
私の知ってゐる高齢男性が、先週に一回目のワクチン接種を受けてから体調がすぐれないらしく、「なんか自分の体じゃないやうなんだ……」
すで接種日程が決まってゐる私としては覺悟のグラつくやうな話しだが、まう接種を決めたのだから今さら逡巡は止めやうと思ひ直す。
ワクチンが決して特効藥でないことは、異國の運動競技屋たちが既に身を以て示してゐるところであり、要はいかに日頃から予防を心掛けてゐるか、と云ふことだらう。
第三次“お手上げ宣言”解除明けの今日は、すなはち感染擴大劇“第五幕”の初日、と云ふことである。
特にこの“第五幕”は、大いに盛り上がる趣向が凝らされる予定ださうで、

その配役ともども、前評判はすでに侃々諤々(かんかんがくがく)の上々吉である。
ただ、この第五幕は舞台から客席へだいぶ火の粉が飛んでくるやうなので、私はしっかり距離を保ってそっぽを向き、古くから疫病退散の力が信じられてゐる地元の庚申さまに、

ただ静かに手を合はせるのみである。