喜多六平太記念能楽堂で、金春流の「融」を観る。
この曲は全篇を通して、左大臣源融の邸宅跡-「六條河原院」が舞台である。
しかも今やそこは、主人亡きあと相続する者がいなかったため、すっかり廃墟と化している。
背後に松が描かれただけの能舞台に、その無情さが観る者の心に描けるかどうかで、この能はだいぶ味わいが違ってくる。
もっとも、廃墟ならいまのご時世、いたるところに展開されている。
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- 嵐悳江(あらし とくえ)──手猿樂師にして、傳統藝能創造家にして、鐵道愛好家にして、古道探訪者にして、文筆家氣取り。
雅号は「李圜(りかん)」。
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