愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

産経グループが気に食わなかったのは山本前法制局長官・最高裁判事の憲法擁護的集団的自衛権行使論??

2013-08-22 | 日記

産経グループがネガティブキャンペーンを張らなければならなくなったのは、以下の記事です。しかし、この記事を読む限り、

1.今回の発言は、最高裁判事就任の際の記者会見で行われたものですが、毎日新聞の一問一答をみると、マスコミの世論操作的色合いが濃厚の記者会見と報道です。

2.集団的自衛権を行使するのであれば、内閣法制局長官の首を挿げ替えても、内閣が法政局に「命令」して戦後一貫して使ってきた憲法第9条の解釈を変更するのはムリだろう、ということを言ったのではないでしょうか。これは法制局長官として仕事をしてきた人の発言としては当然のことでしょう。 

3.現行憲法第9条の解釈論の具体化として長年維持してきた集団的自衛権行使論を変更するのであれば、憲法を「改正」するしかないということを言ったのであって、これだけをみれば、当たり前のことを言ったに過ぎないという見方もあるのは当然です。

4.しかも、戦後一貫して自衛隊合憲論を主張し、手練手管の詭弁を弄してきた内閣法制局の役割については一言も批判も否定もしていません。それは「国際情勢が緊迫し、安全保障環境も変わってきている」なかで、「内閣がある程度決断し、その際に新しい内閣法制局長官が理論的な助言を行うことは十分あり得る」と、解釈の変更で集団的自衛権行使論の変更を是認していることに、その、またこれまでの氏の立場と思想は明確です。しかし、この点については、マスコミは強調していません。」 

5.また、今回の発言は、ある意味、最高裁判事として、憲法第99条の憲法尊重擁護の義務に即した発言とも言えるのですが、それほど、憲法をめぐって、憲法解釈のないがしろ状態、既成事実化が先行していることに対する「意見」を反映しているのではないでしょうか。ま、こうした状態をつくってきたのは、実は、内閣法制局であったのですが。

6.しかし、最高裁判事が、具体的な政治問題について、憲法改正問題を提起するのは、異例中の異例です。ここに現行憲法のおかれている危機的局面を反映しているのでしょうか。

7.そういう時だからこそ、司法の独立論の立場から最高法規である日本国憲法の原則をかみ締め、なし崩し的に解釈を変更してきたことを批判することが、法の番人就任にあたっての発言となるのですが、そのような場面がないのは、ナチスの手口の再来を見る思いがします。ここにマスコミの手口が透けて見えてきます。

8.菅官房長官の批判は、内閣こそが、憲法解釈の中心とする傲慢さを示したもので、これは三権分立の原則逸脱と言えますが、マスコミは、そのことを批判していません。そこにも、やはりナチスの手口を見る思いがします。

9.本来であれば、安倍首相の集団的自衛権行使論は、憲法第9条違反であること、この集団的自衛権行使論の大本にある日米軍事同盟は憲法第9条違反であること、集団的自衛権行使論は、アーミテージ氏など、アメリカの一部の「知日派」やそれと結びつく多国籍企業の押し付けであることを問い質していくべき問題ですが、日米軍事同盟容認の立場にたつ日本のマスコミには、想定すらできない問題です。

 

以上、ポイントを検証してみましたが、同じ穴のムジナと言っても言いすぎではないような出来事ですが、ここに世論の分裂を反映している側面と世論を惑わしている側面を見る思いがするのは愛国者の邪論の邪推でしょうか?このような分裂的側面の、どの部分と一致して、憲法の平和主義を擁護し、生かしていくか、知恵の出しどころでしょうか?

 

以下ご覧ください。注目すべき表現については、強調しておきました。

最高裁判事 集団的自衛権巡る憲法解釈に言及  8月20日 17時17分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130820/k10013903011000.html

K10039030111_1308201814_1308201830.mp4

内閣法制局長官から最高裁判所の新しい判事に任命された山本庸幸氏が会見し、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しについて「半世紀以上維持されてきた憲法解釈であり、私自身は見直すことは難しいと思う」と述べました。内閣法制局長官を務めていた山本庸幸氏(63)は、定年退官した竹内行夫判事の後任として20日、新しい最高裁判事に任命されました。最高裁で行われた会見で山本氏は、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しに関する議論について、「今の憲法の下で半世紀以上議論され、維持されてきた憲法解釈であり、私自身としては見直すことは難しいと思っている」と述べました。さらに山本氏は「見直すのであれば、憲法9条を改正することがより適切だが、最終的には国会や国民が判断することだ」と述べました。内閣法制局の長官は今月、山本氏の後任として、第1次安倍内閣の際、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認する議論に加わった、元フランス大使の小松一郎氏が就任しています。山本氏は、内閣法制局の長官だった当時、国会での答弁で、集団的自衛権について従来の政府の憲法解釈を維持すべきだという姿勢を示していましたが、裁判で憲法判断を行う最高裁判事としては異例の発言となりました。(引用ここまで

集団的自衛権「憲法解釈では容認困難」 最高裁判事就任 山本前法制局長官 2013年8月21日 朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013082102000117.html

山本庸幸氏

 内閣法制局長官を退き最高裁判事に二十日就任した山本庸幸(つねゆき)氏(63)が、東京都内の最高裁で記者会見し「集団的自衛権の行使は、従来の憲法解釈では容認は難しい。実現するには憲法改正が適切だろうが、それは国民と国会の判断だ」と述べた。判決の中で個別の意見を述べることができる最高裁判事はよほどのことがない限り立法や行政に介入すべきではないという伝統的な考え方があり、判決以外で政治的課題の憲法解釈に言及するのは極めて異例だ。山本氏は会見で「憲法九条には武力行使はいけないと書いてあるが、例外的にわが国が攻撃された時は反撃が許されると解釈し、過去半世紀はその議論でずっときた」と指摘。集団的自衛権の行使には「(憲法解釈の変更という)非常に細い道をたどるよりは、憲法規範そのものを変えなければできない」との考えを示した。一方で「最近、国際情勢が緊迫化し、日本をめぐる安全保障環境も変わっており、それを踏まえて内閣がある程度決断され、新長官が理論的な助言を行うことは十分にあり得る」とも述べた。内閣法制局は政府の憲法解釈を担い、これまで集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解釈してきた。政府は今月、国会答弁で従来の憲法解釈を維持する姿勢を示してきた山本氏を退任させ、新長官に小松一郎前駐仏大使を充てた。行使容認に意欲を示す安倍晋三首相が、解釈変更の布石として小松氏を長官に起用したとみられている。

 山本氏は愛知県出身、京大法学部卒。一九七三年に通産省(現経済産業省)に入省し、二〇一一年十二月から内閣法制局長官を務めた。今年七月十九日に最高裁判事を定年退官した元外務次官の竹内行夫(ゆきお)氏の後任となる。 

 <集団的自衛権> 同盟国など密接な関係にある国が攻撃された際、自国が直接攻撃を受けていなくても実力で阻止する権利。国連憲章51条は自国への侵害を排除する「個別的自衛権」とともに、主権国の「固有の権利」と規定。日本政府は「国際法上、集団的自衛権を有している」としつつ、戦争放棄や戦力不保持を明記する憲法9条に照らし「わが国を防衛するための必要最小限度の範囲を超えるもの」と解釈し、行使を禁じてきた。安倍首相は今年2月、憲法解釈を見直すため有識者懇談会を発足させた。(引用ここまで 

「憲法改正が適切」前内閣法制局長官 集団的自衛権行使、解釈見直しでは困難 最高裁判事就任で2013.8.20 23:10

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130820/trl13082023120007-n1.htm

 内閣法制局長官から最高裁判事に任命された山本庸幸(つねゆき)氏(63)が20日、最高裁で会見し、政府解釈の見直しで集団的自衛権の行使を認めることは「非常に難しいと思う」と述べ、「完全な集団的自衛権を実現するためには、憲法改正をした方が適切だ」との見解を示した。最高裁判事としては異例の発言。

 政府は今年8月、山本氏の後任に政府解釈見直しに前向きな小松一郎前駐仏大使を起用。「有識者懇談会における議論を踏まえて対応を改めて検討したい」とする答弁書を閣議決定し、今後の行使容認の可能性に含みを持たせている。 山本氏は会見で、これまで憲法9条との関係で「わが国自身が攻撃されたときは例外的に反撃が許されると解釈されてきた」と指摘した。 憲法改正の是非については「国民の選択」とした上で、「法規範が現状に合わなくなったのであれば、法規範を改正するのがクリアな解決だ」と話した。 山本氏は定年退官した竹内行夫氏の後任。京大卒業後、昭和48年通商産業省(現経済産業省)に入省。平成23年12月から内閣法制局長官を務めた。(引用ここまで 

集団的自衛権:山本内閣法制局前長官一問一答「国会と国民の判断」

2013年08月20日http://mainichi.jp/select/news/20130820mog00m010021000c.html

就任会見をする山本庸幸・新最高裁判事=最高裁で2013年8月20日午後4時1分、竹内幹撮影

20日付で最高裁判事に就任した山本庸幸氏の記者会見での主な発言は次の通り。

−−憲法9条の解釈変更による集団的自衛権の行使について、どう考えるか。

◆我が国自身に対する武力攻撃に対して、必要最小限度で反撃をするための実力の装備(自衛隊)を持つことは許される。過去半世紀くらい、その議論でずっと来た。これに対し集団的自衛権は、我が国が攻撃されていないのに、我が国と密接に関係のある他の国が攻撃された時に、共に戦うことが正当化される権利だ。従来の解釈を変えることは私は難しいと思っている。しかし、最近国際情勢が緊迫し、安全保障環境も変わってきている。内閣がある程度決断し、その際に新しい内閣法制局長官が理論的な助言を行うことは十分あり得る。

−−憲法そのものを変える選択肢は。

◆法規範が現状に合わなくなったのであれば、その法規範を改正するのは一番クリアカット(明快)な解決。するかどうかは国会と国民の判断だ。地球の裏側まで行くような集団的自衛権を実現するためには憲法改正をした方が適切だと思う。

−−憲法解釈の変更のために、法制局の人事に(政治が)介入する手法をどう見るか。

◆人事権者のなさることで、私が申し上げることではない。(引用ここまで 

菅官房長官の記者会見の発言は以下のとおりです。山本氏と菅氏の一致点と相違点を区別してみることが大切ですか?それと、それを伝えるマスコミの報道の仕方です。 

山本最高裁判事発言を批判=菅長官「違和感ある」(2013/08/21-16:43)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2013082100500

 菅義偉官房長官は21日午後の記者会見で、前内閣法制局長官の山本庸幸最高裁判事による集団的自衛権をめぐる発言に関し、「公の場で憲法改正の必要性まで言及したことについては非常に違和感がある」と述べ、強い不快感を示した。政府高官が最高裁判事の発言を批判するのは極めて異例だ。 安倍政権は、現行の憲法解釈で禁止されている集団的自衛権の行使容認に向け積極的に取り組む姿勢で、山本氏の後任の法制局長官には憲法解釈の見直しに前向きとされる外務省出身の小松一郎氏を起用した。集団的自衛権に関し菅長官は会見で、「(有識者による)懇談会の議論を踏まえて政府として本格的に検討していく」と改めて強調した。 菅長官は、最高裁が最終的な憲法判断を下す権限を有することを認める一方、「(最高裁判断が)確定までに政府として憲法解釈を行う必要がある場合は、内閣法制局の法律上の専門的知見などを活用しながら第一義的には内閣が行う」とも述べた。(引用ここまで 

官房長官「前法制局長官発言に違和感」 8月21日 16時45分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130821/k10013928231000.html

K10039282311_1308211714_1308211719.mp4

菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で、前の内閣法制局長官の山本庸幸最高裁判事が、集団的自衛権の行使を認める場合は、憲法改正によるのが適切だという認識を示したことについて、「極めて違和感がある」と述べ、不快感を示しました。内閣法制局長官から最高裁判所の新しい判事に就任した山本庸幸氏は、20日の就任の記者会見で、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しについて、「難しいと思う。見直すのであれば、憲法9条を改正することがより適切だ」などと発言しました。これについて、菅官房長官は、記者会見で、「率直に申し上げて、内閣法制局のトップを務めて、合憲性の最終判断を行う最高裁の判事が、公の場で憲法改正の必要性にまで言及したことに、私は非常に違和感がある」と述べ、不快感を示しました。そのうえで、菅官房長官は、「憲法解釈は、内閣を補佐する機関である内閣法制局の法律上の専門的知見を活用しながら、第一義的には内閣が行うものだ」と述べました。(引用ここまで 

官房長官、最高裁判事の集団的自衛権めぐる発言を批判「非常に違和感」 2013.08.21

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130821/plt1308211722004-n1.htm

 菅義偉官房長官は21日午後の記者会見で、山本庸)幸最高裁判事が政府解釈の見直しによる集団的自衛権の行使容認は難しいと発言したことについて「非常に違和感を持つ」と批判した。山本氏は20日、内閣法制局長官から最高裁判事への就任に当たり記者会見し、「完全な集団的自衛権を実現するためには、憲法改正をした方が適切だ」との見解を示した。(引用ここまで 

毎日 菅官房長官:最高裁判事を批判…集団的自衛権巡る発言で 2013年08月21日 19時12分(最終更新 08月21日 19時50分)

http://mainichi.jp/select/news/20130822k0000m010022000c.html

 菅義偉官房長官は21日の記者会見で、前内閣法制局長官で最高裁の山本庸幸判事(63)が憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に異議を唱えたことについて「合憲性の最終判断を行う最高裁判事が公の場で憲法改正の必要性にまで言及したことに非常に違和感を感じる」と批判した。政府高官が最高裁判事の発言を批判するのは極めて異例

 菅氏は「憲法解釈は最高裁の判例を通じて最終確定する」と、最高裁に最終的な憲法判断を下す権限があると認める一方、「確定までの間に憲法解釈を行う場合、内閣法制局の専門的知見を生かしながら第一義的には内閣が行うもの」と指摘。内閣に憲法解釈の権限があるとの考えを強調した。

 山本氏は20日付で最高裁判事に着任した際の記者会見で、「私自身は従来の解釈を変えることは難しいと思う。実現するなら憲法改正が適切だ」と主張していた。

 安倍晋三首相は現在は禁じられている集団的自衛権の行使容認に踏み切る構えで、私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に諮問している。首相は、山本氏を最高裁判事に転出させ、後任に外務省出身で法制局勤務経験のない行使容認派の小松一郎前駐仏大使を起用した。【鈴木美穂】(引用ここまで

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平和憲法の解釈を日米軍事同盟に即して変質させてきた勢力内の分裂はネガティブキャンペーンで突破謀る!

2013-08-22 | 日記

産経グループがとうとう本性をだしてきました。集団的自衛権の行使は、現行憲法の下では不可能とした前法制局長官の発言に、おきまりのネガティブキャンペーンを張ってきました。しかし、これも不思議な、奇怪な話です。

それは、そもそも、内閣法制局とは、保安隊警備隊・そして自衛隊は日本国憲法第9条の「戦力」、すなわち「軍隊」には当たらないとした奇怪な解釈を行ってきた組織です。歴代の自民党政権は、この法制局をつくることで、最高裁の違憲立法審査権を空洞化してきたのです。

このことは、法制局の所管の法令組織・業務概要を見れば明瞭です。この承認されていた役割を、今安倍首相が壊そうとしているのです。これを防止する勢力であるかのように写るところに、現在日本の局面があると思います。これこそが、麻生式民主主義の手口、ナチスがやった、国民の支持を受けながら気づいてみたら、ヨーロッパやアフリカに、とんでもないことをする装置ができあがっていたという手法です。

現在の局面をみると、あの二·二六事件を引き起こした皇道派と鎮圧し手軍事大国化を推進し大東亜共栄圏構想構築のためにマレー・真珠湾の奇襲攻撃を行っていった統制派との「対立」を再現しているかのように見えてきます。

皇道派も統制派のどちらも天皇中心の国家体制の強化によって、世界恐慌以後の国内外の経済矛盾を解決するという立場でした。その際の障害は、ソ連や中国の民衆の抵抗、すなわち「脅威」でした。では、今はどうか。グローバル化の中で生き残りをかけて、また財政危機下の日本にあって、どうやって大儲けを伸ばしていくか、そのために日米軍事同盟深化論を推進していくためには憲法の平和主義が最大の障害となっていることです。その際の口実は、中国・北朝鮮の「脅威」と韓国の戦争責任追及論です。アメリカの「心配」です。

こうした中で展開されている集団的自衛権行使論の是非をめぐって、その具体化を解釈改憲で推進していくのか、憲法改悪で推進していくのか、それとも現行憲法の枠内のままの解釈をとおして日米軍事同盟を維持発展強化していくのか、その手法・手口の違いが、今展開され、注目されているのです。

憲法の平和主義を擁護し、生かしていくためには、どのような統一戦線を構築するか、今こそ知恵を出すべき時です。だからこそ、国際紛争を非軍事的手段で解決することを謳っている日本国憲法の本質を、現局面で、多様に具体化していく努力を国民的合意にしていく必要があるように思います。

それにしても、可笑しいのは、以上のような内閣法制局の役割に依拠していたはずの産経が、内閣法制局という内閣の組織の実態を今頃になって暴露するというのです。もし、産経が掲載するような事実があるとすれば、何故、もっと早くから暴露し、改善を求めなかったか、です。

このような「卑劣」な手口は、ナチスの国会放火事件でっち上げと似ているような気がします。国民主権と基本的人権の擁護に誠心誠意を傾けず権力によって制限することを「是」とする輩の手口を見る思いですね。

こういう手口で攻撃しなければならなかったのは、それなりの理由がありますが、それについては、長くなりますので、別項で記事にします。それでは、記事をご覧ください。 

内閣法制局、驚愕の過去 他省庁担当者を怒鳴り上げ、法案審査は高級仏料理店で (1/2ページ) 2013.08.21

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130821/plt1308211831005-n1.htm

首相公邸より豪華といわれた内閣法制局長官の旧公邸=東京・東五反田【拡大】 

 安倍晋三首相が、新長官に集団的自衛権の行使容認派を起用して注目されている内閣法制局は、財務省や外務省と同じ政府の一組織だ。一般にはあまり知られていないが、霞が関で知らない者はいない。各省庁がまとめた法案を国会に提出できるかどうかは法制局の判断次第で、「官庁の中の官庁」と恐れられてきた。過去、他省庁担当者を怒鳴り上げたり、高級フランス料理をたかるなど、やりたい放題のわがままも通ってきたという。
 「(政府解釈の見直しで集団的自衛権の行使を認めることは)非常に難しいと思う」「完全な集団的自衛権を実現するためには、憲法改正をした方が適切だ」
 内閣法制局長官から最高裁判事に任命された山本庸幸(つねゆき)氏は20日、最高裁で会見し、こう語った。最高裁判事として政治課題に言及するのは異例といえるが、こんな山本氏がトップを務めた内閣法制局とは、一体どんな組織なのか。
 法制局は定員77人の小所帯で、幹部はすべて各省庁からの出向者で占められる。憲法解釈など法律問題について首相らにアドバイスするとともに、各省庁が起草した法案を一字一句までチェックする。
 各省庁の担当者と直接向き合うのが、法制局で課長級の参事官だ。
 法案審査では「省庁担当者に『こんな法律、出せるわけないだろ!』と怒鳴り上げることもある」(政府関係者)という。某省庁の中堅幹部は「金曜日の夜から土曜日の夜まで、延々と法案審査に付き合わされたこともある」と語る。
 参事官の機嫌をいかに取るかについては、各省庁ごとにマニュアルが存在するという。「資料のとじ方や、座る位置が細かく書いてある」(外務省幹部)ぐらいならまだいいが、驚きの内容が盛り込まれている省庁もあったという。

元農水官僚で作家の林雄介氏は「私が現役時代に集めた各省庁のマニュアルの中には『参事官のその日の体調を考え、その都度、昼食は何がいいかお伺いするのが親切である』と書かれたものもあった。参事官に昼食を提供するのは当たり前だった。法案審査の時間を午後1時に設定され、参事官が『ちょっと早めに来てもらっても構いません』といえば、『出前を取れ(=おごれ)』という意味だ」と振り返る。
 林氏の経験では、こんなこともあったという。
 ある参事官が、東京・有楽町にある高級フランス料理店の名前を挙げて「そこでなければ法案審査ができない」と語ったという。林氏は「本当に困った。仕方なく、どこかの団体の“善意”に頼って費用を負担してもらった」と明かす。
 いまも現存する、このレストランのホームページを見ると、ランチコースは1人5200円から8400円。ディナーコースは1万2600円から2万2000円。「あおり烏賊のポシェとリ・ド・ヴォーのクロメスキ エスカルゴバターソース」など、よく分からないが、おいしそうな料理の名前がズラリと並んでいる。
 こんな料理を食べなければ仕事ができない法制局官僚とは何者なのか。
 夕刊フジの取材に対し、法制局総務課は「法案を審査する際に担当省庁から弁当やコーヒーの提供があったことは聞いている。だが、2000年に国家公務員倫理法が施行された前後から、夜食の提供は受けていない」といい、こう付け加えた。
 「各省庁の担当者が法案審査にペットボトルのお茶などを持ち込み、それを分けてもらうことは今でもある。社会通念の範囲内だ」
 ちょっと待ってほしい。法案審査は通常、法制局が入る霞が関の中央合同庁舎4号館に各省庁の担当者が出向いて行われる。法制局にとって、省庁担当者はいわば「お客さん」で、客にお茶を用意させることが社会通念上あり得るのか。
 そんな疑問をぶつけると、法制局総務課の担当者は「別にお客さんとして来てもらっているわけではないので…」と言葉を濁した。(印用ここまで 

内閣法制局は“姥捨て山”? エリートに悲しい事情「秀才だが管理職には…」2013.08.22

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130822/plt1308221154001-n1.htm

 内閣法制局は「法の番人」と呼ばれ、法案をチェックする重責を担う。法制局が「NO」と言えば法律を国会提出できないため、各省庁は頭が上がらず、法制局のご機嫌を取るための“接待マニュアル”まで存在する。過去に、担当者を怒鳴りつけ、飲食をたかることもあった法制局エリートだが、実は、彼らにも悲しい事情があった。
 「彼はべらぼうに頭がいいし、何本もの法案審査を抱えても迅速に処理する体力もある。おまけに人柄もいい」
 外務省幹部がこう評価する「彼」とは、法制局ナンバー2の横畠裕介法制次長のことだ。「第1部長→次長→長官」という順送り人事通りにいけば新長官になるはずだったが、安倍晋三首相が小松一郎前駐仏大使を長官に起用したことで、昇進は見送られた。
 憲法や膨大な法律との矛盾点がないかをチェックし、「国家公務員試験と司法試験を両方パスするような秀才が各省庁から出向する」(厚労省中堅幹部)のが法制局だ。
 だが、他省庁から一目置かれる横畠氏は例外的な存在と言える。
 内閣官房の官僚は「法制局は『姥捨て山』と呼ばれている」といい、別の省庁の人事課勤務経験者も「秀才だが、管理職としては適性に問題がある人たち」という。どういうことか。
 元農水官僚で作家の林雄介氏は「課長レベルになると、関係省庁との折衝や政治家への根回しが必要になる。それができない人が法制局に送り込まれる。基本的に事務次官にはなれない人たちだ」と指摘する。
 各省庁担当者と直接やりとりする課長級の法制局参事官は、法案の条文を長時間“指導”することから「1条書くのに3時間(参事官)」といわれ、ワープロが普及する前はひたすら原稿用紙のマス目に条文を書き込むため「マス書き職人」とも揶揄された。
 旧大蔵官僚として法制局に出向経験がある民主党の平岡秀夫前衆院議員も「政策の立案、決定過程にあまり関わることができないという点で若干物足りなさを感じる」と論文で告白している。
 そんな彼らはどうやってプライドを守るのか。
 官僚出身の自民党議員は「彼らは『アホな政治家や外務省、防衛省から戦後民主主義を守る』と考えている。だから、法律を超えた政策論にまで口を出す」と指摘する。
 法制局は代々、憲法9条が認める自衛権行使は「必要最小限度の範囲にとどまるべき」として、集団的自衛権の行使を認めてこなかった。
 これに対し、田久保忠衛杏林大名誉教授は「法制局が『必要最小限度』というのは、国際情勢の変化、科学技術の発展を踏まえた政策論に踏み込んでいる」と批判する。
 法制局官僚がプライドを守るため、不自然な憲法解釈を固守してきたとすれば、法制局は国益を害する「有害官庁」と言われても仕方ない。(引用ここまで

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