか。オーストリアはNPT準備委員会で、原発事故や核テロ、核拡散を懸念し、「平和利用という権利を使わない選択をした」と表明した」ように、「破滅リスクを避ける脱原発政策は傾聴に値する」ので、今後は「『共同声明』の趣旨を世界の基調にしていくには、発想の切り替えが不可欠である」と強調しています。 

(2)次は、「核の非人間性を広島から世界へ伝えた詩人たち。峠三吉没後六十年。書き継がれ、語り伝えられ、色あせることのない叙事詩。そして今3・11文学へ」とした東京 

さらに<ヒロシマ文学>はそれ自体、長大な叙事詩なのではないか。だとすれば、ひと続きの歴史を踏まえ、その先に持続可能な未来の光を示すことこそ、このごろ目立って増えてきた<3・11文学>の役割なのかもしれません」と「ひと続きの歴史」としてフクシマを位置づけています。 

(3)最後は産経です。産経は、以下のようにフクシマ第一原発の問題を指摘しながら、原発再稼動を求めているのですが、被災者への補償や放射性廃棄物、汚染水などの管理などを考えると、原発は安いというのも、見当違いであり、実際には経済効率の悪い原発です。しかし、再稼動を要求しているのです。大いなる矛盾・無責任と言わなければなりません。以下ご覧ください。 

政府はいつまで傍観を続けるつもりなのか。東京電力福島第1原子力発電所の放射能汚染水の問題だ。量は運転時の放出基準内だが、敷地から海への漏れが確認される事態となっている。早急に漏出防止と汚染水減量に、実効的な手を打つべきだ。第1原発では2年半前の事故以来、溶融した炉心を注水冷却する作業が続けられている。大破した原子炉の安定維持は、水との絶えざる闘いだ。1~4号機のタービン建屋の地階などには大量の汚染水がたまっている。炉心に注ぐ水は濾過、循環させて再利用しているが、原発の山側から流れてくる地下水が建屋の地階で汚染水と混ざって総量を増加させている。流入する地下水量は1日平均400トンだ。(引用ここまで 

これ以上の値上げを避け、電力供給を安定的に続けるには、やはり原発の再稼働が欠かせない。安倍晋三政権は安全性が確認された原発については、すみやかに運転再開が可能となるよう、立地自治体の理解取り付けなど万全の体制づくりを進める必要がある。 

安価で安定的な電力供給は、国民生活や産業にとって不可欠だ。年内にもまとめる計画では、民主党政権が決めた「原発ゼロ」と決別し、原発を有力な電源として活用する方針を明示しなければならない。安倍晋三政権には原発利用に正面から取り組む姿勢が問われている。 

すでに安倍首相は「原発ゼロ」の見直しを表明している。資源小国の日本としては、この方針を計画に明記する必要がある。原発の有効活用を今後も継続する姿勢を示すのは当然だ。 

国内の原発のほとんどが稼働を停止したままで、電力不足は解消のメドが立っていない。夏場を迎えて電力需要は拡大しており、台風などに伴う発電所の故障で突発的な停電の懸念もある。原発に代わり、火力発電が主要電源として使われているが、液化天然ガス(LNG)など輸入による燃料費の負担増は年3兆円を超える。今年上半期の貿易赤字は円安も加わって過去最大となった。電気料金の値上げは、浮揚し始めた日本経済には逆風だ。太陽光や風力など再生可能エネルギーの利用も課題だが、天候などに発電量が左右されるほか、コスト高という問題を抱えている。地域産業として育成する必要はあるが、過大な期待は禁物だ。現実的な政策を求めたい。(引用ここまで 

7.では最後に、社説を読んで思ったこと、「結論」的に強調されていることをまとめてみました。

(1)核兵器が非人道的兵器であることは、国際社会の発展の中で構築されてきた理論的結論ですが、この到達点と日本国憲法の平和主義、特に第9条との関係を追及していません。

(2)こうした人道主義が発展してきた背景に何があるか。それは、日本における原水爆禁止運動の伝統と発展があることは明らかですが、このことは語られていません。

(3)戦後、核兵器は米英露仏中を中心に配備されてきました。大国の核兵器独占体制を保障するNPT体制が破綻し、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮などで生産・配備されてきたことは、核兵器「抑止力」論にあることは明らかですが、この核兵器「抑止力」論の破綻について、言及していません。特に原発の拡大に矮小化している朝日の社説が象徴的です。

(4)また産経抄が強調しているトルーマンの原発投下正当化論こそが、ソ連「脅威」論に対抗する核兵器「抑止力」論であったことをみれば、非人道的兵器である核兵器は、廃絶する以外、その道のないことが判ります。

(5)その核兵器「抑止力」論を根拠にした北朝鮮の対米核兵器開発を断念させるためには、日米軍事同盟にもとづく「核の傘」論の廃棄と唯一の戦争被爆国としての立場にもとづく、すなわち憲法第9条を根拠とする安全保障政策の採用と転換こそが、道理のある道だということです。

(6)しかし、「米韓や中露と連携し、北朝鮮に対しても核放棄をねばり強く求め続けねばならない」「日本の安全保障政策の根幹にある米国の『核の傘』の重要性も高まっている」論と「広島、長崎の惨状を訴える一方で、周囲の核脅威には米国の核で安全を担保する」「被爆国」「非核保有国としての日本が取り得る現実的選択」論は、「核兵器こそ非人道的兵器である」論と核兵器「抑止力」論の矛盾を象徴的に示した読売こそ、道理の一片のカケラもないことを証明した思想と論理と言えます。

(7)そして核兵器廃絶という人類的課題を明確に表明したのは毎日朝日は、禁止でした。日経は、核時代の終わりを印象付ける、でした。日米軍事同盟については論じたのは読売でした。加害と被害の戦争責任問題について論じたのは日経でした。 

朝日

…核兵器の非人道性に焦点を当てて禁止につなげよう…私たちはいまも、核戦争による破滅の縁にいる…今後、『共同声明』の趣旨を世界の基調にしていくには、発想の切り替えが不可欠…より多くの日本人が被爆地の惨禍をもっと思い起こし、福島の被災者の苦境もきちんと知る…ヒバクによる健康被害の不安や恐怖などを共有し、『心のヒバクシャ』となって、人類と核の間に横たわる矛盾を内外に発信していくべき…私たちはいま、非核時代へ世界を向けられるかどうかの岐路に立っている(引用ここまで

毎日

…全国の被爆者の平均年齢は78歳を超え高齢化が進む。私たちはヒロシマ、ナガサキの被爆体験をしっかりと継承し、核廃絶を目指す国際世論を広げていきたい。私たちは被爆体験の継承という課題と向き合わねばならない時代を迎えている。広島と長崎の被爆体験は人類全体への教訓であり、日本は世界に伝えていく責任がある。核兵器の脅威をなくすためには核廃絶しかないという原点を見失わず、『核なき世界』へ一歩ずつでも前進したい(引用ここまで

読売

…唯一の被爆国として、いかに原爆の惨禍を語り継ぎ、非人道的な核兵器が二度と使用されないよう世界に訴えていくか。しかし、世界の現状は厳しく、廃絶へのハードルは高い。…核軍縮は米露だけの問題ではない。中国など他の核保有国も積極的に取り組むべき…米露英仏中の5か国以外の核保有を禁止した核拡散防止条約(NPT)体制に、ほころびが目立つようになって久しい。唯一の被爆国として、いかに原爆の惨禍を語り継ぎ、非人道的な核兵器が二度と使用されないよう世界に訴えていくか。日本の安全保障政策の根幹にある米国の「核の傘」の重要性も高まっている核抑止をめぐる日米協議の進展は、日米同盟を機能させる上で必須である。抑止力政策の強化にもつながる。広島、長崎の惨状を訴える一方で、周囲の核脅威には米国の核で安全を担保する。それが、被爆国であり、非核保有国としての日本が取り得る現実的選択である。(引用ここまで

日経

全国の被爆者の平均年齢は今年3月時点で78.8歳になった。被爆地でも原爆体験のない世代が多数を占めるようになっている。被爆国として原爆の記憶を風化させることはあってはならない。2010年にロシアと新しい戦略兵器削減条約(新START)を締結したオバマ米大統領は今年、さらなる核軍縮を提唱した。だが、米ロ関係の悪化などで交渉は進んでいない。中国も核兵器の削減には後ろ向きだ。どうすれば事態を打開できるのだろうか。核大国・米国の現職首脳が被爆地を訪れたことはない。オバマ氏が来年の訪日時に足を運べば、世界中に核軍縮への期待感を再び呼び起こすことができるのではないだろうか。そのためには日本が被害者としての立場を強調しすぎないことだ。これは被爆体験を語り継ぐことと矛盾しない。加害者と被害者が恩讐を超えて手を携えることで、世界に核時代の終わりを印象付けることができる。(引用ここまで

産経

日本への原爆投下の主たる目的はソ連への牽制であり、軍事的な必要性はなかったと主張している。「原爆のおかげで戦争が終わり、アメリカ兵だけでなく、多数の日本人の命も救われた」。大多数のアメリカ人が今もこう信じている。誤った歴史観を正すために、お二人には今後も奮闘していただきたい。「原爆のおかげで戦争が終わり、アメリカ兵だけでなく、多数の日本人の命も救われた」。大多数のアメリカ人が今もこう信じている。誤った歴史観を正すために、お二人には今後も奮闘していただきたい。ただ、気になることがある。カズニックさんは、最近の朝日新聞紙上で、核廃絶だけでなく、脱原発、憲法9条堅持、そして米国の軍事政策への反対を呼びかけていた。余計なお世話だ。きょうと9日は、何より原爆の犠牲者を哀悼する日でなければならない。政治を持ち込まないでほしい。

東京

…核の非人間性を広島から世界へ伝えた詩人たち。峠三吉没後六十年。書き継がれ、語り伝えられ、色あせることのない叙事詩。そして今3・11文学へ。<「歴史不在」のままに「原子力の平和利用」という言葉に呪縛されつづけて半世紀が過ぎた。僕たちはいま「生命」と「歴史」とに、飾りなく赤裸々に、真正面から向きあわなければならないのだ>ヒロシマの光景がフクシマのそれに重なって見えるのは、広島の時間が福島のそれに、つながっているからではないのでしょうか<ヒロシマ文学>はそれ自体、長大な叙事詩なのではないか。だとすれば、ひと続きの歴史を踏まえ、その先に持続可能な未来の光を示すことこそ、このごろ目立って増えてきた<3・11文学>の役割なのかもしれません。私たち読者も、想像力を働かせねばなりません。ともすれば歴史の底に沈んでしまう声なき声を拾い上げ、命の重さをくみ取って、自分なりの未来を思い描けるように、いざ生きめやも、なのです。(引用ここまで 

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