産経グループがネガティブキャンペーンを張らなければならなくなったのは、以下の記事です。しかし、この記事を読む限り、
1.今回の発言は、最高裁判事就任の際の記者会見で行われたものですが、毎日新聞の一問一答をみると、マスコミの世論操作的色合いが濃厚の記者会見と報道です。
2.集団的自衛権を行使するのであれば、内閣法制局長官の首を挿げ替えても、内閣が法政局に「命令」して戦後一貫して使ってきた憲法第9条の解釈を変更するのはムリだろう、ということを言ったのではないでしょうか。これは法制局長官として仕事をしてきた人の発言としては当然のことでしょう。
3.現行憲法第9条の解釈論の具体化として長年維持してきた集団的自衛権行使論を変更するのであれば、憲法を「改正」するしかないということを言ったのであって、これだけをみれば、当たり前のことを言ったに過ぎないという見方もあるのは当然です。
4.しかも、戦後一貫して自衛隊合憲論を主張し、手練手管の詭弁を弄してきた内閣法制局の役割については一言も批判も否定もしていません。それは「国際情勢が緊迫し、安全保障環境も変わってきている」なかで、「内閣がある程度決断し、その際に新しい内閣法制局長官が理論的な助言を行うことは十分あり得る」と、解釈の変更で集団的自衛権行使論の変更を是認していることに、その、またこれまでの氏の立場と思想は明確です。しかし、この点については、マスコミは強調していません。」
5.また、今回の発言は、ある意味、最高裁判事として、憲法第99条の憲法尊重擁護の義務に即した発言とも言えるのですが、それほど、憲法をめぐって、憲法解釈のないがしろ状態、既成事実化が先行していることに対する「意見」を反映しているのではないでしょうか。ま、こうした状態をつくってきたのは、実は、内閣法制局であったのですが。
6.しかし、最高裁判事が、具体的な政治問題について、憲法改正問題を提起するのは、異例中の異例です。ここに現行憲法のおかれている危機的局面を反映しているのでしょうか。
7.そういう時だからこそ、司法の独立論の立場から最高法規である日本国憲法の原則をかみ締め、なし崩し的に解釈を変更してきたことを批判することが、法の番人就任にあたっての発言となるのですが、そのような場面がないのは、ナチスの手口の再来を見る思いがします。ここにマスコミの手口が透けて見えてきます。
8.菅官房長官の批判は、内閣こそが、憲法解釈の中心とする傲慢さを示したもので、これは三権分立の原則逸脱と言えますが、マスコミは、そのことを批判していません。そこにも、やはりナチスの手口を見る思いがします。
9.本来であれば、安倍首相の集団的自衛権行使論は、憲法第9条違反であること、この集団的自衛権行使論の大本にある日米軍事同盟は憲法第9条違反であること、集団的自衛権行使論は、アーミテージ氏など、アメリカの一部の「知日派」やそれと結びつく多国籍企業の押し付けであることを問い質していくべき問題ですが、日米軍事同盟容認の立場にたつ日本のマスコミには、想定すらできない問題です。
以上、ポイントを検証してみましたが、同じ穴のムジナと言っても言いすぎではないような出来事ですが、ここに世論の分裂を反映している側面と世論を惑わしている側面を見る思いがするのは愛国者の邪論の邪推でしょうか?このような分裂的側面の、どの部分と一致して、憲法の平和主義を擁護し、生かしていくか、知恵の出しどころでしょうか?
以下ご覧ください。注目すべき表現については、強調しておきました。
最高裁判事 集団的自衛権巡る憲法解釈に言及 8月20日 17時17分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130820/k10013903011000.html
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内閣法制局長官から最高裁判所の新しい判事に任命された山本庸幸氏が会見し、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しについて「半世紀以上維持されてきた憲法解釈であり、私自身は見直すことは難しいと思う」と述べました。内閣法制局長官を務めていた山本庸幸氏(63)は、定年退官した竹内行夫判事の後任として20日、新しい最高裁判事に任命されました。最高裁で行われた会見で山本氏は、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しに関する議論について、「今の憲法の下で半世紀以上議論され、維持されてきた憲法解釈であり、私自身としては見直すことは難しいと思っている」と述べました。さらに山本氏は「見直すのであれば、憲法9条を改正することがより適切だが、最終的には国会や国民が判断することだ」と述べました。内閣法制局の長官は今月、山本氏の後任として、第1次安倍内閣の際、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認する議論に加わった、元フランス大使の小松一郎氏が就任しています。山本氏は、内閣法制局の長官だった当時、国会での答弁で、集団的自衛権について従来の政府の憲法解釈を維持すべきだという姿勢を示していましたが、裁判で憲法判断を行う最高裁判事としては異例の発言となりました。(引用ここまで)
集団的自衛権「憲法解釈では容認困難」 最高裁判事就任 山本前法制局長官 2013年8月21日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013082102000117.html
山本庸幸氏
内閣法制局長官を退き最高裁判事に二十日就任した山本庸幸(つねゆき)氏(63)が、東京都内の最高裁で記者会見し「集団的自衛権の行使は、従来の憲法解釈では容認は難しい。実現するには憲法改正が適切だろうが、それは国民と国会の判断だ」と述べた。判決の中で個別の意見を述べることができる最高裁判事はよほどのことがない限り立法や行政に介入すべきではないという伝統的な考え方があり、判決以外で政治的課題の憲法解釈に言及するのは極めて異例だ。山本氏は会見で「憲法九条には武力行使はいけないと書いてあるが、例外的にわが国が攻撃された時は反撃が許されると解釈し、過去半世紀はその議論でずっときた」と指摘。集団的自衛権の行使には「(憲法解釈の変更という)非常に細い道をたどるよりは、憲法規範そのものを変えなければできない」との考えを示した。一方で「最近、国際情勢が緊迫化し、日本をめぐる安全保障環境も変わっており、それを踏まえて内閣がある程度決断され、新長官が理論的な助言を行うことは十分にあり得る」とも述べた。内閣法制局は政府の憲法解釈を担い、これまで集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解釈してきた。政府は今月、国会答弁で従来の憲法解釈を維持する姿勢を示してきた山本氏を退任させ、新長官に小松一郎前駐仏大使を充てた。行使容認に意欲を示す安倍晋三首相が、解釈変更の布石として小松氏を長官に起用したとみられている。
山本氏は愛知県出身、京大法学部卒。一九七三年に通産省(現経済産業省)に入省し、二〇一一年十二月から内閣法制局長官を務めた。今年七月十九日に最高裁判事を定年退官した元外務次官の竹内行夫(ゆきお)氏の後任となる。
<集団的自衛権> 同盟国など密接な関係にある国が攻撃された際、自国が直接攻撃を受けていなくても実力で阻止する権利。国連憲章51条は自国への侵害を排除する「個別的自衛権」とともに、主権国の「固有の権利」と規定。日本政府は「国際法上、集団的自衛権を有している」としつつ、戦争放棄や戦力不保持を明記する憲法9条に照らし「わが国を防衛するための必要最小限度の範囲を超えるもの」と解釈し、行使を禁じてきた。安倍首相は今年2月、憲法解釈を見直すため有識者懇談会を発足させた。(引用ここまで)
「憲法改正が適切」前内閣法制局長官 集団的自衛権行使、解釈見直しでは困難 最高裁判事就任で2013.8.20 23:10
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130820/trl13082023120007-n1.htm
内閣法制局長官から最高裁判事に任命された山本庸幸(つねゆき)氏(63)が20日、最高裁で会見し、政府解釈の見直しで集団的自衛権の行使を認めることは「非常に難しいと思う」と述べ、「完全な集団的自衛権を実現するためには、憲法改正をした方が適切だ」との見解を示した。最高裁判事としては異例の発言。
政府は今年8月、山本氏の後任に政府解釈見直しに前向きな小松一郎前駐仏大使を起用。「有識者懇談会における議論を踏まえて対応を改めて検討したい」とする答弁書を閣議決定し、今後の行使容認の可能性に含みを持たせている。 山本氏は会見で、これまで憲法9条との関係で「わが国自身が攻撃されたときは例外的に反撃が許されると解釈されてきた」と指摘した。 憲法改正の是非については「国民の選択」とした上で、「法規範が現状に合わなくなったのであれば、法規範を改正するのがクリアな解決だ」と話した。 山本氏は定年退官した竹内行夫氏の後任。京大卒業後、昭和48年通商産業省(現経済産業省)に入省。平成23年12月から内閣法制局長官を務めた。(引用ここまで)
集団的自衛権:山本内閣法制局前長官一問一答「国会と国民の判断」
2013年08月20日http://mainichi.jp/select/news/20130820mog00m010021000c.html
就任会見をする山本庸幸・新最高裁判事=最高裁で2013年8月20日午後4時1分、竹内幹撮影
20日付で最高裁判事に就任した山本庸幸氏の記者会見での主な発言は次の通り。
−−憲法9条の解釈変更による集団的自衛権の行使について、どう考えるか。
◆我が国自身に対する武力攻撃に対して、必要最小限度で反撃をするための実力の装備(自衛隊)を持つことは許される。過去半世紀くらい、その議論でずっと来た。これに対し集団的自衛権は、我が国が攻撃されていないのに、我が国と密接に関係のある他の国が攻撃された時に、共に戦うことが正当化される権利だ。従来の解釈を変えることは私は難しいと思っている。しかし、最近国際情勢が緊迫し、安全保障環境も変わってきている。内閣がある程度決断し、その際に新しい内閣法制局長官が理論的な助言を行うことは十分あり得る。
−−憲法そのものを変える選択肢は。
◆法規範が現状に合わなくなったのであれば、その法規範を改正するのは一番クリアカット(明快)な解決。するかどうかは国会と国民の判断だ。地球の裏側まで行くような集団的自衛権を実現するためには憲法改正をした方が適切だと思う。
−−憲法解釈の変更のために、法制局の人事に(政治が)介入する手法をどう見るか。
◆人事権者のなさることで、私が申し上げることではない。(引用ここまで)
菅官房長官の記者会見の発言は以下のとおりです。山本氏と菅氏の一致点と相違点を区別してみることが大切ですか?それと、それを伝えるマスコミの報道の仕方です。
山本最高裁判事発言を批判=菅長官「違和感ある」(2013/08/21-16:43)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2013082100500
菅義偉官房長官は21日午後の記者会見で、前内閣法制局長官の山本庸幸最高裁判事による集団的自衛権をめぐる発言に関し、「公の場で憲法改正の必要性まで言及したことについては非常に違和感がある」と述べ、強い不快感を示した。政府高官が最高裁判事の発言を批判するのは極めて異例だ。 安倍政権は、現行の憲法解釈で禁止されている集団的自衛権の行使容認に向け積極的に取り組む姿勢で、山本氏の後任の法制局長官には憲法解釈の見直しに前向きとされる外務省出身の小松一郎氏を起用した。集団的自衛権に関し菅長官は会見で、「(有識者による)懇談会の議論を踏まえて政府として本格的に検討していく」と改めて強調した。 菅長官は、最高裁が最終的な憲法判断を下す権限を有することを認める一方、「(最高裁判断が)確定までに政府として憲法解釈を行う必要がある場合は、内閣法制局の法律上の専門的知見などを活用しながら第一義的には内閣が行う」とも述べた。(引用ここまで)
官房長官「前法制局長官発言に違和感」 8月21日 16時45分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130821/k10013928231000.html
K10039282311_1308211714_1308211719.mp4
菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で、前の内閣法制局長官の山本庸幸最高裁判事が、集団的自衛権の行使を認める場合は、憲法改正によるのが適切だという認識を示したことについて、「極めて違和感がある」と述べ、不快感を示しました。内閣法制局長官から最高裁判所の新しい判事に就任した山本庸幸氏は、20日の就任の記者会見で、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しについて、「難しいと思う。見直すのであれば、憲法9条を改正することがより適切だ」などと発言しました。これについて、菅官房長官は、記者会見で、「率直に申し上げて、内閣法制局のトップを務めて、合憲性の最終判断を行う最高裁の判事が、公の場で憲法改正の必要性にまで言及したことに、私は非常に違和感がある」と述べ、不快感を示しました。そのうえで、菅官房長官は、「憲法解釈は、内閣を補佐する機関である内閣法制局の法律上の専門的知見を活用しながら、第一義的には内閣が行うものだ」と述べました。(引用ここまで)
官房長官、最高裁判事の集団的自衛権めぐる発言を批判「非常に違和感」 2013.08.21
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130821/plt1308211722004-n1.htm
菅義偉官房長官は21日午後の記者会見で、山本庸)幸最高裁判事が政府解釈の見直しによる集団的自衛権の行使容認は難しいと発言したことについて「非常に違和感を持つ」と批判した。山本氏は20日、内閣法制局長官から最高裁判事への就任に当たり記者会見し、「完全な集団的自衛権を実現するためには、憲法改正をした方が適切だ」との見解を示した。(引用ここまで)
毎日 菅官房長官:最高裁判事を批判…集団的自衛権巡る発言で 2013年08月21日 19時12分(最終更新 08月21日 19時50分)
http://mainichi.jp/select/news/20130822k0000m010022000c.html
菅義偉官房長官は21日の記者会見で、前内閣法制局長官で最高裁の山本庸幸判事(63)が憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に異議を唱えたことについて「合憲性の最終判断を行う最高裁判事が公の場で憲法改正の必要性にまで言及したことに非常に違和感を感じる」と批判した。政府高官が最高裁判事の発言を批判するのは極めて異例。
菅氏は「憲法解釈は最高裁の判例を通じて最終確定する」と、最高裁に最終的な憲法判断を下す権限があると認める一方、「確定までの間に憲法解釈を行う場合、内閣法制局の専門的知見を生かしながら第一義的には内閣が行うもの」と指摘。内閣に憲法解釈の権限があるとの考えを強調した。
山本氏は20日付で最高裁判事に着任した際の記者会見で、「私自身は従来の解釈を変えることは難しいと思う。実現するなら憲法改正が適切だ」と主張していた。
安倍晋三首相は現在は禁じられている集団的自衛権の行使容認に踏み切る構えで、私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に諮問している。首相は、山本氏を最高裁判事に転出させ、後任に外務省出身で法制局勤務経験のない行使容認派の小松一郎前駐仏大使を起用した。【鈴木美穂】(引用ここまで)