軍事同盟の弊害と憲法平和主義の抑止力を真摯に直視しない社説!
毎日新聞が、今日第一次世界大戦の開始日にあたって、以下の社説を書きました。テーマとは全く逆に、ちっとも学んでいないことが改めて浮き彫りになりました。そこで、その理由を含めて検証してみることにしました。基本は昨日の社説で書いたことと同じです。
この問題については、すでに以下の記事を書いておきましたので、ご覧下さい。それにしても、日米軍事同盟をタブー視する日本のマスコミ・マスメディアの病理現象について、徹底して暴いていかないと、日本の未来は切り開けないことでしょう。このタブー視は、戦前の現人神信仰、戦後の原発安全神話に匹敵するものと言えます。
軍事同盟(糞)と平和友好条約(味噌)をごちゃごちゃにして軍事同盟を容認!加害責任不問の毎日社説 2014-03-03 23:53:52 http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/d/20140303
安倍首相派の狙う集団的自衛権論!その教材は日英同盟と三国同盟にアリ!事実は侵略戦争そのもの! 2014-04-08 10:02:49
http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/0688b717be9948369ee25aad353cc74a
軍事同盟から非軍事の平和友好条約への思想全くなし!
愛国者の邪論は、日米軍事同盟を廃棄して、憲法を活かした対等平等の日米平和友好条約を締結することが、日本の民主化の徹底化に大きく貢献寄与すると確信しています。日米軍事同盟が及ぼす政治的経済的社会的文化的思想的影響は計り知れないものがあると思います。この間、このことを一つ一つ明らかにして記事に書いてきました。
アメリカ民主主義の限界と積極面を日本に!
そもそも、アメリカ独立革命の理念を具体化、徹底化してきたのであれば、世界の歴史は、もっと違ったものになっていなことでしょう。しかし、歴史は、イギリスの植民地からの解放闘争に挑んだアメリカ市民階級は、先住民の殺戮とアフリカからの奴隷を使うことで、アメリカ資本主義を発展させてきました。それは膨張主義・侵略主義そのものでした。アメリカ型民主主義の限界が、ここにありました。
そのようなアメリカの影響を色濃く受けて戦後日本の民主主義が始まりました。私たちが子どもの頃の50年代から60年代は、アメリカ文化がテレビを通して徹底的にすりこまれました。いわゆるアメリカナイズです。日本的思考回路とアメリカ的思考回路の並存です。それはアメリカ政府が,企図したことでしたが、だからと言って、アメリカを全否定するなどということを言うつもりだと毛頭ありません。
日米軍事同盟を廃棄することは、アメリカと敵対関係に至るのではないかという、暗黙の誤解があるのではないでしょうか。それは全く違っています。アメリカ独立宣言の思想を継承していくのであれば、民族自決主義、抵抗権・革命権・幸福追求権を、現在の日本に当てはめていくべきでしょう。
現在の日本の政治、国民生活を観ていると、どれだけ追随しているか、屈辱的圧力を受けているか、素直に直視していく必要があるでしょう。侵略戦争を引き起こした国であることを差し引いても、非人道的兵器である原爆を投下された国でありながら、アメリカの核兵器の「抑止力神話」に浸っていることに象徴されています。
憲法平和主義を否定する日米軍事同盟は侵略戦争を否定しない!
安倍首相は、憲法とその体系、特に教育制度は、アメリカから「押し付けられたものだから」として否定してきています。アメリカ自身が「反共の防波堤」として対ソ戦略の重要な装置として日米安保条約を押し付けました。岸信介元首相に代表される大東亜共栄圏構想を具体化しようとしていた勢力は、自らの保身のため、「反共」で一致。日米安保体制を受け入れることで、その構想の野望の復活を狙ったのです。その結果が、安倍首相の「戦後レジームからの脱却」思想として具体化され、アメリカの支援を受けながら、最後の段階に向けて着々と拡大してきているのです。
しかし、この構想は、侵略戦争を正当化することを意味しているため、アメリカなど国際社会は、受け入れ難いことも事実です。リメンバーパールハーバーを認めることになるからです。国際社会、とりわけ連合国側は、絶対に容認しないでしょう。これが前後秩序だったからです。ソ連を崩壊させてできたロシア政権でさえも、安倍首相の大東亜戦争正当化論に与することはできないでしょう。それをすることは政権の命取り、歴史を否定することになるからです。
ところが、戦後自民党政権の憲法形骸化政策、天皇の戦争責任を曖昧にしてきたツケが、国民の中にある戦争責任問題、歴史認識問題に向き合う国民的営みにブレーキをかけてきていることは周知の事実です。侵略戦争の加害の事実を教えることを「自虐的」などとする「自由主義史観」思想が、マスコミがもてはやすことで、大手を振って歩いていることに象徴的です。
侵略の加害の事実、戦争に反対した人々や厭戦的行動をとった人々などは、無視されていることに象徴的です。特攻精神が美化されること、侵略戦争に駆り出した勢力を正当化する輩が、殺された「皇軍」兵士を「英霊」として敬い、「尊崇の念」を持つことが大切などと説教をすることが大手を振っているのです。「英霊」に仕立て上げた責任などは、一切触れていないのです。あたかも「皇軍」兵士が、自ら進んで「侵略戦争」に「出征」していたかのようにスリカエているのです。「英霊」の遺骨を放りっぱなしにしておいて、です。
こんな不道徳が、圧倒的国民から指弾されていないのは、「英霊」たちの「遺族」に「年金」を配り政権の基盤の一つとしてきたことに、原因があります。都市空襲で殺された「皇軍」兵士、原爆投下で殺された民衆とは、大きな違いです。仏になれば、皆同じ、「英霊」となって「靖国」に祀られれば、皆同じだという、思想が、自民党政権、大東亜戦争正当化勢力には通用しない思想です。
以上のような状況を踏まえると、この思想の奥には、侵略戦争を反省して制定された日本国憲法の人権思想を土台とする主権在民主義=国民主権主義、平和主義、国際協調主義を無視する思想が沈殿してていることを示しているのです。それが、今日の集団的自衛権行使論、武器輸出禁止三原則・非核三原則の否定し、憲法そのものを否定する運動に連動しているのです。自民党の改憲案を観れば明瞭です。
第一次大戦の教訓は
戦争違法化!民族自決主義!生存権思想!の始まりにあり!
何故このことを、憲法に即して語らないのか!
以上のような視点に立って、以下の毎日の社説を読むと、民族自決主義を謳ったロシア革命政権の「平和の布告」や戦争を違法化した第一次世界大戦後の国際秩序、子どもの人権を尊重することを完成させた子どもの権利条約の源流である児童の権利に関するジュネーブ宣言や不戦条約など、人道主義・平和主義が大きく前進したこと、そうした流れが、第二次世界大戦後の日本国憲法の体系に結実されていったことなどについて語っていないことは問題です。
この思想は、軍事同盟と憲法について、一言も語っていないことに、象徴的です。「実は日本もドイツに宣戦布告し」たのは、何故か。日英同盟があったこと、そもそも第一世界大戦そのものが、軍事同盟と軍事同盟との戦いであったこと、このことについて何も語っていません。今風に言えば軍事同盟による集団的自衛権行使論であったのです。日本がドイツに参戦した理由は、集団的自衛権論でした。安倍式集団的自衛権行使論に反対の論陣を張ってきた毎日が、何故このことをスルーするのか、全く不思議です。
日本の政権が、憲法を活かす政権であったなら、イスラエルとパレスチナの紛争、ウクライナとロシアの紛争などに、どのように対応するでしょうか。そうです。国際紛争を解決する手段として、国家による戦争、武力による威嚇、武力行使は永久に放棄した憲法を持つ国としてやるべきは、対話と交流を促すこと、紛争の調停に入ることでしょう。
ところが、安倍首相は、真逆のことをやっているのです。第一次世界大戦の原因である軍事同盟の拡大強化・拡散・集団的自衛権行使の地域拡大に走っているのです。安倍首相にこそ、「歴史から学べ」と言わなければなりません。しかし、毎日の社説は、その点で曖昧です。
憲法平和主義が作られた歴史から学んだとするならば、ヒロシマ・ナガサキで平和会議を行うことでしょう。そんな政権を一刻も早く樹立したいものです。
以下ご覧ください。
毎日新聞 第一次大戦100年/歴史の教訓に学びたい 2014/7/28 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20140728k0000m070136000c.html
100年前のきょう7月28日、第一次世界大戦が始まった。当時のオーストリア・ハンガリー帝国が隣国セルビアに宣戦布告したのがこの日だ。1週間後にはオーストリア、ドイツの同盟国側と、ロシア、フランス、英国の連合国側との間で全欧州を巻き込む大戦に発展した。英国の戦史家リデル・ハートは、大著「第一次世界大戦」の冒頭で「欧州を爆発寸前の状態にもってくるのには50年を要したが、いざ爆発させるには5日で十分だった」と書いている。
引き金は1カ月前の6月28日、セルビア人青年がオーストリア皇太子夫妻を射殺した「サラエボ事件」だった。それが大戦に拡大したのは、台頭するドイツと、これを警戒する英国やフランス、ロシアなどの対立が複雑に絡み合い、欧州が「爆発寸前の状態」にあったからだ。しかも各国が自国の安全保障のために結んでいた同盟関係が、逆に連鎖的な戦争拡大を招く結果になった。
日本や米国の参戦などで戦火は世界に広がり、戦死者は約1000万〜1500万人とされる。誰も開戦を止められなかったのはなぜか、今なお議論が続く。英ケンブリッジ大のクリストファー・クラーク教授は近著「夢遊病者たち」で、各国の指導者が誰も戦争を望んでいなかったのに行き違いを重ね、意図せぬ道へ踏み出していたと結論づけている。
英国やフランス、イタリアなどの犠牲者数は、第二次世界大戦を大きく上回る。欧州では当時を回顧する展覧会など、改めて100年前の戦争について考えるさまざまな行事が開かれている。欧州連合(EU)は先月、当時の激戦地だったベルギーのイーペルで、全首脳が参加して追悼式典を行った。
日本では遠い欧州の戦争という印象があるが、実は日本もドイツに宣戦布告し、ドイツの租借地だった膠州(こうしゅう)湾と青島を占領した。後の中国大陸侵略への一歩を踏み出した戦争だったことは銘記しておきたい。
今の国際情勢に警鐘を鳴らす議論では当時との比較がよく語られる。台頭する中国と米国の関係を、当時のドイツと英国に重ねる見方はその一つだ。安倍晋三首相は1月の国際会議で、現在の日中関係について語る中で第一次大戦前夜の英独関係を持ち出して世界を驚かせた。シュミット元西独首相は5月、独紙とのインタビューで、現在のウクライナ危機が「第一次大戦前夜を思わせる」と警告し、関係国に慎重な対応を求めた。
2度の大戦という教訓を経てグローバル化が進む現在と、当時を安易に比較すべきではないだろう。だが「爆発」まで目覚めない「夢遊病者たち」にならないよう、歴史を振り返り、教訓に学びたい。(引用ここまで)