安倍首相の思考回路の中でのみ議論するのは憲法を活かす決意欠落の証拠!
安倍首相の70年談話を創作する懇談会に関する社説が出ました。すでに記事にしました。そこで、そのことを踏まえて、以下、社説のポイントを掲載しておきます。ご覧ください。そのまえに、社説の問題点の、最大のポイントは、以下のとおりです。ご覧ください。
一つは、70年も経過していて、侵略戦争と植民地主義問題が解決していないのは何故か、全く触れていないことです。
二つは、侵略戦争を反省して制定された日本国憲法の文字を一言も入れていない安倍首相と同じ土俵にいることです。
三つは、憲法を活かした『平和国家』「平和外交」を基軸にするという視点が欠落していることです。
四つは、侵略戦闘と植民主義の加害の事実を再確認すると言う視点が欠落していることです。文字が入っていればそれで済むという問題ではないことは、村山談話以後の政治が示しています。
最後は、ここが重大です!安倍首相の憲法改悪と集団的自衛権行使、武器輸出禁止三原則否定などなどの、現実の政治は、過去の侵略戦争と植民地支配の反省の上に制定された憲法平和主義とどこで、どのように関係しているのか、触れていないことです。言葉の遊びはやめるべきです!
安倍首相は、この談話を発表後に南京・シンガポール・マニラ、瀋陽・重慶など「戦争遺跡」を訪問し「不戦の誓い」を表明できるかどうか、それが試金石=踏絵だ!
「バランスのとれた議論」とは何か、不明だ!
侵略による加害と被害の事実、戦後の日本政府の態度は何か!
朝日新聞 戦後70年談話/未来を語るのならば 2015/2/26 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
戦後70年の「安倍談話」について意見を交わす有識者懇談会がきのう、初めての会合を開いた。懇談会として草案を書くわけではないというが、国内外から評価される談話づくりに向け、バランスのとれた議論を期待したい。
戦後70年だからといって、必ずしも首相談話を出さねばならないわけではない。それでも安倍氏は2012年に首相に再登板してから、「安倍政権として未来志向の談話を出したい」と繰り返してきた。
首相はかねて村山談話への違和感を漏らしてきた。06年に初めて首相に就任したころから「その精神を引き継いでいく」としながらも、「国策を誤り」「植民地支配や侵略」といった村山談話の根幹部分への評価は明確にしてこなかった。
村山談話を「全体として引き継ぐ」と言い始めた最近も、その違和感の根本は変わっていないようだ。いったい何のために新しい談話を出すのか。有識者の議論が始まるにあたり、この原点に立ち返ってみたい。
首相は「先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、アジア太平洋地域や世界のためにどのような貢献を果たしていくのか」を書き込み、世界に発信したいという。日本のさらなる貢献をうたうことに異論はない。だが、その基礎となるのは、戦前の日本の行為についての明確な認識と反省である。それをあいまいにしたまま未来を語っても、説得力は生まれない。
全体として引き継ぐと掲げながら、植民地支配や侵略といったキーワードを村山談話もろとも棚上げにしてしまうのが新談話の目的ならば、出すべきではない。そうした意図があればすぐに見透かされ、「過去に目を閉ざす者」と世界に受けとられるのが落ちであろう。
先の国連安保理の討論会で、中国の王毅外相が「真実を認めることをためらい、過去の侵略の犯罪をごまかそうと試みる者がいる」と演説した。王毅氏は演説後、「だれかに照準を合わせることはない」と述べたが、植民地支配や侵略を否定するかのような日本政界の一部の発言を牽制(けんせい)する意図があったのは明らかだ。首相はきのう、懇談会の委員に「未来への土台は、過去と断絶したものではあり得ない」と語った。その通りである。談話を出すならば、国連での王毅発言が的外れであることを首相自身の言葉ではっきりとさせるべきである。(引用ここまで)
何故国際理解を得なければならないのか、避けるな!
言葉だけの「反省」なら、いわゆるサルでもできる!と同じだ!!
毎日新聞 戦後70年談話/国際理解を得るために 2015/2/25 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20150225k0000m070115000c.html
政府は戦後70年の首相談話を検討する「21世紀構想懇談会」の有識者メンバー16人を発表した。安倍晋三首相の私的諮問機関という位置づけで、きょう初会合が開かれる。
関連記事
村山・元首相:「アジアで信頼されるために」 村山談話で /岐阜 02月25日 02時30分
貝原・前兵庫県知事死去:「創造的復興」被災地の顔 引退後も教訓発信 02月25日 02時30分
土井たか子さん死去:悼む 村山元首相「志受け継ぐ」 /大分 02月25日 02時30分
クローズアップ2015:70年談話、有識者懇 安倍色突出避ける 02月25日 02時30分
70年談話:21世紀構想懇を設置、西室氏ら16人起用 02月25日 02時30分
座長には西室泰三日本郵政社長、座長代理には北岡伸一国際大学学長を充てる。西室氏は「新日中友好21世紀委員会」日本側座長、北岡氏は「日中歴史共同研究」の日本側座長などを務めた経験があり、対中関係に配慮した様子がうかがえる。米国にパイプを持つ人材も起用された。紛争地の武装解除に取り組む瀬谷ルミ子日本紛争予防センター理事長らも入った。日本の国際貢献を念頭においた人選と見られる。
慰安婦問題、靖国問題などの歴史問題は、日本外交の最難関の課題になっている。戦後一貫して安全保障や経済問題などに注力してきた政府は、歴史問題に正面から取り組んだ経験に乏しい。懇談会は「談話を書くのではなく、政府が談話の内容を検討するにあたり意見を聞く」(菅義偉官房長官)のが目的というが、文言に留意すべき談話作りにおいて多様な背景を持つメンバーの議論は重要な意味を持つことになろう。
16人には戦争責任にふれた過去の首相談話を踏まえ、国際理解を得るよう知恵を絞ってもらいたい。
日本政府はこれまでに戦後50年の村山富市首相談話、戦後60年の小泉純一郎首相談話などを積み重ねてきた。歴史的な評価を得るのは容易ではなく、政権が代わるごとに新たな談話を出すのは本来得策ではない。
新談話は有識者による議論を経ることで、作成過程が公開され、検証可能な形になるよう努めてほしい。戦後生まれの世代は、今や約8割を占める。政府は、8月にも出す談話を与党はもちろん幅広い支持を得る内容に仕上げなければならない。
安倍首相は戦後70年談話に、先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後アジア太平洋地域や世界にどのような貢献をするか−−を書き込む意向を示している。一方で首相は村山談話や小泉談話を「全体として引き継ぐ」と述べるにとどまる。今まで使った言葉の有無に着目することは「こまごまとした議論」という趣旨の発言をしたこともあった。だが、「植民地支配」「侵略」といった表現は歴代内閣が踏襲し、日本の公式見解と受け止められている。こうした核となる文言は、はずすべきではない。過去の反省をあいまいにしてはならない。
談話が首相個人の考えになっては広範な合意作りが損なわれる。「未来」を重視するにしても、それだけでは中国、韓国はもとより欧米にも歴史修正との誤解を招く。過去を見据えなければ未来は描けない。(引用ここまで)
憲法平和主義を盛り込まない「骨格は妥当」とは言えない!
東京でさえも安倍首相の土俵の中で思考している!
中日/東京新聞 戦後70年談話/自省の姿勢揺るぎなく 2015/2/26 10:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015022602000148.html
戦後七十年の首相談話はどうあるべきか。安倍晋三首相は村山、小泉両首相談話を「全体として引き継ぐ」としているが、先の大戦への反省を明確にしなければ、国内外で誤解を生みかねない。
戦後七十年の首相談話に盛り込む内容を議論する有識者懇談会の初会合が昨夕、開かれた。いわゆる「二十一世紀構想懇談会」。首相の私的諮問機関である。委員は、歴史や外交・安全保障専門の学者や財界人、新聞記者、国際支援活動に関わるNPO代表ら十六人。座長の西室泰三日本郵政社長は七十九歳で、その人生は戦後日本の歩みと重なる。中国要人との交流も深い。西室氏は国会で「戦前と戦中の苦しい時期を体験した。積み上げてきた経験はそれ以外にも広範囲なので役に立てる」と述べた。その経験を生かし、戦後七十年の節目にふさわしい談話づくりに向けて議論をリードしてほしい。懇談会は今夏までに報告書をまとめ、首相に答申する。しかし、談話の内容を決めるのは首相であり、答申がそのまま反映されるわけではない、という。懇談会が、広く意見を聞いたというアリバイづくりに使われてはならない。
首相は談話に盛り込む内容として、先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、アジア太平洋や世界にどう貢献するかを挙げた。この骨格は妥当だ。
問題は表現である。
戦後五十年の一九九五年八月十五日に閣議決定された村山富市首相談話は、過去の「植民地支配と侵略」に対して「痛切な反省」と「心からのお詫(わ)びの気持ち」を表明し、二〇〇五年の小泉純一郎首相による戦後六十年談話にも、同じ文言が盛り込まれた。安倍首相は二つの首相談話を含め、歴代内閣の歴史認識を引き継ぐとしながらも、「全体として」との条件を付けている。
植民地支配と侵略への反省とお詫びは、外交の基盤となってきた歴史認識の根幹だ。全体として引き継ぐと言いながら、核心部分を変えることがあってはならない。歴史修正の意図ありと受け取られれば、国益を害するだけだ。
戦後七十年という節目に、アジアや世界の平和と発展に貢献してきた平和国家としての歩みと、この先もこの道を歩み続ける決意を世界に誇らしく訴えたい。負の歴史であっても、過去と誠実に向き合うことこそが、未来志向を堂々と語る基礎となる。(引用ここまで)