これだけの言葉を使って批判しているのに!
現実追随!これではやったもんが勝ちだな!
強引な採決は、民主主義を大きく損ねる。
政府答弁は一貫性を欠いていた
採決強行が、いかに民意と懸け離れていたかがあらためて分かる
採決強行は安倍政権と与党の独善というほかない。
さまざまな異論に耳を傾けず、異論に対抗し得る説得力のある答弁もなかった。
安倍政権の独善的、強権的な体質に対する国民の不信は根強い。
政権の「おごり」が表れていよう。
安保法成立を受けて今後、
さまざまな「既成事実」が積み重ねられていくだろう。
民意を無視し、議会政治に重大な汚点を残した。
最高法規である憲法の安定性は大きく損なわれる。
政府の暴走は、憲法が権力を縛る立憲主義を土台から壊すことにつながる。
法は成立したが、問題点が消えたわけではない。
自衛隊の海外派遣などが具体化すれば、より鮮明になるに違いない。
批判の声を上げ続けるとともに、選挙などで意思を明確に示す必要がある。
安倍政権と与党の強引な手法は与野党、そして国民の間に
大きな亀裂を生じさせた。
この国のありように危機感を覚えざるを得ない。
立憲主義と民主主義を軽視する国が、どういう方向へ進んでいきかねないかを。私たちは針路を左右する重大な岐路に立たされた。そのことを強く自覚したい。
日本の民主主義における歴史的汚点。
民意に背を向け安保法制の成立に固執する安倍政権。
その代償はあまりに大きい。
如何に民意と懸け離れていたか
最高法規である憲法の安定性は大きく損なわれているか
立憲主義を土台から壊すことにつながる
安倍政権と与党の強引な手法というのに
選挙などで意思を明確に示す必要があるだけか?
通常国会閉幕/最長でも「熟議」は遠く
高知新聞/2015/9/27 10:07
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=344774&nwIW=1&nwVt=knd
会期を戦後最長となる95日間延長した通常国会が27日閉幕する。大幅な会期延長は、戦後日本の歩みを左右する安全保障関連法案を十分に審議するのが目的だったはずなのに、内実は違った。衆参両院で最後には強行採決がまかり通った。
法案は違憲との指摘もある中、法成立後も、世論調査で「審議が尽くされていない」との回答が依然として高率だったことは深刻だ。
国会は国権の最高機関としての役割を果たしたのか。政府にそれを軽んじる傾向はないのか。「安保国会」は大きな課題を浮き上がらせた。歴代政府が憲法解釈から認められないとしてきた集団的自衛権行使に道を開く安保関連法をめぐっては、法案の段階から立憲主義や法の安定性の観点から疑義が指摘されている。これだけの問題をはらんだ法案の審議だからこそ、「言論の府」としての国会の役割は重かった。
今月19日の参院本会議での法成立を受けた共同通信の世論調査は、国民の厳しい見方を示している。「国会での審議が尽くされたとは思わない」との回答が79・0%もあった。参院での採決前、安倍首相は「熟議の後に決めるべき時には決める」と述べたが、世論調査では大半の人が政権の法案説明は不十分とした。熟議には程遠い。このことは政府と国会の関係を考える上で軽視できない。
安保関連法の流れには不自然なことが多かった。関連法の見取り図とも言える日米防衛協力指針(ガイドライン)が再改定されたのはことし4月末で、その直後に訪米した安倍首相は、米議会で法案の夏までの成立を約束した。法案が閣議決定され、衆院に提出されたのは5月に入ってからだ。はじめに対米公約があり、肝心の国会審議が後回しにされた印象は拭えない。
その審議も不十分だった。集団的自衛権行使の要件についての政府答弁は一貫性を欠いていた。法案に対する国民の理解は一向に深まらなかったのに、参院の審議では質疑が制限される場面さえあった。
一昨年成立の特定秘密保護法が象徴するように、行政の力が肥大化する傾向が強まっている。そんな危うい流れの中に安保関連法はある。その審議を尽くせなかったことは国会の在り方に大きな課題を残した。(引用ここまで)
全国世論調査/国民の疑義はそのままだ
高知新聞/2015/9/21 8:07
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=344484&nwIW=1&nwVt=knd
戦後の安全保障政策の大転換につながる安保関連法の採決強行が、いかに民意と懸け離れていたかがあらためて分かる。安保法の成立を受け、共同通信が実施した全国世論調査で「審議が尽くされたとは思わない」との回答が79・0%に上った。安倍首相の「決めるべきときには決めなければならない」とする答弁の前には「熟議の後」という言葉があったが、大多数がそうとは受け止めていない。採決強行は安倍政権と与党の独善というほかない。
そうした独善ぶりは国会審議の中でも目立った。多様な考え方がある政策を進める際には、政府は説明と説得を重ね、合意形成に最大限の努力をするのが本来の姿のはずだ。幅広い合意が求められる安保政策の転換という重要な課題であれば、なおのことだろう。
ところが、安倍首相らの頭は「これしかない」という考え方が占めていたようだ。違憲論をはじめ、国会の内外から突き付けられたさまざまな異論に耳を傾けず、異論に対抗し得る説得力のある答弁もなかった。全国世論調査では、安倍政権が「十分に説明しているとは思わない」とする人は81・6%に達した。衆院での強行採決後の回答とほとんど変わらず、安保法に反対や、違憲とする人も半数を超えている。また、安保法によって自衛隊が戦争に巻き込まれるリスクが「高くなる」との回答も7割近くある。審議でリスク論に正面から向き合おうとしないなど、安倍首相らが繰り返した「丁寧な説明」が言葉だけに終わっては理解が深まるはずがない。
安倍内閣の支持率は38・9%と8月の前回調査から4ポイント余り低下し、不支持率は再び50%を超えた。衆院強行採決の直後とほぼ同水準で、安倍政権の独善的、強権的な体質に対する国民の不信は根強い。
安保法の成立前、安倍首相は参院特別委員会で「成立の暁には間違いなく理解が広がっていく」と述べた。官邸筋から漏れた「国民はすぐに忘れる」と同様、政権の「おごり」が表れていよう。
安保法成立を受けて今後、さまざまな「既成事実」が積み重ねられていくだろう。世論調査に表れた国民の意思の持続力が問われることになる。
意思を示し続けること
高知新聞/2015/9/20 10:07
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=344425&nwIW=1&nwVt=knd
日本の立憲政治や平和主義を揺るがせ、針路を誤らせかねない安全保障関連法が成立した。
違憲が疑われ、多くの国民が反対している。にもかかわらず、自民、公明両党などは採決を強行した。民意を無視し、議会政治に重大な汚点を残した。
法は成立したが、これで終わりではない。多くの疑問や懸念は残ったままだ。今後も議論を重ねながら、主権者はさまざまな形で意思を示し続ける必要がある。
私たちは安保関連法に繰り返し疑義を呈してきた。憲法学者や元最高裁長官らが指摘した違憲性、政府裁量に多くを委ねる曖昧さ、法の必要性などからだ。
安倍政権は憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認した。長年定着した解釈を一内閣が都合良く変える手法がまかり通れば、最高法規である憲法の安定性は大きく損なわれる。政府の暴走は、憲法が権力を縛る立憲主義を土台から壊すことにつながる。
歯止めの空洞化
集団的自衛権の本質は攻撃を受けた他国を守ることにあるが、政府は「日本を守るため」と説明し、行使は「新3要件」が歯止めになると強調してきた。だが、要件の定義などは曖昧で、時の政権の判断次第となってしまう。
安保関連法は日米両政府が4月に決定した新防衛協力指針(ガイドライン)の法的な裏付けともなる。日米の軍事的一体化が一気に進み、自衛隊による対米支援は地球規模に拡大する。米軍にとどまらず、戦闘状態にある他国軍への後方支援も可能になる。
政府は「専守防衛」は変わらないと強弁するが、その枠を大きく踏み越えるのは明らかだ。戦後日本が掲げてきた平和主義の変質は避けられない。
国会のチェック機能にも疑問符が付く。自衛隊の海外派遣は国会の事前承認が原則だが、政府が特定秘密保護法を盾に判断材料となる情報を示さない可能性がある。政府を後押しするだけの与党の姿勢が加われば、国会承認という歯止めは空洞化しかねない。
中国の軍事的台頭などに不安を感じ、法整備を必要と考える人も多いだろう。ただし、抑止力強化への偏りは、相対する双方が軍拡を続ける「安全保障のジレンマ」に陥る恐れもある。
重大な岐路
疑念や懸念が膨らむにつれ、多くの国民が世論調査、デモや集会で反対の意思を示した。議会制民主主義は最後は多数決によるとはいえ、民意を無視した強引な決定は議会不信をさらに高める。
法は成立したが、問題点が消えたわけではない。自衛隊の海外派遣などが具体化すれば、より鮮明になるに違いない。批判の声を上げ続けるとともに、選挙などで意思を明確に示す必要がある。
安保政策は幅広い合意に支えられていることが望ましいはずだ。だが、安倍政権と与党の強引な手法は与野党、そして国民の間に大きな亀裂を生じさせた。この国のありように危機感を覚えざるを得ない。
法整備が必要と考える人たちも想像力を働かせてほしい。立憲主義と民主主義を軽視する国が、どういう方向へ進んでいきかねないかを。私たちは針路を左右する重大な岐路に立たされた。そのことを強く自覚したい。
安保法案採決/省かれた民主主義の過程
高知新聞/2015/9/19 10:07
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=344369&nwIW=1&nwVt=knd
日本の針路を左右する安全保障関連法案。その採決をめぐる与野党の攻防は、憲政の歴史の中でも激しいものだった。
参院の平和安全法制特別委員会では、与党が野党の一瞬の隙を突いて採決を強行した。鴻池委員長を与野党の議員が取り囲み、何が行われているかも分からない混乱ぶりだった。
これが言論の府、しかも良識の府かと、参院審議のありように失望、落胆した国民は多かったに違いない。
採決強行は演説に長い時間をかけるなど、審議引き延ばしを図る野党への対抗策だった。こうした議事妨害は少数派が多数派から譲歩を引き出すための戦略ではあるが、本来は正々堂々と議論するのが憲政の王道である。
ところが今回、与党は採決前の総括質疑さえ「省略」した。討論の場そのものを奪うのは、どう考えても行きすぎだ。私たちが「日本の民主主義における歴史的汚点」と批判するゆえんである。
法案の審議は衆参両院で計200時間を大きく超えた。戦後の安保法制の審議では最長である。これをもって与党は「十分に審議し、論点も出尽くした」と採決を正当化する。
しかし安保法案は、地球規模での自衛隊の海外派遣と対米支援を可能とする。憲法9条の下で専守防衛に徹した「国のかたち」の大転換を、審議時間を目安に決めること自体、違和感を禁じ得ない。
集団的自衛権の行使容認、他国軍の後方支援に自衛隊を随時派遣できるようにする恒久法など、安保法案は11本の法案を2本にまとめている。巨大法案だけに国連平和維持活動(PKO)における自衛隊の駆け付け警護など、議論が不十分な分野も少なくない。まだまだ論点は出尽くしていないし、論点に対する政府の回答も国民に理解されてはいない。
国民の間に亀裂
1960年に日米安保条約が改定された時、当時の本紙論説委員長は書いている。
「国民生活に直接ひびく法案が、『多数』を占めるというただ一つの事実によって、多数党が審議もそこそこに、しかも単独可決を強行することが許されるなら、まわりくどく、しかも多額の国費を要する国政審議の場は、およそ無用の長物でしかないということにもなる」
半世紀以上を隔てて同じ懸念を記さざるを得ない。
むろん議会制民主主義である以上、最後は多数決によることに異存はない。ただしそれが許されるのは、与野党の論議が生煮えで国民も内容を未消化である状況を解消してからだ。その重要なプロセスを省いて、時間が来たからと言って機械的に決するだけなら、単なる多数決主義であって民主主義とは呼べない。
国会内「多数党」の意見と「世論」との隔たりが大きければ大きいほど、世論の理解を得るプロセスに十分な時間を割く必要がある。
それとは逆に、「国民の理解が得られなくても成立させる」という与党の姿勢がもたらすものは何か。国民と政府との、国民の中の賛成派と反対派との深刻な亀裂であり分断であろう。
そんな社会をつくりだすことは、国家の安全保障にとってもプラスになるとは思えない。民意に背を向け安保法制の成立に固執する安倍政権。その代償はあまりに大きい。(引用ここまで)
安保法案採決/民主主義に歴史的汚点
高知新聞/2015/9/18 10:06
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=344311&nwIW=1&nwVt=knd
集団的自衛権の行使によって他国の戦争に日本が参加する道を開く安全保障関連法案は、立憲主義や法治主義、憲法の平和主義、専守防衛の原則など国の土台を大きく揺るがす。
加えて戦後70年の日本の民主主義にも歴史的な汚点を残すことになった。自民、公明両党などはきのう、参院平和安全法制特別委員会で安保法案を強行採決し、可決した。
鴻池委員長に対する不信任動議が否決された後の展開は、異様というほかない。鴻池氏は直ちに法案の採決に入り、与野党の議員が激しくもみ合った。実質的な総括質疑は行われず、審議は最後まで尽くされなかった。
安倍政権は歴代政権が認められないとした集団的自衛権の行使を、憲法解釈を変更して解禁した。過去の政府見解や判例を都合良く解釈する手法は、多くの憲法学者や元最高裁長官らが「違憲」と指摘している。安保法案は「違憲立法」の疑いが濃厚だ。
どんな場合に、集団的自衛権を行使するかについて首相は当初、中東・ホルムズ海峡での機雷掃海を挙げた。しかし、国際情勢の変化を受け「具体的に想定しているものではない」と答弁を変えたのは、採決直前の今月14日である。
もう一つの事例は、朝鮮半島有事で退避する邦人を輸送中の米艦の防護だが、これも「想定できない」との識者の指摘がある。衆参両院の審議の最後になって、何のために集団的自衛権を行使するのかさえ分からない。
不明瞭な法の解釈は、「総合的に判断する」といった政府の裁量の拡大につながった。違憲性や不透明性への疑念が膨らむ中での、審議打ち切りと強行採決は暴挙と言うべきだ。
いわんやこれからの日本の針路に大きく影響する重要法案である。
安倍首相自身今週、「法案に支持が広がっていないのは事実だ」と認めながら、「決めるべきときは決める」というのは「数のおごり」であり、あまりにも独善的ではないか。
国民の理解が広がらない理由には、そんな安倍政権の体質を危ぶむ声もあろう。戦後の安保法制で最長の時間をかけたというが、長い時間審議して幅広い合意が得られないなら、廃案にして出直すのが筋というものだ。
国会の外にもあふれる「反対」の声など聞こえぬかのような強引な採決は、民主主義を大きく損ねる。 (引用ここまで)