どうすれば安倍派の口実である「危機」論・「脅威」論を除去するか!
今日の赤旗には、昨日のNHKの政党討論会の内容が掲載されていました。愛国者の邪論なりに考えていることをまとめておくことにしました。ご覧ください。なお、赤旗に、争点がまとめられていましたので、それを踏まえて、考えてみることにしました。志位和夫委員長の発言については、以下のところにアクセスしていただければと思います。
「戦争立法」のどこが問題か NHK憲法特集 志位委員長の発言 2015年5月4日(月)http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-04/2015050401_03_1.html
日本共産党の志位和夫委員長は、3日放送のNHK番組「憲法記念日特集」で、安倍政権が今月中旬にも閣議決定・国会提出を狙う「戦争立法」の問題について、各党幹部と討論しました。志位委員長の発言を紹介します。(引用ここまで)
「戦争立法」について、愛国者の邪論は
「切れ目なく対応できる安全保障の整備によって抑止力になる」の場合、「抑止力」とは、「軍事抑止力」のことで、そもそも、「悪魔のサイクル」というべきものであることは、故事成語の『矛盾』を視れば明らかです。今回の安倍政権の「軍事抑止力の強化」そのものが、対中「脅威」、対北朝鮮核ミサイルの「脅威」、テロの「脅威」を口実にしています。
このことは、これまでの「軍事抑止力」が役に役に立たなくなったことを自ら白状しているようなものです。安倍首相は繰り返し「アジア太平洋地域の情勢は大きく変わった。特に安全保障環境は大変厳しさを増した」と吹聴して正当化、口実にしています。
これが、アメリカの「核・軍事抑止力の強化」を反映していることは一目瞭然です。しかし、安倍首相も、マスコミも、このことを全く黙殺して、「脅威」の責任に転嫁しています。
如何にして「危機」「脅威」を取り除くか!安倍政権とオバマ政権は、基本は軍事力=威嚇=脅し=軍事抑止力で対抗するということですが、第一に、歴史的に破たんしている!第二に、憲法9条に違反している!第三に9条を使った「対話と交流」を軸にした外交論をサボっている!
このことを徹底的に国民的批判にさらすことです。「紛争」の解決のために「対話と交流」を多面的に発展させる具体的な対策を明らかにして、国民的共同の力で、「対話と交流」を発展させることです。顔と顔の見える外交を徹底させることです。
集団的自衛権について、愛国者の邪論は
まず集団的自衛権行使対象国が「同盟国」から同盟国と密接に関連している国にまで拡大してきていることを視れば「無限定」です。しかも派兵の「範囲も「無限定」です。「切れ目なく」を口実に、実は「切れ目なく」非軍事的手段を使って「危機」「脅威」を除去していくことをサボるのです。このことをスリカエ・ゴマカシているのです。
「新3要件」について、愛国者の邪論は
安倍派のゴマカシ・スリカエ論法は、事実で暴け!
非常識・非現実的で矛盾だらけの新三要件について、どこも糾していません!そこで、以下検証してみました。
1.そもそも、「わが国に対する武力攻撃が発生したこと」「またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」という前提について、そのような「想定」は、特に「憲法9条を持つ国」である日本に対しては「非現実的」です。それは
①日本に対する「武力攻撃」の理由は何か。「武力攻撃」の「利点」と「展望」はあるのか。
②どこの国が日本に対して「武力攻撃」を行うというのか。何の前触れもなく「武力攻撃」が起こるのか。またその「武力攻撃」が起こるまで、何もしないというのか。
③その場合、その「武力攻撃」に正当性があるか。
④万歩譲って「武力攻撃」が起こる可能性を認めるとして考えると、「武力攻撃」発生の原因・要因について、対話と交流を通して未然に防止することはしないのか、どうか。
⑤「武力攻撃」に至る前に、国際社会の世論を持って包囲することはしないのか。
⑥そもそも「武力攻撃」が起こらないような対等平等な関係は構築しないのか。
2.更に言えば、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」について、「わが国と密接な関係にある他国」に対して「武力攻撃」が何故起こるのか、という「そもそも」論が欠落しています。「武力攻撃」が起こらないように、憲法9条を持つ国として、憲法9条を活かした外交努力を呼びかけないのか。全くスルーしています。
3.「これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」についても、全く不明です。とってつけた「ためにする」「口実」です。
①国際法に違反した「武力攻撃」が、何らの前触れもなく起こされるのか、スルーしています。
②国際法に違反した「武力攻撃」により、「わが国の存立が脅かされる」ような「事態」とはどのような「事態」か。
③或は、「わが国の存立が脅かされる」「事態」とは、どのような「事態」か。
④「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」という場合の、
㋑「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される」「事態」とはどのような「事態」か。
㋺「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」という場合の「明白な危険」とははどのような「事態」か。
⑤そもそも日本「国民の命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される」「明白な危険」が起こるような「武力攻撃」があるとすれば、国際社会はどうするのでしょうか。
⑥また、日本「国民の命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される」「明白な危険」を引き起こすような「武力攻撃」を、現代社会において、どこの国が起こすと言うのでしょうか。また、どうやって起こすというのでしょうか。
⑦日本に、また同盟国、同盟国と密接な国に対して、そのような「武力攻撃」が突然引き起こされるでしょうか。
4.「これ(武力攻撃)を排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと」についても、
①そうであるならば、「危機」「脅威」を口実として強化している「日米軍事同盟の抑止力」は、何らの役割も果たしていないのではありませんか!
②「軍事抑止力」も「対話と交流」という「非軍事的抑止力」も役に立たないというのでしょうか。それほど無力になるような、強固な軍事力を持った、「武力攻撃」が行使できるような、国際社会の「法の支配」を無視した国があるというのでしょうか。
③「国民を守るために他に適当な手段がないこと」という場合の「適当な」ということはどのようなことか!曖昧です。「国民を守るために他に適当な手段」が「ある」という場合の「手段」とはどのような「手段」でしょうか。
5.「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」という場合
①「必要最小限度」とはどのようなことで、どのような「実力行使」を言っているのでしょうか。
②「国民を守るために他の適当な手段がない」ような、理不尽な、無法な「武力攻撃」を仕掛けてくる無展望な国がある場合、「必要最小限度」で大丈夫でしょうか。
「軍事抑止力」を強化してきた、或は、「軍事抑止力」している日本の同盟国であるアメリカに対して、さらにアメリカの同盟国に対して、国際法を無視して「戦争」「武力攻撃」が起こるかどうか、ということがスルーされています。
また現代社会においては、国際法では「侵略戦争」は禁止されています。またアメリカと、アメリカの同盟国が軍事挑発をしないということが「約束」されるか、です
この間の違法な「侵略戦争」「武力行使」「軍事挑発」の歴史の事実を総括する必要がありますが、全くなされていません!ベトナム・アフガン(米ソ)・パナマ・グレナダ侵略などについて、全く不問です。
機雷掃海について、愛国者の邪論は
そもそも「ホルムズ海峡」を「機雷掃海」するという場合、どこの国が「機雷封鎖」をやるというのでしょうか。「イラン」を想定しているようですが、まず、イランの状況を視れば非現実的です。また百歩譲って、「機雷封鎖」の「可能性」が正しいとするのであれば、そのような「機雷封鎖」を正当化するような「事態」をどのように防いでいくのか、全くスルーです。
ホルムズ海峡が「機雷封鎖」されて、日本「国民の命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される」「明白な危険」が起こるような「事態」まで待っているというのでしょうか。その前にやることがあるでしょう!勿論、非軍事的手段を使って!
「後方支援」について、愛国者の邪論は
そもそも第一次世界大戦前の軍事同盟には、第三国に対して「中立」を明記しているのは、「敵国」から「攻撃」を受けないための「宣誓」でした。このようなことが行われたのは、戦争に巻き込まれる「危険」を防ぐためでした。それが、「後方支援」に積極的に関与していこうとするのです。同盟国の「敵国」から「攻撃」を受けるのは当然です。
このことは、第二次世界大戦、大東亜戦争の「銃後」が米軍によって攻撃を受けたことを視れば明らかです。アメリカは、原子爆弾をヒロシマとナガサキに投下して、一般民衆を殺戮・虐殺しました。これはどのように説明するのでしょうか。全く身勝手な、デタラメは止めろ!ということです。
兵たん活動について、愛国者の邪論は
この議論も、アメリカの日本の都市空襲を視れば、明らかです。高村氏は、このことをどのように説明するのでしょうか。
PKO法改定について、愛国者の邪論は
そもそも、PKO法そのものが、曖昧なものでした!自衛隊が海外に「派兵」される「針の一穴」でした。この時も「国際貢献」論と自衛隊を意図的にリンクさせて、反対者を孤立させました!「国際貢献をしなくても良いのか!」と。
国連平和維持活動(PKO)参加5原則
自衛隊がPKOに参加する際の基本方針で(1)停戦合意が成立(2)PKO実施と日本の参加に紛争当事国が同意(3)中立的立場の厳守(4)基本方針が満たされない場合は撤収できる(5)武器使用は生命などの防護のため必要最小限-の5項目。
時事通信 武器使用基準緩和へ=PKO5原則見直し-政府、自衛隊派遣で骨格 2015/03/13-20:09
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015031300917
政府は13日、安全保障法制の整備に関し、自衛隊の海外派遣に関する骨格を固めた。自己防護に限定した武器使用基準を定めた国連平和維持活動(PKO)の参加5原則を見直し、離れた場所にいるNGO関係者らを警護する「駆け付け警護」や治安維持活動の新たな任務に対応できるよう緩和する。PKO協力法を改正し、イラク復興支援のような国連安全保障理事会の決議に基づかない人道復興支援も同法で可能とする方向だ。
〔写真特集〕陸上自衛隊・総合火力演習
政府は自衛隊のPKO参加で、(1)紛争当事者間の停戦合意(2)受け入れ国を含む紛争当事者が国連平和維持隊の活動に同意(3)国連平和維持隊の中立的立場の厳守(4)要件が満たされなくなれば派遣中断・終了(5)武器使用は必要最小限-との原則を法律に定めている。
新たな原則では、武器使用基準は現行の「要員の生命の防護のため必要最小限」から、「業務の遂行に当たり、自己保存型および武器等防護を超える武器使用が可能」に改める。
この他、国連決議に基づかない活動に参加することを想定し、現行のPKO5原則にある「国連平和維持隊」の文言を「当該ミッション」と改め、汎用(はんよう)性を持たせる。政府は、新たな5原則を厳格に運用し、自衛隊活動の歯止めとするとしている。
他国軍を後方支援するため制定する自衛隊派遣の恒久法では、原則として国会の事前承認を義務付ける。後方支援の内容は、医療、輸送、修理・整備などを列挙。弾薬の提供も可能としたが、武器については引き続き提供しない。
政府は当初、他国軍と物資を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)を相手国と締結するたびに必要な自衛隊法改正の省略を検討したが、公明党の慎重論に配慮し、見送ることを決めた。船舶検査活動法を改正し、旗国の同意に基づく強制力を持った検査を可能とする改正に関しても、今回の安保法制整備には盛り込まない。 (引用ここまで)
「グレーゾーン」について、愛国者の邪論は
これまでは「平時」と「戦時」だけでした。具体化の機運が高まったのは70年代後半だったでしょうか。「有事法制」が取りだたされて以降、「戦時」に代わって「有事」という言葉が使われるようになりました。これは「戦時」とは、憲法上あり得ないことですから「有事」とゴマカシたのです。これが、今や当たり前になってしまったのです。
これも、憲法9条を使った外交によって、「有事」が起こらない状況をつくりだすことを放棄した自民党政権の策略と言えます。
イラク戦争と日本/有事関連法成立 H.T.記 http://www.jicl.jp/now/jiji/backnumber/2003.html
有事とは、一般に、戦争、内乱、大規模災害など、国や国民の平和と安全に対する非常事態をいいます。日米新ガイドライン(1997年)や北朝鮮脅威論、イラク戦争などをてこに、03年6月、いわゆる有事3法(武力攻撃事態法、改正自衛隊法、改正安全保障会議設置法)が成立。翌年の6月には有事関連7法と3条約が成立しました。(引用ここまで)
有事関連7法と3条約http://www.marino.ne.jp/~rendaico/daitoasenso/sengodemocracy_gungiripo_yugikanren7fo.htm
2004.6.14日、日本有事の際に国民を守るための避難や救援の手続きを定める国民保護法など有事法制関連7法が、参院本会議で自民、公明、民主3党などの賛成多数で可決、成立した。国際人道法であるジュネーブ条約追加議定書など関連3条約の締結も承認された。昨年6月に成立した武力攻撃事態対処法などとあわせ、日本有事や大規模テロへの「備え」として政府が進めてきた有事法制の骨格が、野党第1党の民主党の賛成も得て整ったことになる。 …7法と3条約は14日の参院イラク復興支援・有事法制特別委員会で可決後、本会議に緊急上程された。二つのジュネーブ条約追加議定書は全会一致で、そのほかは自民、民主、公明3党の賛成多数で成立した。小泉首相は同日夕、「民主党も賛成して、与野党賛成のうちに成立したということは大変望ましい形だと思う」と記者団に語った。(朝日06/14 19:05) (引用ここまで)
赤旗 有事法制 なぜ今?小泉内閣のねらいは? 2002年2月12日(火)http://www.jcp.or.jp/akahata/aik/2002-02-12/03_0201.html