安倍式集団的自衛権行使論・外交論おデタラメの暴く豊下楢彦理論!
以下の「豊下楢彦・前関西学院大学教授に聞く」「行使容認の閣議決定をどう見る戦争の『備え』なき戦争へ」を読んで、改めて、愛国者の邪論の視点を検証してみました。お読みください。
行使容認の閣議決定をどう見る 戦争の「備え」なき戦争へ
――豊下楢彦・前関西学院大学教授に聞く 【第8回】 2014年7月9日 ダイヤモンド・オンライン編集部http://diamond.jp/articles/-/55809
集団的自衛権の行使容認が、ついに閣議決定された。「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、または我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」など3要件で、自民・公明両党の妥協が成立したからだ。だが、政府がいかに厳しい限定がついていると説明しようとも、次元の違う世界に踏み出したことは間違いない。国際政治・外交史が専門の豊下楢彦・前関西学院大学教授に、問題の背景を論じてもらった。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長英次郎)
とよした・ならひこ 1945年兵庫県生まれ、1969年京都大学法学部卒業。京都大学法学部助教授、立命館大学法学部教授を経て、関西学院大学法学部教授、2013年に退官。『安保条約の成立』(岩波新書)、『集団的自衛権とは何か』(岩波新書)、『昭和天皇・マッカーサー会見』(岩波現代文庫)、『「尖閣問題」とは何か』(岩波現代文庫)など多数。近刊に『集団的自衛権と安全保障』(共著、岩波新書)。
日本国憲法は戦争することを前提にしていない
――最初に、閣議決定を前提にして、集団的自衛権が行使される場合を具体的に考えてみると、どういう問題が出てくるでしょうか。
例えば、中国が南シナ海の島嶼の領有権をめぐる争いからベトナムに侵攻し、ベトナムが日本に軍事支援を要請してきた場合を考えてみましょう。閣議決定では、「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に集団的自衛権を行使すると規定していますから、南シナ海の紛争は必ずしもこの規定にあたらないと判断して、ベトナムの要請を拒否することも考えられます。しかし、日本が拒否すると、中国は「大歓迎」をして、安倍政権は強気な発言を繰り返してきたが結局のところは何もできないのだと、日本の「弱腰」を嘲笑するでしょう。そして、この瞬間に、集団的自衛権の抑止力は失われます。これが、国際政治の力学です。
全く逆に、「今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様等によっては、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る」という文言に依拠して、ベトナムを助けるために日本が集団的自衛権を行使する場合はどうなるでしょうか。そもそも、安保法制懇の報告書が出された5月15日の記者会見でも安倍首相は、南シナ海の問題は「他人ごとではない」と明言した以上、ベトナムは「密接な関係にある他国」のはずですし、抑止力を高め中国包囲網をつくりあげるために集団的自衛権に踏み込んだのですから、ベトナムの要請を拒否する理由はありません。
こうして集団的自衛権を行使し、ベトナムを支援するために軍事物資を送っただけでも、日本は中国の「敵国」になるわけですから、日中両国は戦争状態に入ることになります。ところが、そうした時に、実は日本には開戦規定も交戦規定もないのです。さらに、戦争する場合に不可欠の軍法会議も持っていないのです。そもそも、国際法的に見れば集団的自衛権の行使は戦争です。ところが、今の日本国憲法は戦争することを前提にしていない。だから憲法七六条で軍法会議のような特別裁判所を禁止しているのです。軍の規律を守るための軍法会議のない軍隊なんて考えられません。
なぜあり得ないシナリオを持ちだしたのか疑問
だからこそ、自民党の憲法改正草案でも、自衛隊に代えて正式の国防軍を組織すると定め、さらに「審判所」と書かれていますが、事実上の軍法会議の設置を規定しているのです。つまり、本来であれば憲法を改正し、自衛隊を本格的な軍隊として位置づけ直し、軍法会議を設け、その上で、戦争としての集団的自衛権の行使を行わなければならないのです。安倍政権は「憲法改正は難しく時間がかかる」と言いますが、昨年、憲法九六条の改正論が出されましたね。あの中に一つの答えがあると思います。九六条を改正して憲法改正の発議に必要な国会議員の数を、現在の三分の二以上から二分の一以上にしようというわけです。しかし考えてみれば、そもそも九六条を改正するためには、あくまで九六条の規定に従わないといけないのです。九六条を改正しろと唱えた勢力は、三分の二を取る自信があるからこそ、あの運動を始めたわけでしょう。つまりは「やる気」の問題であって、九六条改正論が出されたこと自体に示されているように、「説得力」があれば三分の二以上を獲得できるはずなのです。だから正面切って憲法改正を提起すればいいと思います。そうでないと、そもそも「戦争」としての集団的自衛権の行使はできないのです。
土台のないところに急ごしらえの家を建てようとしているようなもの
――だからでしょうか、安倍政権や安保法制懇の集団的自衛権をめぐる議論には、具体性を欠いているところが、見受けられるのですが。
それは当然です。すでに述べましたように、そもそも土台のないところに急いで家を建てようとしている訳ですから、議論が支離滅裂になるのは当たり前です。例えば、5月15日の記者会見で、安倍首相はまず最初に、朝鮮半島有事を想定し、アメリカの艦船で邦人が救出されるケースをパネルに描いて説明しました。つまりこういう場合、米艦船が攻撃されても、集団的自衛権を行使できないなら自衛隊は何もできず、日本は邦人を救うことができない、という訳です。しかし、米軍は朝鮮半島有事の際の民間人救出のマニュアルを持っていて、まずは在韓米国市民、次いでグリーンカードの持ち主、次いでアングロサクソン系の人たち、最後に「その他」があって、そこに日本人が含まれるかどうか、ということです。さらに、救出作戦は基本的に航空機で行われます。要するに、安倍首相が挙げたようなケースは絶対に起こり得ないのです。だから、なぜこうしたあり得ないシナリオを持ち出したのか疑問ですし、仮に安倍政権がこうした米軍のマニュアルさえ知らないとすれば、日本の情報収集能力は無きに等しいと言わざるを得ません。
なぜ攻撃される危険性の高い原発を再稼働させるのか
それから、ミサイルの脅威の問題ですが、石破さん(自民党幹事長)がダイヤモンド・オンラインのインタビューで、グアム島に北朝鮮のミサイルが落ちて何万人もの人が亡くなったら日米同盟は破棄されるとおっしゃっています。だから、日本は集団的自衛権を行使して、そのミサイルを迎撃しなければならないと。しかし、こうしたシナリオをつきつめて考えると、何万人ものグアムの人たちが殺されるほどに、アメリカのミサイル防衛システムは“お粗末なもの”なのか、ということになります。そんな機能しないアメリカのミサイル防衛システムを、1兆円もかけて日本に導入した時の責任者は、他ならぬ、当時の防衛庁長官であった石破さんなのです。何とも皮肉な話です。さらに、北朝鮮のミサイル攻撃で何万人も死ぬ事態を想定するのであれば、日本の原発はどうするのでしょうか。北朝鮮が米国を攻撃するということは、米国の総反撃によってピョンヤンが壊滅し体制が崩壊することを意味します。こういう「理性を欠いた」北朝鮮であれば、まずは日本を狙うでしょう。実は安倍首相は5月15日の記者会見で、東京も大阪も、日本の大部分が北朝鮮のミサイルの射程内にあると、その脅威を訴えました。ということは、当然、50基近い原発もターゲットになっている、ということです。ところが安倍政権は、原発の再稼働を急いでいる。特に日本海側に、再稼働を準備する原発が多くあります。稼働中にミサイル攻撃を受けたら、その被害は想像を越えます。これほどにミサイル攻撃は深刻な脅威なのに、なぜ攻撃される危険性の高い原発を再稼働させるのか、根本的に矛盾しています。
安全保障環境悪化の 具体的分析が何もない
――集団的自衛権の問題は、日本を巡る安全保障環境をどう認識するかという問題と深く関わります。安倍政権や安保法制懇の報告書は、中国や北朝鮮の脅威ばかりを強調しますが、国際情勢についてはどうお考えですか?
官邸の関係文書や安保法制懇の報告書にみられるように、「安全保障環境の悪化」というのが、もうキャッチコピーみたいになっています。ところが、その中身はほとんど分析されていません。北朝鮮のミサイルが強化されている、中国の軍事大国化が進んでいる。それだけがあって具体的な分析は何もない。例えば今の米中関係、それから韓国と中国の関係はどうなのでしょうか?それについては何の具体的な分析もない。そこで、まず米中関係ですが、確かに現在の米中両国には、いろいろな対立軸があり、米国は中国の軍事的脅威に「全次元」で対抗する軍事戦略を構築しようとしていますが、他方でオバマ大統領はずっと、「米中関係は世界で最も重要な二国間関係だ」と言っています。 なぜ重要かと言えば、実は4月の安倍さんとオバマさんの首脳会談を経て出された日米共同声明のなかで、イランの問題、アフガンの問題、北朝鮮の問題、ウクライナの問題など、いろんな問題を挙げて、こういう重要な国際問題について中国は非常に重要な役割を果たしうる、だから中国との間には生産的、建設的な関係を結ばねばならないと明記され、もちろん安倍首相もそれに同意したのです。
米国にとっても韓国にとっても、中国は「敵」ではない
つまりアメリカは、国際社会のいろいろと重要な課題について、中国は一緒になってそれを解決していく対象国だと認識している。だから、もちろんアメリカは中国を警戒しているけれど、なんとか国際社会に取り込んでやっていこうというのが、今の米中関係ですね。だから、いま演習中のリムパックに中国海軍が初めて招待され、米軍に次ぐ規模の1000人以上の中国軍人が参加していますし、7月9日からは北京で米中経済戦略対話が開かれ、米中「共同閣僚会議」とも言われるように、あらゆる課題について包括的な協議がなされ、危機管理体制の構築が目指されています。次に韓国と中国の関係です。なぜ朴大統領があれほど「反日主義」なのかについては、親日大統領だった父親との関係や彼女の“独善体質”なども挙げられていますが、少なくとも事実関係としては、朴さんが大統領に就任した当初は、早く日韓首脳会談をやりたい、そこで、まず外相を派遣してお膳立てするという日程を考えていたのです。ところが、それを潰したのが麻生副大臣の靖国参拝で、それですぐに外相の派遣が取りやめになって、全部ご破算になった。当時は、安倍さんも村山談話や河野談話を見直すなどと、どんどん発言する。だから結局、朴さんをある意味で中国に追いやる形になってしまった。その後もいろいろな経緯ありますが、今の朴政権の外交は「親米和中」といって、米韓同盟を軸にしながら中国と和するというものです。中国の習近平主席が、恒例となっている北朝鮮首脳との会談に先んじて、初めて韓国を7月3日から訪問し朴大統領と会談したことは、象徴的です。両首脳の会談は、これで5回目の会談であり、今回は中韓FTAの年内妥結を目指すことでも合意がみられたとのことです。
以上のように見てきますと、米国にとっても韓国にとっても、中国は「敵」ではない、ということが明らかになってきます。そもそも、集団的自衛権というのは、「共通敵」の存在を前提にします。安倍さんは事実上、中国を対象に集団的自衛権を考えている訳ですが、今や肝心のこの構図が成り立たない。つまり中国は、日米韓の「共通敵」と単純に位置づけることなど全くできない情勢なのです。安倍さんの構図を前提にするなら、皮肉な言い方をすれば、こうした情勢こそ「安全保障環境の悪化」と言うべきでしょうね。
安倍政権に対する米国の立ち位置は複雑
――安倍政権が集団的自衛権の行使に向けた閣議決定を行ったことについて、米国の軍部も国務省も「歓迎」を表明しています。他方で、これまで最も強く日本に集団的自衛権を求めてきたジャパン・ハンドラーのなかには、ジョセフ・ナイ氏のように、安倍政権のナショナリズムに警告を発したりする動きもありますね。
たしかに、安倍政権に対する米国の立ち位置は複雑です。ジョセフ・ナイやリチャード・アーミテージもそうですが、最も危惧しているのが、安倍首相の靖国参拝に象徴されるナショナリズムの問題です。そもそも、なぜ靖国参拝が国際問題化するかと言えば、ご承知のように1978年に松平永吉宮司は、「東京裁判を否定しなかったら、戦後の日本は生まれ変われない」という信念をもってA級戦犯の合祀に踏み切りました。つまり、A級戦犯の合祀は明らかに、日本の戦争責任を問うた東京裁判を否定する行為として行われたのです。だから当然、首相や政治指導者たちの靖国参拝が国際問題化するわけです。
安倍さんが唱える「積極的平和主義」の本質は「積極的軍事主義」
そもそも、東京裁判を否定するということは、戦後アメリカが作ってきたサンフランシスコ体制を軸とした戦後秩序というものを否定することを意味します。私は、論理的に、あるいは心情的に戦後秩序を否定する政権が、かなりの支持基盤をもって誕生し、それが運営されているということは、戦後初めてのことだと考えています。だからこそ、韓国や中国ばかりではなく、米国も警戒を怠らないのです。例えば、4月の日米首脳会談でオバマさんは安倍さんの進める集団的自衛権の行使を「歓迎し支持する」と言っていますが、実はここには、「日米同盟の枠内」と「近隣諸国との対話」という二つの条件が付けられています。つまりこれは、仮に日本が集団的自衛権を行使するにしても、米軍の指揮下で行えということ、さらにはその前提として、「近隣諸国」、つまりは韓国や中国ときちっと話し合え、ということなのです。厳重にタガをはめているのです。だから、日本をめぐる「安全保障環境の悪化」という場合、安倍さんが靖国を参拝したことが、どのような影響を及ぼしているかということを、しっかりと分析する必要があります。
未曽有の「全次元」戦争にわれわれは直面する
――安倍首相は「積極的平和主義」を掲げていますが、本当に「平和主義」なのか、あちこちから疑問が提出されていますが。
まず、安倍首相の路線が推し進められていった先に、どういう事態が待ち受けているのかを考えてみましょう。安倍さんは「積極的平和主義」を唱えているけれども、具体的に展開されていることは、自衛隊の軍事的役割を増大させることばかりで、本質的には「積極的軍事主義」と言うべきだと思いますね。 その軍事主義を象徴的に示すのが武器輸出です。4月には、これまでの「武器輸出三原則」を撤廃して「防衛装備移転三原則」を打ち出しましたが、紛争国の定義を曖昧にしている。なぜかといえば、F35ステルス戦闘機をイスラエルにも輸出できるようにしたいからです。イスラエルのような紛争のただ中にある国にも輸出できるとしたら、どこの国にでも輸出できる。だから事実上、日本が「死の商人」になっていく、ということです。つまり、「兵器を輸出して平和になろう」という路線なのです。 こうした軍事と軍事の対決路線を前提に、国際政治における「最悪シナリオ」を想定すると、それは米中戦争です。この戦争は、宇宙、空、海、陸、サイバー空間、無人機なども含む、未曽有の「全次元」の戦争となるでしょう。例えば中国からすれば、アメリカの軍事戦略は、宇宙に張り巡らした圧倒的な衛星網があるからこそ展開できる訳で、当然こうした軍事衛星に攻撃を加えるでしょうし、米軍は宇宙空間から迎え撃つでしょう。
人類が経験したことのないような新たな次元の戦争に
さらにサイバー戦争ですが、これの怖いところは、米軍とイスラエルがイランの核施設にサイバー攻撃を仕掛けたように、原発が破壊される可能性が現実のものとなることです。さらに無人機戦争は当然のことですが、ロボット兵士やロボット軍団も登場してくるでしょう。この点で、アメリカをはじめとした国際的な軍事産業にとって、日本のロボット工学を軍事に取り込むことが重要な狙いとなっています。こうした、かつて人類が経験したことのないような新たな次元の戦争に、日本も軍事的に積極的に加担していくのかどうか、これが今問われていることなのです。
紛争の危機が増大している今こそ憲法の平和諸原則が重要な意味を持つ
――それでは、集団的自衛権も行使でき戦争もできる「普通の国」ではなく、憲法の「平和主義」を生かした形で、東アジアやグローバルな平和の構築に、貢献する方策はないのでしょうか。
この問題を考えるためにはまず、いわゆる「パワーシフト」と言われる問題の構図を捉え直しておくことが必要でしょう。戦後の世界はある意味で、アメリカの「例外主義」を認めてきました。つまり、アメリカは「国際紛争を武力で解決する」という前提でやってきたわけで、国際法から外れたような「軍事介入」や紛争を引き起こしても、その「例外主義」で世界の秩序が一定に保たれてきたと見なされ、事実上国際社会で認められてきた訳です。しかし、アメリカがアフガン、イラクで泥沼の戦争にはまり込んでいる間に、中国が急速に台頭してきたために、アメリカの力が相対的に衰退したのではないか、「パワーシフト」が進んでいるのではないか、として論じられているのです。ここでの問題は、中国があまりにも急に大国化したため、国際社会でどう振る舞ったら良いのか分からない、という事態に直面していることです。私はこれを中国の“学習過程”と捉えていますが、例えば防空識別圏も、あたかも自国の領空だと思い込んでいたとか、自衛艦にレーダー照射して、それがいかに危険きわまりない行為であるか分かっていない、あるいは領土、領海をめぐる国際法の認識の欠落などです。 こうした中国に対して、オバマ大統領は「国際社会のルールを守りなさい」という形で、国際社会に取り込もうとして臨んでいる。私は、これは基本的に正しい主張と考えます。ただ厄介なことは、上に述べたように、アメリカはずっと「例外主義」でやってきた。その典型が、国連海洋法条約の問題です。この条約は海の憲法、海のルールと言われているわけで、オバマさんは盛んに中国に対して「この海のルールを守りなさい」と言っている。ところが、先進諸国のなかで、唯一国、アメリカだけがこの条約を批准してないのです。
今こそ憲法の平和諸原則が国際社会で重要な意味を持つ
問題は、上院が批准に反対していることなのですが、なぜ上院が反対するかというと、アメリカ海軍の「行動の自由」が縛られる、アメリカの「単独行動」ができなくなる、という理屈なのです。しかし、この論理を出せば出すほど、喜ぶのは中国です。この論理に固執している限り、中国の勝手な行動を抑えられない。だから、「拡張主義」に走る中国を抑えるためには、アメリカも「例外主義」を捨てて、普遍的なルールに従う必要がある、ということなのです。そして、こうした米国の「例外主義」と中国の「拡張主義」の狭間にある日本こそが、普遍的なルール、国際社会のルール化に向けて、重要な役割を果たすべきなのです。 以上のように考えてくると、実は、憲法九条を背景として作りあげられてきた、武器輸出三原則とか、非核三原則とか、宇宙の平和利用原則とか、原発の平和利用原則とか、専守防衛の原則などの、憲法の平和諸原則が、単に日本のためばかりでなく、安全保障のジレンマに落ち込み、紛争の危機が増大している今日の国際社会においてこそ、非常に重要な意味を持ってきていると考えるのです。実は、去る5月にロボット兵器の規制に向けての専門家会合がジュネーブで初めて非公式に開かれたのですが、日本は軍事化の方向に走るのではなく、宇宙空間の軍事利用やサイバー問題をはじめ、野放し状態であったこうした軍事分野において国際的なルール化が構築されていくように、そうした方向においてこそ、最大限の力を傾注すべきなのです。
質問1 集団的自衛権を行使できるようにすることに賛成ですか、反対ですか?
<input type="text" value="1" />賛成<input type="text" value="2" />反対<input type="text" value="3" />どちらとも言えない
質問2 集団的自衛権行使を認める場合、憲法改正が必要だと思いますか?
<input type="text" value="1" />解釈の変更だけでよい<input type="text" value="2" />改正が必要<input type="text" value="3" />その他z(引用ここまで)
愛国者の邪論
1.日本国憲法の法体系を無視した安倍首相のデタラメ・ゴマカシ・大ウソ・場あたり・その場しのぎを暴いています。
2.このような安倍首相のデタラメは、祖父岸信介元首相の野望である大東亜共栄圏思想=対米利益共同体構想の現代版を構築するために仕組まれているのです。
3.安倍式集団的自衛権行使論は、世界各地に拡散している中国の利権とそれと対抗している日本の多国籍企業の利益を自衛隊が擁護するという野望の中に位置づけられているのです。対中包囲網作戦として展開されている安倍首相の外遊に「死の商人」が同行しているのは、こうした野望を反映しています。
4.その多国籍企業の利権を擁護していくためには、アメリカや韓国など、「共通の価値観」を保持している国々から批判に晒されている靖国神社参拝をはじめとした侵略戦争の戦争責任を曖昧にして、日本のナショナリズムを煽りしかないと思っているのです。
5.そうした野望を正当化するためにも、世界各地に拡散している中国の利権に対抗するために中国・北朝鮮「脅威」論を仕立て上げていく必要があるのです。海外における自衛隊の武力行使の否定を国是としてきた制約・岩盤を何としても打ち破っていくために安倍式集団的自衛権行使論を仕立て上げたのです。
6.もう一つは、アメリカの国力の低下を口実としていることです。安倍式集団的自衛権行使論と現代版大東亜共栄圏構想=多国籍企業の利権擁護体制は、アメリカの枠内に身を置きながら、自立していこうとする野望です。これこそが祖父岸信介の野望の継承であるのです。
7.しかし、この野望は、侵略戦争の反省の上に制定された日本国憲法の平和主義を否定してはじめて成り立つものです。集団的自衛権行使論を容認するアメリカなど、共通の価値観をいただく国々の支援を取り付けたとしても、戦後国際社会のルールである戦争の違法化の最先端をはしる日本国憲法の平和主義と根本的に矛盾せざるを得ないということです。
8.盧溝橋事件77年記念式典における習近平国家主席発言は戦争責任問題と集団的自衛権行使論、日本国憲法の平和主義が密接に関連していることを中国の視点から表明したもので、日本のマスコミの抜け落ちている視点として注目しなければならないものです。
9.安倍首相派の口実としている中国・北朝鮮脅威論の除去については、日本国憲法の平和主義・戦争責任の明確化をリンクした外交政策を多様に駆使して発展させていく日本国民の知恵が試されていると言えます。
10.そのためには、安倍内閣をして実行させるのか、或いは安倍内閣に代わるたらいまわし政権に実行させるのか、更に安倍内閣の亜流政権に実行させるのか、それとも憲法を活かす政権に実行させるのか、そのことが鋭く問われているというのが、今日の局面であるように思います。
11.その点で、アンケートにある「集団的自衛権行使を認める場合、憲法改正が必要だと思いますか?」という類の設問は、本来は有り得ない設問でしょう。何故ならば、この設問は「戦争」が「違法化」された国際社会にあって、愚問と言えます。これは「人殺し」をアンケートで正当化するための「詭弁」にと言えます。」人殺し、違法な戦争に口実を与えるものです。そもそも憲法平和主義は、いかなる理由があっても、「改正」することなど有り得ないということを前提にしなければならないものであり、絶対的価値を持っているものを、あれこれの口実を仕立て上げて、つき崩していくものといわなければなりません。