NPT最終文書案、「広島・長崎訪問」削除 中国に押し切られる 2015.5.22 21:26更新http://www.sankei.com/world/news/150522/wor1505220041-n1.html
【ニューヨーク=黒沢潤】国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議のフェルキ議長は閉幕日の22日、最終文書案を各国に提示した。被爆地の広島、長崎への訪問を世界の指導者に促す文言が削除されている。また、核兵器の非人道性をめぐる記述が目立つ一方、核軍縮の促進手段となる「核兵器禁止条約」の記述が削除された。内容には核保有国、非核保有国がそれぞれ不満を表明しており、文書採択は困難な情勢となっている。
「被爆地訪問」は日本が実現を目指したが、中国の反対で原案から削除されていた。日本は中国と折衝を重ねて文言復活を要請したが、中国は妥協せず、「核兵器の影響を受けた人々や共同体の経験を直接共有するよう促す」との表現で決着が付いた。
文書案はまた、「核兵器禁止条約」の記述を削除する一方、法規制を含む核軍縮の「効果的措置」を検討する作業部会を国連総会に設置するよう勧告。核保有国に対しては、核弾頭の数や具体的種類などを明示することの重要性を考慮しつつ、核軍縮の状況を定期的に報告することを求めた。
また、中東地域の非核化を目指す国際会議を2016年3月までに実施するよう国連事務総長に託した。
5年ごとに開かれる再検討会議で、05年は文書採択に失敗したものの、10年はオバマ米大統領が「核兵器のない世界」を提唱した翌年だっただけに追い風となり、行動計画を盛り込んだ文書が採択された。(引用ここまで)
日米軍事同盟容認の産経は核兵器抑止力論を免罪する!
各国驚かせた中国「歴史認識」攻勢 NPT最終文書案「被爆地訪問」削除 2015.5.22 21:36更新http://www.sankei.com/world/news/150522/wor1505220042-n1.html
【ニューヨーク=黒沢潤】NPT再検討会議の最終文書案で、被爆地の広島、長崎への訪問を世界の指導者に促す文言は復活しなかった。日本は巻き返しを図ったものの、「歴史認識」をからめて攻勢に出た中国に押し切られた格好だ。一方、最終文書案は、主要争点をめぐって核保有国と非核保有国との“溝”が埋まらないまま議長裁量で各国に提示され、決裂やむなしとの悲観論が大勢を占めつつある。
「歴史の歪曲だ」「日本は戦争の被害者の立場を強調している」-。核兵器の惨禍を世界に訴えようと、「被爆地訪問」実現を求めた日本側に対し、中国の傅聡軍縮大使が今月中旬、「過去」を持ち出して日本を批判したことは、議場の各国代表団を驚かせた。
今年は中国にとり、「抗日戦争と反ファシズム戦争勝利70周年」。今夏に安倍晋三首相が戦後70年談話を出すことも念頭に置いた牽制だったとはいえ、日本には予期せぬ“冷や水”となった。
最終文書採択は全会一致が原則だ。「被爆地訪問」への支持は着実に広がり、日本は20日、中国と少なくとも2回交渉を行ったが「立ちはだかる壁」(外交筋)を前に、対処のしようがなかったという。
一方、最終文書案の内容をめぐっては、核保有国と非核保有国との対立が解消されないままだ。
「核兵器禁止条約」の文言が最終文書案で削除されたのは、文言の言及に慎重姿勢を見せる米英両国に加え、強く反対するフランスに配慮した結果だ。ただ、オーストリアなど非核保有国側からは批判が出ている。
核兵器がもたらす「非人道性」をめぐる記述についても異論が多い。「核兵器は使用されてはならない」と記述したことや、核軍縮教育の重要性を盛り込んだことが非人道性の認識を高めることにつながり、「前回会議より前進した」と考える国が多い半面、核保有国側は懸念を強めている。
事実上の核保有国であるイスラエルを念頭に置いた中東地域の「非核化」問題では、アラブ諸国が今年11月末までの「国際会議」開催を目指していた。
これに対し、イスラエルの友好国の米国などは「早期開催」にとどまっていた。最終文書案では開催時期について、折衷案の「2016年3月まで」となったが、双方に不満が残る内容だ。(引用ここまで)
中国が歴史問題にこだわる理由を黙殺する!
ヒロシマ・ナガサキには加害と被害が集中している!
ジェノサイド防止は人類共通の課題!
核兵器は通常兵器とは違う!
【NPT最終文書案】 外務省幹部「苦しい交渉だった」 中国の想定外行動に防戦強いられた日本 2015.5.23 06:00更新 http://www.sankei.com/politics/news/150523/plt1505230002-n1.html
NPT再検討会議の最終文書案では、世界の指導者に広島、長崎への訪問を要請するという日本の提案に中国が反対し、文言は削除された。被爆地を訪問すべきだという「趣旨」が分かる内容とはなったが、核廃絶問題にまで歴史問題を絡めて反対する中国の想定外の行動に、防戦を強いられた感は否めない。
「日本が特に重視してきた考え方が概ね盛りこまれている」。菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官は22日の記者会見で、最終文書案をこう評価したが、「被爆地訪問」は「被爆した地域の経験を直接共有する」など後退した。
日本は、開会当初から、核兵器の非人道性を理解するためには、被爆地訪問の明記が重要だと提案していた。しかし、中国が「日本は大戦の加害者ではなく、被害者かのように描こうとしている」などと歴史問題を取り上げて反対し、素案の段階で削除された。
これに慌てた外務省は17日に杉山晋輔外務審議官を派遣し、巻き返しを図った。杉山氏は、日本の主張を会議で演説するなど関係国を説得。文言の復活を支持する国がフィリピンなど26カ国に及んだことは、歴史問題に固執する中国の“特異性”を浮き彫りにしたとは言える。断続的に行われた中国との二国間交渉にも一定の影響を与えたとみられるが、文言復活までには至らなかった。外務省幹部は「外交交渉でいったん表明した見解を変えるのは難しい。苦しい交渉だった」と吐露した。(楠城泰介)(引用ここまで)